バラをもっと深く知る㉖ 花がらを摘みやすいバラ
シーズン中にバラをきれいに見るためには、「花がら摘み」が欠かせません。
ハサミを使うか、手で取るか…。バラの中には花がらの付け根から、容易に取れる品種があります。
咲いた株姿をきれいに楽しむために
シーズン中、花が咲いた株姿をきれいに見るためには、終わった花・褐変した花を摘む「花がら摘み(花殻摘み、咲きがら摘み)」は欠かせない作業です。房咲きの花は終わった花から順に摘んで、きれいな花だけを楽しみます。
さてこの花がら摘み、ハサミを使う方法と、手で取る方法があります。
ハサミを使う場合は、右利きなら右手にハサミを持って付け根から切り、左手に切った花がらを持ち換えて、ゴミ袋へ。
それは効率が悪いから、ハサミでつかんだまま捨てる、という方もいます。
終わった花の花首の元にハサミを当てるに手がかかる、あるいはハサミを持たずに見つけたので花だけを手でつまむ、という方もいるでしょう。
株数が多い場合は有効です。あるいは花首の元から取る人も。
その場合ポキッと折れる場所があるので手で少しひねって取りますが、必ずしもきれいに取れるとは限りません。無理に力を入れて引っ張ると、春から伸びた新枝の元から長い枝ごと外れてしまうことも…。
さて、手で容易に花首の元から花がらを取れる品種が数品種あります。
まず、‘フレーズ’。コンパクトで満開時には株を覆うように咲きますが、房咲きの最初に咲いた花は周囲の花が開くころ終わりに。
ある小雨降る日の朝、満開スギの株を見つけましたが、あまりきれいではありません。近寄って見ると終わった花も。
最初はハサミで切ろうと思いましたが、雨の中でもあり少しメンドウ。ふと株元を見ると、花首ごとこぼれたものが数個。
そこで咲きがらの元を親指と人差し指で握り、少し捻ると花の付け根からきれいに取れました。
上の写真は花がらを取る前。下は取った後。
株に“雑音”が少なくなった感じで、すっきり見えます。
花がらを取りやすいバラ
この品種以外に、花首から取りやすい・こぼれやすい品種もあります。いずれも中輪~小中輪でよく咲く品種です。
切ってアレンジ
このほか、咲いた花が「花がら」になる前に早めに切って花瓶に活けるという考え方も。
「花がら摘み」ではなく「花摘み」と言われています。
その判断は人それぞれですが、株全体の花が終わりがけになり少し咲き残っているころは梅雨入りのとき。
雨は降るし、晴れれば日差しも強くなるので、早めに切って、室内で楽しんだ方がよさそうです。
少し離れて咲いた株姿を見るのとは、違った魅力が見つけられるかもしれません。
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玉置 一裕
バラの専門誌『New Roses』編集長。
『New Roses』の編集・執筆・アートディテクションを行うかたわら、ローズコーディネーターとしてバラ業界のコンサルティングやPRプランニング、関連イベントのコーディネート、バラの命名等に携わる。
また園芸・ガーデニング雑誌への執筆や講演を通じて、バラの「美」について語ると同時に、新しいバラの栽培法の研究も行っている。