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KEIKOさんの鎌倉・谷戸から花便り 番外編 北鎌倉の春から初夏2020

KEIKOさんの鎌倉・谷戸から花便り 番外編 北鎌倉の春から初夏2020

夏を感じる季節になりました。鎌倉の初夏といえばホトトギスの声と山道や路地の生け垣で出会う卯の花(ウツギ)が身近な自然です。マルバウツギが山の斜面に枝垂れて咲き、すぐにウツギの花房があとを追います。この2種はアジサイ科ウツギ属の仲間で、「空木(ウツギ)」とは枝が中空になることに由来します。

マルバウツギ(源氏山公園)

マルバウツギ(源氏山公園)

その後はアジサイの色づきや観光の人出が気になるところですが、2020年の関心と生活は早春からいままで新型コロナウイルス禍とともにありました。緊急事態宣言前から外出自粛の影響が見えた鎌倉、3月から一部拝観などに制限のあった寺社も、4月には拝観停止の閉門が増えていき、宣言後は全国の観光地と同様に例年の賑わいとはまったく違う街の様相でした。

ソメイヨシノ(円覚寺)

ソメイヨシノ(円覚寺)

そして宣言解除がされた6月現在は少しずつ人出が戻ってきていますが、寺社の対応はそれぞれで拝観再開しても時間短縮や、県民限定など制限があり、静かな鎌倉が続いています。いつも春から初夏は友達のお花見につき合ったり外食したり市内の移動が多い季節なのに、今年は日常の買い物や健康維持のための散策はほとんどが北鎌倉周辺だけ。行ける範囲が限られていましたが、移り変わる自然を眺める時間はむしろ多かったような気がします。そんな北鎌倉の春を振り返ってみたいと思います。

ニリンソウ、ショカツサイ(オオアラセイトウ)

ニリンソウ、ショカツサイ(オオアラセイトウ)が咲き乱れる

早春の北鎌倉・谷戸と山の花

谷戸住まいの家周辺と近くの路傍を見ているだけで、草の芽生えから葉が展開して、小さな蕾そして花へと変化していく様子が日々楽しめる季節です。
昨年の台風被害後に通行禁止になっていたハイキングコースも一部が開通へと整備が進んでいるので、場所によっては散歩で回り道ができるようになりました。声だけ聴いていたコジュケイの番いに出会ったりします。

ニリンソウ

ニリンソウ

カテンソウ

カテンソウ

ヤマネコノメソウ

ヤマネコノメソウ

フキノトウ

フキノトウ

オオイヌノフグリ

オオイヌノフグリ

ヒメウズ

ヒメウズ

コジュケイ

コジュケイ

桜の前後、春の盛り

今年の関東の桜(ソメイヨシノ)は開花がとても早く3月中旬で、下旬には満開でしたね。鎌倉の桜開花は早咲きの玉縄桜、河津桜からはじまり、同様に3月下旬にはソメイヨシノ、オオシマザクラ、ヤマザクラが里山を彩りました。淡い木々の若葉のグラデーションとともに北鎌倉が一番美しい季節です。

カワヅザクラ(浄智寺)

カワヅザクラ(浄智寺)

北鎌倉の山の桜 オオシマザクラ、ヤマザクラ、ソメイヨシノ

北鎌倉の山の桜 オオシマザクラ、ヤマザクラ、ソメイヨシノ

また足元のスミレも咲きそろう頃。3月下旬が一番きれいでした。その前後の山道では、少し地味な木の花や出会うと嬉しい個性的な草の花を見つける散歩を楽しめました。

斜面を覆うタチツボスミレ

斜面を覆うタチツボスミレ

キンラン

キンラン

ホウチャクソウ

ホウチャクソウ

クロモジの花

クロモジの花

ウグイスカグラ

ウグイスカグラ

今年は静かな花まつりの寺・東慶寺、浄智寺

4月8日お釈迦さまの誕生日、降誕会の日は外出自粛の時期で観光客はほとんど見かけませんでしたが、まだお寺は閉山ではなく花まつりの設えもありお参りができました。そこで歩いて行けるふたつのお寺を訪ね、誕生仏に甘茶を注いで世の中の平穏無事をお祈り。花を眺めつつ境内を巡って、静かなひとときを過ごさせてもらいました。

本堂にある花まつりの飾り(東慶寺)

本堂にある花まつりの飾り(東慶寺)

静かな新緑の参道(東慶寺)

