アルメリアの育て方|栽培の基本や増やし方、注意点
アルメリアは海岸や岩場などに自生する花で、乾燥に強い性質を持ちます。ボールのような形の可愛らしい花の姿が大きな魅力です。
お好きな品種を探して、ぜひご自宅で栽培にチャレンジしてみましょう。
今回は、アルメリアの特徴や基本の育て方、増やし方などについてご紹介します。
アルメリアの基礎知識
アルメリアはヨーロッパや北アフリカなどが原産の多年草です。3月~5月の春の時期に花を咲かせます。草丈は品種によって5cm~60cmと幅があり、花の大きさも異なります。花の色は白やピンク、赤などです。
アルメリアは小さな花がボール状に集まって咲くことが大きな特徴です。ポンポンとした毬のような形は素朴な可愛らしさにあふれています。
葉は細長く、株元からたくさん茂ります。花数の多さも魅力で、花茎をたくさん伸ばして一株に多くの花をつけてくれます。
すらりと伸びた茎の先端に丸い花が咲く姿はかんざしに似ており、「ハマカンザシ(浜簪)」と呼ばれることもあります。花の質感は同じイソマツ科のスターチスとも似ており、かさかさとした感触です。
また、アルメリアは自生地では海岸や岩場などに自生しているものもあり、乾燥や潮風にも強いことが特徴です。傾斜地や砂利の敷かれた庭、砂地などでも育てやすいでしょう。敷石の間や花壇の縁など、さまざまな場所に植えることができます。ロックガーデンの彩りとして育てることもおすすめです。
アルメリアの育て方|基本的な栽培方法
アルメリアは丈夫で育てやすい植物のひとつです。お好きな方はぜひご自宅で育ててみましょう。こちらでは、アルメリアの基本的な育て方をご紹介します。
アルメリアの好む栽培環境
アルメリアは日当たりと水はけの良い場所で元気に育ちます。日差しが少ないとうまく育たないこともあるため、なるべく日なたへ植えましょう。
乾燥に強い反面、蒸れに弱いため多湿にならないように注意が必要です。とくに高温期には蒸れやすくなるため、風通しの良い涼しい場所を選びましょう。
土づくり
アルメリアを育てる土は水はけの良さが必要とされます。市販の草花用培養土も利用できますが、2~3割ほど鹿沼土や軽石を混ぜて排水性を高めておくと良いでしょう。高山性の品種を育てる場合は山野草用の培養土を使うことがおすすめです。
『ハイポネックス培養土 鉢・プランター用』は、元肥として緩効性肥料マグァンプKが配合されているため元肥を混ぜる手間がなく鉢栽培、プランター栽培に最適な培養土です。
また、アルメリアは直根性であり、土の深くまで根をまっすぐ伸ばします。地植えする場合は深いところまで掘り返して耕しておきましょう。
種まき
アルメリアの種まき適期は4月~5月、10月頃です。セルトレーなどにまき、本葉が2枚~3枚ほどつく頃に育苗ポットへ植えかえると良いでしょう。
種はとても小さいため、風で飛ばされたり雨で流されたりしないように注意が必要です。水やりの際は霧吹きで優しく水を吹きつけましょう。好光性種子のため、土は薄くかぶせる程度にとどめます。
また、アルメリアの育苗期間は長めで、種まきした翌春に開花することが基本です。たとえば、秋に種まきした場合は冬を越し、春になってから花を咲かせることになります。育苗の手間を省きたい場合は苗を購入して植えつけることがおすすめです。
植えつけ
アルメリアの苗の植えつけ適期は3月~5月、10月~11月頃です。苗の根鉢は軽く崩してから植えつけることができます。ただし、根は傷めないように気をつけながら土をほぐしましょう。複数株を植える場合、株間は20cmほどとります。
植えつけの際は元肥として緩効性肥料『マグァンプK中粒』を土に混ぜ込みます。
植えつけの直後は水切れしないように管理を行います。植えつけ後は、根の活着促進のため植物用活力液『リキダス』を1,000倍に希釈してたっぷりと与えます。
水やり
アルメリアは過湿にならないように管理することがポイントです。地植えの場合、根づいてからは基本的に降雨に任せます。雨が降らずに乾燥した日が続いたら水をあげましょう。
