【グミの木の育て方】|植えかえ・収穫時期をご紹介します!
「グミ」は日本に自生している樹木です。そのため特別な管理をしなくても育てやすく、果実の栽培や庭木としての鑑賞用などさまざまな楽しみ方があります。
丈夫でよく育ってくれるので、垣根として栽培するなど実用性も兼ね備えています。
真っ赤な果実と淡い色の花が特徴のグミについて、育て方や収穫のポイントをご紹介します。
- 目次
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- グミとは?
- グミの基本情報
- グミには常緑種と落葉種がある
- グミの名前の由来
- グミ栽培の楽しみ方
- グミの実の収穫
- 鑑賞用として
- グミを育てるときの注意点
- 種類によってお手入れのタイミングが異なる
- グミにはトゲがある
- グミの種類
- ナワシログミ
- ナツグミ
- トウグミ(落葉種)
- ビックリグミ(落葉種)
- アキグミ(落葉種)
- ナカフナワシログミ(常緑種)
- グミの花
- グミの花の特徴
- 開花の時期
- グミの花言葉
- グミの実
- グミの実のなりかた
- グミの実の食べ方
- グミの基本的な育て方
- グミの栽培スケジュール
- グミの栽培環境
- グミの日当たり
- グミの水やり
- グミの用土
- グミの肥料
- グミの植えつけ
- グミの植えつけ時期
- グミの植えつけ方法
- グミの苗選び
- グミの植えかえ
- 植えかえ時期
- 植えかえ方法
- グミの剪定
- グミの増やし方
- グミの挿し木の時期
- 挿し木で増やす方法
- グミの収穫
- グミの収穫時期
- グミの保存
- まとめ
グミとは?
グミというと、お菓子のグミをイメージされる方も多いかもしれませんが、樹木のグミは別物です。ここではグミの概要をご紹介します。
グミの基本情報
グミとは、グミ科グミ属の樹木の総称です。学名は「Elaeagnus」、英名は「Silverberry Oleaster」といい、漢字で「茱萸(グミ)」と書きます。
原産地は東アジア、ヨーロッパ、北アメリカなど広い地域で自生しています。樹高は1m~3mほどに生育します。
グミは50~70ほどの品種があるとされており、多くの品種は果実がなり食べられます。日本にも自生している品種があり、非常に丈夫な植物であるため栽培は比較的簡単です。
枝を広げながら成長していき、枝木の伸びもよいため、庭木として育てて成長を楽しんだり生け垣として活用したりもできます。盆栽としての用途でも育てられています。
グミには常緑種と落葉種がある
グミの品種のなかには、常緑と落葉のどちらもあります。常緑種は1年を通して落葉することがなく、生垣などに活用されることが多いです。
落葉種は冬場には休眠期に入り落葉するため、四季の変化を感じさせてくれます。
グミの名前の由来
グミの名前の由来は、いくつかの説があります。
グミの実を口に含む「含む実」から言葉が変化した説と、果実の「えぐみ」からグミとなった説、さらにトゲをさす「グイ」と実をさす「ミ」が合わさった「グイミ」という方言が縮まった説があります。
グミ栽培の楽しみ方
グミは生育も早く、実もつけるため、栽培するうえで多くの楽しみがあります。
グミの実の収穫
グミの品種の多くは、実を食べられます。グミの実はあまり日持ちせず流通していないため、自分で栽培して収穫を楽しんでみてはいかがでしょうか。
鑑賞用として
グミの品種には、斑入りの葉などもあり鑑賞度の高い品種も流通しています。庭で育てて樹形や開花を楽しみに育てられます。グミの木の盆栽もおすすめです。
グミを育てるときの注意点
グミはこまめにお手入れしなくても育ってくれますが、以下の点に注意しておきます。
種類によってお手入れのタイミングが異なる
グミは、常緑種と落葉種によってお手入れの方法が変わります。
常緑種と落葉種により開花の時期と実がなる時期が異なるため、肥料や剪定などお手入れのタイミングが異なる点に注意が必要です。
間違った方法で管理していると実がつかないなどの可能性もあるため、苗を購入する際に品種を確認しておきましょう。
グミにはトゲがある
グミにはトゲがあるため、植えつけや剪定、収穫の際には注意が必要です。ガーデングローブを装着しておくと安心です。
グミの種類
日本でおもに園芸用として流通している品種には、ナワシログミやナツグミがあります。
ナワシログミ
ナワシログミは常緑種の低木で、葉の表面は白みがかった緑色、裏面は茶色という特徴的な葉色をしています。
枝の生育がよく長く密に伸びるため、生け垣などにも活用されています。中部地方から九州にかけて南側の温暖の地域で自生しています。
ナツグミ
