【ヒョウタン(瓢箪)の育て方】個性的な実の観賞を楽しむ栽培のコツ
ユニークな形の実が特徴的なヒョウタン。古くから栽培されてきた歴史があり、日本でも伝統的なヒョウタンの飾りや入れ物が親しまれています。
ウリ科のヒョウタンは生育旺盛で、家庭菜園でも育てやすいことが魅力のひとつです。実がなったら収穫し、加工して楽しむこともできます。
ぜひご自宅に植えて栽培にチャレンジしてみましょう。
今回は、ヒョウタンの特徴や基本的な育て方、収穫方法など、さまざまな情報をご紹介します。
【ヒョウタン(瓢箪)の育て方】特徴や魅力
ヒョウタンはウリ科の植物で、つるを伸ばして生育します。つるの長さは3m~5mほどになるため、棚をつくって涼しい日陰をつくることもできます。
開花時期は7月下旬~9月下旬です。夕方の4時頃にユウガオに似た形の花を咲かせ、翌朝にはしぼんでしまいます。
ヒョウタンの果実は古くから世界各地で活用されてきました。容器や楽器、茶器など、さまざまなアイテムがつくられてきた歴史があります。
種や実などをきれいに取り出して入れ物にする、半分に割って食器にするなど、用途や加工方法もさまざまです。
表面に彫刻したり、着色したりして、見た目も華やかに仕上げることもあります。ご自宅にヒョウタンの工芸品があるという方も多いのではないでしょうか。
ヒョウタンの実は、よくイメージされるひょうたん形のほか、くびれがなく細長い実をつけるものや、丸い実をつけるものなど、さまざまな形があります。
大きさも幅広く、手のひらに載るサイズのものもあれば、両手で抱えるほど大きなサイズのものも見られます。育てる際は、お好みの形や大きさの実をつける品種を選びましょう。
また、ヒョウタンには食用の品種もありますが、基本的には有毒植物です。ご家庭で栽培する場合は、有毒のあるヒョウタンを誤って食べないように注意しましょう。
【ヒョウタン(瓢箪)の育て方】基本の栽培方法
ヒョウタンは丈夫で育てやすい植物のひとつです。ぜひご自宅に植えて栽培を楽しみましょう。こちらでは、ヒョウタンの基本的な育て方をご紹介します。
ヒョウタン(瓢箪)の好む栽培環境
ヒョウタンは日当たりや風通し、水はけの良い場所を好みます。大きくつるを伸ばすため、広めのスペースを確保しておきましょう。
アーチ支柱でトンネルをつくったり、竹やパイプなどで棚をつくったりすることがおすすめです。
ヒョウタンの品種によっては、実がなるとかなりの重さになることもあります。しっかりと支えられるように頑丈な棚をつくることが大切です。
土づくり
ウリ科の植物は連作障害を起こす可能性があるため、ウリ科の植物を育てた用土は3~5年避けることがポイントです。
根をしっかりと張れるように、土の深いところまで耕しておきましょう。
地植えの場合、堆肥や苦土石灰、緩効性肥料『マグァンプK中粒』などを加えて耕しておきましょう。
種まき
ヒョウタンの種まき適期は4月上旬です。遅霜の心配があるため、育苗ポットなどにまいてビニールキャップをかぶせるなどの工夫で保温しましょう。
種はひとつのポットに2粒~3粒ずつまき、たっぷりと水を与えます。発芽したら本葉が2枚~3枚ほどつくまでに間引いて、一本立ちにしましょう。
植えつけ
本葉が3枚~4枚になったら植えつけが行えます。十分に暖かくなってから植えるのが理想です。寒さが心配な場合はホットキャップやマルチングなどで対策しましょう。
ヒョウタンは大きく育つため、鉢植えにする場合は大型のプランターを準備します。10号サイズの深鉢に1株が目安です。
65cmの深型プランターに2株植えられます。複数株を地植えする場合、株間は1mほどとりましょう。
水やり
基本的には土の表面が乾いてから水を与えます。過湿を嫌うため、水浸しの状態を続けないように注意が必要です。
