【果樹栽培】パパイヤの育て方は?栽培のポイントなどを抑えて上手に栽培しよう!
パパイヤは南国を代表するトロピカルフルーツです。
寒さに弱いフルーツのため、日本では沖縄県などの温暖な地域での栽培が盛んですが、寒い地域でもビニールハウスや鉢植えであれば栽培が可能です。
今回はパパイヤの水やりや肥料、剪定など栽培に必要なポイントをご紹介します。
パパイヤとは?
パパイヤを育てる前に基本的な知識を身につけましょう。
パパイヤの概要
パパイヤはパパイヤ科パパイヤ属という植物で、主に温暖な気候の国で栽培されています。
16世紀初頭にヨーロッパ人がパパイヤを世界中に広め、名前の由来はカリブ海沿岸で呼ばれていた「アババイ」からきているといわれています。
さらに、スペインやポルトガルでは「ママオ」と呼ぶ人もいます。
これはパパイヤが木の上で垂れ下がる様子を赤ちゃんに飲ませるママの乳房に似ており、「ママの乳房のようだ」とスペイン人が言ったことが由来です。
日本では、木瓜(もっか)や乳瓜(ちちうり)といった別の呼び名があります。
多くパパイヤを栽培する沖縄では「パパヤ」「パパヤー」、石垣島では「マンジュイ」「マンジュマイ」、宮古島では「マンジュウ」「マンジュギ」「マンジュウギ」と呼ばれています。
また、パパイヤが熟す前の青い状態を「青パパイヤ」といい、野菜として沖縄や東南アジアでさまざまな料理に使用されています。
パパイヤの特徴
パパイヤは甘い香りと味わい、なめらかな食感が非常に人気のフルーツです。品種ごとに楕円形でラグビーボールのようなもの、先端が出ているもの、細長い大きなものなど形状が異なります。
実が黄色くなっている場合は、熟しているフルーツとして食べごろのサインです。
日本のスーパーに出回っているパパイヤはフィリピンやハワイからの輸入品であるものが多く、九州や沖縄、小笠原諸島といった日本の温かい地域で栽培されたパパイヤはあまり出荷されていません。
パパイヤは台風などの影響を受けやすく安定した生産が難しいため、旬を迎える5~8月になっても国内産の流通は少ないままです。
パパイヤの品種
代表的なパパイヤの下記の4つの品種をご紹介します。
カポホ・ソロ
緑黄色で洋ナシに似た形のカポホ・ソロです。黄色が濃ければ濃いほど熟しており、栄養価も高くなります。
果実は甘くて爽やかな味で、ねっとりした食感と酸っぱさはほとんどないのが特徴です。
日本に出回る海外産のパパイヤはこの品種であることが多く、輸入量も多いためスーパーでよく売られています。
サンライズ
ストロベリーとも呼ばれ、黒い点が特徴的な品種です。
鮮やかなオレンジをした果実は、高い糖度で甘くみずみずしい味をしており、さっぱりと食べられるため、パパイヤの中でも人気のある品種です。
国内ではハワイ産が多く出回っていますが、宮崎産の品種に流通量も増えてきています。
レインボー
リングスポットウイルス病というパパイヤの病気に強いのが特徴のハワイ産の品種です。
皮が黄色くなったら熟したサインで、オレンジに近い黄色の果肉は甘さが濃く、肉厚で食べ応えがあります。そのおいしさから世界中で食べられており、栄養価が高いのも魅力です。
カミヤ
オアフ島で栽培され、大きな丸い形が特徴の品種です。果肉は濃いオレンジで緑黄色の薄皮に包まれています。指で皮を押してへこんだら熟したサインです。
パパイヤの栄養価
パパイヤは、下記のようにいろいろな栄養が含まれています。「酵素の王様」や「スーパーフード」などと呼ばれるように、栄養価が高いことで知られています。
β-カロテン
体の中でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の働きを強くする作用があります。
また、抗酸化作用があるため、アンチエイジング、がん予防、免疫力の向上など健康維持に欠かせない栄養素です。
ビタミンC
骨、血管、皮膚、歯などの機能を維持するのに必要不可欠な栄養素です。
がんや動脈硬化予防、免疫力の低下に効果が期待できる抗酸化作用、鉄分の吸収を促進する作用があります。
青パパイヤの栄養価
