金子慎吾のガーデンで楽しみたい宿根草
すてきな庭づくりで欠かせないのが宿根草、そして、それはけっしてバラの脇役ではなく、庭の主役といってもよいくらい、重要な役割を果たす植物です。自分の庭が自分の思うような、あるいは思う以上の庭にしたいと悩んでいる方へ、宿根草の魅力をバラとの組み合わせなどの話も交えて、金子慎吾さんに教えてもらいます。
金子さんは、群馬県伊勢崎市にあって、宿根草苗とバラ苗を中心に販売している今話題のショップ「ローズガーデンカネコ」のオーナーでもあり、また、個人邸などの庭づくりや庭木の剪定なども手がけていて、庭師としても活躍している、新進気鋭の園芸家です。では、さっそくおすすめの宿根草を紹介していただきます。
真冬でも楽しめる常緑の ユーフォルビア3種
Euphorbia characias
トウダイグサ科トウダイグサ属
ユーフォルビア属は、世界の熱帯から温帯まで広く分布する大きな植物群で、種数は約2000を数えます。トウダイグサなどは日本に自生するユーフォルビアです。その中で、ヨーロッパ原産で冬でも枯れずに葉が楽しめる種類があります。ガーデン彩るカラーリーフとして、とても利用しやすい種類です。また、開花時期の3~4月はパンジー、ビオラなどとの共演もおすすめです。
冬の寒さ、夏の暑さ、また乾燥にも強いので、手間なく育てやすい種類です。ただ、高温多湿は少し苦手かもしれません。バラの開花時期は、花後ですが萼がしばらく楽しめることと葉色に魅力があるので、バラとの共演も十分に楽しめます。まして、花のない冬季はガーデンの主役にもなれる宿根草です。
手入れのポイントは、3月下旬~4月の開花が終わり、5~6月になると根元から新しい芽が出るので、花の咲いた枝を根元から切り戻します。苗は春と秋に、日当たりと風通しのよい場所に、元肥としてマグァンプKなどを施した土に植えつけます。途中、元気なないようであれば、液体肥料ハイポネックス原液や活力剤のリキダスなどを月に1~2回施すと回復します。
花がかわいらしい オダマキ2種
Aquilegia
キンポウゲ科オダマキ属
オダマキは昔から山野草として日本のオダマキが愛でられてきましたが、ガーデンの草花として西洋オダマキが多様されるようになりました。西洋オダマキは、花色や花形に変化が多く、たくさんの品種が出回っています。その中から私のおすすめの2種を紹介します。
ノラバローは、覆輪がきれいな八重咲きの花で、楚々とした山野草のオダマキのイメージとは異なり、とてもかわいらしい姿が魅力です。また、ダブルブリーツ・ブラックベリーも花弁の形が特徴的ですが、人気の西洋オダマキです。いずれも花は一般のバラよりも早く咲きますが、早咲きのつるバラなどと合わせるととてもステキです。
アクイレギアの栽培ですが、耐寒性、耐暑性ともにありますが、特に寒さには強く、北海道などでも十分に楽しめます。植えつけ場所は、日当たりを好みますが、夏はできれば直射日光の当たらない半日陰のような場所が適しています。特に西日は避けたいですね。植えつけは秋と春です。マグァンプKなどを元肥として植えつけの際に施しておけば、庭植えでは特に水やりや施肥は必要ありません。ただし、極度の乾燥期には水を与えてください。
花色がすてきな サルビア・スノーヒル
Salvia nemorosa‘Snow Hill’
シソ科サルビア属
サルビア属はバラとの相性がよく、たくさんの品種があります。なかでも宿根サルビアと呼ばれる仲間は、特に合わせやすい品種があります。私のおススメ品種は、サルビア・ネモローサの‘スノーヒル’です(写真右側の白花)。草丈は30〜50cmになり、一株でも70cm〜80cmほどに株が広がる、ボリューム感のあるサルビアです。初夏から秋まで純白の花がくり返し咲き続け、秋に咲くバラともガーデンでいっしょに楽しめます。花色がブルーの、サルビア。ネモローサ‘ブルーヒル’もあります。
庭での栽培ですが、日当たりのよい水はけのよい場所に植えつけます。植えつけには元肥を施しておくとよいでしょう。植えつけ後は特別な管理は必要ありません。ただし、夏の酷暑時は水切れに注意してください。花後の切り戻しも、どこから切っても再び芽を伸ばし、よく花を咲かせてくれます。また、宿根性のサルビアなので耐寒性にすぐれていますが、冬になったら地際から刈り込むとよいでしょう。春にはまた芽を出し、葉を茂らせて、初夏には花を咲かせてくれます。
おすすめカラーリーフ ロータス・ブリムストーン
Lotus Hirsutus‘Brimstone’
マメ科ドリクニウム属
黄緑のカラーリーフのロータス‘ブリムストーン’。ふわふわとした葉が柔らかな印象です。草丈は20cm程度で、這い性なのでガーデンの縁などに最適で、丈のある草花の地際を引き立てくれます。乾燥にも強く、特に施肥も必要ありません。また、冬でも葉が緑なので、ガーデンでも1年中活躍してくれます。
かわいいアプリコットの花 ゲウム
Geum
バラ科ダイコンゾウ属
日本ではダイコンの葉に似ることから主に「セイヨウダイコンソウ」と呼ばれている耐寒性多年草です。英名は「ゲウム」。宿根草としてもゲウムの名でよく売られています。中でも私のおススメ品種はゲウム‘マイタイ’です。マイタイは株がまとまりよくコンパクトに育ち、花つきの良い品種です。
花はとってもかわいらしい八重咲きで、花色はアプリコットオレンジからベージュピンクへと変化していきますが、とてもいい色です。ガーデンでもどんな色の花ともよく合う植物です。
草丈も30~40cmとンパクトになり、バラの前方に配置しても収まりがよいと思います。植えつけは秋で、冬の低温によく当たると春の花つきがよくなります。写真は植えつけ2年目の株です。夏の高温多湿には弱いので、植えつけは夏の西日が直接当たらないような場所を避けたほうがよいでしょう。
金子 慎吾さん Profile
1977年11月8日生まれ
1995~2009年まで花屋さんに勤務。
2004年から畑にガーデンを作り、2010年にローズガーデンを開業。
2015年に現在の伊勢崎市に場所を移す。
≪ローズガーデン・カネコ≫
群馬県伊勢崎市曲沢町51-1