【家庭菜園】 春植え・秋植えキャベツの育て方やお手入れ方法、おすすめの品種
一年中料理の食材として使用することが多いキャベツ。関東以西の家庭菜園では秋植えキャベツが主流ですが、早春から植えつけられる春植えキャベツの品種も増えてきました。
春植えキャベツと秋植えキャベツとの違い
春植えキャベツと秋植えキャベツにはさまざまな違いがあります。ひとつは栽培期間です。春植えキャベツは、春のうちに種まきし、その年の初夏から夏にかけて収穫します。秋植えキャベツは、秋に種まきを済ませ、翌年の春から初夏に収穫します。もうひとつの違いは、収穫できるキャベツの種類です。夏から秋にかけて収穫される春植えキャベツは、色が濃いものが多く見られます。春に収穫される秋植えキャベツは、春植えキャベツよりも色が薄く、葉の柔らかいものが多い傾向にあります。
秋植えキャベツの品種選びのコツ
秋植えキャベツを育てる際は、冬の寒さについて考慮しなくてはいけません。一定の大きさになるまで生長したキャベツを低温に当て続けると花芽が形成され、春になってから花茎が伸びる「とう立ち」が起こることがあります。とう立ちするとキャベツの葉がかたくなったり、結球しなくなったりするため注意が必要です。秋植えキャベツを栽培する場合は、とう立ちしにくいとされる品種を選びましょう。
春植えキャベツを種から育てる方法
難易度は上がるものの、春植えキャベツは種をまいて育てることも可能です。栽培に本格的に取り組みたい方は、ビニールハウスや簡易温室を用意して種まきに挑戦してみましょう。
種まき用の土や容器を用意
春植えキャベツの種は直接畑やプランターにまかず、育苗ポットやセルトレーなどを利用します。育苗期間に苗を大きく育てるため、土がたくさん入るものを用意しましょう。
土は種まき用の培養土を使用します。培養土によっては使用前にしっかり水を含ませる必要があります。容器に土を入れるときは、押し込まないように気をつけます。土を入れ終わったら「かん水」を行います。ポットやトレーの下からしたたる程度に水を注ぎましょう。
種まき・かん水
かん水まで完了したら、土に浅い穴をほって種をまいていきます。種の量は育苗ポットなら1個につき2~3粒、セルトレーならひとつの穴に1~2粒が目安です。温度はビニールハウスや簡易温室などを用い、15℃~20℃内で一定に保ちましょう。
種をまき終えたら土をかぶせ、再び軽くかん水します。その後濡らした新聞紙などでトレーやポットを覆い、発芽するまで湿度を保ちます。苗床は地面に直接置かず、ブロックやレンガなどを置いて風通しが良くなるようにしましょう。
かん水は毎日行いますが、曇りや雨の日には水をやりすぎないように気をつけます。発芽してから本葉が出るまではとくにかん水を怠らないようにしましょう。
一本立ち
発芽したら本葉が2枚になるまで育て、「一本立ち」を行います。一本立ちとは、種をいくつかまいて複数の苗を発芽させた後、優良なものだけ残して摘み取ることです。一本立ちを行わず苗を密集させたままだと、栄養がよく行きわたらずにキャベツが育ちにくくなってしまいます。
定植
種が発芽して本葉が3~6枚つくようになったら、定植をしましょう。定植とは、苗を畑やプランターなどに移し替えることです。定植の前日か当日に液肥を加えることで、活着しやすくなります。ビニールハウスなどで育苗していた場合は、定植の1週間ほど前になったら、何度か外の空気に当てましょう。少しずつ植えつけ後の環境に慣れさせていくのが大切です。
土づくりや植えつけ、その後のお手入れなどについては、苗から育てるキャベツと変わりません。頃合いを見て、追肥・土寄せしてあげましょう。
春植えキャベツのお手入れ方法や注意点
防虫ネットの使用
キャベツは虫による被害を受けることが多い野菜のひとつです。とくに、春植えキャベツよりも秋植えキャベツのほうが、虫が寄ってくるケースが多いといわれています。定植したら防虫ネットをかけて、虫がつかないように予防しましょう。ただし、防虫ネットを使用していても虫が発生することはあります。そのときは見つけ次第、すぐに駆除しましょう。
連作障害
キャベツは連作障害を起こすことがあります。以前キャベツを栽培したことがある場所には、最低2年は植えつけしないように気をつけましょう。また、同じアブラナ科である野菜との連作も避けます。アブラナ科の野菜にはブロッコリーやカブ、ハクサイなどがあります。家庭菜園で育てる場合は、野菜の属する科にも着目しましょう。
アブラムシ対策
キャベツを栽培するときは、アブラムシにも注意しましょう。アブラムシは温暖な春と秋によく見られる虫です。放置しているとどんどん数が増えていくため、見つけたらすぐに駆除する必要があります。専用の薬剤を使用して予防するのもおすすめです。できる限り虫の被害を抑え、キャベツを守りましょう。
