見てみたい、行ってみたい花の絶景 5
【北海道十勝のオオバナノエンレイソウ】
北海道の十勝地方、そして帯広といえば、紫竹ガーデン、真鍋庭園、十勝千年の森といったガーデンが有名ですが、実は自然のお花畑も秀逸です。見ごろが観光シーズンでないことであまり知られていないのは、北海道のほかのお花畑と事情は同じです。十勝の人にとっては見慣れた風景、ということなのでしょう。
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まず、圧巻なのはオオバナノエンレイソウのお花畑。本州に咲くのはよく似たミヤマエンレイソウ(シロバナエンレイソウ)です。花が大きいだけでなく、群生する傾向が強いのも、この本州産ミヤマエンレイソウとのちがいです。また、山地にも多いミヤマエンレイソウですが、オオバナノエンレイソウは平地を好み、山に入るとぱったりと姿を見せなくなります。
芽室町新嵐山公園の風景
十勝なら各所に信じられない規模の花の群生が見られますが、わかりやすいところでは、芽室町の新嵐山公園。スキー場やキャンプ場のある公園ですが、5月のひとときは、オオバナノエンレイソウとニリンソウの花の絨毯が見られます。この2種類の群生する花が咲くと、まるで大地全体が花嫁のブーケになったような景観になります。公園敷地内に新嵐山荘があり、お花畑の一角に宿泊できるのも魅力です。
また、街なかのスポーツ公園のようなところでも、芝生がオオタチツボスミレやニリンソウの花の絨毯になっていたり、防風林を散策してみると、オオバナノエンレイソウだけでなく、サクラスミレやオオバタチツボスミレなどが見つかることもあります。
もちろん、学校のグラウンドや牧草地にはタンポポが群生し、その景色がすばらしいのも、道内有数です。意外に見ごろが短いのもこのタンポポの群生です。
北海道の十勝地方のお花畑のなかで有名なのは、オオバナノエンレイソウとニリンソウの新嵐山公園(芽室町)、オオバナノエンレイソウのシーサイドパーク広尾(広尾町)などです。六花の森(中札内村)は、人の手が入ってはいますが、野生の群落の面影が残るガーデンです。これら以外にも無名の群生地がいくらでもあります。また、植生の遷移などによって、見事に咲きそろう場所は年によっても変化します。自分だけのお花畑に出会うことが不可能ではないのも、5月の北海道の魅力です。
帯広市へのアクセス
東京羽田空港から十勝帯広空港へ 1日7往復、約1時間30分
札幌からJR北海道特急で最短2時間24分、高速バスで約3時間30分、車で約3時間
◎写真展のお知らせ
「いがりまさしマルチメディア写真展 北海道大地の花束」
2019年1月9日~13日 11:00~19:00(日曜日は17:00まで)
表参道ピクトリコギャラリー
〠150-0001 渋谷区神宮前4-14-5Cabina表参道1F
いがりまさし
(植物写真家、ミュージシャン)1960年愛知県豊橋市生まれ。関西学院大学文学部美学科中退。前後して、自転車で「日本一周笛吹行脚」。その後、リコーダーを神谷徹氏に師事。25歳の時、冨成忠夫氏の作品に出会い植物写真を志す。
印刷会社のカメラマンを経て1991年独立。写真家、植物研究家として、幅広いメディアに出稿活動を展開。2009年ごろより音楽活動を再開。
自然と伝承音楽をお手本に、映像と音楽で紡ぐ自然からのメッセージを伝える活動を全国で展開中。主な著書に、『日本のスミレ』『日本の野菊』(以上、山と渓谷社)、『きせつのくさばな100』など多数。音楽CDに「名もなき旋律」など。
いがりまさしさん公式サイトはこちらから