アロマティカスの育て方|基本の栽培方法や日々のお手入れのコツ、増やし方
アロマティカスは多肉質の葉を持つシソ科のハーブです。丸みを帯びた可愛い葉をたくさんつけます。
爽やかな良い香りがすることも特徴で、収穫して料理などに使うこともできます。
ぜひご自宅でアロマティカスを栽培してみましょう。
今回は、アロマティカスの基礎知識や、基本的な育て方、日々のお手入れのポイントなどをご紹介します。
また、挿し木や株分けなどで増やす方法もお伝えするため、ぜひ参考にしてみてください。
アロマティカスの育て方|特徴や魅力
アロマティカスはシソ科の植物です。細かい毛の生えた肉厚の葉を持っており、ベルベットのような感触を楽しめます。
ふっくらとした丸い葉が可愛らしく、多肉植物がお好きな方にも人気の高い存在です。
乾燥に強く、丈夫で育てやすいこともアロマティカスの魅力のひとつです。ご自宅で気軽に育てられる植物をお探しの方にもおすすめできます。
草丈は20cm~30cm程度で、それほど高くはなりません。
暖かい時期になると葉が茂り、こんもりとした姿になります。小さく仕立ててコンパクトに育てていくことも可能です。
ハーブとして人気のアロマティカス
アロマティカスはハーブとして利用されており、「スープオレガノ」や「キューバンオレガノ」と呼ばれることもあります。
香りはミントに似ており、暑い時期にもぴったりの爽やかさが魅力です。
香りの良さを活かして、料理の香りづけやトッピング、ハーブティーなどで使われることがあります。
カクテルに添えたり、果実水に加えたりして楽しむこともできます。
また、お風呂に浮かべて香りを楽しんだり、乾燥させてポプリをつくったりすることもおすすめです。
アロマティカスの虫よけ効果について
アロマティカスについて調べていると、「虫よけ効果がある」という情報を目にすることが多いかもしれません。
アロマティカスの香りには、一部の害虫に嫌われる成分が含まれているとされています。
ただし、そういった成分に関する実験は、濃度の高い精油を使って、特殊な条件下で行われていることが基本です。
栽培している株を置いているだけでは、高い虫よけ効果を発揮するのは難しいといえます。
過度な期待は避け、虫よけはおまけ程度に考えておきましょう。
アロマティカスの育て方|土づくりから植えつけまで
アロマティカスの苗を購入したら、お好きな鉢へ植えつけて育てていきましょう。
こちらでは、アロマティカスの好む栽培環境や土づくり、植えつけのコツなどを解説します。
アロマティカスの好む栽培環境
アロマティカスは日当たりの良い場所を好みます。明るい日差しの下で元気に育ってくれるでしょう。
ずっと日陰になるような場所だと間延びしてしまうことがあります。
ただし、夏の直射日光のように強い日差しに当て続けると、葉焼けする可能性があるため気をつけましょう。
真夏は半日陰程度の場所へ鉢を移動させたり、日よけをつくったりして対策することがおすすめです。
乾燥に強い反面、湿気の多い環境には弱いため注意が必要です。風通しが良く蒸れにくい場所を選んで植えつけましょう。
また、アロマティカスは寒さには弱いことも特徴です。屋外での冬越しは難しい場合もあります。
確実に越冬させたい場合、春から秋は屋外で育て、冬は室内で管理したほうが良いでしょう。
土づくり
アロマティカスには排水性の高い用土が適しています。
小粒の赤玉土に腐葉土もしくは堆肥を6:4程度で混ぜたものや、赤玉土と腐葉土、川砂を7:1:2で混ぜたものなどがおすすめです。
植えつけの際は元肥として緩効性肥料『マグァンプK中粒』を土に混ぜ込みます。
市販されている多肉植物用の培養土やハーブ用の培養土などを利用すれば、より手軽に用土を準備できます。
肥料が含まれているものであれば、追加で元肥を加える必要もありません。
より水はけを良くするために、培養土に小粒の赤玉土を2割~3割ほど混ぜても良いでしょう。
『ハイポネックス培養土 鉢・プランター用』は、元肥として緩効性肥料マグァンプKが配合されているため元肥を混ぜる手間がなく、鉢栽培・プランター栽培に最適な培養土です。
苗選び
アロマティカスの苗はホームセンターや園芸店などで購入できます。葉の色があせておらず肉厚で、元気の良いものを選びましょう。
