ラベンダーの育て方|枯らさないためのお手入れ方法や増やし方は?
香りの良さや可愛い花の姿が人気のラベンダー。お庭やベランダで栽培してみたいと考える方も多いのではないでしょうか。ラベンダーを育てる際は、適した環境を整えてあげることが大切です。今回は、ラベンダーの系統や基本的な育て方、お手入れのポイント、増やし方などをご紹介します。
【間室みどりさんの植物のお手入れ術】
🌸03:ラベンダーの育て方 花後の手入れと夏越し
ラベンダーの基礎知識
シソ科のラベンダーは、紫色や白色、ピンク色の花を咲かせます。主な開花時期は春ですが、四季咲き性を持つ系統も存在します。低木であるものの草花として栽培されるケースが多いようです。
ラベンダーの香り
ラベンダーはとても香りが良いハーブとして知られています。古くからポプリや精油などでも親しまれてきました。
ラベンダーの品種によって、香りの強さも異なります。お住まいの地域での育てやすさに加え、香りについても着目しながら、栽培する品種を選んでみると良いでしょう。
ラベンダーの系統
ラベンダーは複数の系統に分かれています。それぞれ性質が異なるため、お住まいの地域に合うものを調べておくことがおすすめです。主な系統は以下の通りです。
アングスティフォリア系(イングリッシュラベンダー)
アングスティフォリア系は、イングリッシュラベンダーやコモンラベンダーとも呼ばれるグループです。代表的な品種とされ、もっとも強く香ることが大きな特徴です。開花期間は4月~6月にかけて。耐寒性が強く、北海道でもたくさん育てられています。耐暑性は弱いため、関東以西で地植えするのは難しいでしょう。
ストエカス系(フレンチラベンダー)
ストエカス系はフレンチラベンダーとも呼ばれます。開花期間は4月から6月ですが、アングスティフォリア系よりもやや早めです。長いうさぎの耳のような苞葉がつく、個性的な姿も魅力。耐暑性は比較的強めで、関東以西でお庭や花壇に植えても夏越し可能です。
ラバンディン系
耐暑性・耐寒性が強く、初心者にもおすすめのラベンダーです。花穂も草丈も大きく育ちます。開花時期は6月から7月にかけてです。暖地でラベンダーを育てるならこちらの系統の品種を選ぶと良いでしょう。
プテロストエカス系(レースラベンダー)
レースラベンダーともいわれるプテロストエカス系は、葉にレースのような切れ込みがあります。耐暑性がやや弱く、耐寒性もそれほど強くはありません。四季咲き性を持つため、1年のうちに何度か花を楽しめるでしょう。
デンタータ系
デンタータ系も四季咲きのラベンダーです。耐暑性が強めのため、暖地で栽培するのにも向いています。葉には細かい切れ込みがあります。香りは少々弱めです。
ラベンダーの育て方
ラベンダーは基本的に寒さに強く、乾燥した地域を好みます。高温多湿の環境を避けて育てていきましょう。こちらではラベンダーの基本的な育て方をご紹介します。
ラベンダーの好む栽培環境
ラベンダーは日当たりの良い場所で元気に育ちます。十分に日に当てることができないと、うまく育たずに枯れてしまうことも。半日以上、日陰になってしまう場所は避けて植えましょう。ただし、夏に強い西日や直射日光が当たる場所は避けます。
また、ラベンダーは空気がこもりやすく、湿気がたまってしまうところは苦手です。風通しの良い環境を用意することも大事なポイントとなります。
ラベンダーの土づくり
ラベンダーは、保水性・排水性に優れ、保肥力の高い土を好みます。鉢植えの場合、市販の培養土を使うと手軽です。また、ラベンダーをはじめとするハーブは弱アルカリ性の土を好むものが多いといわれています。
日本の土は酸性に傾いていることが多いため、地植え地植え、庭植えの場合は、苦土石灰を混ぜて酸度を調整すると良いでしょう。植えつけ予定地を深く掘り返します。腐葉土や堆肥などを加えて耕しましょう。日向土、パーライトなどを加えることで排水性を改善できます。
ラベンダーの植えつけ
ラベンダーの植えつけ適期は温暖な春もしくは秋です。品種によって適した時期は異なります。特に、ラバンディン系やアングスティフォリア系(イングリッシュラベンダー)は秋に植えつけると良いでしょう。春に植えつけを行うと、夏が来るまでに十分に生長できず、夏越しが難しくなってしまうかもしれません。
ラベンダーは過湿を嫌うため、晴天が続くタイミングで植えつけましょう。雨天時や、翌日に雨が降る日などは避けたほうが無難です。鉢植えの場合、鉢底石を敷いて水はけや通気性を高めます。苗を鉢へ入れたら、土を少しだけ高めに盛ってあげましょう。5号から6号程度の鉢に一株を植えるのが目安です。地植えの場合も、土の表面を盛って高植えにします。
ラベンダーの水やり
鉢植えの場合、土の表面が乾き、葉がやや下がったタイミングで水を与えます。鉢底から流れ出るほど、たっぷりと水をあげましょう。土の表面が湿っているうちに水やりするのを続けていると、根腐れして枯れてしまうこともあるため注意が必要です。
地植えの場合、根づいたらほとんど水やりする必要はありません。植えつけから1週間の間は、土が乾ききってしまうようであれば水を与えます。その後は降雨に任せましょう。猛暑の際や雨が連続して降らなかった場合などは水やりします。水やりの時間は朝がおすすめです。特に夏場は朝から昼にかけてどんどん気温が上がってしまうため、早めの時間帯に水をあげましょう。
