ヤマボウシの育て方|基本のお手入れや剪定のコツ、増やし方
梅雨どきに咲く花のひとつとして、人気の高いヤマボウシ。街路樹として植えられている姿を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
ヤマボウシはお手入れの手間がかかりにくく、初心者でも管理しやすい花木です。お好きな方は、ぜひ栽培にチャレンジしてみましょう。
今回は、ヤマボウシの基礎知識やよく似たハナミズキとの見分け方、基本の育て方、増やし方などをご紹介します。
ヤマボウシの育て方|特徴や魅力
ヤマボウシは中国や日本、朝鮮半島などが原産の高木です。6月~7月の梅雨頃に開花時期を迎え、素朴な花を咲かせます。花びらに見える部分は総苞片と呼ばれるものです。
花びらと比較すると長く観賞を楽しみやすいことが魅力といえます。花の色は白いものが有名ですが、品種によっては淡いピンク色の花をつけるものもあります。
ヤマボウシを地植えすると、樹高10m~15mほどに大きく生長することがあります。お庭のシンボルツリーとして活躍してくれるでしょう。樹形が自然と整うため、お手入れしやすいこともメリットです。
よく似たハナミズキとの見分け方
ヤマボウシはハナミズキとよく似ているため、なかなか見分けがつかないという方も多いのではないでしょうか。どちらもミズキ科サンシュユ属(ヤマボウシ属)の植物で、開花時期も近くなります。
ただ、ハナミズキのほうが4月中旬~5月中旬と、ヤマボウシよりも早めに開花する点が異なります。ハナミズキは春の花、ヤマボウシは初夏の花といえるでしょう。
花の形もよく似ており、どちらも大きな総苞片(そうほうへん)をつけます。ヤマボウシの総苞片は先端がとがっていますが、ハナミズキの総苞片は先端がへこんでいる点が違いです。
また、両者の実の形は大きく異なります。ヤマボウシの実は丸い形で、表面がボコボコとしていることが特徴です。夏には青々としていますが、秋が近づくにつれて黄色く色づき、最終的に赤もしくはオレンジ色になります。
ヤマボウシの実は食用可能で、生で食べたり加工してジャムにしたりといった方法で味わうことができます。ただ、種が多いため可食部は少なめです。
ハナミズキの小さな楕円形の実が複数集まった形をしていることが特徴です。色は鮮やかな赤色です。ヤマボウシと違い、ハナミズキの実は食べられないため注意しましょう。
ヤマボウシの育て方|基本的な栽培のポイント
ヤマボウシはお手入れの手間がかかりにくく、育てやすいことが特徴です。鉢植えにしてコンパクトに育てていくこともできます。
ぜひご自宅で栽培してみましょう。こちらでは、ヤマボウシの基本的な育て方をご紹介します。
ヤマボウシの好む栽培環境
ヤマボウシは日当たりの良い場所で元気に育ちます。ただし、強い西日が当たるような場所は避けたほうが良いでしょう。
また、ヤマボウシを元気に育てるためには、水はけが良く湿気がこもりにくい場所へ植えることも重要です。風通しの良い場所を選んで管理しましょう。
土づくり
ヤマボウシを育てるときは、水はけの良い用土を準備することが大切です。地植えする場合は植えつけの2週間ほど前に腐葉土や堆肥などを混ぜておきましょう。
『土を豊かにする肥料』は、堆肥と肥料成分がペレット状になっているので、肥料効果と同時に土の中の微生物の働きをうながしますので、土づくりに最適です。直径・深さともに50cm程度を目安に掘り返して耕しておきます。
鉢植えで育てる場合、小粒の赤玉土と腐葉土を7:3で育てたものなどが適しています。市販されている花木用の培養土を使うと、手軽に用土を準備できます。
『ハイポネックス培養土 鉢・プランター用』は、元肥として緩効性肥料マグァンプKが配合されているため元肥を混ぜる手間がなく鉢栽培、プランター栽培に最適な培養土です。
植えつけ
ヤマボウシの植えつけ適期は12月~3月にかけてです。落葉中に作業を済ませましょう。
地植えする場合は根鉢の2倍以上の植え穴を掘って植えつけます。植えつけの際は、肥料期間が約2年間持続する緩効性肥料『マグァンプK大粒 』を元肥として土に混ぜ込みます。
倒れるのが心配であれば、根づくまで支柱を立ててあげましょう。鉢植えの場合は8号~10号鉢が目安です。植えつけが終わったら根の活着促進のため植物用活力液『リキダス』を1,000倍に希釈してたっぷりと水をあげます。