ナツグミは落葉種の低木で、夏場に赤い実がなることからナツグミといわれています。関東地方に自生していて、実の収穫を目的として育てる際にはナツグミがおすすめです。
トウグミ(落葉種)
トウグミは北海道から愛知県まで広く自生している品種で、ナツグミの変種です。
ビックリグミ(落葉種)
ビックリグミはトウグミの一種で、甘くて大きな実がなるのが特徴です。ダイオウグミともいわれます。1本だけでは結実しにくいため、結実には別品種を植える必要があります。
アキグミ(落葉種)
実が秋に熟すことからアキグミと呼ばれています。小さくて丸い実が特徴です。
ナカフナワシログミ(常緑種)
ナカフナワシログミの園芸品種で、葉の中央部分に黄色の斑が入る品種です。明るい雰囲気があり1年を通してカラーリーフを楽しめます。
グミの花
グミの花の特徴や開花時期についてご紹介します。
グミの花の特徴
グミは、白色や淡い黄色い花をたくさん咲かせます。花枝は垂れ下がり下向きに開花しているのが特徴的です。
4枚の花びらが開いているように見えますが、実は花弁ではなく筒状のガクの先端が4つに割れたものです。
開花の時期
グミの開花は、常緑種と落葉種で時期がことなります。それぞれの開花シーズンは下記です。
【常緑種(ナワシログミなど)】:10月ごろ
【落葉種(ナツグミなど)】:4月~5月ごろ
グミの花言葉
グミの花言葉には「用心深い」「野性美」があります。「用心深い」は、甘そうに見える果実に渋みや酸味があることや、木にトゲがあることから名づけられたとされています。
「野性美」は、手をかえずに実がたくさんなる様子から野生的な美しさをイメージしたとされています。
グミの実
グミは楕円状の真っ赤な果実がなり、食べられます。見た目はさくらんぼに似ていますが、食感は少しねっとりしていて、渋みを含んだ甘酸っぱい味わいです。
グミの実はスーパーなどで販売されることはなく、自宅で栽培したものを収穫もの以外に食べる機会はほぼなく希少な果実です。
グミの実のなりかた
グミの実は開花が終わると、ガクの根本の部分から成長します。グミの実がなるまでには植えつけからおよそ3~4年ほどかかります。グミは自家受粉で結実します。
しかしダイオウグミなど一部実がなりにくいものもあるため、収穫を目的とする場合はほかの品種と一緒に植えつけるなどの必要があります。
グミの実の食べ方
よく熟したグミはそのまま生で食べるのがおすすめで、皮ごと食べられます。
渋みや酸味を活かしてサラダに入れたり、つぶしてドレッシングにしたりなどアレンジも可能です。ジャムや果実酒にすれば長期保存して楽しめます。
グミの基本的な育て方
グミの基本的な育て方についてご紹介します。
日本の気候に適しており丈夫な植物であるため特別な管理は必要ありませんが、常緑種、落葉種のそれぞれポイントが異なる点には注意が必要です。
グミの栽培スケジュール
植えつけ:3月ごろ、10月~11月ごろ
開花時期(常緑種):10月
開花時期(落葉種):4月~5月
結実期(常緑種):5月~6月
結実期(落葉種):7月~8月
肥料(常緑種):2月~3月、10月~11月
肥料(落葉種):2月~3月、9月下旬~10月
剪定(常緑種)2月上旬~3月下旬、6月下旬~7月下旬
剪定(落葉種)11月~3月の落葉期
グミの栽培環境
グミは耐寒性、耐暑性に優れています。垣根として活用されるほど丈夫な性質でよく育つため、屋外で育てることはもちろん、鉢植えや盆栽でも栽培が可能です。
屋外で育てている場合でも、日差しや防寒の対策などは不要で、気温を考慮して鉢植えを移動させるなどの手間も掛かりません。
果実をつけたい場合は、日当たりのよい場所が適しています。
グミの日当たり
常緑種、落葉種ともに日当たりのよい場所が適しています。
グミの水やり
グミは丈夫な性質であるものの、乾燥はやや苦手です。
【鉢植えや盆栽の場合】
土が乾いたらたっぷりと水やりします。夏場の水やりは朝か夕方の1日2回水やりします。
【地植えの場合】
地植えの場合は、水やりの必要はなく降雨のみで生育します。夏場で日照りが続く場合には、土の乾燥具合をみて水やりします。朝や夕方など気温が高い時間を避けます。
グミの用土
グミは、水はけがよい用土が適していますが、日本に自生しているため基本的には、どのような用土でも適応してよく生育してくれます。
そのため地植えにする場合は、あまり土質を心配する必要はありません。鉢植えの場合は、市販されている培養土で十分に育ちます。
グミの肥料
グミは肥料がなくても生育できる植物ですが、肥料を与えると成長を促して実もつきやすくなります。
【常緑種・落葉種のどちらも共通】
2月~3月に肥料を施すと、春からの生育を促せます。さらにそれぞれの肥料の時期は少しタイミングが異なります。
