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更新日:2020.11.20

【家庭菜園】 食卓に欠かせない万能野菜 タマネギ(玉ねぎ)の育て方 栽培方法のコツを紹介します。

【家庭菜園】 食卓に欠かせない万能野菜 タマネギ(玉ねぎ)の育て方 栽培方法のコツを紹介します。

タマネギは生で食べてもよし、炒めてもよし、煮てもよし、揚げてもよしと、様々な料理に利用できる野菜です。ビタミンB1やビタミンB2 、ビタミンC、カリウム、リン、鉄、カルシウム、食物繊維など栄養価も高く、食卓に欠かせない万能野菜です。



一年を通して手に入るタマネギは家庭菜園でもお馴染みの野菜で、貯蔵性に優れた晩生種はたくさん収穫しても長期間保存が可能です。タマネギは種からでも苗からでも育てることができ、初めての方にとっても比較的育てやすい野菜なのでぜひ挑戦してみてください。



ここでは家庭菜園でタマネギ栽培をはじめるにあたり知っておきたい栽培の基礎知識や、育て方のコツなどを詳しくご紹介します。

☘39:タマネギの育て方|トウ立ちの原因は?ネギ坊主はどうするの?土の準備や植えつけに適した時期、水やり、肥料の与え方もご紹介|

【PlantiaQ&A】植物の情報、育て方をご紹介!

タマネギ栽培の特徴

玉ねぎ栽培

タマネギは中央アジア原産のユリ科ネギ属の野菜です。生育適温は12℃~17℃、発芽適温は15℃~25℃です。露地栽培をはじめ、ご家庭のプランターや鉢植えでも栽培できる家庭菜園におすすめの野菜です。

 

タマネギの品種

タマネギ栽培を始める前に知っておきたいのが、タマネギの品種です。タマネギの品種は、「極早生種」、「早生種」、「中生種」、「晩生種」と大きく4つに分類されています。
家庭菜園が初めての方には、育てやすく、栽培期間が短めの極早生種や早生種がおすすめです。また、収穫を長く楽しみたい方や、たくさん収穫したい方には中生種や晩生種の栽培をおすすめします。
品種ごとに適した時期に種まきや植えつけを行い、上手に育てていきましょう。

タマネギは冷涼な気候を好む

タマネギは冷涼な気候を好む野菜です。寒さには比較的強い野菜ですが、暑さには弱いので気温が高くなると休眠状態になります。温暖な地域でタマネギを育てる場合は秋まきをして冬越しさせ、翌年の春から初夏にかけて収穫します。
タマネギは日が長くなって温度が上がり始めるタイミングで球が肥大し始めるので、種をまくのが早すぎると大苗になり、トウ立ちが多くなるので注意が必要です。
寒冷地の場合は苗が大きくなってから越冬するとトウ立ちしやすくなるので、春まき栽培が基本です。

タマネギはプランター栽培OK!

玉ねぎプランター

タマネギは露地栽培で育ててもいいですし、プランターで育ててもOKです。プランターでタマネギを栽培する場合は、直径60cm以上の大型サイズのプランターを用意します。鉢植えでも栽培可能ですが、その場合は1つの鉢に株数は1個から2個が限界です。鉢植え栽培をする際は出来るだけ深さのあるものを選んでください。

タマネギは土質の適応性が広い!

タマネギは、比較的土質への適応性が高い野菜ですが、家庭菜園が初めての方には市販の野菜用の培養土が便利で簡単なのでおすすめです。
土を自作する場合は、赤玉土を7、腐葉土を2、バーミキュライトを1混ぜたものを用意します。タマネギは酸性の土壌は苦手とするので、種まきや植えつけの2週間前までに苦土石灰を施し、5.5〜6.5ph程度を目安に酸度調整を行います。酸度調整をしたら堆肥と元肥を混ぜ込み、しっかり耕しておきましょう。

タマネギの栽培時期

玉ねぎ栽培時期

タマネギは品種により栽培期間や収穫時期、貯蔵期間がそれぞれ異なりますので、栽培環境や地域に適した品種を選んでみてください。

ここでは、各品種の特徴や中間地で育てる場合の栽培時期の目安を簡単に紹介します。

極早生(ごくわせ)種の栽培時期

9月上旬頃に種まき、11月上旬から中旬までに植えつけをし、4月下旬から5月上旬にかけて収穫できます。貯蔵期間は短めですが、病気に強く、育てやすいことから家庭菜園初心者にもおすすめの品種です。

早生(わせ)種の栽培時期

9月上旬頃に種まきをして、11月中旬から11月下旬までに植えつけをします。5月中旬頃から収穫できます。新タマネギと呼ばれるもので、貯蔵期間は短めなのでサラダにしてすぐに食べるのがおすすめです。

