【もみじの育て方】庭木や鉢植えでの栽培方法やお手入れのポイント
春から夏は緑の葉を、秋には美しい紅葉を見せてくれるもみじ。
とくに、紅葉は秋の風物詩となっており、もみじの葉が色づくことで季節の移ろいを感じる方も多いのではないでしょうか。
もみじは和風のお庭はもちろん、洋風のお庭にも似合う植物です。地植えでも鉢植えでも育てることができます。お好きな方は、ぜひご自宅に植えて育ててみましょう。
今回は、もみじの特徴や魅力、基本の育て方、増やし方などをご紹介します。
もみじの育て方|特徴や魅力
秋になると鮮やかな紅葉を見せてくれるもみじ。一般的に「もみじ」といわれているのはムクロジ科(カエデ科)カエデ属の樹木です。
「もみじ」と「カエデ」は実は同じもので、植物学上の区別はありません。
人によって「イロハモミジ」「ヤマモミジ」「オオモミジ」などの品種を「もみじ」と呼ぶこともあれば、葉の切れ込みの違いで「もみじ」と「カエデ」を呼び分けていることもあります。
とくに園芸の世界では、葉の切れ込みが深いほうがもみじ、浅いほうがカエデと呼び分けるケースが多いようです。両者を厳密に分けることは難しいといえるでしょう。
もみじの樹高は5m~25mと品種によって差があります。基本的に大きく育つ樹木ですが、剪定してコンパクトに育てていくこともできます。
紅葉の時期は10月~12月で、品種ごとに異なる葉の色づきを見せてくれます。
4月~5月にかけては花を咲かせますが、淡い色のものが多く目立ちにくいため、あまり印象に残っていないという方も多いのではないでしょうか。
もみじをご自宅に植えたときは、ぜひ花の観賞も楽しんでみましょう。
もみじの育て方|好む栽培環境や植えつけのコツ
もみじは地植えはもちろん、鉢植えで小さく育てることもできます。ご自宅のスペースに合わせた方法で育てましょう。
こちらでは、もみじの好む栽培環境や、土づくり・植えつけなどのコツをご紹介します。
もみじの好む栽培環境
もみじは日なたもしくは半日陰程度の場所へ植えることがおすすめです。日陰でも育てられますが、幹がしっかりと太くならず、紅葉の色もきれいに出ないでしょう。大きく育てたい場合はある程度のスペースも必要です。
土づくり
もみじを育てる際は用土の水はけの良さが重要で、排水性の悪い場所では根腐れしてしまうことがあります。
ただし、日差しが強く乾燥しすぎる場所も苦手です。排水性・保水性・通気性の良さを兼ね備えた場所で育てましょう。
地植えする場合、植えつけ予定地に腐葉土や堆肥などを加えて耕しておきましょう。
鉢植えの場合は小粒の赤玉土と腐葉土を7:3で混ぜたものや、赤玉土と腐葉土、黒土を7:1:2で混ぜたものなどを使うのがおすすめです。
植えつけ
もみじの植えつけは冬の休眠期に行います。ただし、厳寒期の作業は避けましょう。10月下旬頃から11月、2月から3月頃が植えつけ時期の目安です。
地植えの場合は根鉢の1.5倍~2倍の植え穴を掘ります。腐葉土と堆肥を混ぜた土を少し戻してから、苗木を植えつけましょう。
鉢植えの場合は根鉢に合わせた大きさの鉢を用意して植えつけます。
もみじの育て方|日々のお世話のポイント
もみじの植えつけ後は、時期に合わせた方法でお手入れを続けていきましょう。こちらでは、もみじのお世話のポイントをご紹介します。
水やり
地植えした場合、根づいた後は基本的には降雨に任せ、水やりをしなくても問題ありません。乾燥した日が続いたときや、夏に極端に乾燥するようであれば水をあげましょう。
鉢植えの場合、地植えよりも水が不足しやすいためしっかりと水を与えます。春から秋の間は土の表面が乾いたらたっぷりと水やりしましょう。
春と秋は1日~2日に1回が目安です。夏は乾燥しやすいため、朝と夕方の1日2回水やりが必要になることもあります。
