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柑橘類の育て方!種類や栽培のコツをご紹介します

柑橘類の育て方!種類や栽培のコツをご紹介します

「花と果実の両方を楽しめる果樹の栽培に興味がある」という方は多いのではないでしょうか。

しかし、ひとくちに果樹といっても、どのような種類を選べばいいのかわからないと思っている方もいるでしょう。

そこで今回は、果樹のなかでもお手入れが簡単で、初心者にもおすすめの「柑橘類」について紹介します。

さらに育て方や収穫のコツ、栽培の際に気をつけたいポイントをわかりやすく解説しています。果樹の栽培に挑戦したい方はぜひ参考にしてください。

柑橘類とは

まずは柑橘類とはどのような果樹なのか、紹介します。

柑橘類の概要と特徴

柑橘類はミカン科ミカン亜科のうち、カンキツ属・キンカン属およびカラタチ属に属している植物です。

柑橘類の大きな特徴は、果実の甘酸っぱい味わいと爽やかな香りです。生で食べるのはもちろん、ジュースなどの加工品や料理の香りづけなどで幅広く使われています。

柑橘類の主な産地

柑橘類は温暖な気候を好む植物であるため、多くの種類の原産地はインド北東部の「アッサム地方」を中心とする東南アジアとされています。

現在は、世界各国でさまざまな種類の柑橘類が栽培されています。日本では愛媛県や熊本県、宮崎県、静岡県などが主な産地です。

柑橘類の魅力

柑橘類の魅力のひとつが、冬に収穫できる点です。ほかの果物が育ちにくい寒い時期に収穫して、おいしい果実が食べられます。

また、地植えではなく鉢植えでも育てられるため、限られたスペースでも栽培を楽しめるでしょう。

さらに、寒い冬でも青々とした葉っぱが生い茂るため、冬場は草木が枯れて庭やガーデニングスペースが寂しくなるという事態を防いでくれます。

柑橘類の種類

柑橘類は、「カンキツ属」、「キンカン属」、「カラタチ属」の3つのカテゴリーに分類されます。それぞれの種類の特徴と、代表的な品種を紹介します。

カンキツ属

カンキツ属は、馴染みのある食べられる柑橘類が多く所属しているカテゴリーです。品種によって皮の厚さや果肉の味わい、色が大きく異なります。

また、沖縄のシークヮーサーのように、特定の地域を中心に栽培されている品種も少なくありません。カンキツ属のなかでも、とくに有名なものが以下の7種類です。

カンキツ属の主な種類

  • みかん類
  • オレンジ類
  • グレープフルーツ類
  • ブンタン類
  • タンゴール類
  • タンゼロ類
  • 香酸柑橘類
  • 雑柑類

それぞれの特徴と代表的な品種を紹介します。

みかん類

皮がやわらかく手で簡単にむける種類で、代表的な品種が「温州みかん」です。有田みかんや紀州みかんなど、産地の名前が付けられているブランドみかんも多数栽培されています。

一般的に「みかん」は、この温州みかんを指すことが多いでしょう。みかん類に分類される柑橘は温州みかんのほかに、ポンカンやタチバナ、コウシなどがあります。

オレンジ類

オレンジ類は、世界中で親しまれている柑橘です。国内では広島県や静岡県で栽培されていますが、日本で食べられているオレンジはほとんどが輸入品です。

オレンジ類はみかん類よりも皮が分厚いのが特徴で、生でも食べられる「スイートオレンジ」と、酸味が強く主に加工用として使われる「サワーオレンジ」の2種類があります。

世界の柑橘類総生産量のおよそ7割を占めているのがスイートオレンジで、代表的な品種が「バレンシアオレンジ」や「ネーブルオレンジ」です。

サワーオレンジの主な品種には、お正月のしめ飾りに使われる「ダイダイ(橙)」や「ベルガモット」などがあります。

グレープフルーツ類

グレープフルーツは、1本の枝に多くの果実をつける柑橘です。実がなっている姿がまるでブドウのように見えることから、「グレープ(ぶどう)フルーツ」と名づけられました。甘味よりも酸味が強く、非常にジューシーな果実が特徴です。

