独特のぬめりを持つさといもは、日本でも古くから親しまれてきた食材です。収穫したての新鮮なさといもを食べたいときは、ぜひご自宅で育ててみましょう。今回は、サトイモの育て方や管理方法、収穫のコツなどをご紹介します。
サトイモの特徴や主な種類
サトイモは土の中で肥大した親芋や子芋、孫芋を収穫して食べます。まずは、サトイモの特徴や品種などについてご紹介します。
親芋・子芋・孫芋について
サトイモは種芋を植えつけたら、その上に親芋・子芋・孫芋がついていくことが特徴です。親芋は種芋の頂芽からでき、親芋の側芽から子芋が、子芋の側芽から孫芋ができます。品種によっては子芋ができにくく、大きく育った親芋のみを食べることもあります。
品種の違い
サトイモにはさまざまな品種がありますが、主に子芋を食べる品種と親芋を食べる品種、どちらも食べる品種に分けられます。代表的な品種の「土垂(どだれ)」や「石川早生(いしかわわせ)」などは子芋専用種です。親芋専用種には「タケノコイモ(京いも)」と呼ばれるものがあり、たけのこのように細長い形の親芋を食べることができます。親子兼用種には「八つ頭」「エビイモ」「セレベス」などがあります。なかでも八つ頭は子芋が分球せず、ゴツゴツとしたユニークな形になることで有名です。また、品種によっては葉柄(芋がら、ずいき)を食べることもできます。
このように、サトイモの食感や肉質、可食部などは、品種によって異なります。お好みのものを選んで育ててみましょう。
サトイモの育て方・栽培方法
サトイモは春に植えつけを行い、秋に収穫するのが一般的です。高温多湿を好むため、ほかの野菜を育てるのは難しい場所でも、サトイモなら植えられることがあります。ぜひご自宅で栽培して、美味しいさといもの収穫を目指しましょう。ここでは、さといもの基本的な栽培方法を解説します。
サトイモの好む栽培環境
サトイモの草丈は1mを超え、葉の大きさは30cm以上になります。縦にも横にもスペースが必要なため、広い場所に植えることがおすすめです。ベランダでプランター栽培することも可能ですが、壁などに干渉しないよう気をつけましょう。
また、熱帯アジア原産のサトイモは、暖かい気候を好みます。生育適温は25~30℃です。日当たりが良く暖かい場所に植えましょう。
サトイモの芽出し
サトイモは種芋から育てることが一般的です。種芋が発芽していない場合は、芽出し(催芽)をすることがおすすめです。
育苗ポットなどを用意して種芋を植え、隠れる程度に土をかぶせましょう。種芋の向きは芽が出るほうが上になるよう注意します。不織布やビニールをかけて保温し、土を乾かさないように管理しましょう。3月中旬にスタートしたら、約1カ月で芽が出てきます。芽出し作業の手間を省きたい場合は、芽が出ている種芋を購入しましょう。
サトイモの土づくり
サトイモは乾燥を嫌いますが、水浸しになると病気になってしまうこともあります。水はけと水もちの良さを兼ね備えた土へ植えることが大切です。畑へ植える際は、植えつけ2週間前に苦土石灰を、1週間前に堆肥や元肥を加えて耕しておきましょう。また、幅1mほどの広めの畝を立てておきます。プランター栽培の場合は市販されている野菜用培養土で問題ありません。
サトイモの植えつけ
サトイモの植えつけ適期は4月下旬から5月上旬です。しっかりと暖かくなってから植えつけましょう。複数株を植える場合、株間は40~50cmほどあけておきます。種芋の先端が深さ10cm程度の位置に来るように植えつけましょう。植えつけ後にビニールマルチを張って保温しておくと初期生育が良くなります。
プランター栽培の場合は、深さと直径がともに30cm以上ある鉢で育てます。ひとつのプランターにつき1株が目安です。鉢底石を敷いたら土を半分ほど入れ、中央に種芋を植えつけましょう。土はサトイモが生長するたびに足していきます。