病害虫被害の痕跡があるものや、徒長してひょろひょろとしているものなどは避けます。
植えつけ
アロマティカスは、真夏と真冬を避ければ1年中植えつけが行えます。
とくに、気温が穏やかな春か秋頃はおすすめです。鉢植えの場合、4号~5号鉢に一株植えるのが目安です。
幅60cm程度のプランターには二株~三株程度が良いでしょう。
寒さに弱いアロマティカスを地植えすると冬季の管理が難しくなります。
季節に応じて暖かい場所に移せるよう、鉢植えで管理したほうが良いでしょう。
加えて、アロマティカスは生育旺盛なため、地植えすると増えすぎてしまう可能性があります。
管理の手間を減らすためにも鉢植えにすることがおすすめです。
植えつけ作業の際は、鉢底に石を敷いて水はけを良くします。用土を入れたら、根を傷めないように気をつけて苗を植えましょう。
植えつけ後は、根の活着促進のため植物用活力液『リキダス』を1,000倍に希釈してたっぷりと与えます。
しばらくは半日陰で管理します。徐々に日当たりの良い場所へ移しましょう。
アロマティカスの育て方|日々の管理のポイント
アロマティカスを長く楽しむためには、季節に応じた水やりや施肥などを行い、しっかりとお手入れすることが大切です。
こちらでは、アロマティカスのお手入れのコツをご紹介します。
水やり
アロマティカスは多肉植物と同じく、過剰な水やりは避けることが大切です。
水をあげすぎると根腐れの原因になることもあります。控えめに与えることを心がけましょう。
春から秋にかけては土がしっかりと乾いてから水をあげましょう。鉢の底から水が流れ出るくらいたっぷりと与えます。
土が乾いているかわかりにくい場合は、触って確認しましょう。もしくは、鉢を持ち上げて軽くなっていれば乾いていると判断できます。
冬は生育が停滞するため、基本的には月に1回~2回程度の水やりで問題ないでしょう。
ただし、暖かい室内で育てる場合は春夏と同じような頻度で水やりが必要になることもあります。
株の状態をチェックして、必要に応じて水やり頻度を調整しましょう。
肥料
植えつけ時には元肥として緩効性肥料『マグァンプK中粒』を施します。
肥料をあげすぎると葉が茂りすぎたり、傷んでしまったりするため注意が必要です。
株を大きく育てたい場合は、春から秋にかけて追肥しましょう。
追肥にはバラまくだけで肥料効果が約2~3カ月間持続する『プランティア花と野菜と果実の肥料』もしくは、速効性の液体肥料『ハイポネックス原液』を1週間~10日に1回の頻度であたえます。
一般的な草花用の肥料を使っても良いですが、多肉植物やサボテン向けの肥料を活用することもおすすめです。
また、葉の色があせてしまったときは肥料不足の可能性があります。速効性の液体肥料を与えて様子を見ましょう。
アブラムシ対策
アロマティカス栽培で注意しておきたい害虫のひとつがアブラムシです。
柔らかい芽や葉などに付着し、植物の汁を吸ってしまいます。病気を媒介することもあるため、見つけたらすぐに駆除することが重要です。
また、アブラムシはとても小さい虫で、いつの間にか大量に増えてしまっていることも珍しくありません。
一つひとつ駆除するのが難しい場合は、薬剤を利用して一気に対処することもおすすめです。
防除可能な薬剤を使えば、発生を予防することも可能です。
冬越し対策
アロマティカスは冬の寒さに当たると枯れてしまう可能性があります。
秋になったら少しずつ軒下などの暖かい場所へ移し、最終的に家へ入れると良いでしょう。
家の中では、できるだけ日当たりの良い場所へ置いておきましょう。
日差しが弱い場所では徒長してしまうことがあります。明るい窓辺に置いたり、吊るしたりするのがおすすめです。
ただし、外気温の影響で寒くなりやすい点には注意しましょう。
窓辺が寒くなる場合は、鉢を二重にする、発泡スチロールや段ボールなどで覆うなどの方法で保温すると安心です。
収穫
料理やお菓子づくりなどにアロマティカスを使いたい場合は、葉を摘み取って収穫します。
基本的に一年を通して、いつ収穫しても問題ありません。剪定も兼ねて少量をこまめに収穫しましょう。
コンパクトに仕立て直したいときも、収穫を兼ねて切り戻してみると良いでしょう。葉が3枚~4枚残る程度の位置で全体をカットします。
