ハナモモ(花桃)の育て方|栽培の基本や花の魅力、増やし方

春になると枝いっぱいに美しい花を咲かせるハナモモ(花桃)。「桃」と聞くと果物を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、ハナモモは花の観賞に適した品種となります。
華やかな桃の花を楽しみたい方は、ぜひご自宅に植えて栽培にチャレンジしてみましょう。
今回は、ハナモモの特徴や魅力、基本的な栽培方法、増やし方などをご紹介します。お庭に植える花木をお探しの方は、ぜひ参考にご覧ください。
ハナモモ(花桃)の育て方|花の特徴や魅力
ハナモモはバラ科の花木です。開花時期は3月~4月で、サクラの開花時期に前後して花を咲かせます。桃色や白色、赤色などの花が咲く姿はとても華やかで、春を感じさせてくれます。
ハナモモは日本でも古くから親しまれてきた歴史があります。毎年、3月3日の桃の節句をお祝いしているご家庭も多いのではないでしょうか。雛飾りと一緒にハナモモの枝を飾ることも多く、季節の風物詩として人気の存在です。
ハナモモ(花桃)と実桃の違い
ハナモモの木は、花の観賞を目的として育てられます。フルーツとして食べられる桃は、実桃の木から採れるのが基本です。
ハナモモにも実ができることはありますが、苦みや酸味が強かったり、あまり大きくならなかったりと、一般的に食用には向いていません。
実桃は果実の収穫を目的として育てられる木であり、大ぶりで甘みの強い実がなります。受粉樹が不要な品種もあるので、気になる方は栽培にチャレンジしてみましょう。
ハナモモ(花桃)の育て方|用土や植えつけのポイント

ハナモモがお好きな方は、ぜひお庭に植えてみることがおすすめです。花の季節を楽しみに育てていきましょう。
ここでは、ハナモモに適した環境や土づくり、植えつけなどについてご紹介します。
ハナモモ(花桃)の好む栽培環境
春にハナモモの花をたくさん咲かせるためには、日光にしっかりと当てることが重要です。日陰で育てると徒長し、花つきも悪くなってしまいます。
また、ハナモモの枝が折れたり、倒れたりするのを防ぐため、強風の当たる場所も避けて植えたほうが良いでしょう。
土づくり
ハナモモは水はけの良い土を好みます。湿ってジメジメとした場所に植えるのは避けましょう。
植えつけ予定地の土を掘り返し、腐葉土を加えて耕しておくのがおすすめです。大きく育つので、庭植えがおすすめです。
苗木選び
苗木を直接見て選べる場合は、できるだけ枝が間延びしておらず、病害虫被害の痕跡がないものを探してみましょう。不自然に曲がっているところはないか、かたく充実している芽がついているかもチェックします。
また、ハナモモの品種によって樹形も異なります。立性やほうき立ち性、枝垂れ性など、お好みに応じて選びましょう。
ただ、広いスペースがなければ枝垂れ性や立性の栽培は難しいかもしれません。スペースが限られる場合はほうき立ち性の品種が適しているでしょう。
植えつけ
ハナモモの植えつけ適期は11月~3月の落葉期です。ただし、厳寒期は避けて作業を行いましょう。
植え穴の幅や深さが根鉢の2倍程度になるように掘り、苗木を植えつけます。水はけが悪い場合は土を盛ってから植えると良いでしょう。土をかぶせたら棒でつつき、しっかりと根になじませます。
若い苗木は風の影響を受けて折れてしまうことがあるため、支柱を立てておくと安心です。作業が済んだらたっぷりと水を与えましょう。
ハナモモ(花桃)の育て方|日々の管理方法

