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【じゃがいも(ジャガイモ)の育て方】家庭菜園での栽培のポイントやトラブル対処法

【じゃがいも(ジャガイモ)の育て方】家庭菜園での栽培のポイントやトラブル対処法

煮物や揚げ物など、さまざまな料理で活躍するじゃがいも。

ご家庭でも簡単に栽培できる野菜としても知られています。
特に育てやすいのが春植えのじゃがいもです。

今回は、春から家庭菜園を始める方にもおすすめの春植えじゃがいもの育て方や、栽培時に起こりやすいトラブル、対処方法などをご紹介します。

また、併せて秋植えのじゃがいもの育て方やコツなどについてもお伝えします。

春植え・秋植えのおすすめ品種も紹介するため、ご自宅でじゃがいも栽培を始めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

  • ジャガイモ

    ジャガイモ
    学名 Solanum tuberosum
    科名 ナス科
    原産地 南米アンデス高原
    分類 一年草
    耐寒性 やや強
    耐暑性

    栽培カレンダー

    1月
    2月
    3月
    4月
    5月
    6月
    7月
    8月
    9月
    10月
    11月
    12月
    収穫時期
    植えつけ・植えかえ
    施肥
目次

動画でわかりやすく栽培法をご紹介|【PlantiaQ&A】

☘62:ジャガイモの育て方|春植えと秋植えの違いは?大きく育てる方法は?芽出し、芽かき、土寄せなどもご紹介【PlantiaQ&A】植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介

じゃがいもの基礎知識

じゃがいもは南米のアンデス山脈の高地を原産とする野菜です。20℃前後の温暖な気候でよく育ちます。

16世紀に原産地からヨーロッパへ伝わり、その後、世界各国へ広がったといわれています。
日本へも江戸時代にはすでに伝来していたとされています。

現在では全国でさまざまな品種が育てられている、定番の野菜です。

春先に食べられる新じゃがを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。

まずは、じゃがいもの特徴や魅力に触れていきます。

じゃがいもの特徴

じゃがいもはナス科の野菜です。「いも」として食べている部分は「塊茎」と呼ばれるものです。
塊茎とは、植物の地下茎が肥大化して塊になったものを指します。

じゃがいもは丈夫で育てやすい野菜のひとつです。
良い種芋さえ選べたら、高い確率で収穫ができるといわれています。

ほかの野菜と比べてお世話の手間が少ないため、家庭菜園初心者の方にもおすすめです。

じゃがいもの主な産地

日本におけるじゃがいもの主な産地は北海道です。

農林水産省の調査では、2023年の春植えじゃがいもの収穫量は、約80%が北海道産だったことがわかっています。

北海道は寒い気候でも元気に育ちやすいじゃがいもの栽培に力を入れてきた歴史があります。

原産地であるアンデス山脈高地の気候に近い条件で育てられることも、じゃがいもの名産地となった理由のひとつでしょう。

また、北海道以外では鹿児島県や長崎県などが主な産地として挙げられます。

スーパーや八百屋で、有名な産地のじゃがいもを見かけた経験がある方も多いのではないでしょうか。

北海道産のじゃがいもは春植えで秋に収穫したものが、九州産は秋植えで春に収穫したものが多く見られます。

参考:農林水産省「令和5年産春植えばれいしょの作付面積、収穫量及び出荷量」

URL:https://www.maff.go.jp/j/tokei/kekka_gaiyou/sakumotu/sakkyou_yasai/r5/haru_bare/index.html

春植えのじゃがいもは育てやすい!主なメリット・デメリット

ジャガイモ

じゃがいもは2月~4月の春と、8月~9月までの秋の年に2回、植えつけのタイミングがやってきます。

家庭菜園初心者の方に特におすすめなのが春に植えるじゃがいもです。

春植えのじゃがいもは、さまざまな点で秋植えじゃがいもより育てやすいというメリットがあります。

ここでは、春植えじゃがいもの主なメリット・デメリットをご紹介します。

春植えじゃがいものメリット

収穫量が多い

春植えのじゃがいもは、秋植えのものより収穫量が多いことで知られています。

暖かい気候を好むじゃがいもは、春から夏にかけて育てるのに適しているためです。

日照時間が長くなることも、春植えじゃがいもの育成を助けます。

一つひとつのいもが大きくなるほか、ひとつの株にできるいもの数も多くなります。

品種が多い

春植えできるじゃがいもの品種は、秋植えに対応しているものよりも多くなります。

品種の選択肢が広がるため、お好みのじゃがいもを植えやすくなります。

春植えじゃがいものデメリットは?

