タチアオイ(ホリホック)の育て方|基本の栽培方法やお手入れのコツ、増やし方
天を衝くように伸びる姿が印象的なタチアオイ(ホリホック)の花。
梅雨を彩る花のひとつであり、日本でも昔から各地で親しまれてきました。
草丈が高く存在感もあるため、お庭をもっと華やかに演出したいときにもぴったりの植物です。
ぜひご自宅で栽培してみましょう。
今回は、タチアオイの特徴や基本的な育て方、増やし方などをご紹介します。
タチアオイ(ホリホック)の育て方|花の魅力や基礎知識
タチアオイはアオイ科の植物です。「ホリホック」や「アルセア」などの名称でも知られています。
漢字では「立葵」と書かれますが、文字通り天に向かってまっすぐ立つような、勢いのある姿が特徴です。
梅雨を代表する花のひとつ
タチアオイの開花時期は6月~8月です。梅雨入りの時期に花がつきはじめ、梅雨明け頃には花が散るといわれています。
そのため、「梅雨葵」の別名で呼ばれることもあるようです。
日本では古くから栽培されており、梅雨に咲く定番の花のひとつとして親しまれてきました。
雨が多く憂鬱になりやすい梅雨の時期も、タチアオイのきれいな花を観賞することで元気になれる、という方も多いのではないでしょうか。
タチアオイの花の特徴
タチアオイは開花時期になるとたくさんの花を穂状につけ、花穂の下から徐々に咲いていきます。
花は何日か経つとしぼんでしまいますが、新しい花が次々と開花します。
花の色は多彩で、ピンクや赤、白、黄、オレンジ、紫、黒など幅広いバリエーションがあります。
花の大きさも10cm程度と大きく、開花時期にはとても華やかな姿を堪能できるでしょう。
草丈は60cm程度から2mほどと高いため、しっかりと存在感を出してくれます。
また、一重咲きの品種もあれば、八重咲きや半八重咲きの品種などもあります。
濃い色の花をつけるものもあれば、淡いパステルカラーの花をつけるものもあるため、お好みに合わせて選べるでしょう。
タチアオイの栽培期間
タチアオイは二年草もしくは多年草で、種まきをした次の年に花が咲きます。
園芸品種には一年草タイプもあり、春に種まきをするとその年に花を楽しむことも可能です。
ただし、タチアオイは寿命の短い植物で、多年草タイプであっても長く育てるのは難しいといわれています。
株分けをしたり、種を採ってまいたりして更新していくことが基本となります。
タチアオイ(ホリホック)の育て方|土づくりから植えつけまで
タチアオイは種からでも苗からでも育てることができます。お好きな品種を見つけたら、ぜひ栽培を初めてみましょう。
こちらでは、タチアオイの好む栽培環境や、土づくりから植えつけまでのポイントをご紹介します。
タチアオイ(ホリホック)の好む栽培環境
タチアオイは日光に当てることで元気に育ち、たくさんの花をつけます。日当たりの良い場所を選んで植えつけましょう。
大きく育ちやすいため、広めのスペースを確保することもポイントです。
草丈が高いため、花壇に植える場合は奥のほうに植えたほうが良いでしょう。手前側に植える花の草丈に合わせて位置を調整します。
土づくり
タチアオイを育てる際は、水はけの良い用土を使います。排水性の悪い場所では多湿になり、根腐れすることがあるため気をつけましょう。
地植えする場合は腐葉土や堆肥などを加えて耕しておきます。排水性を高めたい場合は、少量の軽石やパーライトなどを混ぜてみましょう。
鉢植えの場合、小粒の赤玉土と腐葉土、軽石(パーライト)を6:3:1で混ぜたものなどがおすすめです。
市販されている培養土を使えば手軽です。元肥が混ぜ込まれたものであれば、肥料を追加せずにそのまま使うことができます。
『ハイポネックス培養土 鉢・プランター用』は、元肥として緩効性肥料マグァンプKが配合されているため元肥を混ぜる手間がなく鉢栽培、プランター栽培に最適な培養土です。
種まき
タチアオイの種まき適期は3月~5月、8月~11月頃です。発芽適温が15℃~20℃程度のため、気温の合う時期を選んで種まきしましょう。
品種やお住まいの地域によって適切なタイミングが異なる場合があるため、説明書を読んでチェックすることが大切です。
品種によりますが、春に種まきを行うとその年の夏には花を楽しめることがあります。秋にまくと次の年の初夏から夏にかけて開花するでしょう。
春まきは開花までの期間が短く済むことがメリットです。秋まきは育苗期間が長いものの、しっかりと大きな株に育てられることがメリットといえます。