水やり
地植えのヤマボウシが根づいた後は、基本的に水やりする必要はありません。雨が降らずに極端に乾いてしまいそうな場合は水を与えましょう。
鉢植えの場合は用土の表面が乾いたタイミングで水やりします。高温になる夏場は土が乾いてしまいやすいため、1日2回の水やりが必要になることもあります。朝と夕方の涼しい時間に水をあげましょう。
肥料
植えつけの際には、元肥として緩効性肥料『マグァンプK大粒 』を土に混ぜ込みます。
その後は、毎年冬から早春にかけての時期に寒肥を施しましょう。この時期に肥料を施しておくことで、次の新芽がつくエネルギーを与えられます。寒肥には堆肥と肥料成分がペレット状にひとつになった『土を豊かにする肥料』がおすすめです。
また、鉢植えの場合は花後にお礼肥(追肥)を与えても良いでしょう。追肥にはバラまくだけで肥料効果が約2~3カ月間持続する『プランティア花と野菜と果実の肥料』がおすすめです。
うどんこ病対策
ヤマボウシ栽培で気をつけたい病害のひとつがうどんこ病です。うどんこ病にかかると、葉などの表面が白い粉をまぶしたような状態になります。
原因とされているのはカビの一種で、放置していると被害が広がり、葉が枯れてしまうことがあります。うどんこ病にかかっている葉を見つけたらすぐに切り取って処分しましょう。さらに、殺菌剤を散布して拡大を防ぎます。
また、うどんこ病は風通しや水はけの悪い場所で起こりやすくなるといわれています。とくに梅雨の時期に生じやすいため注意が必要です。
病気を予防するためにも、水はけ・風通しの良い場所へ植えつけることが大切です。枝が込み合って風通しが悪くならないよう、剪定も行いましょう。
植えかえ
鉢植えのヤマボウシは、2年~3年に1回程度の頻度で植えかえることがおすすめです。長く植えっぱなしにしていると根詰まりし、生育が停滞する可能性があります。
適期は植えつけと同じ12月~3月です。土は古いものを使わず、新しい用土へ取り替えましょう。植えかえの際も、元肥として緩効性肥料『マグァンプK大粒 』を土に混ぜ込みます。
剪定
ヤマボウシは樹形が自然と整いやすいため、こまめな剪定は必要ないとされます。不要な枝を切りたい場合、落葉中の12月~3月に剪定を行いましょう。枯れてしまった枝や混雑している部分の枝などをカットして整理します。
ただし、ヤマボウシの太い枝を切り詰めてしまうと、元のように伸びない場合があります。切る長さは慎重に検討しましょう。
高さを抑えたい場合、なるべく若木のうちに「芯止め」することがおすすめです。主幹の先端を切っておきましょう。
ただ、芯止めをしても生長が完全に止まるわけではないため、伸びてきたら再び先端をカットします。
ヤマボウシの育て方|増やし方や注意点
植物を増やす方法としてよく見られるのが「挿し木」ですが、ヤマボウシは挿し木で増やしにくいといわれています。
ヤマボウシを増やしたい場合、接ぎ木をするか、種を採ってまく方法がおすすめです。こちらでは、ヤマボウシの増やし方や注意点をご紹介します。
種の採取
ヤマボウシの花が咲き終わると球形の実をつくります。秋になって実が熟したら摘み取り、中にある種を取り出しましょう。水洗いして果肉を取り除いたら、すぐに種まきを行います。
春まで待ってから種まきする場合、乾燥させないように注意しながら冷蔵庫で保管しておきましょう。
種まきで増やしたヤマボウシが開花するまでには7年~8年かかることもあるといわれています。花が咲くまで気長に育てていきましょう。
接ぎ木
接ぎ木とは、台木となる木に増やしたい木の枝を接ぎ、新しい株をつくる方法です。元気の良い枝を切り、台木へつなぎ合わせましょう。
台木にはヤマボウシの苗木を使います。種まきで増やして2年~3年ほど育てたものを台木として使っても良いでしょう。
接ぎ木を成功させるにはコツが必要なため、慣れていない方が行うのは難しい場合があります。確実に増やしたい場合は新しい苗木を購入することも検討しましょう。
おわりに
ヤマボウシは丈夫で育てやすく、ガーデニング初心者にもおすすめできる花木です。お庭のシンボルツリーとして植えることもできます。
ぜひご自宅に植えて育て、梅雨どきに咲く花の観賞を楽しみましょう。