宿根バーベナの育て方|可愛い花を咲かせる栽培のコツや増やし方
バーベナのなかでも耐寒性が強く、冬越しして長く育てられるのが宿根バーベナです。
初夏から秋にかけて、小さく可憐な花をたくさん咲かせてくれます。ぜひお好みの品種を見つけてご自宅に植えてみましょう。
今回は、宿根バーベナの特徴や基本的な栽培方法、増やし方などをご紹介します。
宿根バーベナの育て方|花の基礎知識
宿根バーベナはクマツヅラ科の植物です。バーベナには多くの種類があり、宿根草タイプや一年草タイプなどに分けられます。本来はいずれも多年草ですが、耐寒性が弱い品種は日本の冬に耐えられず、一年草として育てるのが基本です。
宿根バーベナは比較的耐寒性が強いため、冬越しして長く育てていくことができます。開花時期は5月~11月頃で、長く花を楽しめるのも魅力のひとつです。
宿根バーベナの主な品種
宿根バーベナの代表的な品種とされているのが「バーベナ・リギダ」です。円錐状の花序をつけて、紫色や白色の花をたくさん咲かせます。
ほかにも、バーベナ・ボナリエンシス(ヤナギハナガサ、サンジャクバーベナ)という高性品種があります。バーベナ・リギダの草丈は20cm~50cmほどですが、ボナリエンシスは1mを超えるほど育つのが特徴です。
ほかにもさまざまな品種があり、花の色や形、大きさなどは異なります。ぜひお気に入りの品種を見つけて、ご自宅で育ててみましょう。
宿根バーベナの育て方|基本の栽培方法
宿根バーベナは一年草のバーベナと比較すると耐暑性・耐寒性が強めです。お手入れの手間がかかりにくいので、ガーデニング初心者にもおすすめです。
こちらでは、宿根バーベナの基本的な育て方をご紹介します。
宿根バーベナの好む栽培環境
宿根バーベナをきれいに咲かせるためには、日当たりの良い場所に植えることがポイントです。日陰では徒長して間延びしたり、花つきが悪くなったりする可能性があるので気をつけましょう。
ただし、真夏の直射日光に当て続けると弱ってしまうかもしれません。夏場は半日陰程度の場所が適しているでしょう。風通しが良く、蒸れにくいことも大事です。
土づくり
宿根バーベナは乾燥に強く、過湿を苦手とします。排水性と通気性が良く、保水性も適度にある用土を準備しましょう。
地植えの場合は腐葉土や堆肥などを加えて耕しておきます。水はけが悪い場合はパーライトなどを加えます。
鉢植えの場合、赤玉土と腐葉土を7:3で混ぜたものや『ハイポネックス培養土 鉢・プランター用』などを活用します。培養土に腐葉土を3割、牛ふん堆肥を1割混ぜるのもおすすめです。
植えつけ
バーベナの植えつけ適期は4月~5月頃です。ポット苗を購入した場合は、すぐに鉢や花壇へ植えつけてあげましょう。
複数株を地植えする場合、株間は25cmほど設けます。鉢植えの場合は排水性を高めるために鉢底石を敷いてから用土を入れましょう。植えつけが済んだらたっぷりと水を与えます。
水やり
バーベナは多湿を嫌うため、土がずっと湿った状態になるのは避けましょう。地植えの場合は、ほとんど水やりする必要はなく、雨が降るのに任せて問題ありません。
ただし、乾燥しやすい真夏の時期は水が不足し、葉の色が薄くなってしまうことがあります。そういったときは水をあげましょう。
鉢植えの場合は土の表面が乾いたタイミングで水やりします。鉢の底から水が流れ出るほど、たっぷりとあげるのがポイントです。
肥料
宿根バーベナは開花期間が長いため、定期的に肥料を施します。肥料切れになると花の数も少なくなってしまうので、気をつけて管理しましょう。
植えつけの際は元肥として緩効性肥料『マグァンプK中粒』を施します。その後は、1カ月に1回程度の頻度で緩効性肥料を置き肥するか、週に1回ほど速効性肥料『ハイポネックス原液』を施しましょう。
ただし、冬は生育が停滞するため施肥を控えます。春から秋にかけて追肥を行いましょう。
