ライラックの育て方|花の魅力や栽培のコツ、増やし方
春から初夏の時期になるときれいな花をたくさん咲かせ、人々の目を楽しませてくれるライラック。香りの良さも魅力のひとつで、花の時期には華やかな芳香を堪能できます。
ライラックは地植えでも鉢植えでも栽培可能なため、お好きな方はぜひご自宅に植えてみることがおすすめです。
今回は、ライラックの特徴や基本的な育て方、お手入れのポイント、増やし方などをご紹介します。ライラック栽培を始めたい方は、ぜひご覧ください。
ライラックの育て方|美しい花の魅力
ライラックはモクセイ科の花木です。開花時期は4月~5月で、小さな穂状の花をたくさん咲かせます。ヨーロッパの南東部が原産であり、フランス語の「リラ(Lilas)」という名前でも親しまれています。
花の色は薄紫色のものが有名で、「ライラック色」の由来にもなっています。やわらかい雰囲気の色味であり、咲きそろった姿はとても見ごたえがあります。
薄紫色のほかにも、白色や青色、赤紫色の花を咲かせる品種もあるため、お気に入りのものを探してみましょう。
ライラックは香りが良いことでも知られており、花の時期には甘く優しい芳香が漂います。香水としても人気の香りです。
樹高は1mほどのものから10m以上に育つものまでさまざまです。鉢植えで育てる場合は、コンパクトな品種を選ぶと良いでしょう。
また、ライラックは耐寒性が強く、寒い土地でも冬越しさせやすいのがメリットのひとつです。北海道では街路樹として植えられている様子も多く見られます。
ライラックの育て方|土づくりや植えつけ
ライラックは鉢植えでコンパクトに育てることも可能な花木です。お好みの品種を見つけたら、ぜひご自宅に植えてみましょう。ここでは、ライラックの好む環境や土づくり、植えつけなどを解説します。
ライラックの好む栽培環境
ライラックの花をたくさん咲かせるためには、日当たりの良い場所へ植えることが重要です。ただし、夏場の強い直射日光や西日は苦手とします。
明るい半日陰や、風通しが良く涼しい場所が適しているでしょう。鉢植えの場合は夏のみ半日陰に移動させ、それ以外の季節は日なたに置くこともおすすめです。
また、高温多湿の環境を苦手とするため、蒸れやすい場所は避けて植えましょう。風通しが良いことも大事なポイントです。
土づくり
ライラックはそれほど土質を選びません。水はけの良いものを用意しましょう。地植えの場合、植えつけ場所に腐葉土や堆肥などを加えてふかふかに耕しておきます。
鉢植えの場合は、小粒の赤玉土と腐葉土、黒土を6:3:1で混ぜたものなどがおすすめです。市販されている『ハイポネックス培養土 鉢・プランター用』を活用しても問題ありません。
植えつけ
ライラックの苗木の植えつけ適期は11月~3月頃です。春の芽吹きを迎える前に作業を済ませましょう。寒冷地の場合は真冬の作業を避け、秋か春に植えつけます。
地植えする場合は根鉢よりも倍の大きさの穴を掘って苗を植えます。鉢植えの場合は根鉢より一回り大きな鉢を用意して植えましょう。
植えつけからしばらくの間は倒れないように支柱を立てておくと安心です。
ライラックの育て方|日頃のお世話のコツ
ライラックを長く育てていくためには、適切な管理方法を確かめて実践することが大切です。ここでは、ライラックのお世話の方法をご紹介します。
水やり
ライラックは過湿を苦手とするので、水のあげすぎには注意が必要です。ただし、開花期間中は水切れしやすいため気をつけて管理しましょう。
地植えの場合、しっかりと根が張った後は降雨に任せ、ほとんど水やりせず問題ありません。雨が降らない日が続いたら適宜水やりしましょう。