春植えじゃがいものデメリットは、収穫が梅雨と重なりやすい点です。

じゃがいもは収穫時に土が湿っていると傷みやすくなる特徴があります。

できるだけ土が乾いているときに収穫したいものですが、梅雨時期だとそれも難しくなるでしょう。

梅雨が過ぎるのを待って収穫しても良いですが、品種や植えつけの時期によっては遅すぎることがあります。

特に栽培初心者の方にとっては、収穫のタイミングがつかみにくいかもしれません。

じゃがいものおすすめ品種

じゃがいもには多くの品種があります。
基本的に、しっとりとした食感(粘質)のものやホクホクとした食感(粉質)のものなどに分けることができます。
ぜひお好きな品種を見つけて育ててみましょう。ここでは、じゃがいものおすすめ品種をご紹介します。

男爵

じゃがいものなかでも有名な品種のひとつです。
日本には明治時代に伝わってきた品種といわれており、長く栽培されてきた歴史があります。
果肉の色は白っぽく、粉質のホクホクとした食感です。

メークイン

男爵と合わせて、日本のじゃがいもの二大品種といえる存在です。
特に、西日本で多く育てられています。形は横長の卵型で、果肉は淡い黄色をしています。
しっとりとなめらかな食感で、煮崩れしにくいこともメリットのひとつです。

デジマ

秋植えにも向いた品種です。
名前の由来となっているのは長崎県の「出島」で、暖地でよく栽培されています。
ややしっとりとした食感で、コロッケや煮物、汁物などにもおすすめです。

キタアカリ

ホクホク系のじゃがいもで、栗のような甘みと食感が魅力の品種です。
主に北海道で栽培されており、果肉は黄色で皮は薄めです。
ふかしてバターや塩などでシンプルに味付けし、いもそのものを味わう調理法もおすすめできます。

キタムラサキ

アントシアニン色素の影響で、皮も果肉も紫色の品種です。
いもは大きめで、表面は比較的つるつるとしています。
特有の色を活かし、見た目を楽しめるようなレシピで味わうこともおすすめです。

十勝こがね

ホクホクとした食感の早生品種です。
男爵よりもいもが大きめで、休眠期間が長いため長期保存しやすい特徴を持ちます。
煮物や揚げ物など、幅広い方法で調理して楽しめます。

インカのめざめ

鮮やかな黄色の果肉を持つ品種です。
じゃがいもの原産地であるアンデスの品種から作られたといわれています。
食感はしっとり系で、甘みが強めです。ナッツや栗、サツマイモに似た風味ともいわれています。

普賢丸

秋植えにも向いたじゃがいものひとつです。
名前は長崎県の雲仙普賢岳に由来するといわれています。
暖地での栽培にも向いており、食感はホクホク系です。
デジマと似ていますが、普賢丸のほうが形は丸めで、果肉の色は濃い点が違います。

