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更新日:2024.11.08

バニラの育て方を紹介!栽培環境や気をつけるべき害虫も

バニラの育て方を紹介!栽培環境や気をつけるべき害虫も

少し変わった植物を育ててみたい方におすすめしたいのが、「バニラ」です。

バニラと聞くとバニラビーンズやバニラオイルなど、お菓子作りなどの香りづけに使うスパイスのイメージが強いですが、可愛らしい葉っぱと美しく可憐な花が見られることから観葉植物としても人気を集めています。

この記事では観葉植物としてのバニラにスポットを当て、特徴や育て方、育てる際のポイントや注意点などを詳しく紹介します。ぜひこの記事を最後まで読んで、バニラの生育にチャレンジしてみてください。

バニラとは、どんな植物?

バニラと聞くとお菓子に使う甘い香りの香辛料を思い浮かべることから、「野菜や果物の一種なのでは?」と思っている方もいるかもしれませんが、実は鑑賞用の植物としても販売されています。

ここでは、バニラはいったいどのような植物なのかを解説します。

基本情報

バニラはラン科バニラ属のつる性植物で、原産地はメキシコ南部および西インド諸島です。葉に対生して気根を出し、ほかの植物に絡みついて生長します。厚みのある可愛らしい葉をつけながら伸びる姿が特徴的なため、観葉植物としても人気です。

バニラは着生植物のため支柱で支えて育てるのが一般的ですが、プラントハンガーなどで吊り下げるのもおしゃれです。多年草のため、適切に育てると長く楽しめるでしょう。

バニラを長年育て、株が順調に生長すれば、薄グリーンのきれいな花を咲かせます。花の姿は、ランに似ているのが特徴です。

花は、花序の根元から開花し始めます。バニラの花の寿命は1日と非常に短く、朝の5時~6時に咲き始め、午前中に満開になると昼にはしぼんでしまいます。

バニラの花言葉は、「永久不滅」です。これは、バニラからとれるバニラビーンズの濃厚な甘い香りが、いつまでも記憶に残ることが由来となっています。美しい葉の姿が楽しめるバニラは、開店祝いや開業祝いのプレゼントとしても人気があります。

食材としての利用

料理の香料として使用されているのは、バニラの実を熟成させて採取した「バニラビーンズ」です。バニラビーンズは、長さ15cm~25㎝の未熟な状態のさやから採取します。

採取したバニラビーンズはボイルしたあと、数週間かけて発酵および天日干し・熟成します。この作業を行うことで、バニラビーンズからバニラ特有の甘い香りが発生します。

バニラビーンズの香りの主な成分は「バニラン」で、発酵すると果実の表面に結晶となって現れます。バニランの結晶が多いほど、バニラとしての品質評価が高くなります。

食材としてのバニラビーンズは、丸ごともしくはエキス分を抽出してアルコールに溶かしたバニラエッセンスや、油脂に溶かしたバニラオイルとして使用されるのが一般的です。

いずれも料理に濃厚な風味を添えるほか素材の甘みを引き立てるため、主にお菓子作りに利用されています。なかでもケーキやクッキーなどの焼き菓子、プリン、アイスクリーム、チョコレートといった甘いお菓子にはよく合います。

バニラの育て方

続いて、バニラの育て方について、項目別に詳しく解説していきます。これからバニラを育ててみたいという方は、ぜひ参考にしてください。

栽培環境、栽培場所

バニラは日当りのよい場所を好むため、日なたで育てましょう。ただし、夏の直射日光や強い西日に当たると葉が日焼けしてしまうため、鉢植えにして室内やベランダで育てるのが一般的です。

日の光がほとんど入らないような場所では葉が落ちてうまく生育できないほか、葉色が悪くなったり徒長したりしてしまいます。室内で育てる場合は、必ず明るい窓際に置きましょう。

夏に直射日光が差し込む場合は、レースカーテン越しの柔らかい日差しのもとに置いてあげるとよいでしょう。

温度

バニラは寒さに非常に弱い植物のため、最低温度5℃以上を保つよう注意してください。5℃以下の寒い環境に置いていると、つるや葉が黒く変色し、落葉してしまいます。

特に冬の窓際は屋外と変わらないくらい冷え込みますため、冬場は窓から離れた暖かい場所で育ててください。

ただし、暖房の風が直接あたる場所に置くと、急激な乾燥で葉が傷んでしまうため注意しましょう。

水やり

バニラの水やりのタイミングは、春夏と秋および冬で異なります。春夏は生育期にあたるため、土や水苔の表面が乾き始めたタイミングで、鉢底から水が流れ出るくらいにたっぷりと水やりをしましょう。葉水も十分に与えてください。

水やり後は、受け皿に溜まった水を捨ててください。水のやりすぎや受け皿の溜め水は、根腐れを起こす原因になります。バニラは高温多湿を好むため、特に生育期は水切れを起こさないように注意しましょう。

気温が下がる秋は、土の乾き具合を見ながら徐々に水やりをしてください。冬は土を触っても水分を感じないくらい、鉢の中央部分までしっかり乾いた状態になったタイミングで水やりをします。