熟したパパイヤに比べ、栄養価が高いのが熟す前の青パパイヤです。
三大栄養素を分解する酵素が多く含まれるスーパーフードで酵素の量は同じですが、酵素が豊富なパイナップルの10倍あります。青パパイヤに含まれる栄養素をご紹介します。
ポリフェノール
強い抗酸化作用がある栄養素で、体の中にある活性酸素を除去する作用があります。
さらに、血栓の予防、糖尿病や心筋梗塞の予防、アンチエイジング、冷え性改善、疲労回復、肝臓の機能を高めるといったさまざまな効能が期待できます。
パパイン
タンパク質、脂質、糖質を分解する栄養素で、消化不良や食欲不振、腸内環境の改善などに効果が期待できます。
パパイヤの花
白くて小さくジャスミンに似た香りの花が5~10月頃に咲きます。枝の付け根にパパイヤの実が複数実ります。
パパイヤの育て方のポイント
パパイヤを育てる工程やその際のポイントなどを解説します。
栽培環境
パパイヤを栽培する際、日当たりと温度の管理が非常に重要です。パパイヤは寒さに弱いフルーツのため、25~30度くらいの温度を目安に栽培します。
栽培する温度が高ければ高いほど育つスピードは速いですが、14度以下になると生育が止まって新芽が生えなくなります。
また、霜で凍った場合、枯れてしまう可能性があります。
春から秋はよく日光の当たる場所で育て、気温が下がってきたら屋内に移動させましょう。一年中温暖な地域では安定して生育し、花を咲かせて実が実るため問題ありません。
冬越し
冬越しさせる場合、鉢植えでパパイヤを栽培しましょう。
鉢植えであれば、気温が下がってきたら温かい室内に移動して枯れるのを防げます。(温暖な地域やビニールハウスで栽培している場合を除く)
パパイヤは寒いと成長しなくなるため、冬でも5~10度以下にならないように注意しましょう。
鉢植えでも育つ
パパイヤは、鉢植えに植えると室内でも栽培できます。南国の木に実っているイメージを持つ人も多いため、意外に思う方もいるかもしれません。
パパイヤの実の中にある種を鉢植えに植え、日に当てながら観葉植物のように育てるのも楽しいでしょう。
パパイヤの土づくり
パパイヤを育てるには、栄養分が豊富で水はけの良い土が適しています。
鉢植えの場合、赤玉土(小粒)と腐葉土を7対3で混ぜ、ピートモスを2割程混ぜた土を使用します。地植えの場合、穴を掘って腐葉土、川砂、ピートモスを混ぜた土を入れましょう。
園芸店などで果樹培養土や草花用培養土を購入するのもおすすめです。
パパイヤの種まき
パパイヤの種まきは、5~6月が適しています。挿し木ではなく種から育てるのが基本で、20度以上の温かさでないと発芽しないため注意しましょう。
発芽すればどんどん成長し、翌年実がなる場合もあります。
パパイヤの種には、雄花と雌花が別の株に咲く「雄雌異株」(しゆういしゅ)という品種があります。
園芸店などで購入した種から育てるなら確実に実はつきますが、パパイヤの実から取った種が雄株だった場合、それを植えても結実するのは難しいでしょう。
種まきをする際は、以下の手順で行います。
種まき手順
- 土に種をまき、土を軽く覆う
- 水をたっぷり与える
- 発芽して15~20㎝の大きさに成長したら、大きい鉢に植えかえます。
- 植えかえ後は根の活着促進のため植物用活力液『リキダス』を水にうすめてたっぷりと与えます。
パパイヤの苗植え
パパイヤの苗植えは、4~6月頃が適しています。地植えするなら温暖な気候の地域でないとうまく生育しませんが、野菜として食べるために地植えで育てるのもいいかもしれません。
パパイヤの水やり
土の表面が乾いたら、水をしっかり与えましょう。土が乾いていないのに水やりをすると、湿気が多くなり病害虫がつきやすくなります。
特に冬は根から水を吸わなくなるため、与えすぎに注意しながら水やりする必要があります。
ただし、乾燥しすぎると株が弱ってしまうため、暑い時期や乾燥しやすい時期は土をこまめに観察して乾燥を予防しましょう。
パパイヤの肥料の与え方
パパイヤの肥料には、チッソ、リンサン、カリの三大肥料成分がすべて同じ量(水平型)かリンサンが少し多い肥料が向いています。