鉢植えの場合は土の表面が乾いてからたっぷりと水を与えます。夏の高温期は土が乾燥しやすくなるため、1日に2回水やりするケースもあります。
こまめに土の状態をチェックしましょう。乾燥を防ぐため、株元に藁や腐葉土を敷き詰めるのもひとつの方法です。
肥料
植えつけの際に元肥として緩効性肥料の『マグァンプK大粒』を与えておきます。
2月~3月頃には寒肥、開花後の6月頃にはお礼肥として堆肥と肥料成分がひとつになった『土を豊かにする肥料』を与えましょう。
病害虫対策
アブラムシはとても小さな虫であり、植物の汁を吸ったり、病気を媒介したりすることがあります。大量発生するケースも珍しくありません。
発見次第、すぐに駆除することが大切です。葉の裏や新芽などに潜んでいることもあるため、気をつけてチェックしましょう。
葉や花びらなどに白い粉がかかったような状態になっていたら、うどんこ病を疑いましょう。うどんこ病はカビの一種が原因となる病気です。
放置していると患部が広がり、枯れることもあります。うどんこ病にかかっている部分はすぐに取り除き、殺菌剤をまいておきましょう。
アブラムシやうどんこ病を防ぐため、防除可能な薬剤を活用するのもおすすめの方法です。大切なライラックが被害に遭わないように対策しておきましょう。
また、日当たりがよく風通しの良い状態を保つのも予防のポイントです。植えつけ場所には注意して、適切な環境を守りましょう。
植えかえ
鉢植えのライラックは2年~3年に1回の頻度で植えかえを行います。そのままにしておくと根詰まりしてしまう可能性もあるため気をつけましょう。
適期は植えつけと同じ11月~3月頃です。一回り大きな鉢と新しい用土を準備しておきましょう。鉢から根を掘り出したら、古い土を落として3分の1ほど崩します。
新しい鉢へ植えかえたら、水をたっぷりとあげましょう。
剪定
ライラックの剪定適期は花後すぐのタイミングです。夏には翌年の花芽をつけ始めるため、すみやかに剪定を済ませましょう。
強い剪定で枯れてしまうこともあるため、混雑した部分や不要な枝を軽く切る程度にとどめます。種をつくって消耗しないよう、花がらも摘み取りましょう。種を採取したい場合は少しだけ残しておきます。
冬越し
ライラックは耐寒性が強いものの、雪が降る地域の場合は積雪で枝が折れないように注意が必要です。地植えの場合は雪囲いをして枝を守りましょう。
鉢植えの場合は雪を避けられる場所へ移動させて冬越しさせましょう。ただし、冬の間に寒さに当たらないと次の花が咲かなくなるため、暖かい室内へ移すのは避けたほうが無難です。
ライラックの育て方|増やして楽しむには
ライラックはさまざまな方法で増やすことができます。ここでは、ライラックを取り木で増やす方法をご紹介します。
取り木とは、枝の一部を発根させ、親株から切り取って植えつける増やし方です。ライラックの場合は枝の表面をはぎ取り、そこから発根させます。
ライラックの取り木の適期は3月~5月頃です。新しく伸びた直径1cm程度の枝を選んで、2cm~3cmほど樹皮をはぎましょう。露出した部分に水を含ませたミズゴケを巻いたら、ビニールで包んでしっかりと留めます。
順調にいけば秋頃には発根するので、根がつくように切り取って鉢へ植えてみましょう。しばらくは直射日光を避けて半日陰で管理します。適宜水を与えながら根づくのを待ちましょう。
おわりに
ライラックは春から初夏にかけての爽やかな季節に咲き、美しい花と華やかな香りで楽しませてくれます。寒い地域でも地植えで育てやすく、管理の手間がかかりにくいのもメリットです。
高温多湿には気をつけて管理していくと、長く花を楽しめます。お好きな方はぜひご自宅で栽培にチャレンジして、きれいな花の姿を堪能しましょう。