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【果樹栽培】デコポン(不知火)の育て方|おいしいデコポン(不知火)を収穫する!

【果樹栽培】デコポン(不知火)の育て方|おいしいデコポン(不知火)を収穫する!

果樹は家庭で栽培するのが難しいと思われる方も多いですが、「デコポン(不知火)」は手間がかからず育てやすい柑橘類です。

冬でも葉が落ちない常緑樹なので、1年中お庭の観賞をよくしてくれる面もあります。

今回は、デコポン(不知火)の育て方を紹介します。

目次

デコポン(不知火)の基本情報

スーパーなどでもよく見かけるデコポン(不知火)ですが、どのように栽培されているか知らない方も多いことでしょう。

ここでは、デコポン(不知火)の基本的な情報をご紹介します。

デコポン(不知火)の概要

デコポン(不知火)は、ミカン科ミカン属の果樹です。学名は「Citrus reticulata」、英名では「Siranuhi(シラヌイ)」といいます。

原産地は日本で、ミカンの品種である「清見」と「ポンカン中野3号」の交配品種です。

デコポン(不知火)の実の特徴

デコポン(不知火)のサイズは、一般的なミカンと比べると1~2回り大きく、およそ200~300gほどです。ヘタの部分がボコッと膨らんでいるのがトレードマークです。

デコポン(不知火)の皮は少しボコボコしており固そうに見えますが、実はむきやすいです。また種もほとんど入っておらず、中の薄皮はミカンと同じように薄いのでそのまま食べられます。

柑橘類は、むきやすさや種の有無、内袋の食べやすさが大切で、デコポン(不知火)は3拍子そろった品種です。

プチプチしたオレンジ色の果肉がジューシーで、強い甘みとほのかな酸味があり、濃厚な味わいを楽しめます。酸味が苦手、甘いのが好きな方に人気の果物です。

デコポン(不知火)は育てやすい

デコポン(不知火)は自家結実性のため、1本で実がつきます。品種の異なる木を植えたり、授粉させたりといった難しいことが必要ありません。

デコポン(不知火)を含む柑橘類は病害虫が少ないため、ほかの果樹と比べると管理がしやすいことも特徴です。はじめて栽培する方でもチャレンジしやすい果樹といえるでしょう。

またデコポン(不知火)は、濃い緑色をした艶やかな葉を1年中茂らせる常緑樹です。お庭のシンボルツリーとして育ててみるのもおすすめです。

不知火とデコポンの違いについて

正式名称は「不知火(シラヌイ)」ですが、商品名である「デコポン」が一般的です。不知火のなかで一部のものが「デコポン」として販売できます。

販売条件は、「糖度13%以上、クエン酸1%以下」と明確に定められた基準をクリアすることが、決められています。

条件を満たせないものは「不知火」の名で販売されるか、独自ブランドで別の名で販売されるものもあります。

デコポン(不知火)の栽培スケジュール

開花時期:5月上旬~6月上旬

収穫時期:1月下旬~2月上旬

植えつけ:3月下旬~4月中旬

肥料(地植え):3月・10月

肥料(鉢植え):3月・6月・10月

剪定:3月上旬~4月上旬、10月

デコポン(不知火)の基本的な育て方

デコポン(不知火)の育てる環境や日常のお手入れ方法を紹介します。

デコポン(不知火)栽培に最適な環境

デコポン(不知火)は平均気温が16℃前後、最低気温3℃~の環境での栽培が適しており、関東以西であれば地植えが可能です。

デコポン(不知火)の実をたくさん収穫したい場合は、大きく育てるために地植えがおすすめです。

しかし、デコポン(不知火)の樹高は2~3mほどに生育するため、スペースなどの問題があれば鉢植えにして育てることも可能です。

鉢植えは日当たりを考慮し、移動させられる手軽さもあります。

デコポン(不知火)に必要な日当たり

デコポン(不知火)は、日当たりのよい場所が適しています。地植え・鉢植えともに、南向きで日照時間が長く、幹にまで日光に当てて育てることが大切です。

地植えにすると鉢植えのようには簡単に移動できないため、場所選びも栽培ポイントの一つです。

デコポン(不知火)に適した用土

デコポン(不知火)は、排水性と保水性のよい土を好みます。

水はけが悪いと根が弱る恐れもあるため、鉢植えの場合は赤玉土(小粒)7~8割に対し、腐葉土2~3割を混ぜ合わせて作ります。

または『ハイポネックス 培養土 鉢・プランター用』はそのまま使用できるので便利です。

デコポン(不知火)の水やり

【鉢植えの場合】
土の表面が白っぽく乾いてから、水やりします。鉢底から水が流れるくらいたっぷりと与えましょう。夏場は水切れ防止のため、腰水にして管理するのもよいでしょう。

【地植えの場合】
地植えでは基本的には水やりは不要で、植えつけのときと夏場の日照りが続いたときにのみ水やりをします。幼木のときは、夏場に水やりをすると枝がよく伸びます。