ただし、ヒョウタンの葉は大きいため、たくさん茂ってきたら蒸散も激しくなってきます。夏場は毎日のように水やりが必要になるでしょう。
肥料
植えつけの際は、肥料期間が約1年間持続する緩効性肥料『マグァンプK中粒』を元肥として土に混ぜ込みます。
飢えつけ2週間後から追肥を行います。追肥にはバラまくだけで肥料効果が約2~3カ月間持続する『プランティア花と野菜と果実の肥料』がおすすめです。
その後も、親づるが伸びて棚の上まで到達した頃や、果実がついたタイミングで追肥を行います。
うどんこ病対策
ヒョウタン栽培で注意したいもののひとつがうどんこ病です。発症すると葉などがうどんこをまぶしたような状態になります。
原因は糸状菌といわれるカビの一種です。見つけたら白くなった部分はすぐに切り取って処分しましょう。薬剤を使って対策することもおすすめです。
また、うどんこ病の発生を防ぐため、日当たりや風通しの良さを保つこともポイントです。植えつけ場所に気をつけるほか、定期的につるを整理してあげましょう。
摘心・誘引
ヒョウタンの実をたくさんつけるには、摘心と誘引を行うことが大切です。
栽培を開始した後は親づるを生長させるために脇芽をかき取りますが、つるが棚の上まで届くようになったら摘心して、脇芽を伸ばしましょう。
脇芽(子づる)が6節ほど伸びたら、それも摘心して、さらに孫づるを増やします。
棚の上にバランスよく伸びるよう誘引して、ひもで留めておきましょう。伸びた孫づるにたくさんの実がつくはずです。
人工授粉
ヒョウタンの実は自然と着果しますが、確実に実らせたい場合は人工授粉することがおすすめです。
開花したら雄花から葯(やく)を取って雌花の柱頭へこすりつけ、受粉させましょう。
【ヒョウタン(瓢箪)の育て方】収穫や保存方法、増やし方
観賞用ヒョウタンの実は、収穫して加工し、容器や飾りなどをつくることができます。ご自宅で育てているヒョウタンを収穫して、お好きな方法で加工してみましょう。
こちらでは、ヒョウタンの収穫や処理・保存のポイント、増やし方などを解説します。
ヒョウタン(瓢箪)の収穫時期や方法
ヒョウタンの収穫時期の目安は、開花から30日~45日後です。品種によっては2カ月ほどかかることもあります。
ヒョウタンを早採りすると実がしっかり熟しておらず、加工するときに壊れてしまうことがあるため気をつけましょう。
つるや葉が枯れるまで待ち、実が熟してから収穫することがポイントです。
収穫したヒョウタン(瓢箪)の処理・保存方法
ヒョウタンを収穫したら、実の中にある果肉や種を取り出します。
やり方はいくつかありますが、錐(キリ)や木工用ドリルなどで穴をあけて水につけ、中身を腐らせることで取り出しやすくする方法があります。
水を交換しながら2週間ほどつけておくと良いでしょう。ひょうたんの中身を取り出す専用の薬剤を使い、1日~2日で取り出す方法もあります。
中身を取り出せたらしっかりと洗い、晴れた日に日光に当てて乾燥させます。
その後は模様やイラストを描いて飾り物に、彫刻してから中に電球を入れてライトにと、お好きな方法でアレンジしてみましょう。
ヒョウタン(瓢箪)の増やし方
育てているヒョウタンを増やしたい場合は、種を採って保存しておき、適期が来たら種まきすることがおすすめです。
実の収穫後、種を取り出して乾燥させ、冷暗所で保管しましょう。
ただ、種を採取してまいても、親株と同じ性質を持つ株が育つとは限りません。発芽率も落ちてしまうことがある点に留意が必要です。
おわりに
ヒョウタンは生育旺盛で育てやすく、ガーデニング初心者にもおすすめの植物です。夏の暑い盛りにも元気につるを伸ばし、個性的な実をたくさんつけてくれます。
お好きな形の実をつける品種を見つけて、ご家庭での栽培に挑戦してみましょう。