果肉が薄いクリーム系のものが「マーシュ」、ピンク系のものが「ルビー」と、果肉の色によって種類が分けられています。

グレープフルーツは、亜熱帯地域原産の果樹です。そのため日本での栽培は難しく、限られた地域でしか作られていません。そのため、日本国内で流通しているもののおよそ99%が輸入品です。

ブンタン類

柑橘類のなかでもっとも果実が大きいものがブンタン類で、果汁が多く酸味が少ない淡白な味わいが特徴です。果皮は鮮やかな黄色で、内側に分厚く白い綿を有しています。

ブンタン類はビタミンCやクエン酸が豊富で、ナリンギンという独特の苦みを感じる成分も入っています。

原産国はインドネシア付近だといわれており、現在は日本および東南アジアで広く栽培されています。代表的な品種は高知県で栽培される「土佐分担」や、柑橘の中でも最大クラスの「晩白柚(バンペイユ)」です。

タンゴール類

みかん類とオレンジ類が交雑してできた種類です。みかんの英語名は「tangerine(タンジェリン)」と「orange(オレンジ)」の一部を組み合わせ、「tang+or」から「tangor(タンゴール)」という名前になったといわれています。

みかんのようにむきやすい皮とオレンジのような甘味、豊かな香りとみずみずしさが特徴です。日本でも数多くの品種が栽培されており、「不知火(しらぬい)」、「清見」、「はるみ」、「せとか」など人気の高い種類も多数あります。

タンゼロ類

みかん類とブンタン類の交雑によってできたものが、タンゼロ類です。みかんの英語名の「tangerine(タンジェリン)」とブンタンの英語名「pomelo」の一部を組み合わせ、「tang+elo」から「タンゼロ」と名づけられました。

オレンジのような甘味、みずみずしい果肉、薄くて硬い皮が特徴です。主な品種に「スイートスプリング」、「セミノール」、「ミネオラ」などがあります。

香酸柑橘類

香りと酸味が強いため、生で食べるには不向きな種類です。主に、料理の香りづけやジュースなどの加工品に使われます。よく知られる品種は、「柚子」、「かぼす」、「シークワーサー」などで、柚子の生産量と消費量はいずれも日本が世界第一位です。

雑柑類

自然交配によって生まれた自然交雑種のことを雑柑類と呼びます。皮が厚くて硬く、自然な酸味や甘味が特徴です。主な品種に「夏みかん」、「八朔」、「いよかん」などがあります。

キンカン属

中国が原産の柑橘で、種類はキンカン類のみです。直径3~5cmの黄色く、丸い実が特徴です。「ネイハキンカン」、「マルキンカン」、「ナガキンカン」は皮や種が柔らかく、生でもおいしく食べられます。

このほかには、大粒で酸味の強い「チョウジュキンカン」や、果実も果樹も小さく盆栽にも適している「マメキンカン」などの品種があります。

カラタチ属

中国中部~北部で栽培されている柑橘で、種類はカラタチ類のひとつだけです。果実は酸味と苦みが強く、食用には適していないため、市場に出回ることはほとんどありません。

カラタチの木の枝は、長いトゲがあります。そのため、かつては人や動物が敷地内に侵入するのを防ぐ生け垣に利用されていました。現在カラタチの木は丈夫で強い特性を生かし、ほかの柑橘を栽培する際の「台木」として活用されています。

初心者でも育てやすい柑橘類は

「柑橘類を育ててみたいけれど、種類が多くてどれを選ぶとよいのかわからない」という方のために、初心者でも育てやすいものをいくつかピックアップして紹介します。

温州みかん

温州みかんは耐暑性や耐寒性に優れた品種も多いため、暑い地域や寒い地域でも育てやすいでしょう。

また、果樹自体が小さいため、管理がしやすく場所を選びません。ただし、西日と強風には気をつけてください。水はけがよいものであれば、土の種類を選ばず栽培できます。

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レモン

レモンは鳥獣の被害が少ないため、家庭菜園の中でも人気が高い柑橘です。

レモンは日光を好むため暑さには強いですが、そのぶん寒さに弱いため注意が必要です。寒い地方で育てる場合は、庭植えではなく鉢植えで育て、寒い季節には室内に移動させましょう。

