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ポポーの育て方| 水やりや剪定の方法など育て方についてご紹介します

ポポーの育て方| 水やりや剪定の方法など育て方についてご紹介します

庭木として人気の「ポポー」は、北アメリカ東部を原産とする落葉性の果樹です。

上手に育てられると2mを超える高さまで生長し、開花時期にはチョコレート色の大きな花を咲かせます。樹齢数年を超えるポポーは秋になると実をつけ、食用としてユニークな味わいを楽しむことも可能です。

今回は「幻のフルーツ」とも呼ばれるポポーの概要とともに、肥料や水やりのタイミング、つぎ木の方法といった育て方のポイントを紹介します。

ポポーの基本情報

ポポーは北アメリカ東部原産の植物で、日本には明治時代に伝わりました。公園や果樹園などで、ポポーの樹木を目にしたことがある方もいるかもしれません。

秋になると収穫できるポポーの楕円形の大きな実は、トロピカルでクリーミーな味わいから「森のカスタードクリーム」とも呼ばれています。「バナナとプリンを足して割ったような味」、「バナナとマンゴーを混ぜたような味」など、食べる人によって抱く印象は異なるようです。

ポポーの特徴

ポポーは、バンレイシ科アシミナ属の温暖な気候を好む植物です。耐寒性があるため、日本全国で広く普及しています。植えつけから2年ほどはゆるやかに生長しますが、3年を超えると樹高や枝がぐんぐん伸びます。高さが3m~10mになる木も出てくるのがポポーの特徴です。

ポポーの花は、シックなチョコレート色をしています。3月下旬~5月上旬にかけて開花します。ポポーは雌雄同株ですが、雌しべと雄しべが時間差で成熟します。そのため、1株だけではなかなか受粉しません。

ポポーの結実を安定させたい場合は、2本以上の株を育てる、つぎ木で異品種を混植する、といった方法をとるのが一般的です。育てた実は、9月中旬~10月中旬にかけて収穫できます。

ポポーの主な品種

ポポーの品種は、10種類以上あります。品種により実の大きさや香り、甘さがそれぞれ異なります。ここではポポーの代表的な品種を挙げながら、特徴を紹介します。

<品種の例>

  • オーバーリース・・・ミシガン州生まれで、実の甘さが特徴です。
  • ウェールズ・・・インディアナ州生まれで、実がオレンジ色をしています。
  • サンフラワー・・・カンザス州生まれで、種が少ないのが特徴です。
  • マンゴー・・・ジョージア州生まれで、生長が早く、実が大きくなります。
  • ミッチェル・・・イリノイ州生まれで、実が巨大で、黄色をしています。
  • レベッカゴールド・・・カリフォルニア州育ちで、実がさっぱりとしているのが特徴です。
  • デービス・・・ミシガン州生まれで、実はきれいな卵型で甘みが強いです。

このようにポポーの品種は多岐にわたり、日本国内でも苗木店でさまざまな種類が手に入ります。日本では、実がオレンジ色のウェールズはとくに広く知られています。

ポポーの栽培スケジュール

ポポーの育て方は1種類ではなく、種からも苗木からも栽培できます。家庭においては、苗木から育てる方法が一般的でしょう。栽培スケジュールは以下で紹介する内容を参考にしてください。

<ポポーの栽培スケジュールの目安>

  • 種まき・・・5月~7月
  • 植えつけ・・・11月~2月
  • 植えかえ・・・11月~2月(2〜3年に1度のペース)
  • つぎ木・・・3月~4月または8月
  • 根ざし・・・3月~4月

ポポーを種から育てて発芽させる場合は、寒い場所で保管したのち25℃以上の温かい環境を経験させることが必要です。そのため、種まきは5月〜7月頃が適しています。苗から育てる場合は、11月~2月に鉢か地面に植えつけましょう。

