【キンモクセイ(金木犀)の育て方】|栽培方法や剪定のコツ、増やし方
ひとつの枝に、小さなオレンジの花をたくさん咲かせるキンモクセイ。特徴的な香りがあり、秋の花としての知名度も高く、多くの方に愛されています。今回は、キンモクセイの育て方やお手入れ方法、増やし方など、さまざまな情報をご紹介します。
- 目次
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- 豊かな香りが楽しめる秋の花キンモクセイ
- キンモクセイの花言葉
- キンモクセイの原産地
- 世界三大香木のひとつ
- 動画でわかりやすく栽培法をご紹介|【PlantiaQ&A】
- キンモクセイの主な園芸品種
- キンモクセイと似ている花たち
- ギンモクセイ
- ウスギモクセイ
- ヒイラギモクセイ
- キンモクセイの育て方|苗選び・土づくり・植えつけ
- キンモクセイの苗選び
- キンモクセイ栽培に必要な道具の準備
- キンモクセイの好む土づくり
- キンモクセイに適した栽培環境の準備
- キンモクセイの植えつけ
- キンモクセイの育て方|お手入れ方法やポイント
- キンモクセイの水やり
- キンモクセイの肥料
- キンモクセイの病害虫対策
- キンモクセイの植えかえ
- キンモクセイの冬越し
- キンモクセイの育て方|剪定時期や方法
- キンモクセイの剪定の目的
- キンモクセイの剪定時期
- キンモクセイの剪定で準備するもの
- キンモクセイの剪定方法
- キンモクセイの剪定の注意点
- キンモクセイの強剪定のポイント
- キンモクセイの育て方|挿し木・取り木で増やす方法
- キンモクセイの挿し木の時期
- キンモクセイの挿し木で準備するもの
- キンモクセイの挿し木の方法
- 挿し木したキンモクセイの苗を育てる際の注意点
- キンモクセイの取り木の時期
- キンモクセイの取り木の方法
- 取り木したキンモクセイの苗を育てる際の注意点
- キンモクセイが咲かないときにチェックしたいこと
- 花芽を切ってしまった
- まだ幼木である
- 病害虫被害を受けた
- 花芽がつく時期に極端に乾燥した
- 日光不足である
- おわりに
豊かな香りが楽しめる秋の花キンモクセイ
キンモクセイは、9月~10月にオレンジ色の花をつける、秋の代表的な植物のひとつです。樹高は5~6mまで育ちます。なんといっても特徴的なのは、その香りです。キンモクセイの花が放つ芳香は、秋の訪れを感じさせる風物詩となっています。
キンモクセイの花言葉
キンモクセイの花言葉は「謙虚」、「気高い人」などです。「謙虚」というのは、香りの強さに反して小さな花をつけることに由来するとされています。「気高い人」は、花の散り際が潔いことからつけられたようです。また、「誘惑」や「陶酔」のように、キンモクセイの華やかな香りから連想される花言葉も存在します。
キンモクセイの原産地
キンモクセイは中国原産といわれていますが、日本に自生するキンモクセイは、別の品種であると考える説も存在しています。
キンモクセイは、中国では「丹桂」や「金桂」などと呼ばれています。「桂林」という、キンモクセイの木がいたるところに植えられている街も存在します。食品用の香料として使われていることも多く、キンモクセイの花をお茶に混ぜ込んだ「桂花茶」や白ワインにつけた「桂花陳酒」などが有名です。
世界三大香木のひとつ
とても良い香りがするキンモクセイは、ジンチョウゲやクチナシとともに、世界三大香木のひとつに数えられる植物です。春はジンチョウゲ、夏はクチナシ、秋はキンモクセイと、開花時期はそれぞれ異なります。3種類ともお庭に植えて、季節ごとに違う香りを楽しむのも良いかもしれません。
動画でわかりやすく栽培法をご紹介|【PlantiaQ&A】
☘09 キンモクセイの育て方|キンモクセイはどんな植物?剪定や肥料、育て方や花言葉も紹介します。
キンモクセイの主な園芸品種
キンモクセイの主な園芸品種には「四季咲きキンモクセイ(四季咲きモクセイ)」や「紅花キンモクセイ(フラグランス・レッド)」などがあります。
四季咲きキンモクセイは、名前の通りに四季咲き性があり、条件が揃えば1年に何回か花を咲かせてくれます。通常のキンモクセイと比較すると香りは弱めですが、花を何度も楽しみたい方にはおすすめです。
