【果樹栽培】【クランベリーの育て方】|かわいい花や実の観賞を楽しむための栽培のコツ
甘酸っぱいジャムやジュースなどで親しまれているクランベリー。
樹高が低く場所を取らないため、ベランダのようにスペースの限られた場所でも育てることができます。
ぜひクランベリーをご自宅で栽培して、かわいらしい花や実の姿を楽しみましょう。
今回は、クランベリーの特徴や基本的な育て方、増やし方などについてご紹介します。
クランベリーの育て方|特徴や魅力
クランベリーは北アメリカなどが原産のツツジ科の果樹です。
5月から6月にかけて花が咲き、9月頃には赤く色づいた実を楽しめます。つるを伸ばすように生長することが特徴のひとつです。
樹高は20cm程度ととても低く、コンパクトな鉢植えでも育てられます。
受粉のために複数株を植える必要はなく、ひとつの株だけで実をつけることができます。
クランベリーの実は酸味が強いため、そのまま食べることは少なく、ジャムやソース、ジュースなどに加工することが一般的です。
ドライフルーツにしてパンやスイーツの材料として使われることもあります。
ただし、ジャムのように加工品にするには大量の実が必要になります。ご家庭でのガーデニングで多くの実を収穫するのは難しいため、基本的に観賞用として楽しむことがおすすめです。
クランベリーの育て方|準備から植えつけまで
クランベリーを育て始めるときは、どのようなポイントに気をつけたら良いのでしょうか?
こちらでは、クランベリーの好む栽培環境や土づくり、苗選び、植えつけのコツなどをご紹介します。
クランベリーの好む栽培環境
クランベリーは耐寒性が強く、耐暑性の弱い植物です。冷涼な環境を好むため、夏の時期は暑さを避けられるような場所で育てましょう。
基本的には午前中に日が当たり、午後には半日陰程度になるような場所がおすすめです。
寒さには強いものの、霜に当てると弱ってしまうことがあるため、真冬の時期は軒下などへ移動させます。
しっかりと寒さに当てなければ花芽がつかないため、室内へ取り込むのは避けましょう。
また、クランベリーはつるが伸びて垂れ下がります。鉢を地面に直接置いていると、実が地面についてしまうこともあります。
そうなると実が腐りやすくなってしまうため注意が必要です。鉢を台の上に置くなどの方法で高さを出すと良いでしょう。
鉢と合うおしゃれなデザインの台を探して、ディスプレイを楽しむこともおすすめです。
土づくり
クランベリーは排水性と保水性を兼ね備えた酸性の土を好みます。
鉢植えの場合、酸度未調整のピートモスや鹿沼土、水ゴケなどを均等に配合した用土がおすすめです。市販されているブルーベリー用の培養土なども利用できます。
地植えする場合も、酸度未調整のピートモスや鹿沼土、水ゴケなどを加えて耕しておきましょう。
苗木選び
クランベリー栽培を始める際は、ポット苗を購入して植えつけることが基本です。
すでに実がついている状態の鉢植えを入手できることもあります。苗木を選ぶ場合は、葉や枝などが変色しておらず、元気の良いものを探しましょう。
病害虫の痕がないかどうかもチェックすることが大切です。
植えつけ
クランベリーの植えつけ時期は2月から3月にかけてです。
鉢植えの場合、水はけを良くするために鉢底石を敷いてから用土を入れ、苗を植えつけていきましょう。根と土の間の隙間を埋めるように用土を入れていきます。
地植えの場合は根鉢よりも大きめの植え穴を掘って植えつけます。作業が終わったら水をたっぷりと与えましょう。
クランベリーの育て方|普段のお手入れ方法
クランベリーの植えつけが終わったら、水や肥料を与えながらお手入れしていきましょう。こちらでは、クランベリーの日頃のお世話の方法をご紹介します。
水やり
クランベリーは湿地にも自生する植物で、乾燥を嫌います。
水切れしないよう、しっかりと水やりを行うことが大切です。鉢植えの場合、土の表面が乾き始めたら水をあげましょう。
地植えの場合も乾燥させすぎることがないよう、土の様子をチェックして必要に応じて水やりします。
夏は土が乾燥しやすいため、1日に2回の水やりが必要になることもあります。朝と夕方に1回ずつあげましょう。
