ポリシャスは葉に細かい切れ込みがある種類や葉が丸くユニークな形をしている種類などさまざまな品種が存在します。葉の形も品種により異なるため、お部屋の雰囲気をガラッと変えたいときやインテリアグリーンとしてもおすすめです。
今回は、初心者の方にも育てやすいポリシャスの特徴をはじめ、人気の品種や育て方のポイント、植えつけ・植え替えの方法など基本情報を詳しくご紹介します。
初心者の方におすすめの観葉植物12選!|基礎知識や育て方などもご紹介
初めての観葉植物選び。室内でも育てやすいものを選びたいですよね。 この動画では、初心者におすすめの観葉植物のご紹介を中心に、注意すべき点、基本的な育て方などもご紹介します。
ポリシャスの特徴
ポリシャスは、ウコギ科タイワンモミジ属の観葉植物です。原産は、東南アジア・オーストラリア・アフリカなどの暖かい地域です。
ポリシャスの名前の由来
ポリシャスの語源は、ギリシャ語の多い「ポリ」と影「スキアス」からきています。また、ポリシャスの原種は葉に切り込みがあり、モミジのような形をしていたことから「タイワンモミジ」という和名がつけられました。
ポリシャスの特徴について
ポリシャスは樹高が高く、品種によっては10mと大きく育ちます。現在は、品種改良された背の低い品種も増えています。ポリシャスは寒さに弱いため、室内の観葉植物として育てられるのがほとんどです。
100種類ほどあるポリシャスの品種
ポリシャスの品種は、およそ100種類ほどあるとされています。樹高が低いものや高いもの、葉の形がギザギザしたものから、葉に切り込みがないものなど多種多様です。
「ポリシャス・フルティコーサ」や「ポリシャス・バタフライ」は、葉に細かいギザギザの切り込みがあるのが特徴です。「ポリシャス・フリスピー」は、葉が丸くユニークな形をしています。「ポリシャス・マルギナータ」や「ポリシャス・スノープリンセス」は日本で人気があります。葉に斑が入っていて見た目がかわいらしいことから、インテリアグリーンとしても重宝されています。
ポリシャスの人気の品種をご紹介
ポリシャスの人気品種をいくつかご紹介します。
ポリシャス・マルギナータ
ポリシャス・マルギナータの葉は丸く大きく、白い班が入っているのが特徴です。葉の大きさは成葉でも5cm未満で、ポリシャスの中でもサイズが小さい部類に入ります。原種の「ポリシャス・バルフォリアナ」に改良を加えて作られた品種です。
ポリシャス・スノープリンセス
ポリシャス・スノープリンセスは、葉の縁をかたどるように白い班が入っている見た目が特徴です。白い班の美しさから「スノープリンセス」と名付けられました。
小さな葉には細かい切れ込みが多く、ボリュームもあります。スノープリンセスを大きく上手に育てるには、十分な光量が必要とされています。
ポリシャス・フリスビー
ポリシャス・フリスビーの最大の特徴は、葉がフリスビーのようにまん丸なことです。葉の形がとても可愛く、ポリシャスの中でも特に人気の高い品種です。
ポリシャス・フリスビーは葉に斑が入っていない種類もあれば、入っていない種類もあります。よく流通しているのは「ポリシャス・フリスビー・スマイル」と呼ばれる品種で、黄緑色の斑が葉脈に沿って入っているのが特徴です。
ポリシャス・フルティコーサ
品種改良によりさまざまな品種が存在するポリシャスですが、かつて園芸用と流通していたのはポリシャス・フルティコーサだけでした。ポリシャス・フルティコーサは切れ込みの入った葉が特徴で、涼しげな印象があります。
ポリシャス・バタフライ
ポリシャス・バタフライは、葉の形が蝶の姿に似ていることから「バタフライ」と名付けられました。ポリシャス・バタフライは和の雰囲気があるため、和室のインテリアとしてもおすすめです。小鉢に挿して、樹形を曲がり仕立てにすると盆栽のように楽しめます。
ポリシャスの育て方のポイント
ポリシャスを育てるうえでのポイントが、「土」、「日当たり・置き場所」、「温度」です。
ポリシャスを育てるのにおすすめの土
ポリシャスを育てるのに適した土は、栄養がたっぷり含まれている水はけのよい土です。市販の観葉植物用の培養土以外に、ご自身で土を配合する場合は赤玉土小粒7に対し、腐葉土を2、堆肥を1加えた配合土や、赤玉土6に対し、腐葉土を2、川砂を2の割合で混ぜた配合土を用意します。
ポリシャスの日当たり・置き場所