ただし、バニラは低温状態で湿度が高くなると葉に斑点が入ることがあるため、水やりと葉水は日中の暖かい時間帯に行いましょう。

用土

バニラにもっとも適した用土は、「水苔」です。水苔で育てると極端な乾燥を防げるため、初心者でも育てやすいでしょう。初心者には、ココヤシのチップ「ベラボン」を利用するのもおすすめです。

ただし、水苔やベラボンで育てると、冬場以外は常に水苔やベラボンが湿っている状態になるため、古くなって腐りやすくなってしまいます。そのため、湿気の多い6月~7月には植えかえが必須です。年に一度の植えかえは忘れないようにしましょう。

水はけのよい観葉植物用の用土でも育てることも可能ですが、栽培環境によっては上手に育てられないこともあります。

初心者や植物の栽培経験が少ない方は、水苔や『木から生まれた土』の使用をおすすめします。

肥料

生育期の5~9月に、2ヵ月に一度の間隔で緩効性肥料を置き肥しましょう。『プロミック観葉植物用』は、早く効く成分とゆっくり効く成分を含み、鉢の縁に沿って置くだけで安定した肥料効果が約2ヵ月間持続します。

また、『ハイポネックス原液』を与える場合は、1000倍に希釈し2週間に一度のペースで水やりの代わりに与えます。冬は生育が緩慢になるため、肥料を与える必要はありません。

バニラは肥料がなくても十分元気に育つ植物ですが、土に元肥として『マグァンプK中粒』を混ぜこむ以外に追肥をすると葉が茂り艶もでます。

ただし、肥料を与えすぎると根を傷める原因になってしまいます。与える時期とタイミングはしっかり守りましょう。

剪定方法

5~9月頃に、茂りすぎた葉や傷んでしまった葉を剪定してください。また、順調に育てば春から夏にかけてつるをグンと伸ばすため、形を整えて風通しをよくするために剪定しましょう。

剪定は、葉が出ているならどの部分から切っても問題ありません。バニラは、節から新芽を出します。どのような形に整えたいかをイメージしながら剪定するとよいでしょう。

越冬方法

バニラを越冬させる際は、最低5℃以上を保つ環境に置いてください。前述したとおり、窓際など5℃以下の環境に置いてしまうとつるや葉が変色して落葉してしまいます。

また、暖房の直風が当たる場所に置くと急激に乾燥して生育が悪くなるため、置き場所には気をつけてください。

冬のあいだは乾燥して葉が傷みやすくなるため、水やりと一緒に葉水を行うと葉がキレイな状態を保ってくれます。ただし、低温状態で葉水をすると逆に葉が傷んでしまうため、十分に室内が暖まった状態で行いましょう。

支柱

バニラはラン科の着生植物で気根を着生させて生育するため、支柱があったほうが育てやすくなります。

支柱はヘゴやコルクといった木の材質のほうが、バニラは着生しやすくなるためおすすめです。支柱がつるを支えるため、まっすぐ伸びてくれるでしょう。

ただし、支柱が必要不可欠というわけではありません。支柱がなくてもバニラの生育は可能です。支えがなければ横にしだれるように伸びていきます。

この性質を利用してプラントハンガーなどで吊るせば、おしゃれな空間を演出してくれるでしょう。

バニラを育てる際に気をつけること

バニラを育てる際は、気をつけたいポイントがいくつかあります。それぞれ詳しく解説しますため、バニラの生育をスタートする前にしっかり覚えておいてください。

根腐れ

バニラを育てる際は、根腐れに気をつけましょう。特に濡れた状態で寒い場所に置いておくと、根腐れを起こしやすくなるため注意が必要です。

土の中の酸素濃度が低下すると、土中の細菌叢が変化して有機物の腐敗が進行します。進行が進むと有害なアンモニアが発生し、土壌環境が悪化してしまいます。その結果、根腐れが起こります。

また、常に土が湿っていると根が呼吸できなくなるため、細胞が死んで根腐れしてしまいます。こうなると根は水を吸い上げられなくなるため、植物自体が水を吸収できなくなります。

バニラが根腐れを起こすと、以下のような症状が見られます。

  • 土から腐敗臭がする
  • 土の表面にカビが生えている
  • 土が乾きにくい
  • 葉が黄色や茶色に変色している
  • 葉がすぐに落ちる
  • 水やりをしているのに元気がない
  • 根が黒く変色している

このような症状が見られたら、まず鉢を入れ替えて土の環境を変えてあげましょう。悪い土は落として、水はけのよい土へと交換します。

おすすめは水苔かベラボンですが、鹿沼土と赤玉土を混ぜたものやピートモスでも問題ありません。

この際、傷んでしまった根元は思い切ってカットしてください。根元から腐ってしまっている場合は健康な部分まで切り取り、挿し木をして育てます。

さらに、傷んだ葉や枯れた茎は取り除きます。その後発根剤を与え、風通しのよい明るい日陰で管理しましょう。水やりは少量で構いません。水量の目安は、1週間で水が乾くコンディションを保てる程度です。