冬は土が乾きにくくなるため頻度を落とします。数日に1回は水を与えましょう。
肥料
植えつけの際は元肥として緩効性肥料『Plantia (プランティア)花と野菜と果実の肥料』を土にバラまきます。
『Plantia (プランティア)花と野菜と果実の肥料』は、元肥・追肥に使用することができ、植物の生育に必要な成分をバランス良く配合しています。
実のつく9月頃に追肥を行いましょう。また、栽培2年目以降は2月~3月頃にも肥料を施します。
収穫
クランベリーの実を収穫したい場合は、しっかりと赤く色づいた頃を狙います。
時期は9月~11月頃です。実を優しく触ってみて、少し柔らかくなっていたら収穫できます。無理に引っ張って株を傷つけないよう、丁寧に摘み取りましょう。
剪定・誘引
クランベリーは細いつるをたくさん伸ばして生長します。
ある程度伸びたら混雑してきて風通しが悪くなってしまうことがあります。不要な枝を剪定して整えると良いでしょう。クランベリーの剪定は年間いつでも行えます。
ただ、花芽を切ってしまうと花や実が少なくなってしまうため注意が必要です。心配な場合は果実がなり終わってから花芽がつくまでの間に剪定しましょう。
つるが伸びて地面につくのを防ぐためには、支柱に誘引すると良いでしょう。もしくは、鉢を台に載せたり、ハンギングしたりといった方法で、つるを垂らすこともおすすめです。
ただし、ハンギングバスケットはとても乾きやすい点に留意が必要です。上記の通りクランベリーは乾燥に弱いため、水の管理には気をつけましょう。
夏越し
クランベリーは高温多湿が苦手なため、真夏は対策しなければ枯れてしまうこともあります。
鉢植えの場合は涼しい日陰や室内へ移動させると良いでしょう。地植えの場合は不織布や寒冷紗などで日よけをつくってあげることがおすすめです。
暖地の場合は夏越しのことを考慮し、最初から鉢植えで育てることもひとつの方法です。
また、風通しの良い状態を保つことも大切なポイントです。湿気がこもりやすい場所で育てるのは避けましょう。
植えかえ
クランベリーの鉢植えは、根詰まりを防ぐために定期的な植えかえを行いましょう。
ずっと植えかえをせずに育てていくと、鉢の中で根がいっぱいになってしまい、生育が停滞する原因となります。
植えかえの目安は2年に1回です。植えつけと同じく、2月~3月頃が適期となります。
ただ、「水を与えたのにすぐに水切れする」「鉢底から根が飛び出してきている」といった場合は根詰まりしている可能性があるため、すぐに植えかえたほうが良い場合もあります。
植えかえで根鉢を掘り上げる際は、根を傷めないように丁寧に扱うことが大切です。黒ずんでいる根や腐っている根などがあったらカットしておきましょう。
用土は新しいものを準備して取り替えます。植えかえが終わったら水をたっぷりと与え、1週間ほどは半日陰で管理しましょう。その後は少しずつ日当たりの良い場所へ戻します。
クランベリーの育て方|増やし方について
クランベリー栽培に慣れてきたら、株を増やして楽しむこともおすすめです。こちらでは、クランベリーを挿し木で増やす方法についてご紹介します。
クランベリーを挿し木で増やす方法
クランベリーの挿し木の適期は3月もしくは梅雨頃です。
湿気の多い梅雨は土が乾きにくく、発根させやすくなります。今年伸びた新しい枝を選んで、10cm~15cmほどの長さに切り取って挿し穂としましょう。
下のほうについた葉は取り除き、水を張った容器に先端をつけて1時間ほど吸水させます。
その後、湿らせた用土へ挿しましょう。挿し木の用土は肥料の入っていない清潔なものを使います。
挿し木をした後は、土が乾燥しないように気をつけながら日陰で管理します。新しく葉が伸びてきたら発根したサインです。環境によるものの、根が出るまで1カ月ほどかかることもあります。
発根後、しっかりと根づくまで育ったら鉢へ移し替え、通常の鉢植えと同じようにお世話していきましょう。
おわりに
クランベリーは小さな鉢で育てられるかわいい果樹です。
初夏には花を、秋には実の観賞を楽しむことができます。栽培時は、水切れに気をつけながら季節に合わせたお手入れを行うことが大切です。
ぜひご自宅でクランベリーを育てて、愛らしい花や実を堪能しましょう。