また、水分が不足すると落葉してしまうため、水切れには注意してください。

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ブンタン

ブンタンは病害虫に強いため、比較的育てやすく、ベランダ菜園にも向いている柑橘です。また、果実が大きく目立つため、観賞用としても楽しめます。ただし耐寒性は弱いため、寒い季節は室内の日があたる窓際に置いておきましょう。

すだち

耐暑性・耐寒性・耐病性に優れたすだちも育てやすい柑橘のひとつです。気温の変化や病気にも強いため、初心者でも栽培しやすいでしょう。種から育てられますが、結実がとても難しいため苗木から育てるのが主流です。

ゆず

ゆずは、柑橘類の中でも比較的寒さに強いのが特徴です。庭植えだけでなく鉢植えでも育てられるため、家庭菜園にも適しています。

ゆずは日光を好むため、日当たりのよい場所で育てるのがポイントです。家庭で育てる際は、トゲなしの品種を選ぶとよいでしょう。

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八朔

八朔は、枝にとげがなく丈夫なため初心者でも育てやすい柑橘です。初夏には、白色の可愛らしい花が咲く姿も楽しめます。

おいしく育てるためには、庭植えや鉢植えともに日当たりのよい場所で育てましょう。

また、耐寒性があまりない柑橘になるため、強い風が当たる場所で育てないことがポイントです。

キンカン

キンカンは耐寒性・耐病性に優れ、害虫がつきにくい柑橘です。鉢植えの場合は1~2mほどの大きさで育てられるため、ベランダ栽培にも適しています。日光を好むため、日当たりのよい場所で栽培しましょう。

なかでもおすすめの品種が、生でも食べられる「ネイハキンカン」や「マルキンカン」、そして「ナガキンカン」です。

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おいしい柑橘類が育つ条件

おいしい柑橘類が育つには、いくつかの条件があります。それぞれ詳しく紹介します。

温暖な気候の場所

おいしい柑橘類を育てるためには、温暖な気候が必須です。みかんなどを気温が低い場所で育ててしまうと、酸味が残ってしまうためおいしく育ちません。また、気温が低すぎると、果樹が枯れてしまいます。

反対に気温が高すぎると、果皮と果肉が分離する「浮皮」が起こります。また、なかなか果実がならないでしょう。年の平均気温が15℃~17℃で、なおかつ最低気温が-8℃を下回らないことが、みかんなど柑橘類がおいしく育つ条件です。

日当たりのよい場所

柑橘類は、光合成によって養分を作ります。日当たりのよい場所では光合成が活発に行われるため、たくさんの養分が作られます。葉で作られた養分が果実に行き渡ればいきわたるほど、おいしい柑橘類ができます。

大切なのは、日差しの強さではなく日の当たる長さです。長い時間をかけて、まんべんなく葉に光がたっぷり当たることが重要です。

雨が少ない場所

雨が少なく、水分がギリギリの状態になったほうが、果樹にストレスがかかり柑橘類の糖度が増します。雨が少なく乾燥した状態になると光合成が活発になり、糖分が多く作られます。

また、果実を充実させるために栄養分が使われます。これを「生殖生長」と呼びます。このように、柑橘類がおいしくなるには適度な乾燥ストレスが必要になるため、雨の少ない場所で育てるとよいでしょう。

