蓮(ハス)の育て方|栽培の始め方や日々の管理のコツ、増やし方
水底の土から芽を伸ばし、神秘的な花を咲かせる蓮(ハス)。
ご自宅で育てるためには、蓮ならではの栽培のポイントを確かめておくことが大切です。ぜひお庭やベランダで育てて、きれいな蓮の開花を楽しみましょう。
今回は、蓮の特徴や基本的な育て方、増やし方などについてご紹介します。
蓮(ハス)の育て方|特徴や魅力
蓮は7月~9月に開花する多年草です。水生植物であり、池や沼などに自生しています。水底の土の中に塊茎をつくり、茎を伸ばして水面に葉を浮かべ、花を咲かせることが特徴です。自宅でも、樽や甕などで水を張って育てることができます。
蓮の塊茎はレンコンとして食べることができます。ただ、花の観賞用の品種はそれほど大きな塊茎をつくりません。レンコンを収穫したい場合は、食用の品種を育てたほうが良いでしょう。
蓮の栽培カレンダー
蓮を植えつけた後は茎が伸び、水面に「浮葉(うきは)」が広がることが特徴です。そこからさらに茎が伸び、1カ月ほど経つと水面よりも上に立葉(たちは)がつきます。開花時期を前にすると水面から花芽が出てきて、20日ほどで美しい花を咲かせます。
蓮の花が咲くのは早朝で、昼が来るまでには閉じてしまいます。開花が始まったら早起きして、ゆっくりと花の観賞を楽しみましょう。
夏が過ぎて気温が下がると「止め葉(とめは)」と呼ばれる葉が出て、茎も伸びなくなります。秋から冬にかけて全体が茶色く枯れていき、休眠に入ります。
春になると再び芽が伸び、夏の開花へ向けて生長していきます。適切にお手入れすることで、何年も花を楽しむことができるでしょう。
蓮(ハス)の育て方|基本的な栽培のコツ
水をためられる容器があれば、池がなくても蓮を育てることができます。ぜひご自宅に植えてみましょう。
こちらでは、蓮の基本的な育て方をご紹介します。
蓮の好む栽培環境
蓮は自生地のように水場で栽培することになります。日陰ではうまく花が咲かないことがあるため、日当たりの良い場所で管理しましょう。
また、蓮栽培では多くの水をこまめに与える必要があります。水道の近くなど、水の管理をしやすい場所に置くこともおすすめです。
準備する容器
蓮を育てるときは、植木鉢ではなく穴のあいていない容器を使います。品種によりますが、直径20cm~40cm程度が目安です。
大型品種を育てる場合は直径50cm~60cmあると良いでしょう。容器の口は広めのほうが管理しやすいため、形状もチェックすることがおすすめです。
土づくり
蓮を育てる用土は粘土質で、肥沃なものが適しています。水田用の田土や、腐葉土を1割~2割混ぜた赤玉土などが使えます。配合の手間を省きたい場合は、専用用土を購入して使うこともひとつの手です。元肥として少量の『マグァンプK大粒』を土に混ぜ込みましょう。
水生植物の元肥として、水溶性の肥料は元肥として使用できませんが、『マグァンプK大粒』は、一粒の中には、水に溶ける成分と水に溶けない成分(根から出る酸や微生物の働きで溶ける有効成分)が含まれています。
このしくみにより、土に1回混ぜ込むだけで長く効き、植物に対する安全性が高いので、直接根にふれても肥料やけの心配も少なく、水生植物の元肥としてもご使用いただけます。
植えつけ
蓮の植えつけ適期は3月頃です。塊茎を入手して植えつける方法が一般的です。
植えつけの際は容器の半分~6割程度まで土を入れます。その際に元肥として少量の『マグァンプK大粒』を土に混ぜ込みましょう。
塊茎を植える場合、新芽のついている部分が上になるように調整しましょう。根が浮いてこない程度に浅めに植えつけます。
植えつけ終えたら容器に水を張ります。水位は10cm~20cmほどが目安です。
水の管理
蓮を元気に育てるためには水の管理が重要です。立葉が出るようになったら容器が満杯になるまで水を張るようにしましょう。減った分をつぎ足すように水をそそいでいきます。
夏場は気温が高くなるほか、葉の数も増えてくるため、水が不足しやすくなります。水切れしないよう、こまめに水を張りましょう。