これまでと同じように水や肥料を与えて管理していくと1カ月程度で再び茂ってくるでしょう。
収穫した葉はドリンクに浮かべたり、サラダに混ぜたりして楽しむことができます。
ペーストにして肉や魚料理のソースとして使うこともおすすめです。大きくちぎって水に入れるだけでも、爽やかなフレーバーを楽しめるでしょう。
アロマティカスの育て方|剪定や植えかえのコツ
アロマティカスを元気に育てていくためには、定期的に剪定や植えかえなどを行うのも大切です。
ここでは、アロマティカスの剪定や植えかえについて解説します。
剪定の重要性
アロマティカスはどんどん葉を茂らせて生長します。放置していると株が混雑して、風通しが悪くなってしまいます。
生育が悪くなり、病害虫被害を受ける原因にもなってしまうため、剪定して整理することが大切です。
また、アロマティカスを育てていると木質化してしまうことがあります。
木質化した箇所は新しい芽も出にくくなるため、予防のためにも剪定を行うことがおすすめです。
剪定の時期・方法
アロマティカスの剪定は、春~秋にかけて行えます。葉が茂りすぎていることに気づいたら、収穫を兼ねてカットしてあげましょう。
蒸れにくい状態を保つためにも、梅雨や夏の前はしっかりと剪定しておくことがおすすめです。
また、大胆に切り戻したい場合はなるべく暖かい時期に作業を済ませましょう。
寒くなってくると株の生育が停滞し、切り戻しによって弱ってしまう可能性があります。
剪定の際は清潔でよく切れるハサミを用意します。伸びすぎた部分や、木質化した部分などを剪定していきましょう。
脇芽を残すようにして切ることで、再び葉が茂りやすくなります。切り終えたら風通しの良い場所で管理しましょう。
植えかえの重要性
アロマティカスを鉢に植えっぱなしにしていると、根詰まりしてしまうことがあります。
2年~3年に1回は植えかえて、根詰まりを防ぐことが大切です。
植えかえの時期・方法
アロマティカスの植えかえは、生育が旺盛になる春もしくは秋に行うことがおすすめです。気温の変化が少ない時期を選びましょう。
根鉢を取り出す際は、根を傷つけないように優しく扱います。傷んでいる根や腐って黒ずんでいる根などはカットしておきましょう。
鉢に移し替えたら、新しい用土を入れていきます。水をたっぷりと与えたら完了です。
終了したらしばらく日陰で休ませておきましょう。その後は、少しずつ日なたへ戻していきます。
アロマティカスの育て方|増やし方や注意点
アロマティカスは挿し木や株分けなどで増やすことができます。育てている株を増やしたい方はチャレンジしてみましょう。
ここでは、アロマティカスの増やし方をご紹介します。
挿し木
挿し木におすすめなのは春もしくは秋です。春に行う場合は寒さの残る時期は避け、十分に暖かくなってから作業しましょう。
挿し木の際は、元気な茎を選んで挿し穂として使います。先端から2節~3節の位置で切りましょう。剪定で切った枝を利用してもかまいません。
挿し木用土は肥料が入っていない清潔な土を使います。市販されている挿し木専用土を使うこともおすすめです。
挿し穂を吸水させたら、挿し木用土に挿しましょう。その後は水切れしないように気をつけながら発根を待ちます。
順調にいけば、2週間程度で根が伸びてくるでしょう。
また、アロマティカスは水に挿して育てることもできます。
お好きな瓶やコップなどに水を入れてアロマティカスを挿しておくと、数日で発根してくるでしょう。
水をこまめに取り替えながらお手入れしていけば、長く観賞を楽しむこともできます。
株分け
アロマティカスの株分けは、植えかえを兼ねて行うことがおすすめです。春・秋に植えかえるついでに株分けしましょう。
根を掘り上げたら傷んだ部分を取り除きます。株を手で半分に割り、それぞれ違う鉢へ植えつけましょう。
また、アロマティカスを株分けすることで株を小さく仕立て直すことができます。
あまり大きく育てたくない場合にも株分けを行うことがおすすめです。
おわりに
アロマティカスは育てやすいハーブのひとつです。湿気の多い環境や寒さを避け、日当たりの良い場所で育てましょう。
こまめに剪定して風通しの良い状態を維持することも大切です。収穫した葉は料理に使ったり、香りを楽しんだりするのに活用できます。
お手入れの手間もかかりにくいため、ぜひご自宅で栽培してみましょう。