水はけが良い場所

水をたくさん吸うと果実が水っぽくなり、糖度が低くなってしまいます。そのため、雨が降っても水はけのよい土がある場所に植えることがポイントです。

みかん畑は、ほとんど急傾斜地に作られています。これは、傾斜で雨水や地下水が流れやすく、水はけがよくなるためです。

柑橘類を育てるために必要な道具

柑橘類を栽培するために必要な道具を紹介します。

つるはし・スコップ

庭で柑橘類を栽培する際は、最初の植穴を掘るときにつるはしが必要です。柑橘類の木を一本だけ植える、もしくは鉢植え栽培をする場合はスコップでも間に合うでしょう。

土・水

美味しい柑橘類を栽培するには、土はとても重要です。とくにみかんは、保水性・排水性両方を兼ね備えた用土を好みます。そのため、小玉の赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜた土が基本の配合です。

初心者の方は、市販の培養土を使ってもよいでしょう。また、苗木にとって水は非常に重要なため、たっぷり用意してください。

支柱・ひも

苗木を支えるために、支柱やひもも必要です。支柱は60cm程度のものを準備してください。ひもは、麻ひもや紙ひもなどを用意するとよいでしょう。

肥料

肥料は、市販の果樹用肥料を使用します。とくに、柑橘類専用の肥料は柑橘に合わせた微量要素などの成分が配合されているため、大きくて甘い果実がなるでしょう。

みかんをはじめとした柑橘類を栽培する際は、リン酸を多く必要とします。そのため、肥料はリン酸およびほかの成分とのバランスが非常に重要です。柑橘類を上手に育てるために、有機肥料と化成肥料をバランスよく使ってください。

『錠剤肥料 かんきつ・果樹用』は、果樹に必要な肥料成分と、鉄などの微量要素を配合していますので、丈夫な株をつくり、味の良い果実がたくさん実ります。

柑橘類を鉢植え栽培する際は、プラ鉢は手軽ですが、通気性・排水性がよい木製の鉢もよいでしょう。木製の鉢は日光が当たっても温度が上がりにくい、というメリットもあります。

鉢の大きさは、果樹の大きさに合わせて選びましょう。たとえば、1年目の苗木なら直径21~24cm程度の大きさの鉢を選びます。3年目くらいになると、鉢の中いっぱいに根がはるため、ひと回りもしくはふた回り大きな鉢へ植えかえをします。

植えかえが面倒な方や、十分なスペースがある場合は最初から大きめの鉢を選んでおけば、4~5年程度植えかえする 必要がないので非常に便利です。

鉢底石・鉢底ネット

柑橘類を鉢植え栽培する際は、水はけや通気性をよくするために「鉢底石」を使用します。鉢底石は大きめの軽い石で、ほとんどが多孔質の石もしくは砂などでできています。

使い終わった鉢底石は、水洗いして日光で乾かすことで何度でも再利用可能です。そのため、あらかじめネットに入っている鉢底石を選びます。ネットに入れて底に敷き詰めれば、使用後にすべての鉢底石を掘り出さなくてもよくなるでしょう。

また、鉢底の穴から害虫が侵入するのを防ぐために、鉢底ネットも用意して鉢の底に敷いておきましょう。

ハサミ

果樹の剪定や果実の収穫の際に使うハサミも必要です。とくに柑橘類の収穫に使用するハサミは、刃渡りが2~3㎝と短く、刃先が丸いものを選びましょう。短い刃は小回りが利くため刃先が果実にあたりにくく、果実を傷つけるリスクが低下します。

また、刃がカーブを描いている「曲刃タイプ」を選ぶと、果実に対してヘタを平行にカットしやすく便利でしょう。

柑橘類の育て方

柑橘類の育て方の手順を、作業のポイントとともにわかりやすく解説します。

1.栽培する環境を整えておく

まずは、柑橘類を育てるための日当たりと水はけのよい場所を準備しましょう。もし栽培するスペースが限られていたり、寒い地方で栽培したりする場合は、日当たりのよい場所や温かい場所に手軽に移動できる鉢植えで育てるとよいでしょう。

2.苗木を選ぶ

柑橘類は種子から育てた場合、実がなるまで8年以上かかってしまうため、苗木から育てるとよいでしょう。苗木は、2~4月上旬にガーデンショップやホームセンターで販売されます。

