更新日:2024.11.11
パキポディウムの育て方を解説!冬の育て方や水やりについても
少し変わった姿の観葉植物をお部屋のインテリアにしたい、という方におすすめの植物が「パキポディウム」です。
丸みのある独特のフォルムと鮮やかな花でお部屋を彩ってくれるパキポディウムは、暑さと寒さに強いため初心者でも育てやすいでしょう。
この記事では、パキポディウムの育て方のポイントや注意点を紹介します。ぜひ最後まで読んで、元気なパキポディウムを育てましょう。
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パキポディウムとは?
パキポディウムはキョウチクトウ科パキポディウム属の塊根植物の一種で、ずんぐりむっくりした形が印象的です。「象牙宮」という和名があり、日本でも広く親しまれています。
シルバーグレーのトゲのある幹が特徴的なためサボテンの一種と混同されがちですが、キョウチクトウの仲間です。幹の内部はスポンジ状になっており、高い保水力を有しています。
冬になると落葉し、3~5月には黄色や赤、ピンク色などの鮮やかで美しい花を咲かせます。
パキポディウムは全世界に約25品種以上あるといわれており、種類によって雰囲気や見た目が異なるため、好みの種類を選ぶ楽しさも味わえるでしょう。寒さに強い品種を選べば、屋外で育てることも可能です。
パキポディウムの育て方
パキポディウムは比較的初心者でも育てやすい植物ですが、育てる際はいくつか注意点があります。ここでは、パキポディウムの育て方のポイントを解説します。ぜひ参考にしてください。
栽培環境、栽培場所
パキポディウムは、日当りと風通しのよい場所を好む植物です。日光が不足すると幹が細くなったり、幹や枝が間延びしたりしてしまうため、年間を通して日当りのよい場所に置き、積極的に日に当ててあげましょう。
しかし、30℃を超える真夏の直射日光や西日に当たると葉焼けする恐れがあります。真夏はレースカーテン越しの窓際や明るい日陰に置くようにしてください。
パキポディウムは寒さに弱く、秋~冬になると落葉して休眠します。なるべく日当りのよい室内か、温室で育てましょう。
温度
パキポディウムを生育する際は、最低10℃以上をキープしましょう。冬に葉がすべて落ちて休眠状態に入った場合は、最低5℃まで耐えられます。
しかし、根や幹が傷む可能性があるため、最低温度10℃を保ちましょう。
冬場に5℃以下の温度にあたり続けると枝や幹が軽くなり、枯れてしまう恐れがあります。そのため、必ず室内に入れて管理してください。
ただし、冬の窓際は屋外と同じくらい冷え込むため、窓から離れた明るい場所で育てましょう。暖房の直風があたると急激な乾燥で葉が傷んでしまうため、暖房の風が当たらないように注意してください。
水やり
パキポディウムは乾燥を好む植物であるため、水のやりすぎには注意しましょう。
春になり、新芽が出てきたタイミングで水やりを開始してください。春は土の表面が乾いてきた2~3日後に、鉢底から水が流れるくらいたっぷりと水やりをします。
夏から秋は生長期にあたるため、春よりも水やりの頻度を多くします。土を手で触っても水分を感じない、鉢の中央部までしっかり乾いたタイミングでたっぷり水やりしてください。
春~秋の水やりは、受け皿の溜め水が根腐れの原因になります。水やりが終了したら、受け皿に溜まった水をこまめに捨てましょう。
冬場のパキポディウムは、乾燥気味の環境で育てます。水やりは月に1回程度にしましょう。葉がすべて落ちて休眠期に入ったら断水します。冬に水を与えすぎると、根腐れの原因になるため注意してください。
用土
パキポディウムは、水はけと通気性がよい用土で育てると元気に生長してくれるでしょう。鹿沼土小粒3・赤玉土小粒3・軽石小粒2・腐葉土2の配合土がおすすめですが、市販の多肉植物やサボテン用の土でもよく育ちます。
サボテン用土で育てる際、水はけが気になる場合は軽石や小粒の赤石を混ぜると水はけがよくなります。
肥料
パキポディウムは、基本的に肥料はあまり必要ありません。
生育期にあたる5月~10月に水で1,000~2,000倍に薄めた『ハイポネックス原液』を与えるか、2ヶ月に1回の割合で置き肥として『プロミック 観葉植物用』を置く程度で十分です。
葉を茂らせたいとき、幹を太らせたいときに限り追肥をします。肥料を与えすぎると根腐れの原因になってしまうため、肥料を与える時期や回数は必ず守ってください。
剪定方法
パキポディウムは、基本的に剪定はあまり必要ありません。5月~10月に枯れた葉を剪定する程度でよいでしょう。
パキポディウムはキョウチクトウ科の植物の一種であるため、強い毒を持っています。剪定の際に出てくる白い樹液は有毒なため、触れないように注意しましょう。剪定の際は、手袋を着けておくと安心です。
もし誤って樹液に触れてしまった場合は、触れた手で口を触らないようにしてください。