ラベンダーの肥料
ラベンダーは肥料を与えすぎると弱ってしまうため、適量を守って与えることが大切です。施肥の時期や頻度を確かめておきましょう。肥料にはさまざまな種類があります。一般的な花や野菜向けの肥料を与えて問題ありません。
おすすめはばらまくだけで肥料効果が約2~3カ月間持続する「Plantia (プランティア)花と野菜と果実の肥料」がおすすめです。ラベンダー栽培では、ゆっくりと長く効く緩効性肥料を使うと便利です。植えつけの際、元肥として「Plantia (プランティア)花と野菜と果実の肥料」を加えておきましょう。基本的には春と秋に追肥します。夏の時期に肥料が残っていると傷みやすくなるため、梅雨の前には施肥をストップしましょう。暑さが和らぐ9月頃になったら追肥を再開します。冬の時期も施肥は避けましょう。寒い時期が終わり、春の新芽が出てくる頃に再び追肥できます。
ラベンダーのお手入れ方法
ラベンダーを長く楽しむためには、季節に合わせたお手入れを続けることが大切です。こちらでは、ラベンダーのお手入れ方法やコツをご紹介します。
ラベンダーの剪定
ラベンダーのお手入れで欠かせないもののひとつが剪定です。開花が終わり、梅雨を迎える前に剪定しておくことで株の蒸れを防げます。花をカットしておくことで種ができなくなるため、株が疲れてしまうことも避けられます。
剪定の際は、花茎についている新芽を探します。新芽のやや上をカットしていきましょう。加えて、枝の込み合った部分を剪定しておきます。土や泥はねがつきやすい下の部分の枝もカットしておくことがおすすめです。
栽培をスタートして2~3年経ち、株が大きくなったら強剪定を行います。作業のタイミングはラベンダーの生育がゆるやかになる秋から春先頃です。花芽まで切ってしまわないよう、新芽がつく時期は避けましょう。
強剪定する際は、株元を観察して小さな芽を探します。芽の上あたりでカットしていきましょう。古くなってこれ以上は育たない枝や、太すぎる枝なども間引いていきます。最後は枝の長さを揃えるよう、全体的に整えていきましょう。横から見てドーム型になるよう調整すると綺麗です。以降は毎年、同じ時期に強剪定していきましょう。
また、ラベンダーを飾るために花を切りたい場合は、開花が始まってすぐの頃にカットすることがおすすめです。花が終わりかけの頃になると、咲き終わった花がらが落ちやすくなってしまいます。花を切るのは晴れた日が良いでしょう。特に、ドライフラワーにする場合は雨の日を避けてカットすることがポイントです。
ラベンダーの病害虫対策
ラベンダーは病害虫被害を受けにくい植物です。ただし、春にアブラムシやハダニなどが発生することがあります。アブラムシはすぐに増えてしまうため、見つけたらすみやかに駆除することが大切です。薬剤を使って予防・駆除すると良いでしょう。ハダニを予防するためには、葉水を与えることがおすすめです。霧吹きに水を入れて 定期的に葉へ噴霧しましょう。
ラベンダーの夏越し・冬越し
夏の間は株が弱りやすいため、過湿にならないように注意しましょう。梅雨の時期は特に注意が必要です。鉢植えの場合は雨が当たらない場所へ移動させましょう。ただし、水切れにはならないように気をつけて管理します。
冬の間は霜に注意します。敷き藁やマルチなどで土を覆ってあげると良いでしょう。品種や栽培する地域によっては屋外での冬越しが難しいため、室内に取り込んで管理します。昼は窓際で日光を当て、夜は暖かい場所へ移動させましょう。
ラベンダーの植え替え
鉢植えの場合、ラベンダーが生長して大きくなり、鉢が狭くなってきたら、一回り大きな鉢へ植え替えてあげましょう。ただし、ラベンダーは植え替えが苦手なため、根鉢を崩さず優しく取り扱うことが重要です。傷んだ根があれば取り除いておきましょう。植えつけ後はすぐに日なたに移さず、しばらく日陰や半日陰で管理します。
ラベンダーの増やし方
ラベンダーは3年ほど育てると枯れやすくなってくるといわれています。新芽もつきにくくなってくるため、挿し木(挿し芽)で株を更新しておくと良いでしょう。
挿し木におすすめなのは春です。枝の先端を10cm程度カットして挿し穂にしましょう。挿し穂の切り口を水につけたら、1時間ほど吸水させます。その後、用意しておいた挿し木用土へ穴を掘り、先端を埋めましょう。挿し木には清潔な土を使うように気をつけます。挿し穂に雑菌が入らないよう、新しい土を準備しておきましょう。
土に挿したら、1カ月ほど日陰で管理します。土が乾かないように水をこまめに与えましょう。発根したら鉢や花壇へ植え替えられます。通常の苗と同様に育てていきましょう。
おわりに
ラベンダー栽培では、お住まいの地域に合った品種を選び、枯らさないために適切なお手入れをしていくことが大切です。特に高温多湿には注意することが求められます。手間がかかると感じることもあるかもしれませんが、その分、花や香りを堪能できたときの喜びも大きくなるはず。ぜひ花壇やプランターに植えて育てていきましょう。
☘50|ラベンダーの育て方|苗の選び方や植えつけ方法。日々の管理や水やり、花の収穫や剪定方法などもご紹介