生育期の4~10月に植物の生育に必要な成分がバランスよく配合されている『Plantia(プランティア)花と野菜と果実の肥料』を3ヶ月に1回を目安に株元にばらまくか、液体肥料「ハイポネックス原液」を1週間から10日に1回あたえましょう。
パパイヤの受粉
パパイヤに受粉樹は不要で、ハチ、蝶、カブトムシといった虫が受粉させてくれます。
さまざまな昆虫を引き寄せるために、パパイヤの木の近くに色が鮮やかな花を植えるのが効果的と言われています。
より多くの昆虫たちが近寄ってきて、受粉しやすくなるでしょう。受粉が成功すれば、花が開いて半年程経つと果実が実ります。
パパイヤの収穫
パパイヤを収穫するときは、果実の付け根を包丁などで切り取ります。収穫時期の適期は定まっていませんが、結実して実が熟すまで4~6か月ほどかかります。
パパイヤの生産量がもっとも多い沖縄県では、種まきを3月頃行って花が5~6か月後に咲き、その5か月後に収穫を始めるのが一般的です。
少しだけ皮が黄色く色付いたパパイヤを収穫して、追熟するのも可能です。また、熟していない青パパイヤは先述したタンパク質分解酵素「パパイン」が含まれています。
青パパイヤの状態で収穫して天ぷらや炒め物に使用したり、肉を柔らかくさせるために一緒に煮込んだりするのもおすすめです。
パパイヤの剪定
パパイヤの剪定は、新しい芽が生えてくる5~9月頃が適期とされています。新芽を大きくするために、脇芽が出てきたら良い状態のものを1~2本ほど残して切り取ります。
細い茎であれば園芸用のはさみで容易に切り取れますが、だんだん太くなってくると園芸用のはさみではなくのこぎりの剪定が必要です。
また、パパイヤの生育は速く相性の良い土壌や環境で剪定しなければ、7~10m程の樹高に生育し手入れしづらくなって、収穫量が下がる恐れがあります。
そうならないように30~50cm程の高さになったら切り戻しを行いましょう。
パパイヤの幹は中心が空洞で、切った部分から害虫の侵入や病気にかかるリスクが上がります。
さらに、葉が多くなって日当たりが悪くなると、多湿になって病害虫が付きやすくなります。
幹を剪定後、パテ状の保護材を塗布して保護し、葉が多くなったら適度に剪定して病害虫の侵入を予防することが大切です。
パパイヤの病害虫
パパイヤは生育が早く育てやすい果物です。ただ、下記の病害虫がつく可能性もあるため対策を行うことが重要です。
病気
パパイヤを育てる際にかかりやすい病気は「うどんこ病」です。
うどんこ病とは葉っぱの表面にうどん粉をまぶしたような白いカビが生える病気で、かかると光合成ができなくなります。
その結果、生育が止まり小さい実ばかりがなる、葉が黄色くなって枯れるといった事態を招く恐れがあります。
うどんこ病を予防するには、多湿にならないように管理する必要があります。また、うどんこ病が疑われる葉っぱは見つけ次第摘み取りましょう。
害虫
パパイヤには、アブラムシやハダニ、カイガラムシなどの害虫がつきます。アブラムシはつぼみや新しい芽の周りにつきやすい害虫で、ついてしまうと植物の生育が遅れます。
よく日光を当てることで予防できます。混みあった葉っぱなどを剪定して、風通しが悪くならないように気をつけましょう。
カイガラムシは歯ブラシを使用すると駆除しやすく、ハダニは乾燥した部位につきやすいため、葉水を欠かさず行うと発生しにくくなります。
パパイヤの植えかえ
パパイヤを鉢植えで育てる場合、植えかえが必要です。ずっと同じ鉢植えで栽培を続けると、根詰まりを起こし生育が止まってしまいます。
パパイヤを長く楽しむために、1周り大きな鉢への植えかえを2~3年に1回行いましょう。
まとめ
パパイヤは、温かい気候だとよく生育します。そのため温暖な地域での栽培が盛んですが、鉢植えに植えて気温が下がってきたら、室内に移動させると寒い時期でも栽培を続けられます。
湿気対策や幹が伸びすぎないようにしっかり剪定して、適度な水や肥料を心がけることで、スーパーフードと呼ばれるパパイヤの収穫量が上がるはずです。