鉢植えで育てる場合は、生長にあわせて2、3年に1度のペースで植えかえも必要です。時期は植えつけ時期と同様に、11月~2月を目安としましょう。

つぎ木や根ざしでポポーを増やす際は、休眠枝つぎであれば3月~4月、緑枝つぎであれば8月に行います。根ざしは、3月~4月が適期です。

ポポーの育て方のポイント

ポポーは寒さに強く、栽培しやすい植物です。ここからは、ポポーに適した地域や用土、日当たりなど育て方のポイントについてまとめています。

ポポー栽培に最適な地域

ポポーは温暖な環境を好む植物ですが、耐寒性もあるため、日本国内であればどの地域でも栽培できるのが特徴です。年間を通して屋外で問題なく育ち、冬場は室内に入れるといった特別な気温管理も必要ありません。

ポポーの種類のなかには、-30℃という過酷な気温条件に耐えられる品種もあるほどです。

ポポー栽培に適した用土

ポポーの栽培に適しているのは、水はけのよさと水持ちのよさを兼ね備えているバランスのいい用土です。ポポーは乾燥に弱いため、根の発生を促せるような有機物を多く含んでいる土壌で育てましょう。ポポーはサラサラとした土よりも、やや粘土質な土を好みます。

ポポーを鉢植えで育てる場合

鉢植えで育てる際は、市販の園芸用培養土と赤玉土を1:1の割合で混ぜて使うとよいでしょう。園芸用培養土を使わない場合は、赤玉土と腐葉土を7:3または8:2の割合で混ぜるのがおすすめです。

ポポーを地植えで育てる場合

ポポーを地植えで育てる場合は、深さ30cmほど耕した土に、腐葉土を2~3割を目安に混ぜておきます。

ポポーに必要な日当たり

ポポーは日光を好む植物のため、栽培の際は日当たりのよい場所を選びましょう。日当たりのよさと同時に、風通しがよい環境を選ぶのもポイントです。

ポポーの植えつけ

ポポーの植えつけは、落葉期の11月~2月が適しています。太い根に傷がつくと枯れやすいため、根の周りの土を落とさずに植えるのがコツです。

ポポーは、2品種以上の混植で育てるのがおすすめです。地植えで育てる場合は、5mほどの間隔をとって植えていきます。限られたスペースで栽培する際は、2m間隔でも問題ありません。

鉢植えで育てる場合は、ポポーの苗をまずは6号または7号の鉢に植えつけましょう。2、3年ごとにひと回り大きな鉢への植えかえを繰り返し、最終的には13号の鉢で育てることを目指します。

ポポーは、植えつけから2年程度は生長がゆるやかに進みます。しかし、3年目以降は樹高も枝も元気よく伸びていく特徴があります。

ポポーの水やりの量やタイミング

ポポーは、乾燥した環境が苦手です。水が不足すると枯れやすいため、鉢植えで育てる場合はこまめな水やりが必要です。「土の表面が乾いたな」と感じたら、鉢底にある穴から流れ出るくらい十分に水を与えましょう。

夏場の水やり

夏場は、朝夕2回に分けてポポーに水やりをします。とくに幼木の時期は、水切れを起こさないように注意が必要です。

地植えで育てる場合の水やり

ポポーを地植えで育てる場合は、基本的に水やりは必須ではありません。「夏場に日照りが続いた」、「ひどい乾燥が気になる」といったタイミングのみの水やりで問題なく生長します。

ポポーの肥料の与え方

ポポーの栽培に適した肥料は、骨粉や油粕といった有機肥料、または緩効性化成肥料です。鉢植えと地植えでは追肥を与える時期が少し異なります。

鉢植えの場合は年3回、2月、5月、10月頃を目安に与えましょう。追肥にはバラまくだけで肥料効果が約2~3カ月間持続する『プランティア花と野菜と果実の肥料』がおすすめです。

地植えで育てる場合は年2回で、2月に寒肥と収穫後の10月頃にお礼肥えとして追肥(肥料)を与えるのが目安です。寒肥には堆肥と肥料成分がペレット状にひとつになった『土を豊かにする肥料』がおすすめです。