ポリシャスは環境の変化に適応しやすい植物です。日当たりの良し悪しにあまり左右されることなく生長しますが、直射日光と冬の寒さには注意が必要です。
ポリシャスは暖かい地域が原産の植物ですが、直射日光には弱いです。明るい日陰や半日陰に置いて育ててあげましょう。特に真夏の直射日光が苦手なため、夏場は室内に置いてレースのカーテン越しで育てるのがおすすめです。
春と秋は、ポリシャスを屋外に置いて育てても構いません。耐寒性は低いため、真冬は室内で育てるのがおすすめです。気温が10℃より下がる環境ではポリシャスを育てられないため、寒くなってきたら室内に移動してできるだけ暖かい場所で育てましょう。
適応能力が高いポリシャスですが、室内から屋外、日陰から日なたに場所を移動した際に葉が枯れてしまうケースがあります。葉が枯れる理由は新しい環境に適応するためであり、過度に心配する必要はありません。
ポリシャスを育てる際の適温
ポリシャスを育てるときは真夏の直射日光に気をつけていれば、暑さはそれほど気にする必要はありません。一方、気温が15℃以下になる時期は、ポリシャスの生長が緩やかになります。寒くなってきたら10℃以上の暖かい場所に移動して育てましょう。
ポリシャスは適応能力が高いため、置き場所に慣れれば7℃くらいの気温なら耐えられます。しかし、気温が低すぎると生長が止まり、葉が落ちてしまうこともあります。
ベランダや屋外で育てる場合は、気温が低くなってきたら室内に取り込みましょう。室内で育てる場合も夜間には窓際や廊下が冷えるので、リビングなど暖かい場所に置いてあげましょう。
ポリシャスの水やり
ポリシャスの水やりは、土が乾いたことを確認してから行います。鉢底から溢れるくらいたっぷりの水をあげてください。気温が低くなるにつれ、ポリシャスの生長は緩やかになります。生長にあわせて、水やりの方法を工夫していきましょう。
気温が15℃以上のときの水やり
気温が15℃以上、かつポリシャスの生長期である春・秋は、土の表面が乾いたら水を与えます。生長期は根の吸収率が高く、土が乾きやすいため水をたっぷり与えましょう。生長期に水切れを起こすと、葉が落ちて生長が止まる恐れがあるため気をつけてください。
真夏は、水やりの回数を増やします。土が乾燥気味のときは、1日2回水を与えるといいでしょう。高温多湿にならないように、朝や夕方の涼しい時間帯に水やりをするのがおすすめです。
気温が15℃以下のときの水やり
気温が15℃以下のときはポリシャスの生長が緩やかになるため、水やりの頻度を減らします。土が乾いてから2、3日後に水を与えます。ポリシャスは乾燥気味に育てることで耐寒性が上がるといわれているため、冬の時期は水を控えめにするとよいでしょう。
気温が低い時期に水を与えすぎると、根腐れの原因となります。万が一、水やりの頻度を少なくしたことで葉が枯れ落ちてしまった場合は、水やりの回数を増やしてみてください。
ポリシャスの葉水
ポリシャスの特徴である葉は、乾燥するとハダニがつきやすくなります。ハダニは葉水で予防できるため、定期的に霧吹きで葉に水をかけてあげましょう。
ポリシャスの肥料
ポリシャスは春から秋の生育期は肥料が必要です。生育が緩やかになる冬場は、肥料を控えましょう。
ポリシャス向けの肥料と与えるタイミング
ポリシャスに肥料を与えると、大きく元気に育ちやすくなります。
生育期には追肥として速効性の液体肥料ハイポネックス原液を1週間~10日に1回程度の頻度であたえるを与えることでより丈夫な株に生長します。
手軽に管理したい方はプロミックいろいろな植物用を置肥しましょう。
プロミックいろいろな植物用は、置くだけで肥料効果が約2カ月間持続する緩効性肥料です。
ポリシャスの植えつけ・植え替え
ポリシャスの植えつけ・植え替えの方法をご紹介します。
ポリシャスを植えつけ
ポリシャスは、生育期である春から秋(5月~9月頃)のあいだが植えつけのタイミングです。これまで使用していた鉢植えよりも、一回り大きい鉢植えに植えつけましょう。
ポリシャスの植えつけに必要な道具
ポリシャスを鉢植え・プランターに植えつける方法
- 用意した鉢植えに鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 鉢植えの1/3の高さまで土を入れる
- 元肥としてマグァンプK大粒を土に混ぜ込む
- ポリシャスを鉢植えの中心に置く
- 鉢上の端から3cm下のところまで土を入れる
- 棒などでつついて根の隙間まで土をしっかり埋める