デコポン(不知火)の肥料

【鉢植えの場合】3月・6月・10月の年3回

【地植えの場合】3月・6月・10月の年3回

追肥(肥料)には緩効性肥料『錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用』がおすすめです。

『錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用は、果樹に必要な肥料成分と、鉄などの微量要素を配合していますので、丈夫な株をつくり、味の良い果実がたくさん実ります。

花がつき始めてから肥料を与え始め、生育期や花後に追肥します。葉が黄色くなってしまったときには、肥料不足、日照不足、害虫被害が考えられます。

肥料不足が原因の際は、液体肥料『ハイポネックス原液』を追肥として与えてください。

デコポン(不知火)の植えつけ

市販されている苗木を植えつける方法を紹介します。1年生と2年生の苗が市販されていますが、実をつけるには3~4年待つ必要があります。

少しでも早く実をつけて収穫したい場合は、2年生を購入するとよいでしょう。

植えつけの時期

3月下旬~4月中旬が適していますが、6月ごろまで植えつけできます。

地植えの場合の植えつけ

  1. 日当たりのよい場所に、苗より一回り大きめの穴を掘ります。
  2. 土に堆肥や腐葉土などの土壌を改良する資材を混ぜ合わせて土作りを行います。

『土を豊かにする肥料』は、堆肥と肥料成分がペレット状になっており、肥料効果と同時に土の中の微生物の働きをうながします。

  1. 元肥としてマグァンプK大粒を土に混ぜ込みます。
  2. 苗木の根をほぐして土に植えつける
  3. 地表から50cmほどの高さまで切り戻して整えます。
  4. 植えつけ後はたっぷりと水やりをします。

その際に根の活着促進のため植物用活力液『リキダス』を1,000倍に希釈してたっぷりと与えます。

鉢植えの場合の植えつけ

  1. 苗木のポットよりも一回り大きいサイズの鉢を用意し、鉢底石を敷きます。
  2. 鉢の半分の深さよりも少し下の辺りまで土を入れます。
  3. 緩効性肥料『Plantia(プランティア)花と野菜と果実の肥料』を土に混ぜ込みます。
  4. 苗木の根をほぐして植えつけて上から土を被せます。
  5. 地表から50cmほどの高さまで切り詰めて枝を整えます。
  6. 植えつけ後は根の活着促進のため植物用活力液『リキダス』を1,000倍に希釈した水をたっぷりと与えます。
  7. 日当たりのよい場所に置きましょう。