『土を豊かにする肥料』は、堆肥と肥料成分がペレット状になっているのでおすすめです。
【常緑種(ナワシログミなど)】
開花が終わった10月~11月ごろにこちらも緩効性の肥料成分含む
『土を豊かにする肥料』が効果的です
【落葉種(ナツグミなど)】
10月ごろに緩効性の化成肥料を与えます。
『Plantia (プランティア)花と野菜と果実の肥料』は、植物の生育に必要な成分をバランス良く配合した有機入り緩効性肥料として効果的です。
グミの植えつけ
グミの植えつけの方法についてご紹介します。
グミの植えつけ時期
グミの植えつけの時期は10月上旬~11月下旬、もしくは2月下旬~3月下旬です。真夏や真冬の厳しいシーズンを避けることをおすすめします。
植えつけの際は元肥として約2年間肥料効果が持続する『マグァンプK大粒』を土に混ぜ込みます。
グミの植えつけ方法
- 深さと幅が根の2倍ほどの穴を掘ります。
- 苗の間隔は30cmほど空けます。
- 掘り起こした土に腐葉土などを混ぜ合わせます。
- 元肥として緩効性肥料『マグァンプK大粒』を土に混ぜ込みます。
- 根と土をなじませながら植えつけします。
- 苗がぐらつく場合は支柱を立てます。
- たっぷりと水やりします。
グミの苗選び
グミの苗はホームセンターなどで販売されています。グミの株がしっかりと安定しているものを選びます。
グミの植えかえ
グミを鉢植えで育てている場合は、定期的な植えかえが必要です。植えかえによって根詰まりを防ぐ効果があります。
植えかえ時期
植えつけと同じく、10月上旬~11月下旬、もしくは2月下旬~3月下旬ごろの暖かい日に行います。
【常緑種(ナワシログミなど)】
常緑種の植えかえは、新芽が出る3月ごろに行うのが適しています。生育期に入るため、植えかえで根に負担がかかっても回復する力があります。
【落葉種(ナツグミなど)】
落葉種の植えかえは、休眠期である12月~2月に行います。春に向けて力を温存するため、植えかえしても弱りにくいのでおすすめです。
植えかえ方法
- 一回り大きい鉢を用意します。
- 鉢底ネットと鉢底石を敷きます。
- 市販の培養土などの土を入れて有機入り緩効性肥料『Plantia (プランティア)花と野菜と果実の肥料』を土に混ぜ込みます。
- グミを抜いて、傷んでいる根があればカットします。
- グミを移し替えて、まわりに土を被せます。
- 鉢底から水が流れるくらいたっぷりと水やりします。
グミの剪定
常緑種と落葉種によって剪定方法は異なります。
【常緑種(ナワシログミなど)】
生垣などで活用されることが多い常緑種のグミは、樹形を整えるため剪定します。6月下旬~7月下旬にかけて伸びた枝をカットします。2月上旬~3月下旬は、徒長した枝をカットします。
【落葉種(ナツグミなど)】
落葉種のグミは日当たりや風通しをよくするために剪定します。枯れたり徒長したり、蕾がついていない枝を根本からカットします。不要な枝はすべて切り落としてかまいません。
グミの増やし方
グミは挿し木で増やせます。もともと自生している樹木なので、比較的簡単に生育してくれます。
グミの挿し木の時期
6月上旬~7月下旬にかけての時期が適しています。
挿し木で増やす方法
- グミの枝先を5cmくらいの長さでカットします。
- 1時間ほど水を与えておきます。
- 赤玉土(小粒)にさします。挿し木用の土でもかまいません。
- 日陰に置いてたっぷりと水やりします。
グミの収穫
グミは真っ赤に熟したら収穫のタイミングです。
グミの収穫時期
常緑種と落葉種で結実期も異なります。
【常緑種(ナワシログミなど)】:5月~6月ごろ
【落葉種(ナツグミなど)】:7月~8月ごろ
赤く色づいて柔らかくなったものから順に収穫していきます。熟していないものは渋みがあります。
グミの保存
グミはあまり日持ちしないため、生で食べる場合には収穫後1週間くらいまでに食べきりましょう。収穫したら乾燥を防ぐため袋などに入れて冷蔵庫にて保存します。
食べきれない場合は冷凍保存もできます。グミの軸を取り除いて密閉容器に入れて保存しておき、食べるときには自然解凍します。
大量に収穫できたら、ジャムや果実酒などに加工して楽しむのもおすすめです。
まとめ
グミは日本でも山野に自生していた樹木ですので、気候にも十分適しており育てやすい植物です。
カラーリーフの品種を鑑賞として楽しんだり、収穫して果実を加工したり楽しむ用途もさまざまです。
過酷な環境でも育ちやすいため、ほかの庭木や果樹で栽培に失敗した場合でもグミだと育てられるかもしれません。
何を育てみようかと考えている方は、ぜひグミを選んでみてはいかがでしょうか。