中生(なかて)種の栽培時期

9月中旬頃に種まきをして、11月下旬から12月上旬までに植えつけをします。5月下旬から6月上旬頃から収穫できます。極早生種や早生種と比べて貯蔵期間が長いので年内までは保存可能な品種です。

晩生(おくて)種の栽培時期

9月下旬頃に種まき、11月下旬から12月上旬までに植えつけをし、6月上旬から6月中旬頃から収穫できます。他の品種と比べると栽培期間は長いですが、長くて9ヶ月と長期の貯蔵に向いています。早生種よりも辛みがあるのが特徴です。

タマネギの種まき

玉ねぎ種まき

タマネギの品種や栽培環境、地域に合わせて、適切な時期に種まきを行います。

プランター栽培の場合

タマネギをプランターで育てる場合の種まきのやり方は以下の通りです。

 

STEP1.ウォータースペースが出来るようにプランターの7分目まで土を入れる
STEP2.条間を15cm~20㎝程度あけて深さ5 mmくらいの溝を作る
STEP3.1㎝間隔で筋まき、またはバラまきで種をまく
STEP4.土を寄せて1㎝ほど覆土して軽く押さえる
STEP5.水やりをする

路地栽培の場合

タマネギを露地栽培する場合の種まきのやり方は以下の通りです。

 

STEP1.種まきの2週間前までに苦土石灰を施し、堆肥と元肥を混ぜて耕す
STEP2.幅60㎝~100㎝・高さ10㎝~15㎝ほどの畝は作る
STEP3.条間を15cm~20㎝程度あけて深さ5 mmくらいの溝を作る
STEP4.1㎝間隔で種をまく
STEP5.土を寄せて1㎝ほど覆土して軽く押さえる
STEP6.水やりをする

タマネギの間引き

タマネギの種は、種まきから1週間ほどで発芽します。発芽から本葉が2~3枚ほどになった頃に、混んでいるところを中心に株間が2~3㎝くらいになるように丁寧に1回目の間引きをします。条間の土が硬くなっているので、間引きをするのと同時に条間をほぐし、タマネギの苗が倒れないように根元に向かって土寄せをします。

草丈が10㎝くらいになったら、株間が1.5㎝くらいになるように2回目の間引きをします。2回目の間引きの後に土寄せと追肥をして、草丈が25㎝~30㎝くらいになるまで苗を育てます。育苗には50日~60日くらいかかります。

追肥には「ネクスコート野菜・くだもの用」がおすすめです。

タマネギの植えつけについて

玉ねぎ植えつけ

タマネギは種から育てた苗を植えつけても良いですし、家庭菜園が初めての方は園芸品やホームセンターなどで販売されている苗を購入して育てるのも簡単でおすすめです。

 

タマネギの苗の選び方

市販のタマネギの苗を購入する際は、根元の直径が7㎜~8㎜、草丈が25㎝くらいの苗を選んでください。タマネギの苗の根元が細すぎると霜柱の影響で枯れやすくなりますし、反対に太すぎるとトウ立ちしやすくなってしまうので注意が必要です。

葉が青々と濃く、元気がよすぎる苗は一見良さそうに思いますが、葉だけが大きく育って、球が大きく太らないということがあるので、元気が良すぎる苗より、少しクタっとしていても枯れていないものなら大丈夫です。

 

タマネギの植えつけ方

畑に苗を植えつける方法は以下の通りです。

 

STEP1.幅60㎝~100㎝・高さ10㎝~15㎝ほどの畝は作る
STEP2.マルチを張る
STEP3.株間が10㎝~ 15㎝くらいになるように苗を浅植えする
STEP4.タマネギの子球が少し見えるくらいに土寄せをする
STEP5.面の土をしっかりと押えつける
STEP6.たっぷりと水を与える

 

タマネギの草丈が20㎝~25㎝くらいになった頃を目安に、植えつけをします。土を自作する場合や畑に直接植えつける場合は、2週間前までに苦土石灰を入れて酸度調整を行い、植えつけ1週間前に完熟堆肥や元肥として肥料を散布しておきます。元肥には「ネクスコート野菜・くだもの用」がおすすめです。

苗は茎の太い苗と茎の細い苗を分けておきます。新しい根を伸ばして、生長を促進させるために、苗の根が1cmくらいになるように古い根を切ってから植えつけるのもおすすめです。

タマネギの植えつけの基本は「浅植え」です。株間が10㎝~ 15㎝になるように深さ1cmくらいの溝を作り、指先でさし込むように苗を植えつけます。植えつけが深すぎると生長が悪くなってしまうので注意してください。反対に、植えつけが浅すぎても霜の影響で苗が浮き上がってしまうので、タマネギの子球が半分くらい見える程度を目安に株元に土寄せを行うのがポイントです。