もし口に触ってしまったり、樹液が口に入ったりした場合はすぐにかかりつけの病院を受診しましょう。
冬の育て方
パキポディウムの冬の育て方のポイントは以下の2つです。
- 10℃以上をキープする環境で育てる
- 水やりは控える
冬の水やりは、月に1回程度で構いません。葉がすべて落ちてしまったときは休眠に入ったというサインなため、断水して越冬させます。
冬場に水を与えすぎてしまうと、幹や枝がぶよぶよになって腐ってしまう恐れがあります。冬場は幹を定期的に触って硬さをチェックし、もしも柔らかくなっている場合は水やりを止めて土や根をしっかりと乾燥させましょう。
太らせ方
パキポディウムをしっかり太らせたいときは、以下の3つがポイントです。
- 日当りをよくする
- 風通しをよくする
- 適切な水やりをする
パキポディウムは日当りがよい場所ですくすくと生長するため、真夏と真冬以外は直射日光にしっかりと当てましょう。
日当りと同じくらい重要なのが、風通しです。風通しのよい場所に置いておくと土が乾燥しやすくなるため、水やりのサイクルが早くなります。水やりのサイクルが早くなると、そのぶん根が伸び幹にたっぷりと水分が蓄えられ大きく生長します。
先ほどパキポディウムは乾燥を好む植物だと説明しましたが、極端に水分が不足すると生長に悪影響を及ぼします。
特に発芽して1~2年目の株は水切れに注意してください。季節に応じた水やりをすることで、太った幹へと生長してくれるでしょう。
植えかえ時期
パキポディウムの植えかえに適しているのは、5月~10月です。7月以降は猛暑日を避け、植えかえましょう。
パキポディウムは根が張りやすく幹が大きく育つとバランスを崩して倒れやすくなるため、2年~3年ごとに植えかえが必要です。
それ以外にも鉢底から根が出てきたり、水やり後に土があまり吸水しなくなったりしたら植えかえのサインです。
植えかえ方法
まず、鉢からパキポディウムの根鉢を取り外しましょう。このとき、土が固まっている場合は、ほぐして取り除きます。
その後、一回り大きな鉢へと植えかえ、鉢底から水が流れるくらいたっぷりと水やりをしてください。このとき元肥として、緩効性肥料の『マグァンプK 中粒』を土に混ぜ込みます。
植えかえが終わってしばらくは、風通しのよい明るい日陰で養生してください。その後は、元の置き場所へ移動して育てましょう。
増やし方
パキポディウムは、挿し木と種まきで増やすことが可能です。いずれも5月~9月に行いますが、初心者の方は気温が徐々に上がる5月~7月に実施すると成功しやすいでしょう。
挿し木の場合は伸びた枝を10cm~20cm程度に切り、葉を2枚~3枚残して土に優しく植えてください。その後直射日光が当たらない明るい日陰で、土が乾かないよう水やりをしながら管理すると、2~3週間で新芽が見えてくるでしょう。
挿し木は切り口から挿し穂や親株が腐りやすいため、注意が必要です。心配な場合は、種まきで増やすとよいでしょう。
日本の環境では育てているパキポディウムから種を採取するのが難しいため、種はインターネットや園芸用品専門店で購入することができます。種を撒くのに最適な時期は、6月~7月です。
種は一晩吸水させ、水はけのよい土に種まきしたあと、明るい日陰で管理すると発芽しやすくなります。
パキポディウムを育てる際に気をつけること
パキポディウムを育てる際は根腐れや根詰まりといったトラブルのほか、害虫に注意しなければいけません。
ここからは、パキポディウムに起こりやすいトラブルや、つきやすい害虫を解説するとともに、対策を紹介します。
根腐れ
パキポディウムは、通気性が悪かったり水をあげすぎたりしてしまうと土が湿った状態が続き、根腐れを起こしてしまいます。
根腐れを起こすと、以下のような症状が見られます。
- 枝や幹が柔らかく触るとぶよぶよしている
- 根が黒色に変色している
- 土から腐敗臭がする
- 元気がない
- 葉が黄色く変色して落葉する
- 土の表面にカビが発生している
- 水やり後、土がなかなか乾かない
これらの症状が見られた場合は根腐れしている可能性が高いため、鉢を入れかえて土の環境を変えてあげなければなりません。
入れかえの際腐った根は、取り除きます。また、用土に赤土やゼオライトを混ぜ込めば水はけがよくなり、根腐れ防止対策になるでしょう。
ダメになった葉先はカットして、新しい葉が出てくる状態にします。根元から腐っている場合は、健康な部分を切り取り挿し木にすれば発根して回復するでしょう。
根詰まり
根詰まりとは、鉢の中に根が回っていっぱいになってしまった状態のことで、春から夏の生育期に一気に生長することで起こります。
パキポディウムの植えかえをせずに何年も同じ鉢で育てていると、鉢の中で根が縦横無尽に伸びて根詰まりを起こします。根詰まりを起こすと、下記のような症状が見られます。