シンシア

フランス生まれの品種で、食感はしっとりしています。
表面がなめらかで、皮をむきやすいことも魅力のひとつです。
形はメークインにも似ていますが、やや大きめです。

プランターでも露地栽培でも!じゃがいもの育て方

ジャガイモ

じゃがいもを育てる際は、種いも選びや土づくりなど、さまざまな準備が必要です。

ここでは、じゃがいもの基本的な育て方やポイントをご紹介します。

検査済みの種いもを選ぼう

健康なじゃがいもを育てるために、種いもはしっかり吟味して購入しましょう。

スーパーや青果店で購入したじゃがいもを植えても育てられますが、ウイルスによる病害が発生するリスクがあります。

種いもとして検査を受けた専用のもの(種いも)を入手するのがおすすめです。

種いもを購入したら、発芽を促すために10℃~20℃くらいの室内の窓辺等の明るい場所で保存し芽を大きく育てます。

気温が下がる夜間は毛布などをかけて保温するとさらによいでしょう。

2週間~3種間後、芽が1cmほどに伸びたら植えつけてください。

春植えじゃがいもは種いもを切っても良い

秋植えのじゃがいもは、種いもを切って植えつけすると腐ってしまう可能性があります。

春植えなら腐るリスクが低いため、大きな種いもは切ってから植えつけます。小さな種いもはそのまま植えつけてかまいません。

種いもを切るときは、芽の数ができるだけ同じになるように気をつけてカットします。

横に切ってしまうと導管が断たれて発芽しない可能性があるため、縦に切るようにしましょう。

1つあたり30g~40gになるように切ってください。

すぐに植えつける場合は、種いもの切り口に草木灰やケイ酸白土などを塗ってください。

切り口に水分が多いと種いもが腐りやすくなるため、草木灰やケイ酸白土などをジャガイモの断面に塗って乾燥させます。

種いもを切ってからすぐに植えつけしない場合は、腐敗を防ぐため、何も塗らずに風通しの良い場所に2~3日陰干しして乾燥させましょう。

じゃがいも栽培に必要な道具

じゃがいも栽培を始める前に、必要な道具を確認しておきましょう。

ここでは、プランター栽培・露地栽培・袋栽培のパターン別に準備しておきたいアイテムをご紹介します。

基本の道具

どの栽培方法でも準備しておきたい基本の道具は以下の通りです。

  • 移植ごて
  • じょうろ
  • 園芸用ハサミ など

プランター栽培の場合

じゃがいもは土の中で大きく肥大します。深めのプランターを準備しておくことが大切です。深さ30cm以上あると良いでしょう。

品種によりますが、種いも1個あたり20cm~30cm四方のスペースを確保することがおすすめです。

露地栽培の場合

露地栽培の場合、黒マルチで土を覆ってじゃがいもを育てる方法があります。

いもに日光が当たるのを防げるほか、芽が出る時期に霜の被害を防ぎやすくなります。必要に応じて準備しておきましょう。

袋栽培の場合

じゃがいもは袋栽培でも育てやすい野菜です。袋栽培とは、プランターの代わりに袋を使って栽培する方法のことです。

家庭菜園が初めてでまだ道具が揃っていないという方でも、手軽に栽培を始められるでしょう。

袋栽培では、プランター代わりになる袋を準備します。

培養土の袋をそのまま使えば、鉢に移す手間も必要ありません。麻袋や米袋、土のう袋などを使うこともできます。

じゃがいもの植えつけ|プランター栽培の場合

春植えじゃがいもの植えつけ時期は、2月~3月にかけてです。

広い畑を持っていなくても、じゃがいもならプランターで栽培することができます。

じゃがいもは種いもの上へ向かって芽を出し、いもをつけていくため、深さのあるプランターを選びましょう。

プランターはできるだけ日当たりがよく風通しの良い場所へ置くと、じゃがいもが育ちやすくなります。

プランターの底には石を敷き、清潔な野菜専用培養土を入れます。

おすすめはハイポネックス『今日から野菜 野菜を育てる土』です。

元肥に『マグァンプK中粒』もしくは『今日から野菜 野菜を育てる肥料』を混ぜ入れ、切り口を下にして種いもを置いてください。

植えつけの際は種いもどうしの間を25cm以上、できれば30cmはあけましょう。

種いもの上から土を5cm以上かぶせ、水をあげましょう。

じゃがいもの植えつけ|露地栽培の場合

畑の土は植えつけよりも1週間以上前に堆肥や化成肥料などをまき、耕しておきましょう。

元肥には、『マグァンプK中粒』もしくは『今日から野菜 野菜を育てる肥料』がおすすめです。