苗木は葉の量が多く、緑が濃いものを選ぶことがポイントです。果実よりも枝葉が充実しているかどうかをチェックしましょう。

3.植えつけをする

苗木を手に入れたら、いよいよ植えつけです。ここでは庭植え、鉢植え、それぞれの方法を紹介します。

庭植えの場合

庭植えの手順は以下のとおりです。

  1. 日当たりと水はけがよく、なおかつ風当たりの少ない場所に幅50cm・深さ50cmの穴を掘ります。
  2. 土壌にpHを弱酸性~中性に調整した苦土石灰、堆肥を各スコップ3杯施します。より手軽に土づくりをするには、『土を豊かにする肥料』がおすすめです。
    『土を豊かにする肥料』は、堆肥と肥料成分がペレット状になっているので、肥料効果と同時に土の中の微生物の働きをうながしますので、土づくりに最適です。
  3. 購入した苗をポットから抜き、根をほぐして接ぎ木部分を埋めないように植えつけます。
  4. 支柱を立て、地上から30~40㎝のところで切り戻します。

表土に敷きワラをしておくと、保温・保肥・防草に効果的です。

鉢植えの場合

続いて、鉢植えの手順を紹介します。

  1. 8~10号の鉢の底面にゴロ石を敷いて培養土を入れます。
  2. 肥料期間が約2年間持続する緩効性肥料『マグァンプK大粒 』を元肥として土に混ぜ込みます。
  3. 購入した苗をポットから抜き、根を軽くほぐして接ぎ木部分を埋めないように植えつけます。
  4. 支柱を立て、地上から30~40㎝のところで切り戻します。

4.水やりをする

庭植えの場合は、基本的に水やりの必要はありません。ただし、7~10月に10日以上雨が降らなかったり、土が乾燥していたりする場合は水やりをしましょう。この際、過湿にならないよう注意してください。鉢植えの場合は、表土が白く乾いてきたらたっぷり水をあげましょう。

柑橘類は収穫前にわざと水やりを控えて根元を乾燥させると、果実の糖度が上がります。これが「水分ストレスをかける」というテクニックです。7~11月に水やりを控えると効果が期待できますが、鉢植えの場合は過度に水を控えると枯れてしまう可能性があります。そのため、栽培に慣れるまではたっぷりと水をあげるようにしてください。

5.肥料をあげる

肥料をあげるタイミングは、庭植え・鉢植えともに同じ時期です。12月〜2月頃の新芽が出る前に寒肥として有機質肥料を施します。寒肥には堆肥と肥料成分がペレット状にひとつになった『土を豊かにする肥料』がおすすめです。

その後は6月頃の開花直後、9月の果実が大きく生長する時期、11月の収穫直後にそれぞれ吸収率が高い緩効性肥料を施しましょう。『錠剤肥料 かんきつ・果樹用』は、早く効く成分と、ゆっくり効く有機質を配合していますので、安定した効果が約1~2ヵ月間持続します。

6.剪定をする

柑橘類は、枝が混雑していると害虫が発生しやすくなってしまいます。そのため、2~3月頃に剪定を行いましょう。また、剪定することで木が若返り、枝をリフレッシュします。以下に剪定の手順を解説します。

手順1.木の広がりを抑える

まずは理想の果樹の形を頭の中で思い描いて、形からはみ出る部分を枝分かれした箇所のすぐ上から切り落としましょう。

手順2.不必要な枝を間引いていく

古い枝や込み合っている部分の枝を付け根から切り取りましょう。間引く枝の目安は、全体の1~3割程度です。枝葉が軽く触れ合う程度の混み具合を意識しましょう。夏や秋に伸びてきた新芽は実がなりにくいため、優先的に間引いてください。

手順3.残った枝の先端部分を切り詰めていく

ここまでの手順を終えて残った枝の中から、30cm以上ある枝を1/3程度に切り詰めましょう。枝をすべて切り詰めると、葉の付け根の芽の内部にあるつぼみまで切り落としてしまい、翌年からの収穫量が減るため注意が必要です。

