更新日:2025.01.10
アエオニウムの育て方を紹介 | 注意点や栽培環境、難易度も
「アエオニウム」は、ロゼット状に広がるバラのような葉が美しい多肉植物です。品種によって葉の色や形、サイズが異なり、コンパクトなものは観葉植物としても人気があります。
ただし、インテリアとして部屋に飾りたくても「お手入れって手間がかかるのかな」、「すぐ枯れたらどうしよう」と考えて、なかなか栽培を始められない人もいるのではないでしょうか。
この記事では、アエオニウムの育て方を詳しく解説しています。最後まで読んでもらえば、温度や水やりなど栽培に必要な知識、注意点などが把握できます。
栽培方法を理解して、アエオニウムを部屋に飾れば、かわいらしい姿に毎日癒されるはずです。ぜひご覧ください。
アエオニウムとは?
アエオニウムは、ベンケイソウ科のアエオニウム属に属する多肉植物です。北アフリカのカナリア諸島を中心に36種、そのほかにマデイラ諸島やモロッコなどに原種が存在します。
アエオニウムは、茎の先についた葉が花のように広がっているのが特徴です。生長するにつれ、茎の下のほうが固くなり、割れてきます。
品種により、葉の色やサイズが異なるのも魅力のひとつです。たとえば、別名「夕映え」というアエオニウム・キウイという品種があります。コンパクトなサイズで、葉がわずかにピンク色なのが特徴です。
アエオニウムの品種の中で有名なのは、黒法師です。黒法師は、光沢のある真っ黒な葉っぱが特徴で、葉が花のようになって生長します。
このように、同じアエオニウムでも品種により見た目が異なります、そのため、鉢植えにいろいろな品種のアエオニウムを寄せ植えすれば、見た目もおしゃれに仕上がります。
冬生育型の多肉植物ですが、極端な暑さや寒さが苦手のため、夏や冬は室内に移動してインテリアにもできます。分厚い葉には、水分が多く含まれており、丈夫で育てやすいのも特徴です。
アエオニウムの育て方
アエオニウムは、それほどお手入れがいらないため育てやすい植物です。ただし、極端な暑さや寒さが苦手のため、真夏や真冬に屋外で育てると枯れる可能性があります。
枯れないようにするには、アエオニウムの栽培環境や温度管理などの基礎知識を身につけることが必要です。
栽培環境、栽培場所
アエオニウムは、よく日光が当たる風通しのよい場所で育てましょう。日当たりのいい場所で育てれば、葉がより元気に生長し、色も鮮やかになります。
よく日光を当てないと、株の元気がなくなり、葉のツヤも失われて枯れ落ちる場合があります。茎も細長く生長してひょろ長くなり、弱々しい見た目になる可能性も高いです。
このような事態を防ぐためにも、株全体に日光が当たる場所に置いてください。片側だけ日光が当たる場所だと、葉の生長にムラができます。全体に日光が当たる場所がない場合は、鉢を回して調整すれば、均等に光が当たるはずです。
ただし、夏の強い日差しを当てすぎると葉焼けを起こす恐れがあるため、日差しが強い時期は半日陰に移動させましょう。
また、冬の弱い日光に慣れた春先に強い日差しに当てた場合も、葉焼けが起こる可能性があります。急に強い日差しに当てるのではなく、少しずつ日光に慣れさせることが大切です。
温度
アエオニウムの栽培は、8~25℃程度が適温です。アエオニウムは冬生育型のため、寒さに強いと勘違いしがちですが、8℃を下回る寒さには弱い一面があります。
特に、霜が降りると寒さに耐えきれずに枯れる可能性があります。屋外で栽培している場合、冬の寒さが厳しくなる前に屋内に移動させておくと安心です。
屋内で栽培する際も、日中は日光をよく当てましょう。夜は窓際に置くと気温が低くなるため部屋の真ん中に移動させてください。
さらに、アエオニウムは25℃以上の暑さや多湿な環境も苦手です。梅雨の時期は、雨に当てすぎないようにしましょう。高温多湿な場所で栽培すると、生長しなくなる恐れがあります。
鉢植えでの栽培は、風通しをよくするために鉢の下にレンガなどを置くと、湿気が溜まるのを防げます。
水やり
アエオニウムの生長が著しくなるのは、冬です。気温も高くならないため、乾きも遅くなります。10日に1回を目安に表面の土が乾いたのを手で触って確認してから、たっぷり水をあげましょう。
丈夫なアエオニウムは、多少乾燥してもすぐ枯れません。ただし、湿気が多くなると、根腐れする可能性があるため水の与えすぎには注意が必要です。
生長が緩やかになる春と秋も、水やりは必要です。2~3日間隔で、冬と同じように表面の土が乾いたのを手で触って確認してから水をあげてください。鉢の真ん中あたりまで土が乾いているのがポイントで、鉢の底から水が出てくるくらいたっぷりあげましょう。
アエオニウムは6~9月にかけて休眠期に入るため、水やりを減らします。春が終りかけて夏に近づいてきたら、与える水を少なくすることが必要です。
