ウツギの育て方|栽培方法や剪定のコツ、増やし方
ウツギは日本の初夏を代表する花木のひとつです。開花時期になると、爽やかな季節にぴったりの白い花を枝いっぱいに咲かせてくれます。
ウツギは日本の気候に合う植物であり、耐暑性や耐寒性も強いのがメリットのひとつです。ぜひご自宅で育てて毎年咲く花の観賞を楽しみましょう。
今回は、ウツギの基礎知識や育て方、剪定などのお手入れのコツ、増やし方をご紹介します。
ウツギの育て方|特徴や魅力
ウツギは日本や中国を原産とする低木です。日本各地に分布しており、5月~6月にかけて美しい花を咲かせます。
花の色は白色のものが有名ですが、ピンク色の花をつけるものも見られます。耐暑性・耐寒性がともに強く、園芸初心者でも育てやすいのがメリットです。
日本で親しまれてきたウツギ
ウツギは「卯の花(ウノハナ)」という別名でもよく知られています。初夏の訪れを感じさせる花として、古くから親しまれてきました。
卯の花の咲く時期と重なることから、旧暦4月のことを「卯月」と呼ぶようになったといわれています。
ウツギ(卯の花)は昔からさまざまな歌や詩の題材となってきました。万葉集にもウツギのことを詠んだとされる歌があります。
「○○ウツギ」との関係
「空木(ウツギ)」という名前の通り、ウツギの枝には空洞があります。空洞がある分軽いため、枝を細く長く伸ばすことができます。ほっそりとした枝にたくさんの花が咲く姿も、ウツギの魅力のひとつです。
また、植物のなかには「○○ウツギ」という名前がついているものがあります。「ヒメウツギ」などはウツギの仲間ですが、「タニウツギ」や「フジウツギ」などは別の植物です。
まったく異なる植物であっても、外見が似ているものや枝に空洞があるものは、ウツギの名前がついていることがあります。
ウツギの育て方|栽培方法やお手入れのコツ
ウツギは育てやすく、園芸初心者でも挑戦しやすい花木です。お庭やベランダに植えて栽培していきましょう。こちらでは、ウツギの基本的な育て方をご紹介します。
ウツギの好む栽培環境
ウツギの花をたくさん咲かせるためには、日当たりの良い場所へ植えることが大切です。ずっと日陰になるような場所では、花つきが悪くなる可能性があります。
とくに、生育期間中にはしっかりと日の当たるところへ植えましょう。また、やや湿り気のある環境を好みますが、ある程度の乾燥にも耐えることは可能です。
土づくり
ウツギを植える際は、排水性と通気性に優れ、適度に湿り気のある肥沃な土を準備しましょう。地植えの場合、植えつけ予定の場所に堆肥や腐葉土を加えて耕しておきます。
鉢植えの場合、小粒の赤玉土:腐葉土:黒土=5:3:2で混ぜたものなどがおすすめです。配合の手間を省きたいときは、市販されている花木用や庭木用の培養土を活用しましょう。
植えつけ
ウツギの植えつけ適期は、落葉中の12月~3月上旬頃です。ただし、寒さが厳しい真冬の作業は避けたほうが良いでしょう。
地植えの場合、根鉢よりも一回り以上大きな植え穴を掘って植えつけます。土をしっかりと戻し、水をたくさん与えましょう。
鉢植えの場合は根鉢より一回りほど大きな鉢を準備して植えつけます。排水性を高めたい場合は鉢底石を敷いてから土を入れましょう。植えつけ作業が終わったら水をたっぷりとあげます。
水やり
地植えの場合、根づいた後は降雨に任せます。ただし、極端な乾燥は苦手とするため、土が乾きやすい夏場は管理に気をつけましょう。必要に応じてしっかりと水を与えます。
鉢植えの場合、鉢土が乾いていたら水やりを行います。夏は1日2回の水やりが必要になるケースもあるので、こまめに様子をチェックしましょう。また、暑い時期の水やりは日中を避け、朝や夕方の涼しい時間に行うのが重要です。
冬場は落葉して休眠するため、水やりは控えめに行います。
肥料