7.摘蕾をする

実り始めた蕾を間引く作業のことを、摘蕾(てきらい)といいます。柑橘類は1本の枝にたくさんの蕾が実ってしまうと、果実をつけるために栄養が取られ、木が弱ります。

そのため、蕾の数を減らし、新芽を伸ばす効果が期待できます。貧弱な枝や葉をすべて失っている枝の蕾は、摘んでおくとよいでしょう。摘蕾は、一般的に4~5月にかけて行います。

8.摘果をする

摘果とは、小さな果実を間引く作業です。柑橘類は、果実が必要以上にたくさんなってしまうことが多く、その一部は自然に落果します。しかし、それでもたくさんの実が残ってしまうことがほとんどです。

そのため、人の手による数の調整が必要です。摘果をすることで毎年大きくて甘い果実が収穫できるようになるため、忘れずに行いましょう。

摘果は、落果が収まる7~9月頃に実施します。摘果する際は、小さくて傷のあるものを優先的に選んで間引いてください。

また、葉の枚数も間引く数の目安です。果実1個を正常に生育、成熟させる葉の枚数は大きさや種類ごとに決まっています。

たとえば、レモンや温州みかんの場合は、果実1個に必要な葉の枚数はおよそ25枚です。そのため、木についている葉のおおよその枚数を数えて、それを25で割った果実を残すようにします。

柑橘類を種から育てる方法

柑橘類を種から育てる場合は、一般的に「採り蒔き」を行います。採り蒔きとは、植物の種を採取したらすぐに蒔く方法です。柑橘類の場合は、果実の中の種を採り、それを蒔くとよいでしょう。

一般的にレモン以外の柑橘類は冬にしか出回らないため、12月~1月くらいに果実を買って種を採り、土に植えます。レモンは1年中出回っていますが、3月くらいに植えるとよいでしょう。種蒔きは、以下の手順で行います。

  1. 種を濡らしたキッチンペーパーにくるみ、そのまま1~2日ほど放置します。
  2. 鉢の中に小粒の赤玉土を入れ、種より大きめの穴を掘り、その穴に1の種を入れます。
  3. 日当たりがよく温かい場所に2を置きます。

柑橘類はひとつの種に複数の胚が含まれていることがあるため、いくつも芽が出る場合があります。生育の悪い芽は、植えかえるときに分ける、または摘み取りましょう。芽が10~20cmほどに伸びたら、植えかえのタイミングです。

柑橘類は種から育てると、果実がなるまでにかなりの時間を要します。焦らずにのんびりと育てるようにしましょう。

柑橘類の収穫

柑橘類の収穫時期や収穫方法は、種類により異なります。ここからは、代表的な柑橘の収穫方法を解説しましょう。

温州みかん

温州みかんの収穫時期は、品種によって異なります。極早生温州の収穫時期は9月~10月下旬頃、早生温州の収穫時期は11月上旬~11月下旬、中生温州および普通温州の収穫時期は12月頃、晩生温州が12月下旬~3月頃です。

温州みかんは果実の部分を手で持ち、枝と果実を結ぶ柄(果柄)をハサミでカットすれば簡単に収穫できます。

また、手でもぐと果実が傷つく恐れがあるため、収穫の際は手袋を着用してください。収穫した果実を傷つけないように、カットした果柄は二度切りしておきましょう。

レモン

レモンの収穫時期は、栽培している地域によって異なりますが、皮の色がグリーンから黄色になれば収穫に適したタイミングといえます。黄色くなって熟しすぎたレモンは果汁や酸味が減少するため、なるべく早めに収穫しましょう。また、収穫は晴れた日の午前中に行います。

レモンの枝にはトゲがあるため、収穫の際はかならず軍手を着用しましょう。果実を手で持ち、果柄部分をハサミでカットして収穫します。

カットした果柄の長い部分は果実を傷つけることがあるため、必ず二度切りしましょう。手でもぎ取れますが、果実を傷つける恐れがあるため、なるべくハサミを使用してください。