種まきの際、土は薄くかぶせます。育苗ポットひとつにつき2粒~3粒ずつまき、発芽したら元気なものを残して間引きましょう。
本葉が2枚~3枚ついたらお好きな鉢や花壇などへ植えつけられます。
植えつけ
タチアオイの苗の植えつけ適期は3月~4月の春、9月~11月の秋です。
育苗の手間を省きたい場合や育てる数が少ない場合などは、苗を購入して植えつけると良いでしょう。
ポットから苗を取り出すときは根鉢を崩さないようにします。根を傷つけないように気をつけて作業しましょう。
地植えする場合は根鉢よりも一回り以上大きな穴を掘り、苗を植えつけます。複数株を植える際は間隔を広めにとることがおすすめです。
移植を嫌うため、植えつけ後はなるべく動かさずに済むようにしっかりと場所を考えて決めましょう。
鉢植えする場合はひとつの鉢に一株を植えつけることが基本です。10号鉢程度のサイズが目安となります。
鉢やプランターの底には鉢底石を敷いて水はけを良くしましょう。植えつけ後は、根の活着促進のため植物用活力液『リキダス』を1,000倍に希釈してたっぷりと与えます。
植えつけから1週間ほどは水切れにならないよう気をつけて管理します。土の表面が乾いていたら水をあげましょう。
支柱立て
タチアオイは草丈が高くなるため、支柱を立てておくと安心です。
とくに、台風が来るときなどは強風で倒れてしまう可能性があるため、しっかりと支えてあげましょう。
強い風が吹く場所に植えた場合も、早めに支柱を立てることがおすすめです。
タチアオイ(ホリホック)の育て方|お手入れのポイント
タチアオイを植えつけたら、性質に合った方法でお手入れを続けていくことが大切です。
きれいな花をたくさん咲かせるために、お世話のコツを押さえておきましょう。
こちらでは、タチアオイの日々の管理方法について解説します。
水やり
タチアオイは過湿を嫌いますが、花をたくさん咲かせるためには水をしっかりと与える必要があります。
地植えの場合、根づいた後であれば降雨に任せ、水やりはしなくてもかまいません。
ただし、乾燥しやすい夏場などは、雨が降らない日が続くと極端に乾いてしまうことがあります。
その場合は必要に応じて水をあげましょう。
鉢植えの場合は土の表面が乾いたら水やりします。鉢の底から水が流れ出るほどたっぷりと与えましょう。
夏は土が乾きやすいため、1日2回の水やりが必要になることがあります。
鉢底皿を使用している場合、水をためたままにしておくと根腐れしてしまうことがあるため注意が必要です。
たまった水は捨てておきましょう。
また、夏の水やりは朝か夕方などの時間帯に行うことがポイントです。
気温が高くなる日中に水やりすると、根を傷める原因になることがあります。涼しい時間帯を選んで水を与えましょう。
肥料
植えつけの際は元肥として緩効性肥料『マグァンプK中粒』を土に混ぜ込みます。
『マグァンプK中粒』は、根からでる酸や土壌中の微生物の働きによって、肥料成分が溶出するため、肥料効果が約1年間持続する肥料です。
また根の肥料やけの心配が少ないので安心して土に混ぜ込むことができます。
多年草タイプで植えかえずに育てる場合は、春からの生育を促すため液体肥料や粒状肥料で追肥を行いします。
3月中旬~下旬に1週間~10日に1回の頻度で液体肥料『ハイポネックス原液』を与えます。
または、4月に緩効性肥料『プランティア花と野菜と果実の肥料』を株元にばらまきます。
『プランティア花と野菜と果実の肥料』は肥料効果が約2~3カ月間持続するので管理しやすくなるのでおすすめです。
病害虫対策
タチアオイ栽培で注意したい病害虫のひとつがアブラムシです。
とくに、春に柔らかい葉や新芽などを狙って発生することがあります。
数が少なければひとつずつ駆除できますが、大量発生すると大変です。専用の薬剤を使って駆除すると良いでしょう。
防除効果のある薬剤を使って発生を予防することもおすすめです。
アブラムシ虫の予防と退治には、『虫を予防するマグァンプD』がおすすめです。
『虫を予防するマグァンプD』は害虫の予防と退治と肥料やりが同時に行うことができます。
植えかえ
地植えの場合は基本的に植えっぱなしでも問題ありません。鉢植えの場合、1年~2年に1回の頻度で植えかえてあげましょう。
適期は植えつけと同じく春か秋です。古い土を落としてから新しい用土へ植えかえましょう。
このとき、株が大きく育っていた場合は株分けを行うこともできます。