幅70cm程度の畝をつくり、真ん中に溝を掘って種いもを並べていきます。

露地栽培の場合も、種いもどうしの間は25cm~30cmあけて植えつけするのがおすすめです。

種いもの上に5cmほど土をかぶせたら、霜よけのためにマルチを張りましょう。

じゃがいもの芽が出てマルチを押し上げるようになったら、マルチに穴をあけて芽を露出してあげましょう。

マルチを切るときは芽を傷つけないように注意を払います。

じゃがいもの植えつけ|袋栽培の場合

ビニール袋を使って袋栽培するときは、下部に排水用の穴をあけておきます。

地面から10cm程度の位置までを目安に、錐やドライバーなどを使って30個~40個ほど穴をあけましょう。

『今日から野菜 野菜を育てる土』は水はけ用の穴がわかりやすくなっています。

植えつけ方法はプランター栽培と変わりません。種いもにしっかりと土をかぶせてから、水をたくさんあげましょう。

じゃがいもの水やり

ジャガイモ

じゃがいもは水を与えすぎると腐りやすくなる可能性があります。

露地栽培の場合、植えつけ時以外はほとんど水やりの必要がありません。

プランターの場合は、植えつけからしばらくの間は土が乾燥したら水を与えます。

後半になったら土を乾燥ぎみにめしておくため、頻繁に水やりしなくてもかまいません。

じゃがいもの病害虫対策

家庭菜園において悩みの種となりやすいのが、アブラムシの発生です。ごく小さな虫で、暖かい時期に多く見られます。

湿気のこもりやすい場所を好むため、風通しの良い環境をつくって発生を防ぐことが大切です。

ただ、それだけでは限界があるため、予防のために薬剤を使っておくのもひとつの方法です。

また、アブラムシによって、モザイク病という病気が発症することがあります。

モザイク病にかかった植物の葉には、名前の通り、モザイクのような模様が生じます。

放置していると枯れていくうえ、ほかの植物にうつってしまうことも。病害を受けた葉は、見つけ次第すぐに摘み取りましょう。

病気の予防のためにも、アブラムシ対策を徹底することが重要です。

ジャガイモ

じゃがいも栽培で重要な芽かき・土寄せ・追肥・花摘み・収穫・貯蔵のポイント

ジャガイモ

じゃがいもを育てるうえで欠かせないのが、芽かきや土寄せといった作業です。

植えつけが終わり、ある程度大きくなってきたら、こういったお手入れを始めていきましょう。

無事に生長したら収穫です。美味しいじゃがいもを味わいましょう。

芽かき

じゃがいもは、ひとつの種いもからいくつもの芽が出てきます。

発芽して草丈が10cm~15cmほどに生長したら、芽かきをして1株につき1~2本の優良な芽だけを残しましょう。

芽かきを行わないままだと、茎や葉に栄養が行き、収穫量が減ってしまいます。

できるだけ色鮮やかでしっかりとした硬さがあり、病害虫のない芽を残すことがポイントです。

芽かきの際は、残す予定の芽を押さえながら、間引きたい芽を株元からハサミで切り取るか、もしくは引き抜きます。

誤って種いもが抜けてしまったときは、すぐに土に戻せば問題ありません。

土寄せ・追肥

芽かきと同じタイミングで土寄せ・追肥を行いましょう。

特に、マルチングしていない場合は種いもが露出しやすいため、しっかりと土寄せすることが大切です。

土に追肥用の肥料を混ぜ込みながら、株元へ丁寧に寄せていきましょう。

追肥の際も、元肥として使ったものと同じ『今日から野菜 野菜を育てる肥料』を利用するのがおすすめです。

また、土寄せ・追肥は、収穫までにもう一度行います。

タイミングは、植えつけから約2カ月がたち、花が咲いて草丈が30cmほどになったころです。

同じように土に肥料を混ぜ、株元へ寄せてあげましょう。

プランター栽培の場合、必要に応じて、プランターの深さ9分目位まで新しい土を足し入れてください。

後述していますが、土寄せをしないと、土から出て日に当たったジャガイモが緑化します。

緑化した部分はソラニンという有毒物質が生成され食べられなくなってしまうため、土寄せはしっかりと行いましょう。

花摘み

植えつけてから順調に育っていくと、じゃがいもは花をつけます。白や淡い紫、薄ピンクなど、花の色は品種によってさまざまです。

ただ、放っておくと開花にエネルギーが使われ、栄養を取られてしまうのではないかと気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
心配であれば、はやめに花を摘み取ってしまいましょう。