『土を豊かにする肥料』は、肥料効果と同時に土の中の微生物の働きをうながします。

10月の追肥には植物の生育に必要な成分をバランス良く配合した有機入り緩効性肥料『Plantia (プランティア)花と野菜と果実の肥料』がおすすめです。

ポポーの剪定や時期や方法について

ここからは、ポポーの剪定について紹介します。ポポーの剪定は、基本的に葉が落ちている冬期に行います。具体的には、12月~2月を目安としましょう。

ポポーの実の収穫を想定している場合は、夏にも剪定作業をします。膨らみだした実に、葉や枝が触れて変色したり傷ついたりしないように、実の生長とともに邪魔となりそうな葉や枝を落としていきましょう。時期としては、葉がまだ柔らかくて実がつきはじめる6月頃が目安です。

仕立てのやり方

ポポーの仕立ては、鉢植えも地植えも主幹を途中で切り戻し、側枝を伸ばす「変則主幹形」がおすすめです。基本的に植えつけから2、3年は生長がゆるやかで実もつかないため、剪定の必要はありません。

その後は、ポポーが大きく生長してきたら樹高2mほどを目指して育てます。樹冠が広がりすぎないように、枝先は強めに切り返すのが仕立てのコツです。

剪定のやり方

ポポーの剪定のやり方を冬場と夏場でわけて紹介します。

<冬場の剪定>

ポポーの剪定は、高さが2m~2.5m程度におさまるようにしましょう。ポポーは剪定をしないと大きく茂り、10mに達するケースもあります。そのため、樹高が高すぎてしまうと風で木が大きく揺れて実が落ちたり、幹や枝が途中で折れたりして危険です。

ポポーは前年のうちに伸びた枝の基部から、中間部にかけて花芽をつけます。そのため、伸びすぎた枝は切り詰めます。コンパクトにまとめても、ポポーに花が咲かなくなる心配はありません。幹までしっかり日光が当たるように、枯れ枝や交差している枝や、密集して伸びる枝も間引きしていきましょう。

<夏場の剪定>

ポポーの実の収穫を想定して剪定を行う際は、果実が大きく実ったときに触れる可能性がある葉や枝を切っていきます。実が見えないほど葉が茂っていたら、実の位置や大きさを考慮しながら剪定用のハサミでとり除きましょう。

樹勢が強く上向きに生えた枝も、実がなりにくく、生長とともに日陰を作ってしまうため、剪定をする際に切り落として大丈夫です。

夏場に太い枝を剪定すると、切り落とした部分から雑菌が入るリスクがあります。そのため、夏場の剪定には癒合材を用意しましょう。枝の切り口に癒合剤をたっぷりと塗るようにしましょう。

<台芽の除去>

ポポーに台芽が発生していたら、剪定の際に除去しましょう。台芽は地上部が弱ると発生しやすいため、都度注意して観察しましょう。

ポポーの収穫

ポポーの実は、ねっとりとしたクリーミーな味わいを楽しめます。実の収穫を想定して育てる場合は、実つきをよくするために人工授粉や摘果といった対策を取り入れましょう。ここからは、実の育て方のコツを紹介します。

人工授粉の方法

ポポーは、1株ではなかなか受粉しません。そのため、2つの品種を2本並べて植えるほか、人工授粉もおすすめの対策です。人工授粉をする際は花の雄しべから筆で花粉をとり、授粉適期の雌しべにつけましょう。

<雄しべ・雌しべの見極めポイント>

ポポーの花の構造は、花の先端が雌しべで、雌しべの付け根あたりが雄しべです。花粉が出ている花は雌しべが黒ずんでいて、授粉適期の花はみずみずしく、雌しべの先端から粘液が出ています。

<人工授粉の手順>

  • 雌しべが黒ずんだ花から花粉をとる
  • 雌しべの先端から粘液が出ているみずみずしい花の雄しべに花粉をつける

雌しべと雄しべの成熟には時間差があるため、受粉期の花を見極めることが重要です。

摘果のポイント

ポポーの収穫を視野に入れている場合は、剪定で不要な枝や葉を取り除くだけでなく、摘果も随時行いましょう。

ポポーは、ひとつの花に4個から5個の果実が生ります。果実が小さい6月頃から間引く実を見極め、的確に摘果を進めるのが大きくて甘い実を育てるコツです。摘果のポイントは、ぜひ以下を参考にしてください。

