スグリの育て方|植えつけやお手入れのコツ、増やし方

スグリはスグリ科の果樹であり、品種によって緑・白・黒・赤などの実をつけます。生の実はスーパーや青果店などではなかなか見かける機会がなく、入手しにくいことが難点です。
ぜひ家庭菜園で育てて、新鮮な実を収穫して味わってみましょう。
今回は、スグリの基礎知識や基本的な育て方、増やし方などをご紹介します。
スグリの育て方|特徴や魅力
「スグリ」の名がつくものには、「グーズベリー」とも呼ばれるセイヨウスグリのほか、カラント類のフサスグリ(レッドカラント)やクロスグリなどがあります。
いずれもヨーロッパやアメリカが原産の果樹であり、6月~7月にかけて実を収穫可能です。みずみずしく透き通るような実は美しく、見た目でも楽しませてくれます。
スグリは落葉低木であり、樹高は1m~1.5m程度です。丈がそれほど高くならず、剪定の手間も少ないのがメリットのひとつです。
スグリの主な種類
グーズベリーは、ヨーロッパ原産の「セイヨウスグリ」とアメリカ原産の「アメリカスグリ」に分けることができます。
セイヨウスグリは冷涼な気候に向いていますが、暖地には適していません。アメリカスグリは比較的耐暑性があり、暖地でも栽培可能な品種も見られます。
カラント類はヨーロッパ原産です。冷涼な地域で育てるのがおすすめで、果実の色は黒や赤、白などがあります。
黒い実をつけるクロスグリ(クロフサスグリ)は「カシス」とも呼ばれます。ジャムやジュース、リキュールなどで味わったことがある方も多いのではないでしょうか。
スグリの実について
スグリの実は甘酸っぱい味わいが特徴です。漢字では「酸塊(スグリ)」と表記することからもわかるように、酸味は強めです。
そのため、生のままで食べるよりは、ジャムやシロップ、ゼリー、ジュース、果実酒などで味わうのが基本となります。ただ、生食ができないわけではなく、熟すまで待ってから食べることもあります。
また、スグリの生の実は日持ちしにくく、ジャムなどに加工した状態で流通するのが一般的です。新鮮な実を食べられるのは、家庭菜園の魅力といえるでしょう。
スグリの育て方|植えつけ場所や用土

スグリをご自宅で育てるときは、適切な環境を用意することが大切です。ここでは、スグリの好む栽培環境や植えつけまでの方法を解説します。
スグリの好む栽培環境
スグリの花や実をたくさんつけるには日光が大切ですが、日中に暑くなりすぎる場所は避けたほうが良いでしょう。とくに、真夏の直射日光や強い西日は苦手とします。
午前中は日なた、午後は明るい日陰になるようなところがおすすめです。蒸れを避けるため、風通しの良さにも気を配りましょう。
暑さを避ければ地植えで問題なく栽培できます。難しい場合は鉢植えにして、季節に合わせて移動させると良いでしょう。
土づくり
スグリは排水性・保水性にすぐれた土を好みます。地植えする場合は腐葉土や赤玉土、堆肥などを混ぜてよく耕しておきましょう。
鉢植えの土をご自分で配合する場合、小粒の赤玉土:酸度未調整ピートモス=7~8:3~2程度で混ぜたものがおすすめです。市販されているハーブ用の培養土なども利用できます。
植えつけ
スグリの植えつけ適期は12月~2月にかけての時期です。寒さの厳しい地域の場合、凍結を避けるために春先に作業すると良いでしょう。
地植えの場合は植えつけ場所に根鉢よりも大きな穴を掘り、苗を入れて土を戻します。鉢植えの場合は一回り大きな鉢を用意して植えつけます。
排水性を高めるために鉢底石を敷き詰めてから用土を入れましょう。終わったらたっぷりと水を与えておきます。
スグリの育て方|お手入れの方法