花がら摘み
タチアオイは花穂の下から花を咲かせ、数日後にはしぼみます。咲き終わった花は、花茎ごと切り取っておきましょう。
放置していると種をつくりはじめ、次の開花に必要なエネルギーをとられてしまいます。
冬越し
タチアオイは耐寒性の強い植物ですが、寒さの厳しい地域では防寒対策をしておくことがおすすめです。
とくに、秋に種まきして冬越しさせる場合、苗が小さいうちは寒さによる被害で枯れてしまう可能性があります。
霜よけのため、株元をマルチングしておくと良いでしょう。敷き藁や腐葉土などを敷いておくと保温しやすくなります。
不織布をかけておいても良いでしょう。
また、冬の時期は水やりを午前中に済ませましょう。
夕方以降は気温もぐっと下がるため、水やりすると土が凍ってしまうことがあります。暖かいうちに水をあげることが大切です。
タチアオイ(ホリホック)の育て方|増やして楽しむ方法
タチアオイの寿命はそれほど長くはないため、何シーズンも楽しみたい場合は株を更新していくことがおすすめです。
株分けや種を採ってまくことなどで増やせるため、もっとタチアオイの栽培を楽しみたい方はチャレンジしてみましょう。
ここでは、タチアオイの増やし方や適期、準備するものなどをご紹介します。
株分け時期と準備するもの
株分けとは、植物の株を複数に分けることで、新しい株を増やす方法のことです。
大きく育った植物におすすめの方法で、親株と同じ特徴を持つ株を増やせるメリットがあります。
タチアオイの株分けの時期は3月~4月、10月~11月です。植えかえを兼ねて行うと良いでしょう。
また、株を切り分けるためによく切れる刃物を準備しておきます。園芸用のハサミやナイフなどでかまいません。
事前に汚れていないかチェックし、洗って消毒を済ませておきましょう。
鉢植えの場合は、分けた株を植える鉢と新しい用土も準備しておきます。
株分け方法
株分けの際は、タチアオイの根を傷めてしまわないように作業することがポイントです。
掘り上げるときはできるだけ根を傷つけないように注意しましょう。土を優しく落としたら、株を縦に分割していきます。
一株あたり芽が3つ~5つは残るように割りましょう。
株を分けたら、それぞれ別の植え穴を掘って植えつけてあげます。終わったらたっぷりと水をあげましょう。
根づくまでは水不足にならないよう気をつけて管理していきます。
また、しばらくの間は強い直射日光を避け、日陰で休ませることがおすすめです。
種の採取時期と準備するもの
タチアオイの花が終わると実ができ、種がつくられます。この種を採取してまくことで、新しい株を増やすことも可能です。
こぼれ種で咲くこともありますが、確実に咲かせたい場合は種を採ってまくことがおすすめです。
タチアオイの種ができるのは開花が終わった夏頃です。
種を採取したら、春もしくは秋の種まき適期が来るまで保管しておきます。保管に必要な紙袋を準備しておきましょう。
種の採取方法
種を採りたい場合は、開花時期が終わる頃になったら花がら摘みをストップします。
花がしぼんだ後も放置しておくと、だんだん枯れて茶色くなってきます。十分に熟したら摘み取って、中から種を取り出しましょう。
湿気が残っているとカビの原因になることがあるため、乾燥させてから保管します。
風で飛んでしまわないように注意しながら、日陰で乾かしましょう。その後は紙袋に入れ、直射日光の当たらない場所で保管しておきます。
種まき適期を迎えたら、お好きな鉢や花壇などに種をまいて育てていきます。
種まきの前夜に種を水につけ、吸水させてからまくことがおすすめです。
種まき後、順調にいけば2週間~3週間程度で発芽します。発芽直後は水切れしないように気をつけてお手入れしていきましょう。
おわりに
梅雨の時期から夏にかけて花を咲かせるタチアオイは、丈夫で育てやすい植物のひとつです。
根づいた後は頻繁に水やりする必要もなく、雨が降るのに任せることができます。
草丈が高いため、倒れないように支柱を立ててあげることがポイントのひとつです。
次々に花が咲くため、開花時期には花がら摘みも行いましょう。
また、タチアオイは種まきや株分けなどで更新しながら育てていくこともできます。
お好きな方はぜひお庭やベランダに植えて、毎年の開花を楽しみに管理していきましょう。
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