フラワーストーリーズ イラストで読む花物語
イラスト・構成 ICHIKAWA Kazuhiro(いちかわ かずひろ)
世の中にあるいろいろな花、その花たちも、歴史の中のさまざまな場面で、それぞれの役割を果たしてきました。私たち人間と深くかかわってきた多くのストーリーがあります。イラストの力の一つとして、こむずかしいこと、とっつきにくいことを親しみやすく表現できることにあります。このツールを上手に活用することで、人と植物がつくりだすストーリーを多くの方々で共有していただき、いつもと違った角度から花たちの物語を楽しんでいただければ幸いです。なお、ストーリーの内容は事実をベースに、想像や脚色し構成しております。ご了承いただきますようお願い申し上げます(いちかわ かずひろ)。
カンナ 焦土に咲いた生命(いのち)の象徴
フラワーストーリーズ
戦後、75年は草木も生えないとされた広島。原爆投下により、多くをなくした焼け野原に花が咲きました。
爆心地から820mというほど近い場所に、しかもわずか1か月後です。それが、カンナの花です。撮影したのは、朝日新聞のカメラマン松本栄一さん。当時、松本さんは建物を撮影する仕事で広島の地を訪れていました。高価なフィルムでしたが、それでもその力強く今を生きようとする、真っ赤なカンナの姿にシャッターを切らずにいられなかったといいます。
私は、まだまだ花や植物のことを勉強中で、カンナという花を知ったのも最近の事。実物を認識したのも最近のことで、それまでは、いつも通る道に真っ赤な鶏冠みたいな花が咲いているな~くらいでした。ですが、このエピソードを知ったことで、カンナの印象がまた一段と違ったものになりました。このカンナの写真(作中のものはイラストですが)は、以前は広島の原爆資料館に展示されていました。ですが今年の4月のリニューアルオープンに伴い、展示から外され、デジタル資料としての紹介に変更になったそうです。
この写真のことはカンナの花を見るたびに思い出し、忘れないでしょう。花はその美しく、愛らしい姿で私たちを楽しませてくれることはもちろんですが、また、一方で想いやストーリーを伝承する力を持ち、私たちに大切なことを語りかけてくれているのかもしれませんね。
出典・参考資料:http://www.asahi.com/special/npr/OSK201008020078.html
【プロフィール】
ICHIKAWA Kazuhiro(いちかわ かずひろ)
花、植物をはじめとする自然界の様々な魅力を、様々な角度からイラストで表現する楽しさに魅せられ、2019年よりイラスト制作を本格的に始める。栽培や観賞のほかに、その花が紡ぐ物語を知ることもまた植物を楽しむことでは?と花や植物の物語に興味を持ち始める。現在は、花や植物、そして人とのかかわりを探究しながら、主にインスタグラムでイラストを使った情報を発信する活動を行っている。
https://www.instagram.com/kazu_ichikawa/
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