サトイモの水やり
サトイモは乾燥した状態を嫌います。土が完全に乾いてしまわないように水やりを行いましょう。とくに梅雨明け以降は乾燥しやすくなるため注意が必要です。プランター栽培の場合は土が乾くのもはやいため、夏は1日3回の水やりが必要になることもあります。土の表面が乾いたタイミングで、たっぷりと水をあげましょう。
サトイモの肥料
サトイモは栽培期間が長くなるため、肥料をしっかりと与えることが大切です。
植えつけの際は元肥として緩効性肥料マグァンプK中粒 を土に混ぜ込みます。
生育期間中も定期的に追肥します。本葉が5~6枚になる頃に最初の追肥を行いましょう。追肥にはバラまくだけで肥料効果が約2~3カ月間持続するプランティア花と野菜と果実の肥料がおすすめです。
サトイモを育てるときのポイント
サトイモの栽培中は、土寄せや芽かきなどのお手入れも必要になります。こちらでは、サトイモ栽培で知っておきたい管理のコツをご紹介します。
土寄せをする
サトイモ栽培で重要な作業のひとつが土寄せです。定期的に土を株元に寄せることで、芋が露出するのを防ぎます。本葉が5~6枚の頃に1回目の土寄せを行い、同時に追肥も済ませましょう。1カ月後には2回目の追肥と土寄せを行います。
芽かきをする
サトイモの本葉が3枚程度の頃、株の周辺から脇芽が伸びてくることがあります。そのまま伸ばしてしまうと芋が小さくなったり、形が悪くなったりすることもあるため、早めにかき取ってしまいましょう。このとき、脇芽を引き抜くと芋も抜けてしまう可能性があるため、ハサミでカットすることがおすすめです。土寄せを始めてからは脇芽は摘み取らず、土で埋めてしまって問題ありません。
乾燥対策をする
サトイモの乾燥を防ぐためには、マルチングをすることがおすすめです。株元にビニールマルチを張ったり、藁を敷いたりすることで、土が乾きにくくなります。
アブラムシ対策をする
サトイモに発生しやすい病害虫のひとつがアブラムシです。みつけたらすぐに駆除しましょう。水やりの際、葉の裏までシャワーをかけることで洗い落とすことも可能です。サトイモをアブラムシから守りましょう。
サトイモの収穫や保存方法
サトイモが無事に大きくなったら、いよいよ収穫です。最後に、サトイモの収穫や保存方法などについてご紹介します。
サトイモ収穫のタイミング
サトイモの収穫時期は10月から11月にかけてです。サトイモは寒さに弱く、霜に当たると傷んでしまうこともあります。寒さが厳しくなる前に収穫を済ませることが重要です。葉が枯れ始めたら収穫作業を行いましょう。
サトイモの収穫方法
収穫時は、茎を根元から切り取ったら芋を掘り上げます。親芋と子芋を分け、土や根を落としておきましょう。収穫後はすぐに食べることがおすすめです。
保存しておきたい場合は水洗いせず、土をつけたまま1時間ほど乾燥させましょう。その後は新聞紙を敷いたダンボール箱などに入れ、冷暗所で保存します。この場合もなるべく早めに食べきりましょう。
サトイモを土に埋める貯蔵方法
サトイモを長期保存したい場合は、子芋と親芋を分けず、土に埋めて貯蔵しましょう。畑に深さ60cm程度の穴を掘ったらもみ殻を入れ、その中にサトイモを埋めておきます。このとき、芋を上向きにしておくことで茎から水が入るのを防ぎやすくなります。穴の上には土をかぶせ、藁やビニールなどを敷いて蓋をしましょう。この方法なら、次の春頃までサトイモを保存しておくこともできます。
おわりに
大きなサトイモをたくさん収穫するためには、適した肥料を与え、水をたくさんあげながら育てることがポイントです。土寄せや芽かきなどのお手入れも行いながら、美味しい芋の収穫を目指しましょう。サトイモがお好きな方は、ぜひご家庭での栽培に挑戦してみてください。