ヤブランの育て方|栽培のポイントや増やし方、きれいな葉を維持する管理のコツ
ヤブランはお庭のグリーンを増やしたいときにおすすめの植物です。細長い常緑の葉を茂らせるヤブランは、和風の庭にも洋風の庭にも似合います。
幅広い環境に適応するほか、手間をかけずに草姿を保てる点も魅力です。ガーデニング初心者でも気軽に栽培に挑戦できるでしょう。
今回は、ヤブランの特徴や基本的な栽培のポイント、増やし方などをご紹介します。きれいな葉を維持できるようにお手入れを行い、できるだけ長く栽培を楽しみましょう。
ヤブランの育て方|特徴や魅力
ヤブランはキジカクシ科(クサスギカズラ科)の多年草です。
ヤブラン(藪蘭)は和名で、「リリオペ」という名前で呼ばれることもあります。名前に「ラン(蘭)」とついているものの、ランとは異なる別の植物です。
ヤブランは常緑性であり、細長くかたい葉をたくさん伸ばします。草姿がほとんど変わらず、一年を通して葉の観賞を楽しめます。
丈夫で育てやすいヤブラン
ヤブランは日本をはじめとする東アジアで見られる植物です。耐暑性と耐寒性がともに強く、日本の気候に合うため、特別な夏越し・冬越しの対策は必要ありません。
丈夫で管理の手間がかかりにくく、グランドカバーとしても活躍します。耐陰性があり日陰でも育てやすいため、シェードガーデンにもおすすめです。
空間をゆるやかに仕切りたいときに植えたり、庭木の株元に植えたりと、さまざまな方法でお庭の引き立て役になってくれるでしょう。
ヤブランの花や実
ヤブランは8月から10月に穂を伸ばして花を咲かせます。花の色は淡い紫色や青紫色、白色などで、品種によって異なります。
夏から秋にかけて開花した後は種をつくります。採取して種まきし、株を増やすことも可能です。ただし、ほとんど実をつけない品種もあります。
ヤブランの品種
ヤブランにはいくつかの品種があり、葉の模様や色味などが異なります。お好みのものを探してみましょう。
日本でよく育てられているのは「斑入りヤブラン」の通称で呼ばれる品種で、緑の葉に薄い黄色の縦縞模様が入っています。
和洋問わず幅広いテイストのお庭に似合うことも魅力のひとつです。
ヤブランの育て方|基本の栽培方法や管理のコツ
ヤブランはお手入れの手間がかかりにくく、幅広い雰囲気のお庭に合わせられる便利な植物です。ぜひご自宅に植えて栽培を楽しみましょう。
こちらでは、ヤブランの基本的な育て方をご紹介します。
ヤブランの好む栽培環境
ヤブランは幅広い場所で栽培することができます。ただし、花を楽しみたい場合はなるべく日当たりの良いところへ植えたほうが良いでしょう。
日陰では花つきが悪くなり、葉もまばらになります。日光に当てることで葉が密に茂り、花つきも良くなるでしょう。
土づくり
ヤブランはそれほど土質を選びませんが、排水性の悪い土は苦手とします。地植えする場合、水はけが悪ければ川砂を混ぜ込んで排水性を高めましょう。さらに、腐葉土や元肥を加えて耕しておくと根づきやすくなります。
『土を豊かにする肥料』は、堆肥と肥料成分がペレット状になっているので、肥料効果と同時に土の中の微生物の働きをうながしますので、土づくりに最適です。
雑草が生えている場合はしっかりと除草しておきましょう。その後も、雑草が伸びてきたらこまめに除草します。
鉢植えの場合は市販されている草花用培養土で問題ありません。ご自分で配合する場合は赤玉土と腐葉土を7:3で混ぜたものなどがおすすめです。
『ハイポネックス培養土 鉢・プランター用』は、元肥として緩効性肥料マグァンプKが配合されているため元肥を混ぜる手間がなく鉢栽培、プランター栽培に最適な培養土です。
植えつけ
ヤブランは一般的に苗から育てます。園芸店や通販などで苗を購入したらお好きな場所へ植えつけましょう。
植えつけ適期は3月~6月、9月~11月頃です。真夏と真冬以外であればいつでも植えつけを行えます。
