フロックスの育て方|きれいな花を咲かせる栽培のコツや増やし方
「フロックス」はハナシノブ科フロックス属の植物の総称です。
多くの種類があり、品種によって草丈や花の姿など、さまざまな部分が異なります。お好きなタイプのフロックスを見つけたら、ぜひご自宅に植えて栽培してみましょう。
今回は、フロックスの基礎知識や栽培方法、お手入れのポイント、増やし方などをご紹介します。
フロックスの育て方|花の特徴や魅力
フロックスとは特定の品種を指す名前ではありません。ハナシノブ科フロックス属の草花をまとめて「フロックス」と呼びます。
フロックスには一年草タイプや多年草タイプなど、さまざまな種類があります。常緑性のものもあれば落葉するものもあり、草丈は5cm程度のものから1mを超えるものまで多岐にわたります。
ほとんどの品種は北アメリカを原産としますが、種類によって性質が大きく変わります。
たとえば、パニキュラタ種(パニキュラータ種)は肥沃な日なた~半日陰を好みますが、スブラタ種は石交じりの土でも育てられます。
品種による性質の違いを把握したうえで栽培環境を整えることが大切です。
日本でよく育てられているフロックス
日本においてよく見られるフロックスは、パニキュラタ種やドゥラモンディ種などの品種です。
パニキュラタ種のクサキョウチクトウ(オイランソウ)はガーデニングで人気のフロックスです。多年草タイプで、「宿根フロックス」という名前でも流通していることがあります。
宿根フロックスには草丈が高くなるものも多く見られます。クサキョウチクトウは1m以上の大株に生長するケースがあり、花壇の奥側に植えるのに適しています。
ドゥラモンディ種のキキョウナデシコは一年草タイプです。先端の尖った花びらが星のような形につきます。
また、シバザクラはスブラタ種のフロックスです。草丈は低めですが、茎が横に広がるように伸びて地面を覆います。グラウンドカバーとして植えられることもあります。
ほかにも、ストロ二フェラ種のツルハナシノブなど、フロックスにはさまざまな品種があります。どれも一株にたくさんの花がつき、次々と咲く花を観賞できるのが魅力です。
お好みのものを見つけて育てていきましょう。
フロックスの育て方|基本の栽培方法
ここでは、フロックスの基本的な育て方をご紹介します。育てたいフロックスのタイプに合わせた方法で管理してあげましょう。
フロックスの好む栽培環境
フロックスの種類によって、好む環境は異なります。育てる品種に応じた環境を用意してあげましょう。
パニキュラタ種:日なた~半日陰、肥沃な用土
ドラモンディ種:日なた、肥沃で水はけの良い場所
スブラタ種:日なた、水はけの良いロックガーデンや斜面
ストロニフェラ種:日陰~半日陰、やや湿り気のある場所
土づくり
基本的に、用土は排水性と保水性を兼ね備えたものを準備しましょう。地植えの場合は、植えつけ予定地に腐葉土や堆肥などを加えて耕しておきます。
鉢植えの場合、ご自分で配合するなら、中粒の赤玉土:腐葉土:酸度調整済ピートモスを5:3:2で混ぜたものがおすすめです。『ハイポネックス培養土 鉢・プランター用』など、市販の草花用培養土でも元気に生長します。
植えつけ
フロックスの植えつけ適期は3月~5月の春、もしくは9月~11月頃の秋です。大きく育つ品種の場合、株間は30cm~40cm程度あけて植えましょう。
適した環境に植えれば、ぐんぐん育ってくれるはずです。
水やり
基本的に、地植えの場合は根づいたらほぼ水やりせず、降雨に任せます。
ただし、乾燥しやすい真夏の時期や雨が降らない日が続いたときなどは、極端に乾かないように水をあげたほうが良いでしょう。
鉢植えの場合は土の表面が乾いてから水をたくさん与えます。過湿を嫌う品種は水やりの頻度を控えめにしましょう。
肥料
