花と緑を楽しみながら みなと横浜まち歩き
今年はすべての花の開花が早まっています。とくに気になるのがバラでしょうか。流れからは連休後半に花が盛りを迎えた場所も多々ありました。そして、緊急事態宣言の発出中ですから、自粛の要請もあり、思うように出かけられないことも多いでしょう。そんな折、横浜を4月下旬東京都への緊急事態宣言発出直前に歩いてきましたが、すでに初夏の様相を予感させる風景がありました。3月下旬から始まっている花と緑の祭典、ガーデンネックレス2021は6月13日まで続きます。感染拡大が収まって、もう少し自由に出歩けるようになったら、花と緑の横浜を歩いてみませんか。
桜木町から赤レンガ倉庫、山下公園へ
JR桜木町駅を下車すると、真っ先に目に入るのがYOKOHAMA AIR CABINです。日本で初めての都市型循環式ロープウェイで、桜木町駅と運河パーク駅を片道約5分で結びます。まずはエア・キャビンを見上げながら汽車道を歩き、新港中央広場へと向かいます。新港中央広場は赤レンガ倉庫を背景に、宿根草やグラス類で構成されたジャックリーン・ガーデンが見どころです。ここは、2017年開催の全国都市緑化よこはまフェアで、オランダの著名なガーデンデザイナー・ジャクリーン・ファン・デル・クルートさんがデザインしたガーデンで、その後も親しまれています。
赤レンガ倉庫をすぎると大さん橋に停泊するクルーズ船「飛鳥」が見えてきました。山下公園では、宿根草エリアでナルコユリやタチツボスミレなど春の野草がまだ見られました。そして未来のバラ園へと向かいます。
パーゴラのあるところでは、すでに真っ赤なつるバラが咲いていましたし、バラ園の花壇では、クレマチスやオルラヤ、ラナンキュラスなどの、初夏に咲く草花類が華やかさを競いはじめていました。ここではスタンダード仕立てのバラやつるバラなど立体的なバラの景色を、色のコーナーごとに楽しめます。バラはまだまだつぼみでしたが、今にも開きそうなくらい膨らんでいました。
山下公園から港の見える丘公園へ
山下公園からは横浜人形の家前を通って元町・中華街駅方面へと向かいます。駅からはエレベーターかエレベーターで一気にアメリカ山公園へ。アメリカ山公園は元町・中華街の駅ができた折、駅ビルの上部と隣接の丘陵地を繋げて公園化したところです。横浜由来のバラ‘はまみらい’やモッコウバラ(白。黄)など、芝生広場の周囲に植栽され、多くの人に親しまれています。
アメリカ山公園から港の見える丘公園へ向かう途中、私が気に入っている横浜地方気象台前にある、ペレニアルガーデンが見どころです。地味ですが、とても気になる花がいろいろ咲いていました。また、その前にある岩崎博物館~ゲーテ座記念~では、つるバラがすでに満開でした。
最後は港の見える丘公園一帯です。ベイブリッジが見えるビューポイントもありますが、ローズガーデン香りの庭が見どころです。上から見ると沈床花壇のようなつくりの香りの庭ですが、宿根草との混植などで立体的に構成されています。また、イギリス館の後側に広がるバラとカスケードの庭は、一部のバラや草花が咲きはじめていましたが、これから咲くつぼみがたくさん見えました。5月に入れば鮮やかに彩られることでしょう。横浜では5月からローズウイークと題してバラ祭りを今年も開催しています。
番外編 里山ガーデン
横浜といっても港のある市街地ではなく、旭区にあるズーラシア(動物園)につながる丘陵地帯に、10,000㎡を誇る大花壇があります。春と秋の2回開園され、季節の花をふんだんに使った彩り豊かな大花壇が出現します。今年の春の花壇は、ラナンキュラス・ラックスシリーズが目に飛び込んでくる、とてもカラフルで鮮やかな花壇が広がっていました。ラックスシリーズは、2017年の全国都市緑化よこはまフェアで大量に使用したことから、多くの人の目にとまり、その後も毎年のようにガーデンネックレスで見ることから、多くの市民に認知されているようです。残念ながら5月9日で春の花壇は終わりです。秋にまたすてきな大花壇が登場するはずなので期待しましょう。
みなと横浜の街が、実はこれだけ花と緑の街だと知っていましたか。2027年開催予定の国際花と緑の博覧会の開催も控えています。花と緑で世界にアピールする横浜のこれからに期待しましょう。
取材文・写真 出澤清明
園芸雑誌の元編集長。植物自由人、園芸普及家。長年関わってきた園芸や花の業界、植物の世界を、より多くの人に知って楽しんでもらいたいと思い、さまざまなイベントや花のあるところを訪れて、WEBサイトやSNSで発信している。