ハナモモは昔から親しまれてきた花木であり、日本の気候でも育てやすいメリットがあります。
管理の手間はかかりにくいものの、長く育てていくためには性質に合わせたお手入れを行うことが求められます。ハナモモのお世話のポイントを把握しておきましょう。
水やり
植えつけてからしばらくの間は、根づくまで適宜水を与えます。活着したら、基本的に水やりしなくても問題ありません。
ただし、真夏の乾燥しやすい時期は水やりが必要になる場合があります。7月~9月頃の時期には、朝もしくは夕方に水を上げると良いでしょう。
肥料
植えつけの際に元肥として緩効性肥料『マグァンプK大粒』を土に混ぜ込みます。
2月~3月には寒肥に『土を豊かにする肥料』を与えましょう。樹冠の枝先の下あたりの位置に肥料を埋めておきます。
また、苗木の間は、花芽がついた9月頃に追肥には、まくだけで2~3ヵ月肥料効果が持続する『Plantia(プランティア) 花と野菜と果実の肥料』がおすすめです。
病害虫対策
ハナモモ栽培で気をつけたいもののひとつがアブラムシです。春以降に発生する小さな害虫であり、放置しているとどんどん増えてしまうことがあります。
植物の汁を吸ってしまうほか、病気の原因にもなるため、見つけたらすぐに駆除することが重要です。必要に応じて薬剤も活用してハナモモを守りましょう。
また、病害虫が発生しないように環境を整える工夫も大切です。アブラムシは風通しや日当たりの悪い場所で生じやすいため、植えつけ場所には気をつけましょう。
枝が込み合っているのも風通しが悪くなる原因となります。剪定を行って枝を整えるのも病害虫予防に有効です。
剪定
ハナモモは樹高が高くなりやすいうえ、春に新しく伸びてきた枝に花芽がつきます。剪定せずに育てていくと、花の咲く位置が次第に高くなっていくため注意が必要です。定期的な剪定を行い、樹形を整えましょう。
主な剪定時期は春と落葉期です。春の剪定は、花が咲き終わってからすぐに行います。遅くなると新芽が伸び始めてしまいます。剪定が遅くなりすぎると新梢の生育に影響が生じ、花芽がつきにくくなるため気をつけましょう。
春の剪定では花が咲いた枝をカットします。基部に芽を2つ~3つほど残し、あとは切り落としましょう。こうしておくことで新しい枝が増えやすくなり、翌年に咲く花の数も増やせます。
落葉期の剪定では、徒長した枝や絡まっている枝など、不要な枝のみをカットして整理します。すでに花芽ができているため、落とさないようにしっかりとチェックしながら切りましょう。
ハナモモ(花桃)の育て方|増やして楽しむ方法

流通しているハナモモは接ぎ木で増やしているものが多く見られますが、一般的なご家庭では難しい方法となります。
ハナモモを増やしたいときは、より手間のかかりにくい挿し木に挑戦してみることがおすすめです。ここでは、ハナモモ(花桃)を挿し木で増やす方法をご紹介します。
ハナモモ(花桃)の挿し木の適期や準備するもの
ハナモモの挿し木適期は5月~6月にかけてです。枝をカットするためのハサミや挿し木用土、鉢などを用意しておきましょう。
挿し木用の土は清潔で肥料が含まれていないものを使います。鹿沼土の単用土や、市販されている挿し木用土を利用すると良いでしょう。
ハナモモ(花桃)の挿し木の方法
枝の先端から10cm程度を切り取り、挿し穂をつくります。挿し穂の上部に2枚~3枚の葉を残し、後は取り除いておきましょう。水を吸い上げやすいように切り口は斜めにします。1時間ほど吸水させた後、挿し木用土に挿しましょう。
挿し木用土は乾燥させないように管理します。直射日光や強風の当たらない場所に置き、発根を待ちましょう。ある程度生長したら植えかえて、親株と同じように育てていきます。
おわりに
春にぴったりのハナモモは、ご自宅を華やかに彩ってくれる存在です。定期的な剪定や病害虫対策などをしっかりと行い、性質に合った管理を続けていけば、長く育てることができます。
お好きな方はぜひお庭に植えて、毎年の開花を楽しみに栽培していきましょう。
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