複数株を植える場合、株間は15cm~20cmほどとります。根鉢よりも一回り大きな植え穴を掘って苗を植えましょう。ポットから苗を取り出す際、根が回ってしまっているようであれば、少しほぐしてから植えつけます。
浅植えにすると根が土から露出してしまい、水切れを起こしてしまう可能性があります。根元の土はしっかりとかぶせましょう。
植えつけ作業が完了したら水をたくさん与えます。水を与えて土が沈み、根が出てしまう場合は用土を足しましょう。
水やり
ヤブランは乾燥に強い植物です。常に土が湿った状態になると根腐れすることもあるため、水やりの頻度に気をつけましょう。
ただし、新芽が伸びる春や蕾をつくる時期は水をたくさん必要とします。水切れしないよう、土の状態を確認しながら管理しましょう。
地植えした場合、根づくまでは土が乾いた段階で水を与えます。根づいた後はほとんど水やりせず、雨が降るのに任せて問題ありません。
鉢植えの場合は土が乾いてからたっぷり水やりしましょう。
肥料
植えつけの際は元肥として緩効性肥料『マグァンプK中粒』 を土に混ぜ込みます。
地植えの場合、その後はほとんど施肥する必要はありません。鉢植えの場合は春と秋に1回ずつ追肥を行いましょう。
じっくりと効果が続く緩効性肥料を与えることがおすすめです。肥料切れすると葉や花の数が減り、色も悪くなってしまうので気をつけましょう。
追肥には、バラまくだけで、肥料効果が約2~3カ月間持続する『プランティア花と野菜と果実の肥料』がおすすめです。
植えかえ
鉢植えのヤブランは2年~3年に1回程度を目安に植えかえを行いましょう。そのままにしておくと根詰まりし、生育が停滞してしまうことがあります。
地植えの場合は5年~6年ほど植えっぱなしにしていても問題ありません。
植えかえの際は古い用土から新しい用土へ交換します。植えつけ時と同様、水はけの良い土を準備して使いましょう。
古葉切り
ヤブランは特別なお手入れがほとんど必要ありませんが、年に1回は古くなった葉をカットすることがおすすめです。適期は新芽が出る前の3月頃です。
古い葉をそのままにしておいても新芽は伸びてきますが、草姿が乱れてしまいます。新しい葉と古い葉が混じって見栄えも悪くなるため、刈り取っておきましょう。
古葉切りを行っておくことで、翌年まで青々とした葉を保ちやすくなります。
ヤブランの育て方|増やす方法やポイント
ヤブランを増やしたい場合は株分けを試してみるのがおすすめです。適期や方法、注意点などをチェックしておきましょう。
最後に、ヤブランを増やすために知っておきたい株分けの方法をご紹介します。
ヤブランの株分け適期
ヤブランの株分けは、暑さ・寒さの影響を受けにくい春か秋に行うと良いでしょう。
梅雨~夏は高温多湿で根腐れしやすくなり、冬は根づきにくくなる可能性があります。植えかえと同時に行うと効率的です。
ヤブランの株分け方法
株分けを行う際は、大きく生長した元気な株を選ぶことがポイントです。株を掘り上げたら、移植ごてなどを使って切り分けましょう。
ひとつの株に3~5つの芽が残るように分けます。小さく分けすぎると生長に時間がかかるため気をつけましょう。
分けた株は、ひとつずつ別々に植えつけます。用土は新しいものを準備しておきましょう。植えつけ終えたら水をたっぷりとあげます。
また、ヒメヤブランやコヤブランなどの品種は走出枝(ランナー)を伸ばします。そういった品種の場合、ランナーを切って植えつけることでも増やせます。
おわりに
常緑のヤブランを植えておけば、一年を通して葉を観賞することができます。開花時期になれば穂を伸ばし、花を楽しめるのも魅力です。
日の当たりにくい場所でも栽培できるため、シェードガーデンで植えるものに迷っている方にもおすすめです。
幅広いテイストに合わせやすいヤブランは、お庭や花壇の引き立て役としても活躍してくれます。ご自宅のグリーンを増やしたい方は、ぜひヤブランを育ててみましょう。