【スズランの育て方】可憐な白い花・スズランの育て方のポイントは？

スズランには、ドイツスズランや日本スズランなどの種類があります。どちらも見た目はよく似ていますが、細かい部分に違いがあります。

日本においてよく育てられているのは「ドイツスズラン」と呼ばれる種類です。ヨーロッパ原産であり、スズランのなかでは大型のタイプとなります。

葉の長さは15cm～20cm程度で幅が広く、花も大きめです。花がつく茎は葉と同じくらいの高さまで伸びます。

園芸店などでは基本的にこちらのタイプが多く流通しており、幅広い場所で育てられています。

一方、スズランには日本原産のものもあり、本州中部以北や中国、朝鮮半島などに自生しています。葉はドイツスズランよりも細く、花は小さめです。

また、花がつく茎の丈も低めで、葉に隠れるようにひっそりと咲くことも特徴です。入手できる機会はそれほど多くありません。

また、日本スズランは奈良県の「吐山スズラン群落」や「向淵スズラン群落」などの有名な群生地があります。機会があればぜひ観賞に出かけてみることもおすすめです。

スズランの花や花粉、根などには毒が含まれています。誤飲すると、嘔吐や頭痛・めまい・血圧低下・心不全・心臓麻痺といった症状を引き起こすことがあります。

場合によっては重篤な症状をもたらすおそれもあるので、扱いには十分注意しましょう。

とくに、小さなお子様やペットのいるご家庭では、手の届くところでは栽培しないことをおすすめします。また、スズランを触ったら必ず手を洗うようにしましょう。

スズランは、寒さに強く丈夫な性質をしているため、ガーデニング初心者の方にもおすすめの植物です。こちらでは、スズランの基本的な育て方をご紹介します。

スズランは本来、高原や山岳地帯といった涼しい場所で、優しい木漏れ日を受けながら咲くような花です。

強すぎる日差しは苦手で、太陽が当たりすぎると乾燥して枯れてしまいます。とくに、夏場の直射日光には十分に注意しましょう。

とはいえ、スズランが日差しを必要としないわけではありません。とくに秋から春にかけては、日光が当たらないと生育が進まず花が咲かなくなってしまうこともあります。

地植えする場合、落葉樹の下へ植えるとスズランにとって快適な環境を整えやすくなります。夏の時期には葉を茂らせて日陰をつくってくれるため、強い日差しをやわらげられます。

冬は葉を落とすため、日当たりの良い環境を維持できるでしょう。

鉢植えにすれば、季節に応じて適した場所へ移動することができます。管理のしやすさも考慮して、地植えか鉢植えかを選ぶと良いでしょう。

スズランは、水はけがよく通気性の高い土を好みます。地植えする場合は腐葉土や堆肥などを加えて耕しておきましょう。

鉢植えの場合、小粒の赤玉土や腐葉土、軽石を6：3：1で配合したものなどがおすすめです。市販の草花用培養土も使えます。

元肥が含まれている『ハイポネックス培養土　鉢・プランター用』は元肥を追加する必要もなく手軽に植えつけができます。

スズランは苗を購入して植えつけをして育てるのが一般的です。種はあまり出回っていません。また、種からの栽培では開花までに長い期間が必要となります。

スズランの植えつけ適期は10月～12月上旬、または4月～5月にかけてです。植えつけ作業の際は手袋をして、苗に直接触れないようにしましょう。

スズランの苗は浅く植えることがポイントです。株元についている芽が土から少し出る程度に調整しましょう。

地植えする場合は根鉢よりも一回り～二回り大きな植え穴を掘ります。複数株を植えるのであれば、株間を20cmほどとりましょう。

鉢植えする場合、根鉢より一回り大きなサイズの鉢を用意して植えつけます。鉢底には鉢底ネットを敷いてから軽石を入れ、排水性を高めましょう。

植えつけの際は、元肥に緩効性肥料『マグァンプK大粒』を混ぜて与えるのがおすすめです。約2年間肥料効果が効き続け、植物の生育を良くします。

花が咲き終わった5月～6月以降は、地下茎を育てるために追肥を行います。液体肥料『ハイポネックス原液』を週に1回程度与えるのが効果的です。

スズランは地下茎に花芽や葉芽をつけるので、この時期に追肥をしておくことで翌年もきれいに花がつきます。

反対に、この時期に肥料が不足すると花数が減ったり、花がつかなくなったりするため気をつけましょう。

庭植えの場合、水やりは基本的には必要ありません。根づいた後は基本的に降雨に任せます。

ただし、夏場で水分の蒸発が激しい時期などは土が乾きやすくなり、水切れしてしまうことがあります。

水切れしないように土の状態を確認し、必要であれば朝もしくは夕方に水やりしましょう。

プランターや鉢植えの場合、基本的には土の表面が乾いたらたっぷりと水やりします。休眠期に入る冬場は、土の表面が乾いてから数日後に水を与えましょう。

スズランは一株に複数の花を咲かせます。種を採取しない場合、株の花がほとんど咲き終わってしまったら、花茎の付け根から切りましょう。

放置していると種をつくり始めて株が消耗してしまいます。

スズランは多年草で、一度植えたら何年も育てていくことができます。ただし暑さに弱く、夏に枯れてしまうことも珍しくありません。

スズランを長く楽しむためには夏越し対策を行うことが大切です。

夏は直射日光を避けられる風通しの良い場所で管理します。地植えしたものの日陰がない場合、寒冷紗などで日よけをつくってあげると良いでしょう。

もしくは夏だけ鉢へ植えかえて、快適な環境へ移してあげることもおすすめです。

スズランは地下茎を増やして生育します。植えっぱなしにしていると土の中で窮屈になってしまうこともあるため、定期的に植えかえを行いましょう。

地植えの場合は3年～5年に1回、鉢植えの場合は2年～3年に1回が目安です。植えかえと同時に株分けも済ませておきましょう。

スズランは株分けや種まきなどで増やすことができます。最後に、スズランを増やす方法や注意点などを解説します。

植えかえの際に地下茎を掘り上げていくつかに分けることで、新しい株を増やすことができます。適期は10月～11月、もしくは3月頃です。

スズランの地下茎を掘り上げて見てみると、複数の芽がついていることが確認できます。

丸みのある太いものが花芽で、とがっていて細いものが葉芽です。花芽が残るように切り分けましょう。

種を採ってまいて育てることでも、新しい株を増やすことができます。花が咲き終わった後も花がら摘みをせず、実ができるのを待ちましょう。

実から種を取り出したら、よく洗ってから土にまきます。乾かないうちに素早くまきましょう。

その後は水やりしながら管理していきます。順調にいけば、次の春には発芽するでしょう。開花まで数年かかることもあるため、じっくり育てていくことが大切です。

可憐な印象のスズランですが、性質が丈夫で育てやすいことも魅力のひとつです。毒性のある植物のため取り扱いには注意し、作業時には手袋をつけましょう。

夏の暑さ対策もしっかりと行えば、何年も花を咲かせてくれます。お好きな方はぜひご自宅にスズランを植え、初夏に咲く可愛い花を観賞しましょう。

公開：2018.02.27

更新：2023.03.29