スグリを長く育てていくためには、適切な方法でお世話をすることも重要です。ここでは、スグリの主な管理のポイントをご紹介します。
水やり
スグリは極端な乾燥を嫌います。地植えの場合は降雨に任せますが、雨が降らない日が続いたら水をあげましょう。
鉢植えは地植えよりも水が乾きやすいため、管理に気をつける必要があります。基本的に、土の表面が乾いた段階でたっぷりと水やりしましょう。夏場は1日に2回の水やりが必要になることもあります。
ただし、夏の時期は日中に水やりをすると蒸れてしまうことがあります。早朝もしくは夕方頃の時間帯に水をあげるように心がけましょう。乾燥が気になる場合は腐葉土などを敷いてマルチングするのもおすすめです。
肥料
植えつけ時には元肥として緩効性肥料『マグァンプK大粒』を施します。肥料入りの培養土を使う場合は追加で肥料を与えず、そのまま植えつけて問題ありません。
追肥の時期は2月と10月です。地植えの場合は、バラまくだけで肥料効果が約2~3カ月間持続する『Plantia(プランティア) 花と野菜と果実の肥料』を施すと良いでしょう。
また、鉢植えの場合は2月・7月・10月に緩効性肥料『錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用』を施します。
『錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用』は、早く効く成分とゆっくり効く有機質を配合していますので、安定した効果が約1~2ヵ月間持続します。
病害虫対策
スグリ栽培では、うどんこ病に悩まされるケースがあります。うどんこ病はカビの一種が原因となる病気で、発症すると葉などが白い粉をまぶしたような状態になります。
放置していると枯れる原因になるため、見つけたらすぐに対処しましょう。患部は切り取って消毒しておきます。予防のために薬剤を使うのもひとつの方法です。
植えかえ
鉢植えのスグリは2年に1回ほどの頻度で植えかえを行います。そのまま植えっぱなしにしていると、根詰まりの原因になるため気をつけましょう。
適期は植えつけと同じ12月~2月です。新しい用土を準備して植えかえましょう。
地植えの場合は、根が成長を始める2~3月までに、枝先の下あたりに寒肥を施します。寒肥には堆肥と肥料成分がペレット状にひとつになった『土を豊かにする肥料』がおすすめです。
収穫
スグリの花は初夏に咲き、6月~7月に実をつけます。ハサミで切り取って収穫しましょう。
小さい実をたくさん収穫できるため、切り落とした実を入れるカゴを用意しておくと便利です。丁寧に洗ってからお好きな方法で味わいましょう。
収穫した実はあまり日持ちしないためすぐに使うことがおすすめです。長く保存しておきたい場合は冷凍しましょう。
剪定
スグリの剪定適期は、落葉してから春の発芽前までの期間です。発芽するまでに済ませることを心がけましょう。
毎年、新梢が伸びてきますが、元気のないものはカットして取り除きます。数年かけて、最終的に一株あたり15本程度の枝が残るように仕立てていくと良いでしょう。
混雑した部分の枝も切り落として風通しの良い状態を保ちます。4年~5年経って古くなった枝は花芽がつきにくくなるためカットしましょう。
また、品種によっては枝に鋭いトゲが生えていることがあります。剪定や収穫の際は、怪我をしないように手袋をして作業することが大切です。
スグリの育て方|増やし方や注意点

スグリは挿し木や取り木などの方法で増やすことができます。栽培に慣れてきたらチャレンジしてみましょう。ここでは、スグリの増やし方をご紹介します。
挿し木
12月~2月の時期、剪定した枝を活用して挿し木で増やす方法があります。枝は若く元気なものを使いましょう。
枝を10cm~20cmほどの長さにカットし、切り口を斜めにして挿し穂とします。しばらく水につけて吸水させてから挿し木用土に挿しましょう。
用土は清潔で、肥料が入っていないものを使います。発根するまで土を乾燥させないように管理しましょう。
取り木
挿し木で発根しにくい品種は取り木でも増やすことができます。適期は2月~3月です。伸びてきた新梢を寝かせ、土をかぶせて基部からの発根を待ちましょう。
先端部分は土から出しておきます。発根したらしばらく育てていき、植えかえ適期が来たら取り分けて別々に植えつけられます。
おわりに
スグリの実は流通されていることも少ないため、お好きな方はぜひご自宅に植えてみるのがおすすめです。
暑さには気をつけながら育てていくと、毎年きれいな実をつけてくれるようになります。美味しいスグリを収穫して、スイーツなどを作って楽しみましょう。
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