冬は葉が枯れてなくなるため、頻繁に水やりする必要はなくなります。鉢を水で満杯にしなくても問題ありません。雨の当たる場所に置いている場合は、降雨に任せることができます。ただし、凍結には注意しましょう。
また、蓮の栽培中にボウフラが発生してしまうことがあります。その場合はすぐに新しい水へ交換しましょう。藻が生じた場合は適宜取り除きます。
肥料
植えつけの際は元肥として緩効性肥料『マグァンプK大粒』を土に混ぜ込みます。生育期間の4月~9月にかけて追肥を行います。追肥にもおなじく緩効性肥料『マグァンプK大粒』を、土に混ぜ込みます。
植えかえ
蓮は毎年植えかえることがおすすめです。そのままにしておくと土の中が混雑し、花がつきにくくなる可能性があります。3月頃になったら植えかえを行いましょう。
塊茎を掘り上げたら3節~4節に切ってから再び植えつけましょう。新芽の部分は傷つけないよう、丁寧に作業することがポイントです。また、塊茎が乾いてしまわないように素早く植えかえを済ませましょう。
枯れ葉取り
気温が下がり、茎や葉が枯れてきたら摘み取っておきましょう。放置しておくと病気の原因になることがあります。
また、レンコンを収穫したい場合は、花後に種ができるのを防ぐことで、根を太らせることができます。花が終わったら花茎ごと切り取っておくと良いでしょう。
蓮(ハス)の育て方|増やして楽しむ方法
蓮の花は株分けや種まきなどで増やすこともできます。最後に、蓮の増やし方についてご紹介します。
株分け
株分けは植えかえのついでに行えます。容器から根を取り出す際は容器をひっくり返しますが、芽を折ってしまわないように気をつけましょう。根についた古い土は洗い落とします。
蓮の塊茎は容器の形にそってぐるりと巻かれたような形状に伸びています。傷つけないように気をつけながら根を整理していきましょう。黒ずんだところや細すぎる部分は取り除いてかまいません。株分けには新しく伸びた部分を使い、古くなったところはカットしましょう。
また、株分けの際はなるべく太く育ち、新芽のついている部分を3節~4節で切ります。細いものを植えつけても、その年には花が咲かないことがあるため注意が必要です。
作業の際、塊茎を手で折らないように気をつけましょう。よく切れる清潔な刃物を使って、きれいに切ることがおすすめです。
切り分けた株は、植えつけ時と同様に容器へ植えていきます。水を張って芽が伸びてくるのを待ちましょう。
種の採取
蓮の花が咲き終わったら花びらが散り、花托と呼ばれるハチの巣に似た部分が残ります。花托にはいくつもの穴があいており、その中に蓮の種ができます。
種を採取しやすいのは花托が乾燥してからです。ただ、完全に乾燥してしまうと種がこぼれ落ちてしまうため、乾ききる前に摘み取って種を採ったほうが良いでしょう。採取した後は1週間ほどかけて乾燥させて保存しておきます。
蓮の種まき適期は4月~5月です。気温が低すぎると生育が止まってしまうため、暖かくなってから種まきを行いましょう。
蓮の種を発芽させるためには、やすりで表面の一部を削ることがポイントです。硬くて少々時間はかかりますが、内側にある乳白色の部分が見える程度まで削りましょう。
削り終わったら水を入れたコップなどに浸け、発芽するまで待ちます。水が汚れてきたらすぐにきれいなものに取り換えましょう。
順調にいけば3日ほどで発芽します。芽はぐんぐんと伸び、10日~2週間ほどで植えつけ可能になります。
種から育てた蓮が開花するのは、基本的に植えつけの翌年以降となります。大型品種の場合はさらに年数がかかることもあるため、気長に育てていくことがコツです。
おわりに
蓮の栽培は難しいイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、ポイントを押さえればご自宅でも育てることができます。水の管理を行いながら丁寧に育てていけば、夏に美しい花を咲かせてくれるでしょう。
植えかえや株分けなどの手入れを行うことで、長く育てていくことも可能です。お好きな方はぜひ植えて、毎年の開花を楽しみに管理していきましょう。