【カタクリの育て方】|花の特徴やお手入れのコツ、増やし方は?
春になると芽吹き、きれいな花を咲かせるカタクリ。日本でも古くから親しまれてきた春植物のひとつです。
カタクリを育てるときは、どういったポイントに気をつけたら良いのでしょうか。今回はカタクリの基礎知識や基本的な栽培方法、お手入れ方法、増やし方などについてご紹介します。
【カタクリの育て方】基本的な特徴
カタクリは、美しい花をつける春植物(スプリング・エフェメラル)の一種です。春の到来とともに優雅な花を咲かせます。まずは、カタクリの特徴や種類などについてお伝えします。
カタクリの花の特徴
カタクリはユリ科のカタクリ科の植物で、主な開花時期は4月頃です。草丈は15cm程度とコンパクトで、紫色やピンク色、黄色、白色などの可憐な花をつけます。
さまざまな品種がありますが、ピンク色の花が下向きに咲くものが代表的です。栽培が難しい品種もあるため、なるべく育てやすい園芸品種を選びましょう。
春植物(スプリング・エフェメラル)について
カタクリは春植物のひとつです。春植物とは、春に花を咲かせた後、夏に葉をつけ、秋冬には地上部を枯らして冬を越す植物のことを指します。地上部を伸ばす期間は2~3カ月しかなく、残りはずっと地中で球根のみの状態になって過ごします。カタクリを栽培する際は、春植物の性質も考慮して栽培環境を整えてあげましょう。
カタクリと片栗粉の関係
「カタクリ」というと、片栗粉を連想する方も多いのではないでしょうか。現在流通している一般的な片栗粉は、じゃがいものデンプンからつくられているものが多く見られます。
ただ、かつてはカタクリの球根(鱗茎)からとれるデンプンが片栗粉として利用されていました。現在はカタクリの数が少なくなったこともあり、じゃがいも由来の製品が主流になったとされています。
【カタクリの育て方】基本的な栽培のポイント
カタクリを育てるときは、適した環境を用意して、時期に合わせた方法で管理しましょう。こちらでは、カタクリの基本的な育て方をご紹介します。
カタクリが好む栽培環境
カタクリの栽培場所は、春・秋・冬に日なたとなり、夏には日陰や半日陰程度になる場所を選ぶことがおすすめです。花や葉をつける春の時期は、カタクリをしっかりと日に当てることで元気に生長させることができます。
ただ、カタクリは耐暑性がやや弱く、涼しい環境を好みます。夏場に地温が高くなりすぎると球根が傷みやすくなるため、日陰で管理することがポイントです。
地植えする場合は落葉樹の下に植えることで、地面への暑い日差しを防ぐことができるでしょう。難しい場合は鉢植えにして、季節ごとに移動しながら管理することがおすすめです。
土づくり
カタクリの球根は乾燥を嫌いますが、水はけが悪すぎると腐りやすくなってしまいます。基本的には水はけの良い用土を使って植えましょう。自分で配合する場合、小粒の鹿沼土や赤玉土、軽石などを均等に混ぜたものなどがおすすめです。配合する手間を省きたい場合は、市販の培養土を活用しましょう。
地植えする場合は、植えつけ前に堆肥や腐葉土などを混ぜて耕しておきます。深さ40cm程度のところまで掘り返し、ふかふかの土をつくっておきましょう。
球根の植えつけ
カタクリは球根を入手して植えつけるのが一般的です。球根は通販などで購入できます。乾燥を防ぐため、土に埋めた状態で販売されていることが多くなります。
植えつけ適期は、休眠中の7月から10月にかけてです。植えつけるタイミングが遅くなると、球根が乾燥して根が張りにくくなってしまうこともあるため気をつけましょう。
植え穴を掘って植えつけたら、5cm~6cmほど土をかぶせます。複数株を植える場合、株間は10cmほどあけましょう。根をよく伸ばすため、鉢植えの場合は深めの鉢を使うことがおすすめです。
植えつけ直後は乾燥しないよう、水をたっぷりと与えます。マルチングをしておくことも効果的です。
水やり