- 水をたくさん与える
※ポイント:植えつけが終わったら根の活着促進のため植物用活力液リキダスを1,000倍に希釈して鉢底から水が溢れるくらいたっぷりと水をあげます。
ポリシャスを地植えする方法
ポリシャスを地植えする場合は、植えつける1週間くらい前から準備を始めます。地植えする場所に腐葉土と堆肥を混ぜて、よく耕しておきましょう。植えつけの際は元肥としてマグァンプK大粒を土に混ぜ込みましょう。
ポリシャスの植え替え
ポリシャスは生長が著しい植物のため、定期的に植え替えが必要です。植え替えの頻度は、1~2年に1度です。植え替えをする際は、これまでよりも一回り大きな鉢植えに植え替えましょう。
植え替えも植えつけと同じで、5月~9月頃に行います。ポリシャスを小さめに育てたい方は植え替えの際に根を半分くらいカットして、これまでと同じの鉢植えを使い植え替えます。
植え替えに必要な道具
ポリシャスの植え替え方法
- 植え替えの数日前から水やりを控える
*土を乾燥させて鉢植えから株を抜きやすくするため
- 土の色が白っぽく変化したらポリシャスを鉢植えから抜く
- 根についた土をほぐしながらやさしく落とす
- 傷みや黒ずみがある根は清潔なハサミで切り落とす
- 葉が茂り密集している場合は数枚取り除く
- 新しい鉢植えに鉢底ネットと鉢底石を入れる
- 鉢植えの1/3くらいまで土を入れる
- 元肥マグァンプK大粒を土に混ぜ込みます
- ポリシャスを鉢植えの中心に置く
- 鉢上の端から3cm下のところまで土を入れる
- 背が高いポリシャスは支柱を土に挿して紐で枝と支柱を結ぶ
- 棒などでつついて根の隙間まで土をしっかり埋める
- 水をたくさん与える
※ポイント:植えつけが終わったら根の活着促進のため植物用活力液リキダスを1,000倍に希釈して鉢底から水が溢れるくらいたっぷりと水をあげます。
ポリシャスの増やし方
ポリシャスは「挿し木」と「取り木」で増やせます。
挿し木は、ポリシャスの一部(枝など)を切り取り、土に植えて発根させて増やす方法です。取り木は、植物の茎や枝の途中に傷をつけて発根させて増やす方法です。挿し木の方が難易度は低いです。
ポリシャスを挿し木で増やす方法
ポリシャスを挿し木で増やす方法は、6月頃に行うのが理想です。剪定の際に切り取った枝を使用して挿し木として使うのもおすすめです。
挿し木の手順
- 挿し木にする部分の枝を10cmから15cmくらい切り取る
- 切り取った枝の下半分に葉が付いているときは取り除いて挿し穂部分を整える
- 鉢植えに土を入れる
- 割りばしを使い土に植え穴を掘る
- 植え穴に挿し木を半分ほど挿す
- たっぷり水をあげて土が乾かないように日陰に置いて管理する
- 2~3週間くらいで新しい芽が出る
- 根が土に定着したら大きな鉢に植え替える
ポリシャスを取り木で増やす方法
取り木でポリシャスを増やす場合は、環状剥皮の作業が必要です。環状剥皮は、ポリシャスの根に枝や茎に傷をつける作業です。取り木は生育期である春から秋、特に湿気の多い5~6月に行うのがおすすめです。
取り木の方法は、主に3つあります。最も一般的な方法である「高取り法」は、環状剥皮をした部分を水苔で巻いて根を生長させる方法です。「圧条法」は、ポリシャスの茎を意図的に曲げて、その部分を土に埋めて発根させます。「盛土法」は、ポリシャスの茎に土をかぶせて根が生える範囲を増やし、発根した部分を切り取って株を増やします。
取り木を成功させるポイントは、「環状剥皮する部位」と「1つの植物に対し環状剥皮は1部位にすること」です。環状剥皮をする部位に特に決まりはありませんが、傷をつける部位により発根率が異なるため慎重に選ぶ必要があります。
環状剥皮は、茎や枝を傷つける作業です。傷が多ければ多いほどポリシャスに負担がかかるため、環状剥皮する場合は1つの部位のみに行います。
環状剥皮をしてから1ヶ月ほどすると根が出てきます。生長が不十分だと感じた場合は、もう少しようすを見てから親株と切り離しましょう。6月頃に取り木を行う場合は、2、3ヶ月後の秋、もしくは次の春までポリシャスの生長のようすを見て親株と切り離してください。
環状剥皮のやり方
- 発根させたい部分に清潔なナイフで2cmから3cmの切り込みを薄く1周入れる
- 外皮を切り取った部分に発根促進剤を塗る
高取り法
- 水苔を水に1~2時間ほど水に浸しておく