根詰まり

バニラは春夏の生長期に一気に伸びてしまうと、鉢の中が根で一杯になる根詰まりを起こすことがあります。根詰まりを起こすと、以下のような症状が見られます。

  • 葉が黄色くなる
  • 鉢がひび割れする
  • 鉢の底から根が出てくる
  • 水がなかなか浸透しない

根詰まりを起こしたからといってすぐに枯れるわけではありませんが、放置するのはよくありません。根詰まりだと思われる症状が見られたら、現在の鉢よりも一回り大きな鉢に植えかえましょう。

また、2年に1回のペースで一回り大きな鉢に植えかえれば根詰まりの予防になります。

葉焼け

バニラは、強い日差しを浴び続けると葉焼けを起こす植物です。葉焼けを起こすと葉の一部が茶色く枯れてしまったり、葉の一部が色ぬけして白く変色したりしてしまいます。

葉焼けが起こる場合、日光が当たりすぎている可能性が高いということです。直射日光が当たっている場合は、カーテンなどで遮光して対処しましょう。

また、日陰から急に日当りのよい場所に移動しても葉焼けを起こしますため注意してください。

一度葉焼けしてしまった部分は、残念ながら元の健康な状態には戻りません。思い切ってカットしてしまいましょう。時間がたつと新しい葉が生えてくるため安心してください。

害虫

バニラは基本的に害虫がつきにくい植物です。しかし、適切に管理をしていないとハダニがつくことがあるため注意しましょう。

ハダニは繁殖力が強く、薬剤にも耐性を持っているため一度ついてしまうと駆除が非常に厄介です。放っておくと糸を張って、大量に発生することもあります。

バニラにハダニが発生すると、葉の色が薄くなって枯れていったり葉に傷や斑点がついたりします。葉の裏に小さな虫がついていたり、葉に糸が張っていたりするとハダニが発生している可能性が高いため、早めに駆除しましょう。

ハダニが湧いたら、市販の殺虫剤で駆除するのが効果的です。ハダニで傷んだ葉は切り取り、葉の表裏と付け根、茎まで水できれいに洗浄しましょう。

ハダニを予防するには、こまめな霧吹きと葉の拭き取りが有効です。害虫予防はもちろんですが、常にきれいな状態を保つためにも、月に一度はシャワーをしてあげましょう。

バニラを育てる難易度

バニラの栽培はさほど難しくはなく、初心者でも挑戦しやすいでしょう。通常ラン科の植物は育てるのが難しいとされていますが、バニラはそのほかの多くの観葉植物と同じような方法で育てられます。

日当りのよい環境で適切な手入れを行うことで、葉の可憐で美しい姿を楽しめるでしょう。ただし、夏の直射日光には弱いため夏場はカーテンなどで遮光してください。

また、冬の寒さもバニラの生長を妨げるため、冬場はなるべく窓際から離れた暖かい場所で育てましょう。

難易度が高い栽培を楽しんでみたい、と思われる方はバニラの香料の元となるバニラビーンズの収穫にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

バニラビーンズの収穫には受粉が必要ですが、バニラの花はわずか1日しか咲きません。この1日のチャンスを逃さず、開花したらすぐに受粉しましょう。受粉が成功したら、花に豆サヤのような果実がつきます。

果実を収穫するまではおよそ半年かかるため、お世話をしながら気長にその日を待ちましょう。

バニラは水耕栽培が可能!

バニラは鉢植えのほかに水耕栽培が可能な植物で、水を張ったコップや花瓶の中に剪定した節を入れておくと、根が生えてきます。

そのまま育てられますが、水中には根から出た老廃物を分解してくれる微生物がいないため、根が腐りやすい状態にあります。そのため、毎日こまめに水を変えてあげましょう。

また、ハイドロボールを利用した水耕栽培も可能です。水耕栽培の場合も鉢植えと同様、適度な日光と温度管理が必要になるため注意してください。

根のついた苗から水耕栽培をする場合は、まず流水で根についた土や水苔をきれいに流してあげましょう。節から栽培するのと同様、水を張った花瓶やコップの中に入れます。

根がしっかり落ち着くまでは、葉が何枚か黄色く変色したり落ちたりすることがありますが心配いりません。水環境に適した根が新しく張ってくるにともない、新芽もたくさん生えてくるでしょう。

水耕栽培の経験があまりないという方は、気根のついたバニラのつるを選ぶと比較的簡単に育てられるため、ぜひチャレンジしてみてください。

まとめ

香料の印象が強いバニラですが、鉢植え栽培で観葉植物として楽しめます。ラン科の植物でありながら育て方は簡単なため、日光と温度管理、適切な水やりに気をつければ初心者でも育てやすいでしょう。

ただし、適切な管理をしないと根腐れや根詰まり、葉焼けなどのトラブルを発症したり、ハダニが発生したりするため注意が必要です。栽培に適した環境と清潔な状態を保ってあげましょう。

長く育てると、美しいバニラの花が見られるかもしれません。花の寿命は1日と非常に短いですが、だからこそ開花を目にしたときの感動は格別です。ぜひ、開花まで上手に育ててみてください。

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