紅花キンモクセイは赤みを帯びたオレンジ色の花をつける品種です。より明るく元気な印象のガーデンにしたいときは、こちらの品種が合うかもしれません。
キンモクセイと似ている花たち
キンモクセイは、モクセイ科モクセイ属の花木です。同じ科の植物には、キンモクセイとよく似たものも見られます。こちらでは、キンモクセイと似た花として知られる植物をご紹介します。
ギンモクセイ
白く小さな花を咲かせるギンモクセイ(銀木犀)。キンモクセイと見間違われることも多い植物です。キンモクセイはギンモクセイの変種であるとされています。
ギンモクセイのほうが葉のトゲが細く、果実をつけるといった違いがあります。また、同じように良い香りはするものの、ギンモクセイのほうが控えめです。花に顔を寄せると、ふんわりと香るのがわかります。
ウスギモクセイ
ウスギモクセイ(薄黄木犀)は、主に熊本県や鹿児島県に自生しています。ウスギモクセイのことをキンモクセイと呼ぶ地域もあったといわれています。
現在は、関東などのほかの地域にも植えられており、その姿を見ることができます。名前の通り、淡い黄色の花をたくさんつけるのが特徴です。香りもキンモクセイとよく似ており、遠くからでも華やかな芳香を感じ取ることができます。
ヒイラギモクセイ
ヒイラギモクセイは、ノコギリのような葉を持つモクセイ科モクセイ属の木です。ギンモクセイとヒイラギの雑種であるといわれています。秋になると白い小さな花をたくさんつけます。香りが良く、生け垣としてもよく利用されています。
キンモクセイの育て方|苗選び・土づくり・植えつけ
キンモクセイを自宅に植えて、季節の移り変わりを感じてみませんか?ここでは、キンモクセイの苗選びや植えつけの方法などをご紹介します。
キンモクセイの苗選び
キンモクセイの苗は、50cm程度の小さなものもあれば、1.5mを超す大きなものも売られています。鉢植えの場合、大きな苗を植えてしまうとうまく育ちません。樹高1m以内の小さな苗を購入しましょう。庭に植えて大きく育てたいときは、1.5m以上の苗でかまいません。
お店で直接見て購入するときは、葉や幹をしっかりと見て、虫がついていないかを確かめましょう。葉の色が濃く、しおれていないものが元気な証拠です。
また、キンモクセイの花は、植えつけしてから2~3年後に咲くのが基本です。植えつけした年に花を楽しみたいときは、花芽のついている苗を購入しましょう。幹が細すぎるものも花がつきにくいため、2cm程度の太さがあるものを選ぶと安心です。
キンモクセイ栽培に必要な道具の準備
キンモクセイの植えつけまでに準備しておきたいのは、スコップや支柱、用土、肥料などです。加えて、鉢植えの場合は苗木に合った植木鉢を用意します。できるだけ植えかえを避けるため、大きめの鉢を用意しておくことがおすすめです。ただ、あまり大きすぎても鉢の場合、排水がうまくいかなく根腐れが起きやすい等、生育に影響が生じることがあります。苗木の根よりも一回り、もしくは二回り程度大きな鉢が適しています。鉢底石や鉢底ネットなども用意しておきましょう。
キンモクセイの好む土づくり
キンモクセイは栄養があり、水はけの良い土を好みます。地植えの場合は土を耕し、腐葉土や堆肥などを混ぜ込んでおきましょう。鉢植えの場合は鉢底に軽石を敷き詰め、赤玉土と腐葉土が7:3になる割合で混ぜた土を入れます。市販されている園芸用培養土は手軽に植えつけることができます。おすすめは『ハイポネックス培養土鉢・プランター用』です。
キンモクセイに適した栽培環境の準備
キンモクセイは温暖な気候を好みます。栽培する際は、強い寒風が当たらない場所を選んで植えつけましょう。冬に霜が降りる場合は、霜の対策も必要です。
また、日光が当たらない場所では生育が悪くなり、花の数も減ってしまいます。最低でも半日陰の場所を用意してあげましょう。地植えにする場合は大きく育つため、ほかの植物へ干渉しないように注意します。
キンモクセイの植えつけ
キンモクセイの植えつけは、3月~4月、もしくは10月~11月に行います。キンモクセイは寒さが苦手なため、春の暖かい時期に植えつけするのがおすすめです。秋に植えつけする場合は、寒さが厳しくなる前に済ませましょう。キンモクセイは大きくなるため、地植えする方が多く見られます。地面に根がすっぽり入るくらいの穴を掘り、元肥として肥効期間が約2年間持続する『マグァンプK大粒』を混ぜ込みましょう。