<摘果のポイント>

  • 生長したときに枝に当たりそうな位置の実を切り落とします。
  • ひとつの軸からまとまって実が生っている場合は3個程度まで間引きます。
  • 軸が細い実を落とし、軸が太い実のみ残します。
  • 小さい、形が悪い、といった実は落とします。
  • 1本の枝の複数個所に実があれば、先端の実を落として根元にある実のみ残します。

収穫の時期とポイント

ポポーの実は、9月下旬~10月中旬にかけて収穫時期を迎えます。成熟期の熟したポポーの果は自然に落下するため、じっくり待ちましょう。落下する前に手にしたい場合は、果皮の緑色が抜けてきたタイミングを見極めて収穫します。

収穫したのち、2~3日追熟させれば食べ頃になります。すぐに食べない場合は、冷蔵庫で保存すると日持ちします。

ポポーの増やし方

ポポーを増殖させたいときは、つぎ木や根ざしを行います。タイミングとしては、植えつけから4~5年後が目安です。休眠枝つぎであれば3月~4月、緑枝つぎであれば8月に行いましょう。根ざしは、3月~4月頃を目安に行います。

つぎ木のやり方

つぎ木は、植物同士を接着して新たな個体にすることで、ポポーの増やし方としてメジャーな方法のひとつです。つぎ木をする際は、土台となる「台木」のポポーに加え、接着する「穂木(ポポーの枝)」、剪定ハサミやつぎ木用のナイフ、つぎ木用のテープを準備します。

<つぎ木の手順>

  • 穂木を剪定ハサミやつぎ木用のナイフでカットし、形成層を出します。
  • 穂木を適度な長さ(3 cm~5cm、または好みの長さ)にカットします。
  • 台木を剪定ハサミやつぎ木用のナイフでカットし、形成層を出します。
  • 形成層同士をあわせるように、台木に穂木を挿し込みます。
  • つぎ木用のテープを巻いてつないだ部分を保護します。

穂木と台木の形成層をあわせるように、しっかりつなぐのがポイントです。つぎ木が成功した場合は、3週間ほど経過すると新芽が伸びてきます。穂木が枯れてしまった場合は失敗です。

ビニールテープなど、つぎ木専用ではないテープを使用する場合は、芽が出はじめたら切り込みを入れましょう。つぎ木用のテープを使用する場合は、つぎ木後の特別な手入れは必要ありません。

根ざしのやり方

根ざしとは、植物の根を切り取り、土へ挿して繁殖させる方法です。ポポーを根ざしで増やす場合は、3月~4月を目安に行いましょう。種子から真下方向に出たごぼう根を取り、適した大きさの鉢植えに湿った土を用意して植えつけます。

<根ざしのポイント>

  • 根は鉛筆の太さ以上のサイズを選びます。
  • 根を挿す際は先端を約5cm出しておきます。

土が乾燥しないよう気をつけて、新芽が伸びてくるのを待ちましょう。

ポポー栽培で気をつけたい病害虫

ポポーは比較的害虫がつきにくい果樹で、無農薬でも栽培可能です。しかし、葉や枝にはミノムシのような蛾の幼虫やカイガラムシがつくことがあります。

また、アブラムシの存在も油断できません。アブラムシは茎や新芽、若い葉の裏につき吸汁してポポーを弱らせるため、発見したら早めに駆除しましょう。注意したい時期は、春から秋にかけてです。

まとめ

ポポーは、耐寒性がある植物です。日本国内であれば基本的にどの地域でも育つため、庭木として人気がある果樹です。ポポーの赤褐色の花は見応えがあり、実が生れば食べて楽しめます。

ポポーの育て方も比較的シンプルで、農薬散布などの手間がかかりません。そのため、園芸初心者の方にもチャレンジしやすい樹木といえるでしょう。ポポーは3年以上育てると大きく茂り、存在感が増します。コツを掴んで栽培し、庭やオープンスペースを彩ってみてはいかがでしょうか。

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