ブンタン

ブンタンの収穫時期は、12月~1月です。ブンタンは果実を優しく持ち、枝から切って収穫します。収穫したブンタンの枝は、保存する際にほかの果実を傷つけないように果実ギリギリのところから二度切りしましょう。

すだち

すだちの収穫時期は8月中旬~9月で、晴れた日の午前中に収穫します。酸味や香りを楽しむ柑橘であるため、完熟していない緑色の状態で収穫しましょう。小ぶりなみかんくらいの大きさの果実を選んで収穫してください。

すだちは木や幹に3~5cm程度のトゲが生えており、先端に行くほど硬く鋭くなります。収穫の際は、ケガをしないように気をつけましょう。果柄の部分をハサミでカットして収穫しますが、切り取った果柄は必ず二度切りしましょう。

ゆず

ゆずは8月~9月頃の皮が緑色の時期は青ゆずとして収穫し、残りは年末にかけて黄色く熟したものから順次収穫していきます。

ゆずの枝にはトゲがあるため、収穫の際に見つけたトゲは都度取り除いておきましょう。トゲを取り除くことで果実を傷つけずに収穫できます。

ゆずはハサミを使い、果梗部分を長めに残して切り落とします。高いところのゆずは、高枝切りばさみを使うとよいでしょう。

収穫したゆずの枝は、約4㎜程度残して切り落とします。収穫したゆずは、箱やかごの中に重ならないように入れて保存しましょう。

八朔

八朔の収穫時期は、12月~2月です。収穫の際は、果実がなっている枝ごと切り取ります。果実がなった枝は弱っており、次の年に果実がなる可能性が低いためです。

収穫した果実は、枝が長いとほかの果実を傷つけてしまうため、付け根から切り取ります。付け根から枝を切ることで、果実が萎びるのも予防できるでしょう。

キンカン

キンカンの収穫時期は、2~5月頃です。品種にもよりますが、夏の開花から150日程度経過したころが収穫の目安といわれています。

キンカンは、実の近くをハサミで切り取って収穫します。熟してしまったキンカンの実は放置すると傷んでしまうため、早めに収穫しましょう。

柑橘類を育てる際の注意点

柑橘類を育てるときに注視すべてき点を紹介します。

肥料は使用量を守って与えすぎない

柑橘類を育てる際は、肥料の与えすぎに気をつけましょう。肥料を与えすぎて栄養素が偏ることで窒素過多になってしまい、花が咲かなくなることもあるでしょう。早く育てたいからといって、肥料をたくさん与えすぎるのは禁物です。

強剪定をしない

剪定をするときは、強剪定に注意してください。強剪定とは枝葉を切り過ぎたり、太く大きく育った枝を短く切ったりすることです。

強剪定で葉をたくさん切られた果樹は葉を新たに作ったり、切られた部分を修復したりするためにエネルギーを使うため、花や芽に本来使われるべき養分が届かなくなります。

剪定をする際は、一度で理想の形に整えようとしてはいけません。1回の剪定を落とす枝は、全体の1割~2割に留めておきましょう。

剪定後のケアを忘れない

果樹を剪定したあとは、切り口から細菌が侵入しないように忘れずに癒合材を塗ってください。癒合材は木の傷をケアする効果が期待でき、切り口から果樹が傷んだり腐ったりするのを防いでくれます。

剪定後に消毒剤を散布するのもよいでしょう。消毒剤は剪定で過敏になっている柑橘類の果樹を、病害虫から守る効果が期待できます。また、剪定した果樹は養分を欲しているため、必ず肥料(追肥)を与えましょう。