冬は休眠期に入るほか、土も乾きにくくなるため、水やり頻度を減らします。乾燥していたら与える程度にとどめましょう。
肥料
もみじはそれほど多くの肥料を必要しない樹木です。植えつけ時には元肥として肥料期間が約2年間持続する緩効性肥料『マグァンプK大粒』を土に混ぜ込みます。
落葉後に追肥を行い、次のシーズンへ向けてのエネルギーを補ってあげましょう。
『Plantia (プランティア)花と野菜と果実の肥料』は、元肥・追肥に使用することができ、植物の生育に必要な成分をバランス良く配合した有機入り緩効性肥料です。
病害虫対策
もみじの栽培で注意したい病害のひとつがうどんこ病です。とくに梅雨の時期に多く見られます。うどんこ病にかかると、葉などが白い粉をまぶしたような状態になります。
放置していると枯れる原因にもなるため、早めの対処がおすすめです。異常の出ている葉は摘み取り、殺菌剤を使っておきましょう。
また、新芽などにアブラムシが発生することもあります。アブラムシはいつの間にかどんどん増えてしまうため、早期発見・早期駆除が大切です。
数が少ないうちはひとつずつ駆除しても良いですが、増えると対処が間に合わなくなってきます。防除可能な薬剤を活用することも検討しましょう。
植えかえ
鉢植えのもみじは2年~3年に1回の頻度で植えかえてあげましょう。植えかえずにそのまま育てていくと、根詰まりしてしまうことがあります。新しい用土を準備して交換しましょう。
大きく育てたい場合は一回り大きな鉢を用意して植えかえます。大きさを変えずに育てたい場合は、根を少し切って同じ鉢へ植えつけましょう。このとき、用土は新しいものへ取り替えます。
剪定
もみじの樹形は自然に整うため、頻繁に剪定しなくても問題ないとされています。ただし、コンパクトに育てたい場合は剪定をして大きさを調整する必要があります。
適期は落葉後すぐの時期です。葉が落ちているため枝の様子もよくわかります。
まずは徒長した枝や混雑した部分の枝などをカットしましょう。
その次に、残った部分の枝をお好きな長さになるよう切っていきます。あまり多くの枝を大胆に切り詰めると株が弱ってしまうことがあるため気をつけましょう。
もみじの育て方|増やし方や注意点
もみじの園芸品種の場合、接ぎ木で増やすことがおすすめですが、台木の準備をする必要があるため、ご家庭で行うのは少々ハードルが高いかもしれません。
育てているもみじを増やしたいときは、挿し木や種の採取などで増やす方法が挑戦しやすいでしょう。こちらでは、もみじの増やし方を解説します。
挿し木で増やす方法
もみじの挿し木の適期は5月下旬から7月上旬です。その年の春に伸びた新しい枝を切り取って挿し穂にしましょう。
先端から10cm~15cmの位置で切り取り、切り口を斜めにして1時間ほど水につけます。葉は上についたものを2枚~3枚残して取り除きましょう。
吸水が終わったら肥料の入っていない清潔な用土へ挿します。赤玉土や鹿沼土、市販の挿し木用土などを活用しましょう。
その後は直射日光を避けられる日陰で管理します。土が乾かないよう、こまめに状態をチェックしましょう。
うまくいけば秋に発根させることができます。鉢へ移し替えて育てていきましょう。
種の採取で増やす方法
野生種の場合は種を採取し、まくことで増やせます。もみじの花が春に咲いた後、実をつくり、秋になって熟すのを待ってから採取しましょう。
種を採ったら乾燥させないよう、すぐに鉢へまきます。水やりしながら管理していくと、順調にいけば翌春に発芽します。
本葉が2枚~3枚ついたら鉢へ移し、生長に合わせて鉢増ししながら育てましょう。
おわりに
もみじは日本の気候に合う植物で、管理の手間がかかりにくい点も魅力です。庭木を育てるのが初めての方にもおすすめできます。
お好きな方はぜひご自宅に植えて、季節ごとに変わるもみじの姿を楽しみましょう。