ビオラの魅力がいっぱい 春のローザンベリー多和田へ
育種ビオラがここ数年、花好きの間で話題になって、いろいろな機会に見られるようになりました。しかし、数多く出回ってはいないので、品種の数々を見られる機会、ビオラの美しさを引き出した飾りを見られる機会はなかなかありません。そんな中、2017年から育種ビオラを中心に、出回っているビオラの品種を一堂に集めて、コンテナなどでの装飾や品種展示をして、誰もが目に触れることのできるイベントを開催しているのが、滋賀県米原市にあるガーデン、ローザンベリー多和田です。冬は雪景色もきれいなローザンベリーの春は、華やかなビオラの世界から始まります。
※当Web掲載写真は2018年のイベント風景です。今年も昨年以上の魅力で展示されています。ぜひ、ご自身の目で今年のビオラたちのステキな姿を確かめに行ってください。
そのローザンベリー多和田を造り、運営しているのが大澤恵理子さん。普通の花好き主婦が16年前に一念発起、2003年、セメント会社の砕石跡地、荒れた何もないところから庭造りを始めました。メタセコイアやヒマラヤスギを植えたりしながら、2011年に開園しました。大澤さんに、育種ビオラとの出会いとイベントを開催するきっかけを聞きました。
「2015年の春、東京三鷹のある知人宅へ伺ったときでした。そこには素焼きの鉢に植えられた、それはかわいいビオラがありました。知人が宮崎で購入してきた‘モンキージョージ’というビオラでした。このとき私はすっかりこのビオラに魅了されました。そして、これまでは、ローザンベリーの春の花といえばソメイヨシノでしたが、それより早くから咲くかわいいビオラをローザンベリーの春の花にできればと思ったのが始まりでした」
大澤さんは、その年の秋、モンキージョージの生まれた地、宮崎を訪れます。そして知人がそれを買い求めたアナ―センというお店に行き、運命の出会いがありました。
「そこ出で会ったのが育種ビオラの普及に尽力している店主の川口のり子さんでした。そして、その川口さんが翌年の夏にローザンベリーを訪れてくれました。そのとき、このローザンベリーで是非、全国の育種ビオラを集めて展示会をやりましょうと、サクラの他にお客様に見ていただける花を求めていた私の背中をぐいっと押してくれました。すぐに園で働く皆に、2017年3月に育種ビオラ展をやると宣言し、そこからたくさんのお友達の力を借りて、イベントの開催に漕ぎつけました。ただ、経営のトップである主人には経理等苦手な私の企画書にさんざんNGを出され、成功しなかったらどうなってしまうのだろうと思っていましたが、私の最大のモットー、花を美しくきれいに見せる、ということを一番の目的にして取り組んで、結果、成功を収めました」
大澤さんの花をきれいに見せるという努力は半端ではありません。今回もそうですが、3月に花を見せるために、秋に開花苗で品種の数々を入手します。来るなり花をみな取り除いて、3月のイベントにいちばんきれいに咲くように自らの園で栽培していきます。取り除いた花はドライにして春のワークショップで使います。そして、イベント期間、コンテナやハンギングで育てられ美しく開花したビオラたちが、ガーデン前のココロードを中心に飾られます。ポット開花苗しか見たことがなければ、ビオラがここまで花をたくさんつけ、きれいに咲くことにまずは驚き、感動します。そして飾るばかりではなく、品種そのものを見せることも忘れていません。約100種が展示されています。まさに育種ビオラの魅力が最大限発揮されたフェスティバルです。期間中には、育種家さんの講演やワークショップもあり、季節柄、後半にはソメイヨシノの開花もあって、今年でまだ3回目とはいえ、すっかりローザンベリー多和田の春を呼ぶメインイベントになりました。
「2019年も開催します。2回目からは育種ビオラにこだわらず、他のきれいなビオラも含めて開催しています。今回は、昨年の台風での大きな被害、ローザンベリーの景色を形づくっていたヒマラヤスギの倒壊で、これまで半日陰の植物を数多く植えていたところが、日向の植物たちに変わります。自然の猛威による被災は自然を売りにするガーデンの宿命ですが、たくさんの人に来て頂けるようになって、落ち込んでいる訳にはいきません。わざわざお金と時間を使って訪れていただけるお客様に、今できる最高の美しさ、よさを味わってもらうために、自分の好みに関わらず、よいものをどんどん入れていこうと考えています。今年はみなさんもご存知の、「羊のショーン」のエリアも開設しました。もっともっと花と緑をたくさん楽しんでもらう、その美しさを知ってもらう、そしてそのことを最もよく私に教えてくれたのが、育種ビオラなのです」
大澤さんはこう言います。ビオラの最高の花姿を見に、ぜひローザンベリー多和田へ行って見てください。これまでのビオラとは違う、すてきな世界に出会えます(ここでのビオラは、パンジーも含めた言葉づかいにしています)。
※当Web掲載写真は2018年のイベント風景です。今年も昨年以上の魅力で展示されています。ぜひ、ご自身の目で今年のビオラたちのステキな姿を確かめに行ってください。