静かな新緑の参道(東慶寺)

シダレザクラ(東慶寺)

シダレザクラ(東慶寺)

バイカイカリソウ(東慶寺)

バイカイカリソウ(東慶寺)

オキナグサ(東慶寺)

オキナグサ(東慶寺)

ミツマタ(東慶寺)

ミツマタ(東慶寺)

サトザクラ‘鬱金’(東慶寺)

サトザクラ‘鬱金’(東慶寺)

左/ヤマブキ 右/ウンナンオウバイ

左/ヤマブキ 右/ウンナンオウバイ

ハナミズキ

ハナミズキ

曇華殿に飾られた花御堂(浄智寺)

曇華殿に飾られた花御堂(浄智寺)

左/ボタン(浄智寺)、右/ツバキ(浄智寺)

左/ボタン(浄智寺)、右/ツバキ(浄智寺)

サトザクラ‘関山’

サトザクラ‘関山’

ゲンゲ

ゲンゲ

アジサイまでの北鎌倉

春から初夏、家のある谷戸の植物は毎年眺めて知っているはずだったのに新たな気づきがあったのは「おうち時間」の多かった効用でしょうか。

たとえば山の斜面の木に絡むテイカカズラの花を思いがけない場所で見つけたり、お寺の境内のナツロウバイにいまさらながら気づいたりしたのはうれしい発見でした。逆にいつもは見事に咲くハクウンボクの花つきが悪かったことや、在来種に混じる要注意の外来種がふえているのは心配なところです。

といっても、明治時代など古くに入ってきた帰化植物、たとえばハルジオン、ヒメジョオン、ムラサキカタバミ、ショカツサイ、ハタケニラ、ユウゲショウ、ニワゼキショウなどは、視点を変えれば、すっかり日本の春の花風景の一つとなっているのかもしれません。

テイカカズラ

テイカカズラ

ナツロウバイ(浄智寺)

ナツロウバイ(浄智寺)

そしていよいよアジサイ便りが聞こえてきました。早咲きのアジサイやヤマアジサイはすでに色づきが進んでいます。

鎌倉のアジサイ名所、長谷寺の「あじさい路」は事前申し込み者限定、明月院は平日に神奈川県内在住者のみの拝観となっています(6/8現在)。具体的には下記の情報を確認してください。

 

鎌倉市よりの「鎌倉観光をご予定の皆様へのお願い」
https://www.trip-kamakura.com/feature/8945.html
最新の鎌倉情報は「鎌倉市観光協会」

https://www.facebook.com/trip.kamakura/

 

ただし限定公開の名所以外にも鎌倉でアジサイ散歩を楽しめる場所は数多くあります。現時点での北鎌倉散歩で見られる今年のアジサイをご紹介しましょう。

アジサイ(浄智寺参道)

アジサイ(浄智寺参道)

ガクアジサイ(浄智寺 甘露の井)

ガクアジサイ(浄智寺 甘露の井)

ガクアジサイ(東慶寺 参道)

ガクアジサイ(東慶寺 参道)

アジサイ(東慶寺 参道)

アジサイ(東慶寺 参道)

さて変則的なまとめになった2020年春から初夏の「谷戸から花便り」はいかがでしたか。このレポートが北鎌倉に限らず身近に存在する自然を見直すきっかけになり、変容を迫られた暮らしの中で変わらぬ植物の営みに和む日常の小さな助けになればと願っています。また、来年以降の鎌倉散歩の参考にしていただければ幸いです。

 

 

 

KEIKOさんの鎌倉・谷戸から花便り1

KEIKOさんの鎌倉・谷戸から花便り2

KEIKOさんの鎌倉・谷戸から花便り3

KEIKOさんの鎌倉・谷戸から花便り4

KEIKOさんの鎌倉・谷戸から花便り5

KEIKOさんの鎌倉・谷戸から花便り6

KEIKOさんの鎌倉・谷戸から花便り7

KEIKOさんの鎌倉・谷戸から花便り8

 

 

KEIKOさん

北鎌倉に越す以前、東京時代の仕事は雑誌編集者。マンションのベランダと戸建ての庭でのガーデニング経験あり。昔はタネから育てたり、品種コレクションを頑張ったこともあるけれど、いまは気楽に自然体の庭づくりを楽しんでいる。鎌倉や旅先では寺社の庭や公園・緑地の季節の花を見たり撮影したりする散歩好き。

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