そして、夏になったら月に1~2回程度、スプレーで葉水を与えてください。休眠期に断水すれば葉の厚みは減りますが、根腐れを防げます。
ただし、気温が高くて厳しい暑さが続くと、アエオニウムも水分不足になる可能性があります。乾燥が心配なときは気温が低下して夕方に軽く水を与えるか、葉水するかで様子を見ましょう。
用土
多肉植物であるアエオニウムには、多肉植物用の土や草花用培養土を使用しましょう。保水力は必要ですが、ある程度水はけがよくないと根腐れを起こす恐れがあります。
オリジナルで用土を作るなら、赤玉土小粒、鹿沼土小粒、川砂、ピートモス、くん炭を同じ量混ぜ合わせるのがおすすめです。水はけをよくするなら、川砂、培養土、腐葉土を混ぜ合わせるのもよい方法です。
肥料
丈夫な多肉植物であるアエオニウムは、肥料をあげなくても生長します。特に、生長が緩やかになる時期や休眠期に、肥料を与えるのは避けましょう。これらの時期に肥料を与えても、養分を吸収しないためです。
肥料を与えるなら生育期である10~5月に2ヵ月に1回置き肥に『プロミックいろいろな植物用』を与えるか、『ハイポネックス原液』を水で薄めて2週間に1度まいてください。
水やりも兼ねているので、液肥後に水を与える必要はありません。液肥がない場合、緩効性化成肥料として、『マグァンプK中粒』を少しまくのもよい方法です。
剪定方法
アエオニウムの剪定は、10〜5月が適期です。枯れてきた葉をピンセットでつまんで除去しましょう。生長しすぎた花茎や茎を好きな場所で切り戻すと、切り口から再び芽が出てきます。
頻繁に剪定する必要はありません。コンパクトなサイズで育てたい場合や、茎を分岐させて増やしたい場合は剪定しましょう。「増やし方」でも紹介しますが、剪定した枝葉を利用して、アエオニウムを増やせます。
夏越し・冬越し
アエオニウムは、風通しのよい半日陰に置いて夏越しさせます。夏の強い直射日光が苦手な品種もあるため、強い日差しが当たらない場所に置いてください。また、多湿を避けるため、梅雨の雨に長時間当てないことも大切です。
高温多湿が苦手な一方、アエオニウムは冬成長型の多肉植物のため、冬に大きく生長します。ただし、霜がおりるくらいの寒さは避ける必要があります。寒さが厳しくなってきたら、室内の温かい場所に置いてください。
温かい日中は屋外に出して、日光に当てても問題ありません。品種によって、耐えられる寒さは異なるため、購入する際に耐寒温度をチェックすると寒さ対策もバッチリでしょう。
増やし方
アエオニウムは、生長が著しくなる秋から春に「葉挿し」や「挿し木」で増やします。葉挿しの場合、アエオニウムの葉を根元から切り取り、土に挿せば準備完了です。
あとは、新しい芽や根が生えてくるのを待ちましょう。ただし、アエオニウムの葉は、多肉植物の中でも薄いので、葉挿しがうまくいかないケースもあります。
うまく新しい芽や根が出ない場合は、挿し木で増やすのがおすすめです。挿し木で増やすなら、挿し木に使う葉の数cm下にある茎を切り取り、2~3日程度乾燥させてから土を入れた鉢に植えてください。
あるいは、切り口から新しい根が生えたあと、土に挿しても構いません。
切り取った葉は、瓶に真っすぐになるよう入れておきます。1~2週間程度経過すると、切り口から根が生えてきます。挿し木をしたあとは、1週間程度経ってから水やりを開始しましょう。
挿し木を成功させるには、元気な葉を選ぶのがポイントです。元気がない葉を選ぶと、切り取ったあと乾燥させるまで枯れる可能性があります。
アエオニウムを育てる際に気をつけること
アエオニウムは丈夫で育てやすい多肉植物ですが、育てる際の注意点があります。注意点を意識しないと、根腐れや根詰まりを起こして枯れたり生長が止まったりする場合があります。
下記で、アエオニウムを栽培する際の注意点について解説するので、事前にしっかり理解しておきましょう。
根腐れ
アエオニウムが根腐れを起こすのは、土の水はけの悪さや水の与えすぎが原因です。根腐れすると、下記のような現象が起こります。
根腐れが引き起こす現象
- 頻繁に葉が落ちる
- 葉の色が茶色や黄色になっている
- 幹が柔らかい
- 土が乾かない
- 土の表面がカビている
- 土がカビ臭い
- 水やりしても元気がない
上記のような状態であれば、アエオニウムは根腐れしているかもしれません。植物の根は、水や栄養分を吸収する大切な役割を担っています。
根が腐ると、水や栄養を植物全体に供給できなくなり、茎や葉が変色して枯れ始めます。長くアエオニウムの栽培を楽しむためにも、根腐れは避けなければいけません。
根腐れしたら、下記のような対処法で乗り切りましょう。
根腐れの対処法
- 土からアエオニウムの株を抜き、カビている土を新しい土に交換する
- 腐った根を切り取る
