植物写真を綺麗に撮ろう! 第三回 一眼レフカメラで撮ってみよう
一眼レフで撮ることができる本格写真。より美しく撮るためにはどうしたらいいのか、教えて桜野先生!
まずは特長を知ろう!
――一眼レフカメラの特長を教えてください。
桜野:一眼レフは、まずレンズの種類が多いのでいろんな表現ができるという事ですね。深いボケを作ったり、とても広角に世界を撮ることもできます。圧倒的にレンズが大きいので、画質がいい描写ができます。立体感、存在感のある撮影ができるというところが特長です。あとは細かい設定ができるところも特長ですね。シャッタースピードや露出、被写界深度まで細かく決めてから撮影できます。この辺はまだまだ携帯では表現できないですね。
――初心者の私にも分かるように一眼レフの種類を教えていただけますか。
桜野:ミラーレス一眼とそうでないもの、というのが大きな種類です。ミラーがあるものは、レンズから入ってきた光を反射させてファインダーに映し出すので、目で見えているものと同じ画像が見えます。ミラーレスは、そのミラーがないのでデジタル処理をして映し出されています。コンパクトデジタルカメラに近い感じですが、レンズを色々と変えられるものがミラーレス一眼ですね。
――初めて一眼レフを買って植物の写真を撮ろうとしている人にアドバイスをいただけますか。
桜野:ボディは最近どんどん良くなってきているので、そんなに高いお金をかけなくても大丈夫です。ズームレンズは便利だし、それで撮る面白さもありますが、単焦点レンズを使うと写真のトレーニングになります。写真は自分の足で動いて撮影位置を決めて撮る事が一番大事ですから。特に植物は自分で場所を探したり、寄ったり引いたりすることで違う世界が見えて面白いです。近くのものを望遠で撮る面白さもありますが、単焦点での訓練は大事ですよ!
実践!一眼レフで撮ろう。
――それでは、私が実際に撮ってみるので、ご指導をお願いします。
桜野:画角的にはスマホの時と同じようにもう少し引いて撮りましょう。スマホと違い、一眼レフはボケを作り出すことができます。そのための設定は「F値」(絞り)を低くする事です。また、シャッタースピードの設定ができます。シャッタースピードが速ければその分シャッターが開いている時間が短いので、光は少ししか取り込めません。シャッタースピードが遅ければその分シャッターが開いている時間が長いので、光を長く取り込むことができます。
(背景が明るいので、そちらを基準に露出が決まってしまう絞り優先モードでは、真っ暗になってしまう)
一眼レフの絞り優先モードで撮影すると、F値の設定は出来ますが、背景が極端に明るい場合、背景の明るさにオートの露出が引っ張られて肝心の被写体が暗くなってしまいます。その場合は、背景の影響を受けない被写体と同じ程度の明るさの部分にピントを向けると、ファインダーを覗いたときに適正F値とシャッタースピードが表示されると思います(そのような設定がカメラによってあると思います)。マニュアルモードに切り替えてその適正値に設定して撮影してみましょう。
適正値で撮ると、光を取り込めるのできれいに映りますね。
また、花の質感や一つ一つの表情を見ようと思う場合は、天気が曇りのほうがきれいに撮れます。晴天だとコントラストが強くなり過ぎたり、自分の影が入り込んだりしてしまいます。
ノースポールは面白い撮り方が二つあります。このようにたくさん咲いていると、真上から花びらの重なりを撮るとかわいいですよね。ただ、このように晴天だと自分の影が映りこんでしまいます。なので、レフ版などで真上から影を作るといいですが、一人で撮影する時は出来ませんね(笑)。
後は下から上を見上げる、昆虫の目線で撮る写真も面白いです。地面にくっついて撮る形にはなりますが、普段の人の目線からでは感じる事が出来ない角度で植物を撮影できますよ。
桜野良充 Profile
岐阜県 出身
1978年10月1日生
ガーデニング・自然写真家。
株)GrandPhoto代表・NPO法人さくら並木ネットワーク理事
英大学院卒業後ロンドンでファッションカメラマンとして活動
2008年帰国後NHK関連の撮影を手がける。ロケ撮影を専門とし各社雑誌・広告写真等を担当。
写真展・講演会・ガーデニング番組の出演等。