Labyrinth バラの迷宮 pickup69『ベル ヴィ』
NewRoses玉置編集長が最新品種、人気品種を紹介する”Labyrinth バラの迷宮”
DATA
作出 | 日本 河合伸志 |
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花色 | ライラック色~ペールピンクで、外弁に紫色のぼかし/花径約4㎝ |
花形 | カップ~ロゼット咲き |
香質 | 強いティー系の香り。「ティー:柑橘系とレモンのようなさわやかな香りと、ミルク・ティーを想起させる柔らかな香りが調和した香り」(国営越後丘陵公園「第10回国際香りのばら新品種コンクール」Min系銅賞受賞時の評) |
樹形 | 横広がりのコンパクトシュラブ。シュートは斜め上に約1.0~1.2m伸長 |
花期 | 返り咲き |
咲き始めはライラック~淡いピンクで周囲に紫をぼかし、咲き進んで淡くなる。小さめの花が大きな房咲きになって、咲き混じる。
咲き方は浅いカップ~ロゼット咲きからポンポン咲きに。多花性で花付きがとても良い。早咲きで平地ではGW明けには咲く。
春以降返り咲き、涼しい環境ほどよく咲く。葉はうどんこ病に強く黒星病に対しては普通。
樹はコンパクトシュラブで樹勢は強く、シュートは1.0~1.2m斜上。ハーブも感じる強いティー系の香り。
交配は‘ブルー フォー ユー’בドリーム ラバー’。
河合氏がスーパーバイザーをつとめる横浜イングリッシュガーデンのガーデナー・黒田智史氏の結婚祝いとして贈られ、数案の中から、フランス語で「美しい生活」の意味の花名が本人たちにより選ばれる。
河合氏は第2回ぎふ国際ローズコンテスト金賞受賞‘ロゼ ダンジェ’(1996年作出)など、もともとミニシュラブの作出を得意とする。
‘ベル ヴィ’は一般に香りが淡いミニに香りを実現した新しいタイプで、日本のバラらしく花の微妙な変化も楽しめる。
さまざまに楽しめガーデンデザインの幅を広げるのも、育種と植栽デザインを行う河合氏の作品ならでは。
鉢植えはもとより、庭のボーダーで草花もあわせて植えてもよく調和し、中輪・大輪のバラと一緒に植えてもコーナーに動きをもたらす。
伸びた枝を小型のオベリスクなどに誘引すればつるバラとして楽しめ、伸びた枝を冬剪定で短く切り詰めれば株姿良くまとまる。
開花段階で微妙に変化。
時計と反対回りに、ガクの緑の中から蕾(中央)が現れ、開きはじめは花芯を抱え(左)、開くと花の中央に黄色をみせ(右)、咲き進んで平たくなり淡くなる(右上)
著者紹介
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玉置 一裕
バラの専門誌『New Roses』編集長。
『New Roses』の編集・執筆・アートディテクションを行うかたわら、ローズコーディネーターとしてバラ業界のコンサルティングやPRプランニング、関連イベントのコーディネート、バラの命名等に携わる。
また園芸・ガーデニング雑誌への執筆や講演を通じて、バラの「美」について語ると同時に、新しいバラの栽培法の研究も行っている。