鉢植えの場合は、できるだけ大きめの鉢を用意しましょう。鉢の円よりも土の表面が少し下に来るように苗を植えます。こうしておくことで水やりの際に一時的に水がたまり、自然と土にしみこんでいくようになります。鉢植えの場合も忘れずに元肥として『マグァンプK大粒』を混ぜ込みましょう。植えつけが終了したら根の活着促進のため植物用活力液『リキダス』を1,000倍に水にうすめて、たっぷりと与えましょう。
キンモクセイの育て方|お手入れ方法やポイント
キンモクセイは日光や水、栄養を特に好む植物です。日当たりの良い場所に植えたら、水や肥料を与えて大切に育てましょう。こちらでは、植えつけ後のお手入れ方法をご紹介します。
キンモクセイの水やり
地植えの場合であれば、水やりはほとんど必要ありません。ただ、植えつけからしばらくの間は、土が乾いたタイミングで水を与えます。鉢植えは土が乾いたら水やりをしますが、冬の間は控えめに行います。夏は地植えも鉢植えも土の乾燥に気をつけ、カラカラに乾いてしまう前に水をあげましょう。
キンモクセイの肥料
キンモクセイは、2月~3月に寒肥を、新芽が出る頃の4月~5月に追肥を行うと、よく育ちます。開花前の8月~9月にも肥料を与えると、花がたくさん咲きます。おすすめは肥料効果が約2~3月間持続する『プランティア 花と野菜と果実の肥料』です。
キンモクセイの病害虫対策
カイガラムシは、風通しの悪い環境を好む虫です。名前の通り、貝殻のように固くなる種類も見られます。植物の汁を吸って弱らせるほか、すす病をはじめとする病害の原因になることもあるため、見つけたらはやめに処理することがおすすめです。
基本的には、ヘラや歯ブラシなどを使って落としていく方法が有効とされます。数が多い場合は作業も大変になるため、できるだけ発生させないように予防することが大切です。風通しと日当たりの良い環境をつくり、カイガラムシの発生を防ぎましょう。
また、ハダニという小さな虫が、葉裏などに発生することがあります。葉水をかけることで予防できるケースがあるため、乾燥した日はスプレーなどを使って葉に水を吹き付けましょう。
キンモクセイの植えかえ
鉢植えの場合、キンモクセイが育つと根詰まりしてしまうことがあります。大きな鉢に植えかえを行いましょう。目安は植えつけから2~3年後の3月~4月です。
キンモクセイは根っこが傷みやすいため、植えかえ時は慎重に苗を掘り起こしましょう。その際、変色して黒ずんでいる根があれば切り落としておきます。以降の手順は植えつけ時と同じです。
キンモクセイの冬越し
キンモクセイは耐寒性が少々弱く、冬の霜や凍結などに注意が必要です。寒い地域で育てる場合は鉢植えにして、冬になったら室内へ移動させるほうが安心でしょう。
庭に植えたまま冬越しさせたい場合は、全体を寒冷紗で覆うなどの方法で防寒対策することがおすすめです。
キンモクセイの育て方|剪定時期や方法
キンモクセイは放っておくと枝が伸びすぎてしまい、それぞれの枝の日当たりや風通しが悪くなってしまいます。重なり合った部分を切ってお手入れしてあげましょう。こちらでは、キンモクセイの剪定時期や方法などについて解説します。
キンモクセイの剪定の目的
キンモクセイの枝は勢いよく茂っていき、全体的に広がっていきます。樹形を整えるためには、剪定して枝を整理することが欠かせません。
また、枝葉を茂らせたままにしておくと、内部が蒸れやすくなるほか、日当たりが悪くなってしまいます。日光をまんべんなく当て、風通しの良い環境をつくりだす意味でも、剪定は大切です。
ほかにも、剪定して古い枝を除いておくことで、新しい枝が伸びやすくなります。花つきを良くして、毎年綺麗な花を観賞するためにも、適切な剪定を行うことが求められます。
キンモクセイの剪定時期
新芽が出てから花がつくまでの時期に剪定してしまうと、花が咲かなくなってしまうことがあります。キンモクセイの剪定をするなら、花が終わった10月~11月の秋ごろや、新芽が出る前の2月~4月に行いましょう。
ただし、秋の剪定では、大胆に枝を切り詰めるのは避けます。寒い冬が苦手なキンモクセイは、枝を大幅にカットすることで弱ってしまい、冬を越せなくなってしまう可能性があるためです。不安の場合、新芽が出る前のタイミングのみの剪定で問題ありません。
キンモクセイの剪定で準備するもの