- 風通しのよい半日陰に置く
- 傷んだ葉や枯れた枝を除去する
カビた土は水はけのいい新しい土に交換して、腐った根は除去しましょう。根腐れが拡大する要因を取り去り、健康に生長できる環境に整えてください。
用土にゼオライトや赤玉土を混ぜ込むと、水はけがよくなります。水はけがよくなれば、根腐れも予防できますよ。
根腐れがひどくなると、枝の先や新芽が枯れる可能性があるため、根腐れに気づいたら早めに対処することが大切です。
根詰まり
根詰まりは、鉢の中にある根が伸びて過密になっている状態です。根詰まりすると、水や栄養分を根から吸収できなくなり、アエオニウムの生長が止まります。
根詰まりによって、下記のような現象が現れます。
根詰まりが引き起こす現象
- 鉢の底から根が伸びている
- 葉が黄色く変色する
- 水が浸透していかない
- 鉢がひび割れする
- アエオニウムの元気がない
生長期である春や秋にかけて根もぐんぐん伸びるため、根詰まりが起こりやすくなります。
根詰まりの対処法として、植えかえが有効です。元のサイズの鉢よりワンサイズ大きい鉢に植えかえれば、根詰まりも解消されます。
植えかえは、アエオニウムの生長が活発になる春や秋に行ってください。
葉焼け
アエオニウムの葉焼けは、直射日光の当てすぎや気温の高さなどが原因で起こります。高温に弱いアエオニウムは、強い日差しや気温の高い日に強くストレスを感じます。葉焼けすると、現れる現象は下記です。
葉焼けで起こる現象
- 葉の一部が茶色い
- 葉の色素が抜けて白くなっている
葉焼けが起こったら、早めに下記のような対策を行ってください。
葉焼けの対処法
- 葉焼けした葉を切り取る
- 直射日光の当たらない場所へ移動する
- 直射日光を遮るものを置く
葉焼けは、直射日光を当てすぎのサインです。葉焼けした葉は元に戻らないため、早めに色が変わった葉を切り取り、場所を移動させましょう。
適切な栽培環境になれば、再び新しい芽が生えてくるはずです。
葉焼けしたからといってアエオニウム全体が傷むわけではなく、葉焼けが起きた場所以外は健康です。しかし、長い時間直射日光に当てると、やがて枯れる可能性が高くなるので、葉焼けを放置することはやめましょう。
害虫
アエオニウムにつきやすい害虫は下記のとおりです。
アエオニウムにつきやすい害虫
- カイガラムシ
- アブラムシ
- ネジラミ
カイガラムシは、5~7月にかけて大量発生する害虫です。
カイガラムシは成虫になると、固い殻に守られて殺虫剤が効きにくくなります。成虫のカイガラムシを発見したら、ヘラや歯ブラシを使って落としてください。
落ちたカイガラムシは、土に埋めたり捨てたりして再び付着するのを防ぎましょう。
アブラムシは、年間を通して発生しやすい害虫です。特に多くなるのは、春と秋。夏の暑さが苦手のため、気温が高くなると減少し、また秋になると繁殖して増えます。
駆除は、指で弾きとったり、水をかけて洗い流したりするのがおすすめですが、一匹でも残ると再び増加するのでしっかり根絶させることが大切です。
ネジラミは、白い粉を根に付着させて栄養を奪う害虫です。根につくので発見が遅れがちですが、アエオニウムの生長スピードが遅い、枯れてきたといったトラブルがあるなら、根を掘り起こしネジラミの存在を確認しましょう。
ネジラミは乾燥した環境が好みのため、適度な湿気をキープすれば、発生を抑制できます。
アエオニウムを育てる難易度
育てやすさは品種によって異なりますが、難易度は普通である場合が多いです。多肉植物を育てるのが初めての方は、黒法師や七福神など生長が早く丈夫な品種を選びましょう。
適切に管理すれば、アエオニウムは順調に育つはずです。夏は直射日光を避けた涼しい場所に置き、生長期になる冬は日当たりのよい場所で育ててください。
極度な寒さが苦手のため、冬は屋外に置かず、屋内で育てるのが一般的です。
水やりは、休眠期にあたる夏は控えめに行い、冬も土が乾燥したら水を与えるようにしましょう。湿気が多くなると、根腐れが起こる可能性があるので注意してください。
2年に1回程度、植えかえが必要です。植えかえしないと、土の中で根詰まりを起こし、生長がストップするので必ず行いましょう。
まとめ
アエオニウムは、茎の先にロゼット状に広がる葉が印象的な多肉植物です。日当たりと風通しのよい環境で育てましょう。水やりは、季節によって調整し、特に夏は乾燥気味で育てることが大切です。
高温多湿や寒さにも弱いので、温度管理も重要です。用土は水はけのよいものを使用し、肥料は控えめに与えましょう。根腐れや害虫に注意しながら、適切にお手入れしてください。
今回は、アエオニウムの栽培について解説しました。この記事を読んでアエオニウムの栽培について事前に理解を深めれば、ピンクや黒色の美しいアエオニウムを長く楽しめるはずです。
関連記事