植えつけの際には元肥として緩効性肥料の『マグァンプK中粒』を施します。開花が一通り済んだら、お礼肥として『土を豊かにする肥料』を与えましょう。株に栄養を与えることで回復を促します。
また、晩秋~冬にも追肥を行い、次のシーズンに向けてのエネルギーを蓄えましょう。寒肥にも堆肥と肥料成分がペレット状にひとつになった『土を豊かにする肥料』がおすすめです。
病害虫対策
ウツギを育てる際は、アブラムシやうどんこ病などに気をつけましょう。アブラムシはごく小さな害虫で、柔らかい芽や葉などに発生することがあります。
とくに、新芽の時期には注意が必要です。放置していると大量に増えてしまうことがあるので、薬剤も活用して防除しましょう。
梅雨の時期にはうどんこ病を発症しやすくなります。葉などに白いうどんこが付いたような状態になり、放っておくと患部が広がってしまいます。うどんこ病にかかった部分はすぐに取り除いて捨て、殺菌剤をかけておきましょう。
また、アブラムシやうどんこ病は、日当たり・風通しの悪い環境で起こりやすくなるといわれています。病害虫被害を防ぐためにも、植えつけ場所には気を配りましょう。
また、葉や枝が茂りすぎると、日当たりも風通しも悪くなってしまいます。剪定を行って不要な枝を取り除いてあげましょう。
植えかえ
鉢植えの場合は2年~3年に1回程度の頻度で植えかえを行います。植えっぱなしにしていると根が回り、生育が停滞する原因にもなるため注意が必要です。
ウツギの植えかえ適期は、植えつけと同じく落葉期です。新しい用土を準備して植えかえてあげましょう。
剪定
ウツギの樹形を美しく保つためには、定期的に剪定することが大切です。基本的には1年に2回、落葉期と花後に剪定を行いましょう。
落葉期の剪定
12月~3月上旬頃の落葉期には不要な枝を切り落とします。枯れた枝や徒長した枝、混雑した部分の枝などをカットしましょう。株の根元から生えてきたひこばえや、内側に向かって生えている枝なども切っていきます。
この時期にはウツギの葉はすべて落ちているため、樹形のバランスを見やすいのがメリットです。理想的な形を目指して枝を整えていきましょう。
花後の剪定
ウツギの開花が済んだ6月頃、軽い剪定を行います。伸びすぎたところや、込み合っている部分の枝などをカットしていきましょう。
ただし、7月中旬を過ぎると今年伸びた枝に新しい花芽ができ始めます。花芽のついたところを切ってしまうと、翌年に花が咲かなくなってしまうため注意が必要です。
花後の剪定はできる限り早めに行いましょう。
ウツギの育て方|増やし方や注意点
ウツギは挿し木をすることで新しい株を増やせます。栽培に慣れたら、挿し木にチャレンジしてみるのもおすすめです。ここでは、ウツギの挿し木についてご紹介します。
挿し木の適期
ウツギの挿し木に適した時期は4月もしくは6月~7月です。4月の場合は前年に伸びた枝、6月~7月には今年伸びた枝を使います。
挿し木で準備するもの
挿し木の際は、清潔な用土や刃物を準備しておきましょう。挿し木に使う用土は肥料が含まれていないものが適しています。刃物は消毒しておき、雑菌が入るのを防ぎましょう。
挿し木の方法
元気の良い枝を選んで、先端から10cm~15cmの位置で切って挿し穂をつくります。切り口は斜めにしておきましょう。
その後、湿らせた挿し木用土に先端を挿します。発根するまで土が乾かないようにしながら日陰で管理しましょう。
発根してある程度大きくなったらお好きな鉢などへ移します。日光に当てて水やりしながら育てていきましょう。
おわりに
ウツギは初夏の訪れとともに爽やかで可憐な花を咲かせてくれます。丈夫で手間がかかりにくいため、花木を初めて育てるときにもおすすめの植物です。
お好きな方は、ぜひご自宅に植えて育て、風情のある姿を堪能しましょう。