- 土が水を吸収しない
- 鉢にひびが入ったり割れたりする
- 根腐れする
- 葉が黄色く変色する
根詰まりを起こしたからといって、すぐに枯れてしまうわけではありません。しかし、そのままにしておくとパキポディウムの生長に悪影響を及ぼします。
根詰まりの症状が見られたら、すぐに一回り大きな鉢に植えかえましょう。
多くの場合、根詰まりは植えかえすることで解消されます。植えかえは、春~夏の生長期に行いましょう。
葉焼け
真夏の強い直射日光を浴びると、パキポディウムは葉焼けしてしまいます。葉焼けの主な症状は、下記のとおりです。
- 葉の色素が抜けて白くなる
- 葉の一部が茶色く枯れる
葉焼けの症状が見られたら、直射日光が当たらない場所にパキポディウムを移動しましょう。直射日光が当たる窓辺などに置いている場合は、カーテンなどで遮光します。
また、葉焼けした部分は元には戻らないため、傷んだ部分をカットして新しい葉が生えてくるのを待ちましょう。
害虫
パキポディウムは、害虫にも注意が必要です。ここからは、パキポディウムにつきやすい害虫と駆除・予防方法を紹介します。
ハダニ
ハダニは、短期間で繁殖する厄介な害虫です。ハダニは植物の汁を吸い、葉に白斑やカスリ状の傷をつけます。
放っておくと生育が悪くなったり、最悪の場合枯れてしまったりすることもあるでしょう。
葉に斑点や傷が見られたり、蜘蛛の巣のような糸がついていたりする場合はハダニが寄生している可能性が高いため、早めに対処しましょう。
ハダニは水に弱いため、葉の表裏や付け根、茎などを水で洗浄してください。葉にこまめに霧吹きをかけたり、葉を拭き取ったりして清潔な環境を保つことがハダニの予防につながります。
アブラムシ
アブラムシは短期間で繁殖するだけでなく、ウイルスも媒介するため注意が必要です。
新芽や葉裏に群棲して養分を吸い取るため、生育が悪くなったりウイルス病に感染したりする恐れがあります。
アブラムシが寄生すると、パキポディウムの新芽が萎縮したり葉が縮れたりします。また、葉や幹を触るとべたべたするのもアブラムシが寄生しているサインです。
アブラムシを発見したら、すぐに殺虫剤で駆除しましょう。
アブラムシを見つけたらアブラムシ退治と肥料やりが同時にできる『ハイポネックス原液殺虫剤入り』がおすすめです。
その後、縮れてしまった葉はカットします。茂りすぎた葉を選定して風通しをよくすれば、アブラムシの予防になるでしょう。
カイガラムシ
カイガラムシは植物に寄生し、養分を吸い取ることで生育に悪生長を及ぼしたり、さまざまな病気を媒介したりする害虫です。
カイガラムシが寄生することで、植物が黒ずんでしまう「すす病」が発症したり、葉枯れや枝枯れが起こったりする恐れがあります。
殻をかぶっている成虫はブラシや柔らかい布で擦り取ります。茂りすぎた葉は剪定をして、風通しをよくしましょう。
一度カイガラムシが発生すると翌年も同じように発生する可能性があるので注意して観察しましょう。
コバエ
コバエは観葉植物に害を与えるわけではありませんが、不快害虫にあたるため、飛んでいる姿を見つけるとストレスを感じてしまいます。また、放っておくと増えていくため見つけたら殺虫剤で早めに駆除しましょう。
コバエは発酵不十分な堆肥や有機肥料の匂いに引き寄せられるため、パキポディウムにそれらを与えないことが予防のポイントです。土の表面に、赤玉土や鹿沼土を3㎝~5㎝程度敷き詰めるのも有効です。
コバエは湿った環境を好むため、土を乾燥させたり晴れた日には屋外に出したりするのもよいでしょう。また、受け皿に溜まった水はこまめに捨てましょう。
パキポディウムの生長速度
個体や生育環境にもよりますが、パキポディウムは1年で高さ1㎝~5㎝、太さは一~二回り程度とゆっくりしたスピードで育つのが特徴です。
そのため、小さな株のうちはデスクの上や飾り棚の上など、省スペースに飾る観葉植物としても楽しめます。はじめから大きな株で育てたい場合は、大きな株を購入するとよいでしょう。
株が大きいほど希少で高値にはなりますが、個体によってさまざまなフォルムをしているため、好みの株を探す楽しさも味わえます。
早く大きく育てたいときは、日当りのよい屋外で育てるのがおすすめです。室内で生育する場合は、植物育成用LEDライトで補光してあげるとよいでしょう。
まとめ
パキポディウムは、もともと過酷な生育環境に自生している植物です。頻繁に水やりをしたり肥料を与えたりする必要がないため、初心者でも育てやすいでしょう。また、生長するにつれユニークなフォルムで楽しませてくれるため、大きくなればなるほど愛着がわいてきます。
個性的な観葉植物でお部屋をオシャレに演出したいと思っている方は、ぜひパキホディウムの栽培に挑戦してみてください。
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