- ポリシャスの枝に環状剥皮を行う
- 水に浸しておいた水苔をほぐしながら繊維が長いものを選ぶ
- 水苔を環状剥皮した部分に巻きつけるように上からかぶせる
- 水苔が均一になるように厚みを調節する
- 水苔の乾燥を防ぐために透明なビニール袋をかぶせる
- ポリシャスが発根して十分な大きさになったら親株から切り離す
- ビニールを外して水苔を取ってから新しい鉢植えに植えつける
盛り土法
- ポリシャスの枝に環状剥皮を行う
- 土を増やして環状剥皮した部位が土に埋まるようにする
- 水やりをして育てる
- ポリシャスが発根したら根を傷つけないように親株から切り離す
- 切り離した株を鉢植えに植えつける
圧条法
- ポリシャスの茎を曲げやすくするために水やりを控える
- 元気な枝を選び地中に入るように枝を曲げる
*枝を曲げるだけで折らないように気をつける
- ポリシャスの枝に環状剥皮を行う
- 環状剥皮した部位の周りに5cmから10cmほどの土の中にかぶせる
- 土から枝が出ないように針金などで固定する
- 土が乾燥しないようにたっぷり水を与える
- ポリシャスが発根したら根を傷つけないようにやさしく親株から切り離す
- 切り離したポリシャスの株を鉢植えに植えつける
ポリシャスの剪定
ポリシャスは生長のスピードが速い植物です。室内で育てている方や、ポリシャスをあまり大きく育てなくない方は、定期的に「剪定」が必要になります。
ポリシャスの剪定時期
ポリシャスの剪定におすすめの時期は、5月~6月頃です。この時期は、ポリシャスの生長が盛んで、切り落とした枝の傷が回復しやすいためです。
ポリシャスの剪定目的
ポリシャスを剪定する目的は、「大きくしないため」と「見栄えをきれいにするため」です。ポリシャスを大きくしたくない方は、剪定で好みのサイズになるように切り落としてください。
見栄えをきれいにするためにポリシャスを剪定したい方は、交差している枝や枯れている葉・枝などを切り落とします。枝の途中部分、または根元部分を切り取ります。変色した葉っぱや、幹から生えている細かい芽なども同時に取り除いてあげましょう。
ポリシャスに発生しやすい病害虫
ポリシャスを育てる際に注意すべき病害虫について紹介します。
ポリシャスを育てる際に注意したい病気
ポリシャスを育てる際に注意したい病気は、「炭そ病」と「褐斑病」です。
・炭そ病
炭そ病は、ポリシャスの葉に明るい灰色の斑点ができる病気です。病気が進行すると葉に穴が空き、葉が枯れて地面に落ちてしまいます。炭そ病は、梅雨や長い雨が続く時期、高温多湿な場所で発生しやすい病気です。葉や株が混み合い、風通しが悪いと発症しやすくなるため、普段からこまめに剪定をして風通しをよくしてあげましょう。また、水はけの良くない土を使うと炭そ病になりやすいため注意が必要です。
炭そ病が発生した場合は、枝ごと切り取って薬剤をまいて対処してください。
・褐斑病
褐斑病は、葉の表面に小さい茶色の斑点がたくさんできる病気です。斑点は徐々に大きく広がります。斑点ができた葉をそのままにすると、やがて枯落ちてしまいます。褐斑病が発生している葉を見つけたら、すぐに取り除いて薬剤をまいて菌が繁殖しないようにします。
褐斑病は、湿気が多くて温度が高い場所で発生しやすい病気です。ポリシャスを日当たりのよい場所や、風通しのよい場所で育てると褐斑病の予防に効果的です。さらに、葉が生い茂り混み合っているときは、剪定を行うなどして風通しをよくする工夫が必要です。
ポリシャスを育てる際に注意したい害虫
ポリシャスは、「カイガラムシ」と「ハダニ」の影響を受けやすい植物です。
・カイガラムシ
カイガラムシは大きく生長すると薬剤が効かないため、見つけた場合は歯ブラシなどでこすり落とします。
・ハダニ
ハダニは乾燥した環境を好むため、葉水をして湿度を保つことで予防につながります。ポリシャスの葉裏は見逃すことが多いため、しっかりと霧吹きで水を吹きかけましょう。夏場は葉が乾燥しやすいため、こまめに葉水すると効果的です。ハダニが発生したときは、殺虫剤や殺ダニ剤をまいて駆除しましょう。
まとめ
今回は、ポリシャスの特徴や育て方について詳しくご紹介してきました。ポリシャスは新しい環境への適応能力が高く、冬の寒さと直射日光に気をつければ初心者でも比較的簡単に育てられます。品種により見た目が大きく異なるため、お部屋の雰囲気に合わせてお好みのポリシャスを選び、ぜひ育ててみてください。