キンモクセイの剪定は、庭木用の剪定ハサミを用意しておくのがおすすめです。地植えの場合は枝も太くなりやすいため、剪定ノコギリがないとカットできないこともあります。
高いところを切るときは脚立が必要になるケースもあります。ケガ予防のため、軍手や手袋なども用意しておきましょう。
キンモクセイの剪定方法
キンモクセイの剪定では、不要な枝を取り除き、残す枝を整えることが基本です。大幅に刈り込むと枯れてしまったり、花が咲かなくなってしまったりするため、少しずつ切ることを心がけましょう。
不要な枝は、上や下、内側などに向かって伸びている枝です。根元のひこばえや、下のほうから生える枝などもカットしてかまいません。
ほかの枝に干渉している枝、徒長している枝なども切り落としていきます。不要な枝をカットできたら、樹形を整えるために刈り込んでいきます。全体のバランスを見ながら、少しずつカットしていきましょう。
キンモクセイの剪定の注意点
キンモクセイの剪定時は、枝に葉を残すことを心がけましょう。なるべく枝の先端近くに葉が残るようにカットすることがおすすめです。
また、キンモクセイの枝を多く切りすぎると枯れてしまうことがあります。枝が伸びるのがはやいため、全体的に切り落としてすっきりさせたくなるかもしれませんが、切りすぎは避けましょう
キンモクセイの強剪定のポイント
樹形を整えるための剪定は毎年行いますが、不要な枝を間引いたり、樹高を抑えたりするための強剪定は3年~4年に1回程度の頻度で行います。強く切り戻すと花つきが悪くなるため、毎年のように行うのは避けたほうが良いでしょう。
優先して剪定したいのは以下のような枝です。
- 上や下、内側などに向かって伸びている枝
- ほかの枝に干渉している枝
- 徒長している枝
- 平行に生えている枝
- 根元のひこばえ など
高さを抑えたい場合は、中心の太い幹(主幹)を切り戻します。理想の高さよりも少し低い位置にハサミを入れましょう。
キンモクセイの育て方|挿し木・取り木で増やす方法
現在、日本にあるキンモクセイは雄株ばかりです。そのため、花が終わっても実をつけることはありません。まれにキンモクセイの実を見たことがある、という方もいらっしゃいますが、ほとんどの場合、よく似たギンモクセイやウスギモクセイの実と間違えてしまっているようです。
実をつけず種のできない日本のキンモクセイは、挿し木や取り木で増やします。最後に、キンモクセイの増やし方についてご紹介します。
キンモクセイの挿し木の時期
挿し木とは、枝や茎をカットして挿し穂をつくり、土へ植えて発根させ、新しい苗をつくる方法です。親株と同じ性質を持つ植物を増やせるメリットがあります。適したタイミングは5月~7月です。梅雨のように湿気の多い時期だと、成功しやすいといわれています。
キンモクセイの挿し木で準備するもの
挿し木に使用する用土は、肥料の入っていないものを使用します。市販されている挿し木用土を使うと手軽です。用土は、育苗ポットやトレー、植木鉢などに入れておきます。
吸水させる工程があるため、水を入れる容器も用意します。ほかには、挿し穂を切るときに使う清潔な刃物が必要です。雑菌が入ると、挿し穂がうまく育たないことがあります。使用する直前に消毒を済ませておきましょう。
キンモクセイの挿し木の方法
挿し穂は新しく伸びた枝を使います。元気が良く、虫のついていないものを選びましょう。挿し穂とする枝を決めたら、先端から15cmほどカットします。水を吸いやすいよう、切り口は斜めにしておきましょう。
葉がたくさんついていると水が蒸散しすぎてしまうため、下のほうについているものは取り除きます。上の部分にある葉はそのまま残しても良いですが、大きすぎる場合は半分ほどにカットしましょう。
挿し穂を切り落としたら、数時間水揚げを行います。先端を水に浸けてしばらく待ちましょう。吸水が終わったら、土を入れた鉢や育苗ポットなどに挿します。枝の先を押し込むように土に挿してしまうと、傷んでしまうことがあるため注意が必要です。
あらかじめ小さな穴を掘ってから、挿し穂の先端を埋めましょう。その後は、水をたっぷり与えます。挿し木したキンモクセイは、ビニールハウス用のシートや園芸用の透明なビニールシートなどで覆って日陰に置いておくと、根がつきやすくなります。
できるだけ暖かい場所で、土を乾燥させないように気をつけながら育てましょう。