病害虫対策
宿根バーベナの栽培で注意したい病害虫のひとつがうどんこ病です。うどんこ病は糸状菌が原因となって生じる病気で、発症するとうどんこがかかったような見た目になります。
うどんこ病が発生しているのを見つけたら、すぐに対処することが重要です。放っておくと白い部分が広がり、株が弱る原因になります。
うどんこ病に感染した部位はすみやかに取り除いて処分しましょう。
また、うどんこ病にかかりにくい環境を整え、予防することも大切です。株が蒸れやすい環境だと発生しやすくなるので、風通しと日当たりの良い状態を保ちましょう。
植えつけ時に密植を避けて株間をしっかりと設ける、葉や茎が茂りすぎたら適宜カットするなどの方法でお手入れします。
摘心
宿根バーベナは次々と枝分かれして株を広げていきます。摘心をして脇芽を伸ばすことで、ボリュームのある姿に仕立てられるでしょう。
茎が5節ほど伸びているタイミングで最初の摘心を行います。先端にある「頂芽」を手で摘み取るか、ハサミでカットしましょう。しばらく育てていくと摘心した箇所から脇芽が伸びていきます。
伸びた脇芽も摘心して、何度か繰り返すことで理想の草姿へ近づけられます。ただし、開花する1カ月~2カ月前までには摘心をストップするよう気をつけましょう。
花がら摘み
宿根バーベナは小さな花を続々と咲かせ、散っていきます。ひとつの花序の小花がすべて咲き終わったら、花茎から切り取っておきましょう。
放置していると種をつくり始めて、次に花を咲かせるエネルギーが取られてしまいます。病害虫被害を防ぐため、枯れて落ちた花びらや葉などは取り除いておきましょう。
切り戻し
開花が一段落したら、株全体を切り戻しておくのもおすすめです。8月下旬頃に切り戻しておくと再び芽が伸び、秋に花を咲かせてくれます。
草姿が乱れてしまったときにも切り戻しをしてリセットしましょう。
切り戻す際は、全体の2分の1~3分の1程度の位置にハサミを入れます。節の上でカットすることがポイントです。
また、葉が何枚か残るように切りましょう。順調にいけば、切り戻しをしてから7日~10日程度で新しい芽が伸びてくるはずです。
植えかえ
鉢植えの場合は、根詰まりを防ぐために定期的な植えかえを行います。切り戻しが済んだ後、脇芽が伸びてきた段階で植えかえると良いでしょう。
鉢から根鉢を取り出したら、古くなった土を落として根をほぐします。新しい用土を準備して植えかえてあげましょう。
冬越し
宿根バーベナは耐寒性が強いほうですが、寒冷地では防寒対策をしておくと安心です。
とくに、土の中まで凍ってしまうような地域の場合は地植えでの冬越しが難しいこともあるため、一年草として育てるのも検討しましょう。
霜や凍結を防ぎたい場合は、鉢を暖かい場所へ移動させます。株元をマルチングして保温しても良いでしょう。
宿根バーベナの育て方|増やし方やポイント
宿根バーベナは挿し芽(挿し木)で増やすことができます。新しい株を増やしたい場合は挑戦してみると良いでしょう。冬越しできるか不安な場合も、新しい苗をつくっておくと安心です。
宿根バーベナの挿し芽の適期は春~初夏、もしくは秋となります。冬越し前に苗を育てたい場合は、9月下旬頃までに作業しておくことがおすすめです。
挿し芽を行う際は、健康な茎を選んでカットして挿し穂をつくります。先端から5cm~10cm程度の位置で切り、水を張った容器へ入れて吸水させましょう。その後、湿らせた挿し木用土へ挿します。
挿し木用土は肥料が入っていない清潔な土を用います。土が乾燥しないように管理して発根を待ちましょう。
おわりに
宿根バーベナは病害虫被害を受けにくく、初心者にもおすすめの花です。花がら摘みや切り戻しなど、適切なお手入れを続けていけば長く花を咲かせてくれます。
お気に入りの品種を選んで育て、毎年の花を楽しみにお世話をしていきましょう。