更新日:2025.01.31
ガステリアの育て方を解説!特徴と失敗しない育成法についてご紹介
ガステリアは肉厚な葉のユニークな形状と育てやすさが人気の観葉植物です。品種によって姿かたちが異なるため、コレクションしている人も多いといわれています。またガステリアは、育て方のコツさえ押さえれば、何年にもわたって美しい姿を楽しめます。
今回は、ガステリアについてその特徴や育て方のコツ、気をつけたい病気や害虫について解説します。個性的な観葉植物を栽培したい、と考えている方は、ぜひ本記事を最後まで読んで参考にしてください。
ガステリアの特徴
ガステリアはススキノキ科ツルボラン亜科ガステリア属の多肉植物で、原産地はアフリカ南部です。絶滅危惧種IA種に指定されている植物ですが、日本の環境でも元気に育つ、生命力の高さが特徴です。
ガステリアという名前はギリシャ語で胃を表す「gastar」に由来しており、その名のとおりまるで胃袋のような形の花を咲かせます。
多彩な外観バリエーション
種類が豊富なガステリアは、品種によってさまざまな色や形が楽しめます。葉の色合いや形状、斑入りなどさまざまなバリエーションがあり、コレクターも少なくありません。ガステリアの主な品種とその特徴を紹介しましょう。
● 臥牛(がぎゅう)
古くから日本で栽培されている品種で、左右に規則正しく重なり合う葉が特徴です。
● 子宝錦
通常ガステリアは濃い緑の葉をしていますが、子宝錦は美しい黄色の斑が入っています。コンパクトな品種のため、置き場所に困らないのも魅力です。
● 恐竜
その名のとおり、恐竜のような迫力のある姿が楽しめる品種です。肉厚かつ幅広の葉が存在感を放っています。
● グロメラータ
ガステリアのなかでは小型に分類される品種です。平べったい葉の形がユニークで、人気を博しています。
● 春鶯囀
まるで爬虫類の肌のような、隆起のある葉が特徴的な品種です。生長期には黒に近い深緑色をしていますが、冬に水切れすると紅葉します。
● ガステリア・ファロー(フロー)
アロエと交配して作られた品種で、濃い緑色をしたロゼッタ状の葉に、白い斑が入っているのが特徴です。
● 桜富士
葉の緑と白のコントラストが非常に美しい品種です。ただし湿度に大変弱いため、経験者でないと栽培は難しいでしょう。
● 虎の巻
長細い緑色の葉に虎の尾のような白い斑が入っていることからその名が付けられました。扁平な葉が特徴で、比較的大きくなる品種です。
品種によって異なる個性を楽しむことも、ガステリア栽培の醍醐味です。
肉厚な葉
ガステリアの葉は非常に肉厚です。これはアフリカの過酷な環境に耐えるためで、中に水分が蓄えられるようになっています。肉厚な葉は多肉植物ならではの環境適応能力の表れといえるでしょう。
ゆっくり生長する
ガステリアは生長が遅い多肉植物です。じっくりと根気良く育てていくうちに愛着がわいてくる、という人も少なくありません。生長が遅い分、頑丈で長生きするため、長寿で美しい観葉植物としても人気を集めています。
ガステリアの育て方
ガステリアの美しさや魅力を最大限に引き出すためには、適切な方法で育ててあげることがポイントです。ここからは、ガステリアの育て方のポイントを紹介します。
栽培環境・日当たり・置き場
ガステリアは日光を好む植物ですが、夏の直射日光には注意が必要です。風通しのよい明るい日陰で育ててあげましょう。
根が太く長いため、鉢は深鉢を選びましょう。鉢は直に地面に置くのではなく、下にブロックを敷くなどして鉢底の風通しもよくします。また、雨に長く当たると葉の表面にしみができてしまうため、梅雨の時期には雨に当たらないように気をつけてください。
ガステリアの強弱は日の色で変わります。きれいな緑色にしたい場合は柔らかな日差しに当ててあげるとよいでしょう。
また、日光の当たり具合によって葉がかたよってしまう恐れがあります。葉を均一にしたい場合は、定期的に鉢の向きを変え、葉全体にまんべんなく日光が当たるようにしましょう。
多肉植物は基本的に屋外での栽培が推奨されていますが、ガステリアは弱い光でも十分に育つため、室内で育てることも可能です。室内で育てる場合は窓際に置いてあげましょう。屋外で育てる場合、冬場は室内の明るい場所で管理します。
水やり
ガステリアは乾燥気味の環境でよく育つ植物です。とはいえ水やりが不要というわけではありません。特に春と秋の生育期には、土が乾いたタイミングで水をたっぷり与えてください。
また、直接葉に水をかけないように注意してください。葉焼けや蒸れを起こす可能性があります。
夏場は水やりの回数、量とも少なめにします。水の量は、表土が湿る程度でかまいません。一度にたくさん水分を与えすぎてしまうと根が水を吸いきれずに土が湿ったままになり、根腐れの恐れがあるためです。
また、気温が高い時間帯に水やりをすると水が熱されるため、朝や夕方など気温が比較的低くなる時間帯に行ってください。