挿し木したキンモクセイの苗を育てる際の注意点
育苗には1年ほど時間がかかります。うまく育ったら、春に庭や鉢へ植えつけしてあげましょう。挿し木したキンモクセイは、苗から植えたものよりも花をつけるのが遅くなります。5年以上花が咲かないのも普通のようです。その分、花が咲いたときの感動は格別かもしれません。一から樹木を育ててみたい方にはおすすめです。
キンモクセイの取り木の時期
取り木とは、植物の茎や幹などから根を出させて新しい苗木をつくりだす増やし方です。挿し木のように枝をカットせずに行えるため、親株への負担が少ないといわれています。おすすめなのは梅雨の時期です。挿し木と同様、湿気のある時期が発根させやすいといわれています。
キンモクセイの取り木の方法
取り木には、数種類の方法が存在します。キンモクセイは「高取法」というやり方を用いるのが一般的です。取り木を行う前に、発根させたい枝を決めます。今年伸びてきたばかりの枝ではなく、2年~3年経ったものがおすすめです。
枝が決まったら、適当な部分の樹皮をカットします。刃物でぐるりと切り込みを入れて、幅2cm~3cmほど剥いでしまいましょう。
つる性植物の場合は、茎を土へ埋めることで発根をうながす方法も可能です。キンモクセイの場合は、樹皮を剥ぎ取った箇所にミズゴケを巻き付ける方法が良いでしょう。湿らせたミズゴケを当てたら、ビニールで覆い、しっかりと固定します。
乾いてしまうと発根しにくくなるため、定期的に水を加えましょう。発根するまでの期間は、環境によっても異なります。1カ月程度で根が出ることもあれば、数カ月かかる可能性も。こまめに様子を見ながら、気長に管理しましょう。
取り木したキンモクセイの苗を育てる際の注意点
発根が確認できたら、春や秋の温暖な時期を選んで植えつけを行います。それまでは枝を切り離さずにおきましょう。植えつけ時期が来たら、発根した枝をカットします。ミズゴケをつけたまま、すぐに土へ植えてあげましょう。
キンモクセイが咲かないときにチェックしたいこと
キンモクセイの開花時期になっても、なぜか花が咲かないケースがあります。さまざまな理由が考えられますが、こちらではよく見られる原因について解説します。
花芽を切ってしまった
よくある理由のひとつが、剪定で花芽まで切ってしまうことです。日当たりや土壌などの条件が良く、肥料や水も適切に与えているのに開花しない場合は、この原因を疑ってみましょう。これを避けるためには、花芽をつくる前に剪定することが大切です。
まだ幼木である
キンモクセイの木が十分に生長していないと花が咲かないことがあります。樹高が高く育っていても枝の太さが足りずに頼りない株は、開花できないこともあるようです。株が充実するまで気長に育てていきましょう。
病害虫被害を受けた
病気や害虫による被害を受けることで生育不良となり、花が咲かなくなってしまうことがあります。葉や新芽などに病害虫被害の痕跡がないか確かめてみましょう。必要に応じて、薬剤を使って防除することがおすすめです。
花芽がつく時期に極端に乾燥した
キンモクセイの花芽は夏頃につくられます。この時期に水切れしてしまうと花芽をつくることができず、秋になっても花が咲かないことがあります。キンモクセイの土の状態をこまめにチェックして、水が不足していないか確認することが大切です。
日光不足である
キンモクセイは日なたを好む植物で、日光が足りないと花芽を落としてしまうこともあります。植えている場所が日陰になっていないかを確かめてみましょう。地植えの場合、別の場所へ植えかえなければ日光が当てられないケースもあります。
ただ、キンモクセイは移植を嫌うため、なるべく植えかえは避けたいところです。植えつけの際にしっかりと場所を吟味して、日当たりの良い場所に植えましょう。
おわりに
華やかな香りで人々を楽しませるキンモクセイ。ご自宅に植えたら、秋の庭の主役として存在感を放ってくれるでしょう。キンモクセイは大きく育つ木のため、植える前にスペースが確保できるか確認しておくのが大切です。定期的に剪定をして、樹形を整える作業も欠かせません。
慣れてきたら、挿し木や取り木などに挑戦するのも楽しみ方のひとつです。丁寧に手入れして育て、ご自宅で季節の移ろいを感じてみましょう。
公開: 2019年8月21日
更新:2021年8月27日
更新:2023年9月22日