しかし、じゃがいもの開花によって損なわれるエネルギーは、それほど多くないともいわれています。

大規模な農家さんのじゃがいも畑では、花摘みをほとんど行わないこともあります。

あえてお花を咲かせておき、観賞して楽しんでも良いかもしれません。

収穫

品種によるものの、春植えのじゃがいもは、芽が出てから3~4カ月で収穫できます。

茎や葉が枯れてきたら収穫のタイミングです。じゃがいもに湿った泥がつかないよう、晴れた日を選んで収穫作業を行いましょう。

収穫時に土が湿っていると、ジャガイモが腐りやすくなります。

できれば梅雨に入る前に済ませておきたいところですが、地域によっては難しいかもしれません。

なるべく2日以上晴れている日を狙って収穫作業を行うことがおすすめです。

難しければ少なくとも前日から晴れている日に収穫ができるよう、予定を調整してみましょう。

収穫の際は、いもを傷つけないよう、株元から20cmほど離れた位置よりスコップを使って優しく土を掘ります。

思ったよりもいもが小さかった場合は、すぐに土へ戻して、もう少し大きく育ててから収穫しなおします。

また、土の中にいもが紛れてしまっていることがあるため、広めに掘り返してチェックするのがおすすめです。

収穫してもすぐには食べず、風通しの良いところで一時間ほど乾燥させます。付着した土が乾いたら払い落しましょう。

その後は、お好きな方法で調理して味わいます。長く保存したい場合は、冷暗所に保管しておきましょう。

貯蔵

じゃがいもは長期間の保存に向いた野菜です。

家庭菜園で食べきれないほどのじゃがいもが収穫できた場合、長めに貯蔵しておくこともできます。

基本的にじゃがいもは洗わず、土をつけたまま貯蔵しましょう。

湿っていると腐ってしまうことがあるため、風通しの良い場所を選ぶことも大切です。

ソラニンが生じる原因になるため、光に当てないように気をつけましょう。

高温期にはじゃがいもが傷みやすくなるため注意が必要です。できれば早めに食べきりましょう。

難しい場合、新聞紙や紙袋で包み、野菜室に入れて保存します。

冷凍保存しておきたい場合は、一度加熱してからが良いでしょう。

収穫したじゃがいもをそのまま冷凍すると、解凍後に食感が悪くなってしまうためです。

加熱してマッシュポテトにしてから冷凍すると、解凍後の食感も気になりません。

じゃがいも栽培で起こりやすいトラブルや対処方法

ジャガイモ

じゃがいもは育てやすい野菜のひとつですが、栽培中に起こったトラブルで生育不良を起こすことがあります。

適した方法で栽培し、できる限りトラブルを防いでいきましょう。

じゃがいも栽培で起こりやすいトラブル

じゃがいもを栽培する最大の目的は、収穫して美味しく食べることです。

ただ、じゃがいもは、環境や条件などによって、うまく育たないことがあります。

よく見られるトラブルのひとつが実割れです。

急激な生長によって膨らんだ地下茎に対し、皮の生長が追い付かず、割れてしまうことがあります。

ほかにも、ありがちなトラブルのひとつが空洞です。

外側は問題なくても、割ってみると空洞が生じていることがあります。

こちらも急な生長によって、いもが肥大するスピードに追い付かず、内部が裂けてしまうことで起こります。

また、酸素や水分が足りないと、中心部分が黒や褐色に変色することがあります。

適切な方法で栽培していけば防げるものもあるため、対処方法を確認してみましょう。

対処方法1:芽かき、土寄せをする

芽かきをしないままだと栄養が分散されてしまい、収穫できるじゃがいもが小さくなってしまいます。

芽かきによって芽の数を減らすと、いもの数は少なくなりますが、その分、大きないもを育てることができます。

いも1個につき、1~2本の芽を残すように芽かきを行いましょう。

芽かきをする際は、種いもの根元からしっかりと引き抜くことがコツです。

土の中に手を入れて、しっかりと根元をつかんでから引き抜きましょう。

芽かきに伴い、土寄せをすることも大切です。土寄せをせずにいると、種いもがどんどん露出してくる可能性があります。

種いもが日光に当たると有毒成分のソラニンが増えて緑化してしまいます。

緑化した部分が多すぎると、いも自体を食べられなくなってしまうことも。丁寧に土をかぶせて、光に当てないよう注意しましょう。

対処方法2:種いもをしっかりと選ぶ

植えつけ前、優良な種いもを選ぶことも重要なポイントです。検査済みでウイルスの心配がないのはもちろん、元気が良いものを選別していきましょう。

避けたいのは、水分不足で皮にシワがあるものです。いも全体を覆う皮がパンっと張っていれば、水分量が適度に保たれています。

種いもから出ている芽は、できる限り分散しているものがおすすめです。一カ所にまとまって発芽しているものは、育てにくい可能性があります。

また、持ったときにずっしりとした重みを感じるものは、中身が詰まっており、十分に栄養があるとされています。