結球させるコツ
キャベツは、生長するにつれて葉を丸くしていき、球をつくる「結球」を行います。美味しいキャベツを食べるためには、うまく結球させる必要があります。キャベツの結球は、15℃~17℃のときに行われるとされています。種まき・定植を適切な時期に行い、結球するタイミングと気温が合うようにするのが大切です。とくに秋植えキャベツの場合は、早い時期に植えつけせず、冬越し前に苗を大きくしすぎないことがポイントです。
秋植えキャベツは、春植えキャベツとは少々管理方法が異なります。秋植えキャベツの特徴を把握したうえで、それぞれに合ったやり方で栽培していきましょう。
日当たり
秋植えキャベツを育てるときは、日当たりの良い場所を選びましょう。春植えキャベツの場合も日光に当てるのは大切ですが、場所によっては温度が高くなりすぎることがあります。反対に、秋植えキャベツは冬越しが必要で、小さな苗のうちに寒い時期を乗り越えなければいけません。日当たりが良く、暖かい場所に植えつけしましょう。
育苗
上記でご紹介したように、春植えキャベツは15℃~20℃の場所で保温しながら育苗を行います。秋植えキャベツを育苗する時期は気温が高くなることがあるため、15℃~20℃を保てる涼しい場所で管理しましょう。
追肥
秋植えキャベツは冬越し後にネクスコート野菜・くだもの用で追肥を行い、大きく育てます。冬が来る前に大きくなってしまうと、低温に当たることでとう立ちしてしまうためです。種まきからしばらくは小さく育て、2月中旬ごろから徐々に追肥を行いましょう。
春植えキャベツの収穫
収穫時期
キャベツが種まきからどの程度の期間で収穫できるかは、品種によって異なります。まずは購入した種の袋を確認し、いつ収穫できるかをチェックしておきましょう。また、キャベツの収穫時期は、球を触って判別することも可能です。上から軽く押して、かたく引き締まっていることがわかれば収穫してみましょう。キャベツは収穫時期を逃すと裂球してしまいます。裂球したキャベツは見た目が悪くなるのはもちろん、腐りやすくなってしまいます。タイミングを見計らって収穫できるように気をつけましょう。
収穫のコツ
キャベツを一つひとつ収穫するときは、収穫用の包丁を使います。キャベツは芯がかたく、手でもぎ取ることが難しいためです。普段のお料理で使っているものとは少々形状が異なるため、専用のものを買うのがおすすめです。収穫時は球を傾けて根元に包丁を当て、切り落としましょう。このとき、外葉は3枚~4枚残します。
春植えに適した品種は?
春植えキャベツに適した品種は、各メーカーから販売されています。ここでは、春植えにおすすめの品種をご紹介します。
彩風
葉がぎっしり詰まった寒玉系の品種です。黒腐病や萎黄病に強く、育てやすいのがメリットです。定植してから70~75日で収穫できます。
みさき
タケノコのようなとがった形をしている極早生キャベツです。萎黄病に強いほか、結球がはやく、定植から50日前後で収穫できます。葉が柔らかいため、サラダにしても美味しく食べられます。
初秋
暑さに強く、冷涼地でなくとも育てやすい大玉のキャベツです。定植から55日程度で収穫できる極早生種になります。葉深系という台湾系のキャベツの特徴を持ち、生で食べても柔らかい葉が育ちます。
このみ姫
ミニサイズのキャベツを育てたいときはこちらがおすすめです。定植から40日ほどで収穫可能な極早生種になります。柔らかく甘みのある葉が特徴です。重さは600g~800gまで育ちます。
初夏のかほり
萎黄病に強く、大きく育ちやすい品種です。名前の通り、初夏どりにも適しています。肉厚で歯切れの良い葉が特徴です。
キャンディーレッド
レッドキャベツにも春植えに適している品種がいくつもあります。キャンディーレッドは紅紫色の葉が特徴で、定植から70日ほどで収穫できます。甘く柔らかな食感が持ち味です。芯が短く、先端が少しとがった形に育ちます。
おわりに
キャベツは地域にもよりますが、一年中つくれる身近な野菜です。春から野菜を育てたいときは、春植えキャベツを試してみても良いかもしれません。お住まいの地域によっては秋植えキャベツのほうが育てやすい場合もあります。お好みや育てやすさを考慮して品種を選びましょう。
キャベツは育苗や手入れなどの管理が難しく、初心者では栽培が難しい部分もあります。最初の育成では失敗してしまうこともあるかもしれません。家庭菜園が初めての場合は、プランターで苗から育てるなど、ハードルの低い方法から始めてみるのがおすすめです。根気よく向き合い、美味しいキャベツの収穫を目指しましょう。