除草剤の散布に気をつける

柑橘類を家庭で栽培する際に気をつけたいのが、除草剤の散布です。庭の雑草を処理するために除草剤を散布すると、果樹が枯れてしまったというケースが少なくありません。

根から成分を吸収するタイプの除草剤は、雑草だけではなく庭木も枯らしてしまうのです。除草剤が原因で枯れてしまった果樹を再生する方法はありません。近隣の場所に除草剤を散布した場合にも影響が出ることがあるため、気をつけましょう。

水やりの頻度に気をつける

水やりの頻度が多すぎたり少なすぎたりすると、木が枯れたり果実のできが悪くなったりする可能性があります。庭植えの場合、夏の暑い季節でも水やりは基本的に不要です。

しかし、夏場に雨が1週間以上ふらなかった場合は水やりをしましょう。不必要に水をやり過ぎると、根腐れを起こしてしまう可能性があるので気をつけてください。

鉢植えの場合は、季節によって水やりの頻度を変えましょう。水やりの頻度の目安です。

  • 春・秋の涼しい時期は3日に1回
  • 夏の暑い時期は毎日
  • 冬の寒い時期は1週間に1回

あくまでも目安ですので、置き場所、鉢、培養土によって異なりますので、鉢の状態を確認して下さい。

柑橘類は乾燥よりも過湿に弱いため、土の表面が乾いて白くなる前に水をやらないように気をつけましょう。また、鉢植えの下に受け皿を置いている場合は、受け皿に水がたまると根腐れを起こすので注意が必要です。

柑橘類の病害虫

ここでは、特に気をつけたい病害虫と対策をピックアップして紹介します。

そうか病

直径1mm程度の円形の黄色、もしくは水浸状の小班ができ、数が増えると奇形葉が出現して落葉する病害です。まだ果実が若い時期に発生すると、果実の大部分が落果します。

風通しと日当たりに気をつけることや、台風などの強風で傷がついた箇所から感染しないように防風対策を万全にすることが大切です。

かいよう病

かいよう病は、レモンやネーブルの発生リスクが高いことで知られています。かいよう病は防除が難しい「難防除病害」です。防除効果が高いとされている防風対策やネットによる伝染源対策を行いましょう。

ハモグリガ

幼虫が葉に潜り葉肉を食べる害虫で、葉がしおれる、変形する、落葉するといった被害が起こるのが特徴です。ハモグリガが寄生したみかんの葉には、不規則に蛇行した模様ができるため、別名「絵描き虫」とも呼ばれています。

模様の終着点あたりに幼虫がいれば潰す、または葉ごと取り除きましょう。殺虫剤を散布して、駆除することも有効です。

カイガラムシ

カイガラムシは枝葉や果実に付いて、果汁を吸うのが特徴です。カイガラムシの発生時期は地域によって異なるため、枝葉を注意深く観察することが重要です。

アブラムシ

日本に約700種類存在する害虫で、1~4mmと小さいながらも繁殖力が高いのが特徴です。予防を兼ねて薬剤散布しましょう。

ミカンコナジラミ

柑橘類やクチナシに寄生する害虫で、春から秋にかけて発生します。コナジラミに寄生されると葉が退色し、生長が阻害されます。薬剤は成虫に有効です。繰り返し散布して、徹底的に駆除しましょう。

カミキリムシ

樹皮の柔らかい部分をかじって枝枯れを発生させるだけでなく、樹皮の中に産卵を行います。幼虫は果樹の中で1~2年生活し、中から食い荒らします。果樹の近くにカミキリムシを発見したら、必ず捕殺しましょう。

また、木の周辺に木くずのようなもの(フラス)が落ちていたら、中に幼虫が生息している可能性があります。針金などを入り口から差し込み、つついて潰しましょう。

まとめ

可愛い花を楽しめ、果実が食べられる柑橘類は比較的栽培しやすい植物です。育て方のコツや注意点を把握しておけば、長年収穫を楽しめます。

初心者の方は温州みかんやレモンなど、鉢植えでも育てられる柑橘から始めてみてはいかがでしょうか。きっと果樹栽培の魅力を感じられるはずです。

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柑橘類の育て方!種類や栽培のコツをご紹介します

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