フロックスは開花時期になると次々と花をつけます。たくさんの花を楽しむためには、適切なタイミング・量で肥料を与えることが重要です。
植えつけ時に元肥として緩効性肥料『マグァンプK中粒』を施します。
3月~6月、9月~10月に緩効性化成肥料の追肥を行いましょう。追肥にはバラまくだけで肥料効果が約2~3カ月間持続する『プランティア花と野菜と果実の肥料』がおすすめです。
とくに、キキョウナデシコのようなドラモンディ種は肥料切れにならないように定期的に施肥することが大切です。
庭植えの際に、肥料(追肥)は特に必要ありません。
病害虫対策
フロックスの栽培で気をつけたいもののひとつがうどんこ病です。カビの一種である菌が原因となる病気で、かかってしまうと葉や茎などが白い粉をまぶしたようになります。
放っておくと患部が広がり、生育が停滞することもあるため注意が必要です。白くなってしまった部分はすぐに取り除いて殺菌剤をまいておきましょう。
また、うどんこ病を予防するために栽培環境を整えることも重要なポイントです。うどんこ病は風通しの悪い環境で増えやすくなるため、通気性の良い状態を維持しましょう。
葉が茂りすぎていたらカットする、花がらや枯れ葉は取り除くなど、こまめにお手入れしてあげることがおすすめです。
植えかえ
多年草タイプの場合は、根詰まりを防ぐために1年~2年に1回の頻度で植えかえを行います。一回り大きな鉢と新しい用土を準備して植えかえましょう。鉢の大きさを変えたくない場合は株分けをするのがおすすめです。
フロックスの育て方|増やして楽しむコツ
フロックスは種の採取や挿し木、株分けなどの方法で増やすことができます。フロックス栽培をもっと楽しみたい場合は、以下の増やし方にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ここでは、フロックスを増やす方法をご紹介します。
種の採取
花後に種を採取し、適期になったらまくことで新しい株を増やせます。花を一通り楽しんだら花がら摘みをストップして、種ができるのを待ちましょう。
種が熟したら摘み取っておきます。放置しすぎると弾けてしまうので注意が必要です。種を採取できたら乾燥させて保管しましょう。
種まきの時期は品種によって異なります。たとえば、パニキュラタ種は10月~11月、ドラモンディ種は3月~4月、9月~10月が目安です。
挿し木(挿し芽)
スブラタ種やストロニフェラ種などは挿し木で増やすことができます。適期は5月~6月や9月~10月頃です。
元気の良い茎を選んで5cm~10cm程度にカットし、水につけてから清潔な用土へ挿しましょう。用土は肥料分の入っていないものを使用します。
発根するまでは土を乾かさないように管理します。ある程度大きく育ったら鉢へ移してあげましょう。
根伏せ
パニキュラタ種は根伏せで増やすことも可能です。根伏せは挿し木の一種であり、根を切って土に挿すことで新たな株を増やします。植えかえのついでに行うと良いでしょう。
根伏せの際は、なるべく若い根を探して10cm程度にカットします。根の先端は切り落とし、清潔な用土に寝かせて埋めましょう。
土を乾かさないようにしながら管理していくと、発根して新しい芽が伸びてきます。
株分け
パニキュラタ種やストロニフェラ種などは株分けでも増やせます。植えかえの際、株が混雑していたら分けて別々に植えつけましょう。
細かく分けてしまうと生長に時間がかかってしまうので、大きめに分けるのがポイントです。一株につき芽が5つほど残るようにしましょう。
おわりに
フロックスにはさまざまな種類があり、細かい特徴が異なります。管理の方法も変わってくるので、栽培する品種に合わせたやり方でお手入れを行いましょう。
適切な方法でお世話を続ければ、たくさんのきれいな花を咲かせてくれるはずです。お好きな品種を選んで植えつけ、長く育てていきましょう。