庭で使いたい、魅力的な植物たち ~国際バラとガーデニングショー2018から~
2018年も盛況のうちに終わった国際バラとガーデニングショー。主役のバラの話題には事欠きませんでしたが、会場で気になった、庭で使ってみたいバラ以外の植物を取り上げてみました。
コンテストガーデン部門大賞受賞の庭
今年のコンテストガーデン部門で大賞を獲ったのは「おだやかに暮らす 庭とともに」というテーマのガーデンです。デザイナーは青木真理子さん、造園者はRadiant Green Garden、貝塚造園、Green Calm House です。青木さんは元気印の20代、話題では20代女性が大賞を獲得したのは初めてだとか。ホワイト&グリーンのコントラストを基調に、林間にある庭先の一場面をリアルに造作されていました。見ているだけで心地よい庭です。
葉物の使い方も参考になる。名前がよくわかるのもうれしい
そして、ここで使われている植物たちが気になりました。なぜって、見ているだけで自分の庭に欲しいなと、きっと多くの人が思える植物たちだからです。それを知ってか、青木さんたちも植物たちの解説を写真入りで掲示してくれていました。植物の名前や種類がわかるって本当に大切なことです。そして、植物選びのポイントについて青木さんに聞きました。
「宿根草をベースに、芽吹きから枯れ姿までをも楽しめる、花がないときでも株姿が美しい、適期に切り戻しなどしなくてもよい、支柱を立てなくても自立するなど、少々ほったらかしていてもそれぞれが引き立てあう、それでいてナチュラルな雰囲気のある植物を選び組み合わせています。管理も楽で、季節感も十分に楽しめます」。
では、いくつか見て行きましょう。
チャイブの白花
ピンクのチャイブはよく見るが、白花はあまり見かけない。何株も寄せて植えるとかわいらしさが倍増する。
ギリア・カピタータ
秋まきの一年草。青い花がホワイト&グリーンの基調色の中でポイント的にとても映えていた。
ギレニア・トリフォリアータ(ミツバシモツケ)
多年草。花のフォルムが野趣に富むので、どの植物とも合わせやすい。紅葉も美しいという。
セントランサス・アルバ
多年草。赤花が知られているが、白花のナチュラルな感じがたまらない。
コバノズイナ
ガーデンで使える落葉低木として注目されている。白い花穂と緑の葉がガーデンを引き立ててくれる。
他にも、バプテシアの仲間(センダイハギの原種)、タイツリソウの白花、トロリュース・ニュームーン、バーバスカム・サザンチャーム、ワイルドチャービル、カレックス・ロゼアなど、コンセプトにぴったりの宿根草や葉物などがたくさん植えられていました。それにハウチワカエデやアオダモ、ジューンベリーなどの木々を加えて仕上げています。こういった雰囲気の庭づくりにあこがれる方はたくさんおられると思います。ちなみに、クレマチスとバラも入れてありました。クレマチスは目に入りましたが、バラは記憶にないくらい目立ちませんでした。
野菜畑も楽しいHONDAのブース
次に、毎年、見慣れたシンボルハウスのあるHONDAのブースです。車と耕運機も主役ですが、実は、ここの庭づくりを担当しているのはガーデンカウンセラーの岡井路子さんです。岡井さん、毎回展示に使う植物にこだわっています。まあ、よく見ないと、あるいは本人に説明を受けないと気づかないものもありますが。今回も、へえ~というような、植えてみたいと思わせてくれる植物を教えてくれました。では、どうやってこれらの植物を選んでいるのでしょう、聞きました。
「ひと言でいうと、“ひとめぼれ”。実際の庭やショーガーデンをつくるためというより、普段、いろんな場面で出会って、いいな、欲しいな、育ててみたいなと自ら好きになった植物たちです。そして、その植物に物語があるとさらに楽しいですよ」
といいます。
イエルバブエナ・ミント
モヒートという人気カクテルに使うのは、本来このミントが正しい。ヘミングウエイが愛したモヒート。ミントひとつにも物語があると楽しさも倍増する
クラスぺディア・グロボーサ“ゴールドスティック”
黄色いぼんぼりみたいな花が特徴の多年草。こんな花が自分の庭で咲いていたら、かわいすぎだ
ペビリアン・デージー
小さな葉が茂り、小さい花が数多く咲く原種のデージー。世界一小さいデージーともいわれている。
バーベナ・ラナイ“ライムグリーン”
暑さ寒さに強いバーベナ。ライム色の花が周囲を明るくしてくれる
タイム・ハイランドクリーム
レモンタイムの斑入り。小さな葉がこんもりと茂る。
アンチューサ“パラホワイト”
小型のアンチューサ。ホワイトといっても淡青色を帯びることも多い。
ブッドレア“雪姫”
矮性のブッドレア。樹高の高くなるブッドレアとはまた違った感じで利用できる。
庭に使える、魅力的な植物は本当にたくさんあるのですね。そして、利用例をこういったコンテストガーデンやショーガーデンで見られるのはうれしいものです。2018年第20回を迎えた国際バラとガーデニングショー、2019年の次回も、こういった目で植物を楽しませてくれると期待したいですね。
第20回国際バラとガーデニングショー会場
(写真・文 by Deru)