冬場も夏同様、表土が湿る程度の控えめな水やりでかまいません。寒い時間帯に水やりをすると根が傷んだり凍ったりする恐れがあるため、日中の比較的暖かい時間に行いましょう。
肥料
ガステリアを育てる際、基本的に肥料はそこまで必要ありません。とはいえ元肥や追肥をすることで、元気に生長してくれます。
生長期の春に植えかえを行う際、緩効性肥料『マグァンプK中粒』を混ぜ込むと良いでしょう。
追肥には『マグァンプK小粒』をばらまくか、液体肥料『ハイポネックス原液』を2,000倍に薄め、月に1回の頻度で与えるといいでしょう。
肥料を過剰に与えすぎると生長に悪影響を及ぼすため注意してください。
用土
ガステリアを育てる際は、水はけのよい土を使いましょう。鹿沼土中粒3、赤玉土中粒3、腐葉土3、軽石中粒1の配合土が栽培に適しています。
初心者の方や配合土を作る時間がない、という方は市販のサボテンおよび多肉植物用の土を使うと便利です。
植えつけ、植えかえ
ガステリアの植えつけ、植えかえは4~5月頃に行いましょう。根を張るので、鉢は「深型」と記載されている深鉢を選びましょう。
植えかえの数日前から水やりは中止し、用土をしっかり乾かしておきます。枯れた葉や根を取り除いたうえで株を鉢から抜いたら、数日間放置して根を乾かしておきましょう。根が傷むのを防げます。
根が鉢いっぱいに張っている場合は、一回り大きな鉢へと移し替えてください。ただし二回り以上の大きな鉢へと植えかえてしまうと、過湿状態となり根腐れを起こす恐れがあるため気をつけましょう。
「これ以上大きくしたくない」と思われる場合は根を適宜カットして、同じ大きさの鉢に植えかえるとよいでしょう。
ガステリアが順調に育っている場合は無理に植えかえする必要はありません。ただし、さまざまな品種の寄せ植えを入手した場合は、品種ごとにそれぞれの鉢へと植えかえしてあげたほうが育てやすいでしょう。
夏越し、冬越し
夏場は風通しのよい場所に置いてあげます。複数の品種のガステリアを育てている場合は鉢が混みあわないようにスペースを空けて配置しましょう。屋外で育てている場合は日よけを施すなどして直射日光が当たらないようにしてください。
また、長雨に当てると葉焼けなどの原因になるため、雨が当たらない場所に置くこともポイントです。鉢の中が高温多湿状態にならないように、水やりも控えめにしましょう。
ガステリアは冬場に休眠する植物です。寒さに比較的強い植物ではありますが、凍ってしまわないよう冬場は霜が降りる前に、日の当たる明るい室内で管理してください。暗い日陰に長時間置いてしまうと、葉が薄くなって間延びするため注意しましょう。
ガステリアは生長が遅いため、一度葉が間延びすると初めの姿に戻るまで数年かかります。冬場は室内でも日がよく当たる部屋で管理しましょう。
ふやし方
ガステリアのふやし方には「株分け」「葉挿し」「種まき」の3種類あります。ガステリアは子株ができる植物です。子株ができたら株分けで増やしましょう。
株分けは植えかえのタイミングで行ってください。株分けの手順は以下のとおりです。
- 子株ができたガステリアを鉢から取り出します。根元をしっかり持って、根が傷まないように丁寧に取り出しましょう。
- 根についた土を優しく払い落とします。傷んだり伸びすぎたりしている根はハサミで切り落としてください。
- 残った根を手やナイフ、園芸用のハサミで親株と子株にそれぞれ分けます。
- 鉢に半分ほど土を入れ、ガステリアを置き根に土をかぶせます。高さを調節しながらかぶせましょう。
- 株分け直後のガステリアはとても弱っている状態のため、2~3週間は日陰で管理してください。過剰な水やりもNGです。土の表面が乾いたらあげる程度でかまいません。
葉挿しも株分け同様、植えかえのタイミングで行います。以下に詳しい手順を紹介します。
ガステリアを少し乾燥させた状態にし、葉を取ります。葉をしっかり持って左右に動かしながら丁寧に取りましょう。葉の付け根が潰れていると育たなくなるため、潰さないようにしてください。
- 葉の切り口をしっかり乾燥させてから、土を入れた新しい鉢へ挿します。このとき、さほど深く挿す必要はありません。浅くても十分育ちます。
- 数日様子を見て、葉から根が出てきたら水をあげてください。
多肉植物を種から育てるのは難しいと思っている方もいるかもしれませんが、そのようなことはありません。コツさえつかめば初心者でも上手に栽培可能です。ここからは、種まきの詳しい手順を紹介します。
- 鉢に土を入れて表面にガステリアの種をまきます。
- 15℃以上の環境で管理し、根が生えてある程度生長したら植えかえを行いましょう。
種まきに適した時期は10月です。花が咲いた後に種が取れるため、花が咲き終わったら種を採取するのを忘れないようにしましょう。
ガステリアを育てる際に気をつけることはある?