玉ねぎ

タマネギの水やり

苗を植えつけたら株元に土寄せをして、軽く土を押さえます。植えつけ後はたっぷりと水やりをします。植えつけ後は根の活着促進のため植物用活力液『リキダス』を1,000倍に希釈してたっぷりと与えましょう。それからは適度に水を与えて、少々乾燥気味に育てます。冬場は晴れの日が1週間以上続いている場合は昼間の時間帯に水やりをして、夜間の凍結を防ぎます。冬越しをして暖かくなってきた頃はタマネギの生長が活発になるので、土が乾燥し過ぎないように水やりを毎日行います。

タマネギの追肥

タマネギの苗を植えつけした後の管理で注意したいのが、「追肥」です。冬越しをさせてゆっくりと生長させるタマネギは、追肥のタイミングがずれてしまうと球がうまく太らなくなってしまいます。品種により追肥のタイミングがやや違います。生育期間が短めの早生種は、1月初旬から2月中旬頃に追肥を行い、生育期間が長めの中生種や晩生種は、12月中旬頃に1回目の追肥、2月下旬に2回目の追肥、3月上旬頃に3回目の追肥をします。4月以降に追肥を行うとタマネギが腐ってしまう可能性があるので、これ以降は追肥を避けてください。タマネギは追肥の時期がずれると病害が発生する恐れがあります。タイミングを逃さず追肥を行い、同時に株元に向けて土寄せもしておきましょう。

タマネギ栽培には元肥・追肥に使用できる「ネクスコート野菜・くだもの用」がおすすめです。

タマネギの冬越しと寒さ対策

玉ねぎ冬超し

タマネギは晩春に苗を定植させ、冬越しさせて収穫する野菜です。タマネギは冷涼な気候を好むため寒さにも強い野菜ですが、冬の時期には寒さ対策をしておくとより安心です。種まきや植えつけ前にマルチを被せておくと、防寒だけでなく、雑草対策にも効果的です。マルチを被せない場合は、冬越しさせる前にタマネギの株元あたりに腐葉土をまいて、さらに気温が下がる時期には不織布をかけて寒さ対策を行います。

 

ネギ坊主は芽が大きくなる前に摘み取る

タマネギは苗を植えつける時期が遅くなってしまうと、低温に遭ってしまい「トウ立ち」することがあります。上手く育っている場合はタマネギの収穫期を過ぎてからトウ立ちするのが一般的ですが、収穫を前にトウ立ちをすると「ネギ坊主」と呼ばれる芽が出てきます。ネギ坊主をそのままにするとタマネギの芯の部分が堅くなり食べられなくなるので、トウ立ちしてネギ坊主が出来てしまったら、その芽が大きくなる前に早めに摘み取ってあげましょう。

タマネギの除草

タマネギは初期の生育がゆっくり進むので、露地栽培をする場合はタマネギの本葉と雑草が混在して見分けが付かないことがあります。元々雑草の多い場所に露地栽培する場合は、マルチングをしてから植えてあげるとタマネギの生育に効果的ですし、雑草対策にもなっておすすめです。

マルチングをしていても一部から雑草が生えてくることがあります。雑草を放っておくとタマネギの生長に影響するので、雑草が増えてくる前に定期的に除草しておきましょう。

タマネギの収穫

玉ねぎ収穫

タマネギの収穫時期は、株全体の約7~8割の茎葉が倒れた頃が目安です。タマネギの球は葉が完全に枯れるまで肥大を続け、収穫期が遅くなると長く貯蔵できない球になってしまうので、葉がすべて枯れてしまう前に収穫しましょう。

タマネギを収穫する時は、球のつけ根部分をしっかり掴み、真上に向かって一気に引き抜きます。引き抜けない場合は一度スコップを土の中に入れてタマネギの根を切ってあげると抜きやすくなります。

収穫したタマネギは畑や雨の当たらない場所に重ならないように並べて、葉や根元部分をしっかり乾かします。雨や水で湿っている土に置くと、タマネギの球に水分が触れて痛みやすくなるので、乾燥させる場合は必ず乾いた土の上に置く、晴れた日に収穫することをおすすめします。

タマネギの貯蔵

玉ねぎ貯蔵

タマネギを貯蔵する前に、まずは収穫したタマネギの葉や根元の部分をしっかり乾燥させます。収穫した後に乾燥させたタマネギは、茎の部分を5cm~10㎝だけ残して切り取り、5個ずつ茎葉のあたりをヒモで縛って束ねておきます。

1束ずつ束ねたタマネギを、また2束ずつヒモで縛って「つり玉」にし、風通しのよい場所に吊しておきます。タマネギを縛るときはヒモをあまり強く結んでしまうと、その部分から腐ってしまうことがあるので注意してください。