軽すぎるものは養分が少なく、元気に育てられないこともあるため気をつけましょう。

対処方法3:適切な肥料を施す

ジャガイモ

じゃがいもに適しているのは、チッソ(N)・リン酸(P)・カリ(K)がバランスよく配合されている肥料です。

配分が偏った肥料だと、いもの生育に影響が出るかもしれません。

初心者の場合は、ご自分で配合するのは難しいため、野菜用として販売されている肥料を購入するのがおすすめです。

また、適切な配合であっても、肥料の量が多すぎると、軟弱な株に育つことがあります。

褐変や空洞などの生理障害や病害虫被害の原因になることもあるため、多肥は避けるように意識しましょう。

対処方法4:同じ土を使わない

じゃがいも栽培で注意したいのが連作障害です。

連作障害が起こると、じゃがいもが病気にかかり、収穫できなくなってしまうこともあるため気をつけましょう。

連作障害は、同じ土に同じ植物を植え続けることで生じやすくなります。

じゃがいもの属するナス科は、特に連作障害を起こしやすいことで知られています。

何シーズンも連続して同じ土へ植えるのは避けましょう。新しい土へ交換する、植えつける場所を変えるなどの対策が必要です。

また、じゃがいもだけでなく、同じナス科であるナスやトマト、ピーマンなどを植えた土でも連作障害が起こる可能性があります。

植えつけの際は、植物の科にも着目してみましょう。

対処方法5:水やりの頻度に注意する

地中が高温多湿の状態になると、いもが腐ってしまうことがあります。

じゃがいもは乾燥に強いため、水やりは控えめにすることがおすすめです。

特に、地植えにするのであれば、ほとんど降雨に任せて問題ありません。

マルチングしているのであれば、さらに水分が逃げにくくなるため、水やりの回数を抑えます。

ただし、水分不足になっても褐変や実割れなどの原因になることがあります。

土の中まで様子を見て、乾いていることが確認できたら水やりしましょう。

秋ジャガイモを育てる場合の注意点

ご紹介した通り、じゃがいもは春植えのほうが簡単に育てることができます。

ただし、ポイントを押さえれば秋にも問題なくじゃがいもを育てることができます。

基本的に秋じゃがいもも春じゃがいもと同様の育て方で問題ありません。

ただ、いくつか秋じゃがいもならではの注意点があります。

ここでは、秋じゃがいもを育てるうえで気をつけておきたいポイントをご紹介します。

気候の確認

じゃがいもの生育適温は15℃~20℃程度です。

秋植えだと生育適温に該当する期間が短めなため、適期を逃さず植えることが大切です。

北海道や東北などの冷涼な地域の場合、植えつけしてから比較的短期間で冬が来てしまいます。

生育適温を保てる時期が短くなってしまうため、秋植えじゃがいもを育てるのは難しいでしょう。

種いもの準備

秋じゃがいもを作る場合は、植えてから芽が生長するまでの時間が短い品種を選ぶことがおすすめです。

8月頃になると園芸店などで秋用の種いもが入手できます。「デジマ」「普賢丸」などの秋じゃが向けの種いもを選ぶとよいでしょう。

種いもをはやめに入手した場合は、植えつけまでに腐ってしまわないよう、コンテナなどに移して冷暗所で管理します。

箱の中に腐った種いもがあると、周りのいもまで腐ってしまうため気をつけましょう。

定期的に中を確認して、腐敗しているものがあれば取り除いておくことが大切です。

植えつけ

秋じゃがいもの基本的な植えつけ時期は8月~9月です。その年の気温や地域によっても適切な植えつけ時期は変わります。

秋じゃがいもの場合、残暑の時期になったら種いもを植えつけ可能です。

その後、霜が降りる前には収穫を終わらせるようにしましょう。

また、秋じゃがいもは残暑の時期に植えるため、種いもをカットしてしまうと切り口が暑さで腐りやすくなる点に気をつけましょう。

小さい種いもは切らずにそのまま植えつけることがおすすめです。

貯蔵

収穫した秋じゃがいもを貯蔵する場合、冬の寒さで凍結してしまわないように管理することがポイントです。

また、気温が上がってくると芽が伸びてしまうため、3月以降は冷暗所で保存することを心がけましょう。

おわりに

春植えのじゃがいもは、これから家庭菜園を始める方にもおすすめの野菜です。

ベランダやお庭でも気軽に育てられるため、ご家族みなさんで一緒にお世話するのにも向いています。

秋植えのじゃがいもは春植えと比べると少々管理が難しくなりますが、適切な方法でお手入れすればたくさん収穫することも可能です。

うまく家庭菜園を行えば、食費の節約にもつながります。

甘く、ほっこりとした食感があり、お子さまにも人気の高いじゃがいも。

ぜひ、ご家庭でじゃがいもを育てて、収穫の喜びを味わいましょう。

公開: 2019年4月9日
更新: 2024年5月28日

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