鉢植えの場合は基本的に土の表面が乾いてから水を与えます。ただし、春の生育期から開花中にかけては、通常よりも水をたくさん必要とするため注意が必要です。土の表面が乾き始めたら水やりしましょう。
開花が終わったら再び水やり頻度を戻していきます。土の表面がしっかりと乾くまで待ってから水を与えましょう。
また、夏の時期は乾燥しやすいため水やりの頻度が増えることがあります。日中に水をあげると蒸れやすくなるため、朝の早い時間帯か夕方頃に水を与えましょう。
反対に、土が乾きにくくなる冬場は水のあげすぎに注意が必要です。夜間に気温が低くなるため、夕方以降の水やりは避けて午前中に与えましょう。
肥料
植えつけの際は元肥として緩効性肥料『マグァンプK中粒』を土に混ぜ込みます。
10月~11月、3月~4月に追肥を行いましょう。ただし、夏の高温期に肥料分が残っていると、株が弱ってしまう原因になるため注意が必要です。秋はバラまくだけで肥料効果が約2~3カ月間持続する緩効性肥料『プランティア花と野菜と果実の肥料』がおすすめです。
春は速効性の液体肥料『ハイポネックス原液』を1週間~10日に1回程度の頻度であたえるとより丈夫な株に生長します。
花がら摘み
アルメリアの開花が終わった後、花がらをそのままにしておくと株が消耗してしまうことがあります。灰色かび病などの原因になることもあるため、花を長く楽しみたい場合は、こまめに花がら摘みを行いましょう。咲き終わったところは花茎ごとカットして問題ありません。
アルメリアの育て方|増やし方やポイント
アルメリアは何シーズンも育てられる多年草ですが、大きく育つと蒸れやすくなり、中心から枯れてきてしまうことがあります。枯死してしまう前に、株分けや挿し芽などの方法で株を更新することがおすすめです。最後に、アルメリアを増やす方法をご紹介します。
株分け
株分けとは植物を複数に分けて増やす方法のことです。大きく育ったものを株分けすることで、再び小さくして育てることもできます。地植えも鉢植えも、1年に1回は植えかえを兼ねて株分けし、株を更新すると良いでしょう。
アルメリアの植えかえや株分けの適期は秋頃です。根を掘り上げたら、縦に割いて分けましょう。分けるときは、株それぞれに芽を残すことがポイントです。
分けた株は別々に植えつけます。水をあげながら今までと同じように育てていきましょう。
挿し芽
アルメリアは挿し芽でも増やすことができます。挿し芽とは植物の茎や根などを切り取って土に挿し、発根させて株を増やす方法です。株分けでは増やせる数も少なくなりますが、より多く増やしたいときには挿し芽が向いています。
アルメリアの挿し芽をするときは、茎をカットして挿し穂とします。肥料が含まれていない土を準備して挿しましょう。市販されている挿し木用培養土のほか、余っているパーライトや赤玉土などを使うことができます。
発根するまでは水切れしないように気をつけながら日陰で管理します。根が張ったら鉢や花壇などへ植えかえて育てていきましょう。
種の採取
アルメリアは、種を採ってまくことでも増やせます。株分けや挿し芽は親株と同じ性質の株を増やせますが、種まきの場合は異なる性質を持つ株になることもある点に留意しましょう。
また、アルメリアは自家受粉しにくいため、種を採りたいときは違う株をいくつか植えておくことがおすすめです。種をつくらないケースも多いため、基本は株分けで増やしたほうが良いでしょう。
種を採取する場合は、花後の花がら摘みをせずに放置しておきます。種が熟したら取り出して、種まき適期の春か秋にまいてあげましょう。
おわりに
アルメリアは丈夫で育てやすく、開花期間も長い花です。水はけや風通し、日当たりなどの条件が良ければ、砂利の敷かれた庭などでも育てることができます。ガーデニング初心者にもおすすめのため、ぜひご自宅に植えて栽培し、春の開花を楽しみに待ちましょう。