タマネギの貯蔵期間は品種によりマチマチですが、長期貯蔵に向いている中生種や晩生種といった品種は収穫から6ヶ月~9ヶ月と長く保存できます。

タマネギのトラブルについて

玉ねぎトラブル

ここではタマネギを育てるにあたり、よくあるトラブルや対策についてご紹介します。

タマネギのトウ立ち

秋まきのタマネギ栽培は冬越しさせる必要がりますが、その際に重要になるのが種まきのタイミングと植えつけ用の苗の大きさです。種まきのタイミングが早すぎると苗が大きく育ちすぎて、冬越えをした後にトウ立ちしてしまい、ネギ坊主と呼ばれる芽が発生しやすくなります。

タマネギを苗から育てる場合も早まき同様、大きくなり過ぎた苗を選んで定植させると、苗が冬の寒さに反応してしまい、春を待たずに生長し始めてトウ立ちしやすくなります。

タマネギ栽培のトラブルや失敗の多くは、種まきや植えつけの適期がずれたことが原因で起こることが多いので、品種ごとに適した種まき時期や植えつけ時期を守ることが大切です。

収穫してすぐにタマネギが腐ってしまう

収穫したばかりのタマネギが腐ってしまうのは、収穫時期が遅れたことが原因です。タマネギの葉が完全に黄色くなるまで収穫せずにいると、タマネギの内部から腐ってしまうので注意が必要です。

収穫後は畑に並べて葉や根元を乾燥させますが、その時の乾燥が足りないと切り取った部分にカビが生えてタマネギを腐らせてしまう恐れがあります。タマネギを腐らすことなく長期保存するには、収穫時期を逃さないこと、収穫後にしっかり乾燥させることが重要です。雨が当たらないところに並べてしっかり乾燥させた後に、タマネギのつり玉を作って風通しのよい場所で保存してください。

タマネギの分球が多発する

トウ立ちと同じく、種まきや植えつけの適期がずれてしまうと、収穫前に「分球」といった状態になりやすいので注意が必要です。通常タマネギは1つの株に1つの球がつきますが、分球が発生するとタマネギの内部が分裂して複数に分かれてしまうことがあります。種まきの時期が早すぎると冬越しをする前に苗が大きくなりすぎて、春を迎える前にタマネギが球割れを起こしてしまいます。これが分球の原因です。苗が生長しすぎることがないように、品種ごとに適期を守って種まきや植えつけをすることが大切です。

タマネギの病害虫

家庭菜園でも人気のタマネギは育てやすく、病害虫の心配は比較的少ない野菜です。しかし、暑さを苦手とすることから、気温の上昇とともに病害虫が発生しやすくなるので注意が必要です。

タマネギに発生しやすい病害

タマネギに発生しやすい病害のひとつが「べと病」です。タマネギの葉先が黄化することから始まり、症状が進むと少しずつ白っぽいカビが発生します。べと病が発生した際は、感染している株ごと抜き取って被害の拡大を防ぐことが重要です。春先になると多くなるべと病は、排水の悪い土壌や畑で発生しやすいので、水はけのよい場所で育てる、水はけのよい土を用意して防除することが大切です。酸性よりの土壌や窒素過多による肥料焼け、多湿などが原因で、べと病の他、軟腐病や黒斑病、萎縮病、灰色腐敗病などの病害が発生する恐れがあるので注意が必要です。

タマネギに発生しやすい害虫

上手くタマネギを育てるためのポイントのひとつが、害虫対策です。ネギアブラムシはタマネギに発生しやすい害虫です。繁殖力が旺盛な害虫でタマネギの生長が進む春先に発生します。吸汁加害やウイルス病の媒介させてしまうので、増殖する前に出来るだけ早く駆除する必要があります。ネギアブラムシの他、タマネギにはネギハモグリバエやネギアザミウマ、ヨトウムシなどの害虫が発生しやすいのですが、害虫による被害を拡大させないためにも見つけた場合は早急に駆除することが大切です。

玉ねぎ害虫

寒さに強く育てやすいタマネギは、家庭菜園のビギナーさんにもおすすめの野菜です。寒冷地では冬越しが難しいので春まきが一般的ですが、その他の地域では育てやすく、病害虫の心配が少ない秋まき栽培をおすすめします。

早生種や中生種、晩生種など、品種により適した種まき時期や植えつけ時期があるので、それぞれの品種にあった適期を逃さないことがタマネギ栽培を成功に導くためのポイントです。栽培の基本や育て方のコツなどを知れば、露地栽培はもちろんプランターでも育てやすい野菜ですので、この機会に挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

公開: 2020年11月20日

更新: 2021年10月19日

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