ガステリアを育てる際は病気や害虫に気をつけなければいけません。ここからは、特に気をつけたい病気や害虫について、対処法とともに紹介します。
病気
ガステリアがかかりやすい病気の一つが「軟腐病」です。軟腐病は名前のとおり、葉や茎が軟化して腐ってしまう病気です。
軟腐病は植物の傷口に土壌中の細菌が感染することで発症します。気温が22~23℃の温かい気候、土壌の水分が多く空気中の湿度が高い環境で発生します。梅雨などで雨が続いた後や台風の後は要注意です。
軟腐病にかかると、葉や茎の下部に水にぬれたようなシミができます。特に地際部の茎や葉にかかりやすいため、注意が必要です。
シミはだんだん茶色っぽくなり、しだいに幹部が柔らかくなって腐ってしまいます。同時に腐敗臭がしはじめるでしょう。
軟腐病は一度かかると治療ができない病気です。そのまま放置していると、病状が急激に悪化したり、他の株に感染したりします。そのため、軟腐病に罹患している株を見つけたら、すぐに対処しましょう。
軟腐病を治療する薬剤はありません。しかし発症した株の周辺の株や土壌にも軟腐病の菌が付着しているため、予防薬を散布して病原菌が広がらないようにしましょう。発症した株は除去して処分してください。
軟腐病の予防には傷口から原因菌を侵入させないことがポイントです。植えかえ作業などで根に傷を付けてしまった場合は、そこから発症する恐れがあります。
根をしっかり乾燥させて、傷口がふさがってから新しい土へと移しましょう。葉や茎などに傷がついてしまった場合は、水やりを控えてください。
害虫
ガステリアを育てる際に気をつけたい害虫が「カイガラムシ」です。カイガラムシはカメムシの一種で、名前のとおり貝殻を背負ったような姿をしています。植物の樹液を吸って生命力を奪ってしまうため、放置しておくと植物が枯れてしまいます。
カイガラムシは人の衣服や風を通して植物に付着する害虫です。風通しが悪く暗い場所を好み、特に5~7月に発生しやすくなります。
カイガラムシの体長は2~10㎜と非常に小さく、なかでも幼虫は1㎜程度の大きさしかないため、見つけにくいのが特徴です。ガステリアを育てる際は、茎や葉を定期的にチェックして、カイガラムシが付着していないかどうか確認しましょう。
カイガラムシの卵を見つけたら、付着している部分の葉を切り取ります。刷毛を使うと一気に駆除できるため便利です。
またカイガラムシが発生する5~7月に月3回程度、カイガラムシ用の殺虫剤を巻いておくと、幼虫の駆除に効果的です。
成虫になると硬い殻があるうえロウ状の分泌物を身にまとっているため、なかなか薬剤が効きません。成虫を見つけたら物理的に駆除しましょう。
硬めのブラシやヘラでこすれば成虫のカイガラムシは簡単に取り除けます。このとき葉や茎を傷付けないように注意してください。被害の大きい葉や茎は取り除きましょう。
カイガラムシを予防するには、風通しがよい明るい場所でガステリアを育てることがポイントです。また株を購入する際は、カイガラムシがついていないかどうかしっかりチェックしておきましょう。
ガステリアを育てる難易度
ガステリアは寒さや乾燥に強く、比較的丈夫なため、初心者でも育てやすい植物です。ただし細かな難易度は品種によって異なります。
また多肉植物には珍しく、窓際であれば室内でも育てられます。さらにのんびりと大きくなるためそれほどこまめなお世話が必要ないのも特徴です。
土の表面が乾いたら水をやる、日当たりと温度管理に気を付ける程度で、あとは特別なお手入れは必要ありません。
観葉植物を育てたいけれど平日は仕事が忙しくてなかなか管理ができない、という方でも気軽にチャレンジしやすいでしょう。
初心者でも育てやすいガステリアの品種が「臥牛」です。臥牛は暑さや寒さへの抵抗力があるうえ、病害虫にも強いのが特徴です。とはいえ夏の高温は苦手なため、真夏の管理には注意しましょう。
前述したとおり、ガステリアは品種によってさまざまな色や形が楽しめる植物です。難易度の低い品種から育ててみて、慣れてくると栽培が難しい品種に挑戦してみてはいかがでしょうか。
グリーンインテリアとしてお部屋にさまざまな品種を飾るのもおすすめです。
まとめ
ガステリアは育て方をしっかり把握することで、初心者でも失敗なく育てられる植物です。日当たりと水、温度管理と病害虫にだけ気をつければ、こまかい世話は必要ありません。
育てやすい観葉植物や個性的な多肉植物をお探しの方は、ぜひガステリアの栽培にチャレンジして、その愛らしくユニークな姿を楽しんでください。
#ガステリア #観葉植物の育て方 #特集