カタクリの水やりは、時期によって適切な頻度や量が変わります。葉が伸びている時期は、カラカラに乾いてしまわないように管理しましょう。鉢植えの場合は二重鉢にすることで乾燥を防ぎやすくなります。
基本的に、鉢植えの場合は土の表面が乾いてからたっぷりとあげましょう。地植えの場合は降雨に任せ、雨が降らない日が続いてカタクリがしおれてきたら水やりします。
地上部が枯れ、休眠期間に入っても完全に乾かさないように気をつけましょう。ただし、過剰な水やりは根腐れの原因となるため注意が必要です。
肥料
カタクリは生育期間が短い植物です。肥料が多すぎると傷んでしまうことがあるため、適量を心がけて与えましょう。
植えつけの際は元肥として緩効性肥料『マグァンプK中粒』を土に混ぜ込みましょう。また、秋から葉が枯れるまでの時期に、1週間~10日に1回の頻度で液体肥料『ハイポネックス原液』をあたえます。
病害虫対策
カタクリは病害虫被害を受けにくい植物ですが、ときどきアブラムシが発生することがあります。近くに植えた植物から移ってくることもあるため注意が必要です。
アブラムシは新芽や葉などを吸汁し、植物の生長を妨げることがあります。放っておくと大量に増えてしまうため、定期的な観察と早期発見が重要です。見つけたらすぐに駆除しましょう。専用薬剤を使って防除することもおすすめです。
『虫を予防するマグァンプD』は肥料やり+害虫の予防・退治が同時にできるのでおすすめです。
【カタクリの育て方】種の採取や分球で増やす方法
カタクリ栽培を続けていくと、もっとカタクリの花を楽しみたいと思う方もいるかもしれません。そんなときは、種の採取や分球などの方法で増やすこともできます。こちらでは、カタクリの増やし方についてご紹介します。
カタクリの種の採取方法
カタクリの種をとってまくことで株を増やす方法があります。種を採取する場合は、開花後に実が熟すまで待つ必要があります。初夏に実が黄色く熟して、先端が割れてきたら採取可能です。
植物によっては採取した種を乾燥させて保存し、後から種まきすることができます。カタクリの場合は、種をとったらすぐにまく「とりまき」をすることが大切です。
親株を植えているのと同じ用土にまきましょう。種まき後は土を乾燥させないように管理します。順調にいけば、翌年の春に発芽してくるでしょう。
ただ、こうして育てた苗に花が咲くまでは6年~7年かかることもあります。種の採取から増やす場合は気長に取り組むことがおすすめです。
カタクリの分球方法
カタクリは球根の分球によって増やすこともできます。分球とは、球根(親球)についた新しい球根(子球)を分け、別の株として育てる増やし方です。
ただ、日本のカタクリは球根を増やす力が弱いとされているため、分球は適していません。栽培している品種をチェックし、分球が可能かどうかを確認しておきましょう。
分球のタイミング
カタクリの分球は、休眠に入った8月~9月に行います。植えつけてすぐの年は分球できないことがあるため、2年目以降にチャレンジすることがおすすめです。鉢植えの場合は分球で鉢の中が混雑してくることがあるため、植えかえを兼ねて行うと良いでしょう。
分球の方法
分球の際には、球根を掘り起こし、周囲の土や根を軽く取り除きます。球根に小さな子球できていることがあるため、手で優しく分けてみましょう。
ただし、球根が小さすぎる場合は生育に必要な栄養が不足しており、植えつけてもしっかり育たない可能性があります。分球した球根を植えたら、水をたっぷりと与えて育てていきましょう。
おわりに
素朴な美しさを持つカタクリの観賞を楽しむためには、性質に合わせたお手入れをすることが大切です。春植物であるカタクリに合った環境を整えると同時に、球根の乾燥を防ぐこともポイントとなります。
また、株の状態に合わせて水や肥料を与え、病害虫対策にも気を配ることが求められます。適切な方法でお手入れしながら、カタクリ栽培を長く楽しみましょう。