デコポン(不知火)の植えかえ

鉢植えの場合、根詰まりを防いで通気をよくするために植えかえを行います。

植えかえの頻度

2年に1回を目安に植えかえます。デコポン(不知火)などの柑橘類は、根が細いものが多いため、根詰まりを起こす可能性があります。

鉢植えが小さくなったら、早めに植えかえするとよいでしょう。

植えかえの時期

植えかえの適期は3月下旬から4月中旬、植えつけと同じ時期です。

デコポン(不知火)の生育過程

デコポン(不知火)の花芽は1~2月ごろにつき始めますが、すべての枝につくわけではありません。

昨年に実ができた枝にはつかず、2~3年生育した枝の先端部分に2~3個の芽ができます。

春になると、花芽が生育し実がつきます。デコポン(不知火)のトレードマークであるヘタの膨らみ部分を下にして枝から上向きに生育していきます。

ヘタの膨らみは個体差がありますが、小さなサイズの果実のときから膨らみがついています。

デコポン(不知火)のミニチュアサイズが、上向きについているようすは非常に可愛らしいため、生育している姿もぜひ観賞してみてください。

デコポン(不知火)のヘタ部分の膨らみは、出たり出なかったりすることがあります。これは開花シーズンの温度差によるものとされています。

果実が大きく生育すると、枝がしなるように徐々に垂れ下がっていきます。

デコポン(不知火)の剪定方法

デコポン(不知火)の植えつけから3年はそこまで剪定の必要はありませんが、4年ほど経過したら本格的に剪定をしてあげましょう。この頃から実もなり始めます。

1~3年目の剪定方法

それほど大きく生育していない1~3年目のデコポン(不知火)は、樹形の骨格を作るための切り戻し剪定を行います。

新梢の方向を考えながら形を整えていきましょう。4年目以降は、おもに間引き剪定をします。

デコポン(不知火)の剪定時期

収穫後の3月上旬~4月上旬、10月ごろに行います。寒い時期の剪定は控えましょう。

間引き剪定のポイント

間引き剪定は、枝を根元から切り落とす方法です。枝の数を減らしていきます。

間引き剪定する枝の選び方

こみ入っている枝を間引き、木の内側の日当たりをよくしてあげます。とくに枯れている枝や、害虫被害のある枝は優先的に剪定しましょう。

枯れている枝を放置すると病害虫が発生する恐れもあり、害虫被害に遭った枝は被害が拡大する恐れがあるためです。また、昨年実がついた枝や細い枝も剪定します。

一度実がついたデコポン(不知火)の枝から花芽は出ず、細い枝も生育が見込めないため取り除きましょう。

徒長枝も実がなりにくいので剪定します。徒長枝とは、まっすぐ上に伸びた枝で春から夏にかけて出やすい枝のことを指します。

剪定の効果

日当たりがよくなることで、デコポン(不知火)に病害虫が発生する可能性を抑えられます。

また、不要な枝に養分が吸い取られることがなく、健康に育ちやすくなるメリットがあります。

おいしいデコポン(不知火)を栽培するコツ

おいしいデコポン(不知火)栽培には、摘果の作業が欠かせません。また、大切に育てたデコポン(不知火)を守るため、袋かけしておくと安心です。

摘果

デコポン(不知火)は、4~5年ほどで実をつけるようになります。

ついた実をすべて大きく育ててしまうと、株に大きなダメージがかかり、翌年は実のつきが悪くなります。そのため、実を間引く「摘果」の作業が非常に大切です。

摘果の時期

7~8月ごろ、実がつき始めたら摘果します。

摘果の方法

デコポン(不知火)の摘果の目安は、「葉80~100枚ほどにつき実が1つの割合」といわれます。

デコポン(不知火)のトレードマークであるヘタの膨らみのあるものを残しておき、上向きについているものやサイズの小さいもの、傷のあるものなどを中心に取り除きます。

袋かけ

デコポン(不知火)がだんだん色づいてきたら、鳥などに実を食べられるのを避けるために袋かけすると安心です。

デコポン(不知火)の収穫と保存方法

デコポン(不知火)が生育し、鮮やかに色づいたらいよいよお楽しみの収穫作業です。

デコポン(不知火)の収穫時期

1月下旬~2月ごろが適期です。収穫が早すぎると甘さが足りなくなり、収穫を先延ばしにすると水分が少ないデコポン(不知火)になるので注意が必要です。

デコポン(不知火)のヘタの上をハサミでカットすると簡単に収穫できます。

デコポン(不知火)を甘くする方法

デコポン(不知火)の収穫は1~2月ですが、食べ頃は春先です。デコポン(不知火)は保存しておくと甘みが増すため、収穫したらすぐに食べずに3~4月まで保存しておきましょう。

デコポン(不知火)の酸味が弱まり、甘さが増してよりおいしくなります。

デコポン(不知火)の保存方法

デコポン(不知火)は厚めの皮に覆われているため、柑橘類のなかでも保存がきく果物です。収穫して3月ごろまでは涼しいため、室温で保存できます。

風通しがよく日の当たらないところで保存し、気温が高くなってきたら冷蔵庫の野菜室で保存するとよいでしょう。キッチンペーパーにくるみ、袋に入れておくと乾燥を防げます。

また、皮をむいて小分けにすれば冷凍保存しておけます。大量に収穫できたときやすぐに食べないときなどに便利な方法で、シャーベットのように半解凍にして食べるのもおすすめです。

一方で、市販されているデコポン(不知火)はあまり保存が効かないため、早めに食べましょう。

市販されているものは1週間~1か月ほど保存して、酸味をおさえてから出荷されています。

そのため、市販のデコポン(不知火)はほかのミカン類と比べると日持ちしないため注意が必要です。

デコポン(不知火)の病害虫

デコポン(不知火)につきやすい害虫には、アゲハチョウの幼虫やカイガラムシがあげられます。アゲハチョウの幼虫がつくと、葉をすべて食べつくされます。

とくに7~9月ごろに発生しやすい害虫です。植えつけたばかりの幼木は、葉が食害されると生育を妨げられるためとくに注意が必要です。

カイガラムシは枝や茎の養分を吸い取り、株を弱らせる害虫です。排泄物が原因で株が病気にかかることもあります。

これらの害虫を防ぐには、葉や枝が茂りすぎないように適切な剪定が対策につながります。

また、葉や枝に異常がないか裏側までこまめにチェックすることも大切です。害虫を見つけたらすぐに駆除しましょう。

デコポン(不知火)栽培での注意点

デコポン(不知火)の基本的な育て方や、美味しくするためのコツなどを紹介しました。ここではデコポン(不知火)栽培で注意点にも触れます。

デコポン(不知火)は隔年結果に注意

デコポン(不知火)を含む柑橘類は、隔年結果(かくねんけっか)になりやすいため注意が必要です。

隔年結果とは、実がなった翌年は不作となるというのを交互に繰り返すことです。

開花や結実、木の生育にエネルギーを使いすぎて、翌年に実がなりにくい、または実がならない状態になってしまいます。

そのため、無駄なエネルギーを使うことなくデコポン(不知火)に栄養分が行き渡るようにするため、剪定や摘果などのお手入れが大切なのです。

もしも隔年結果となってしまった場合は、不作の年は剪定を控えるか間引き剪定のみにします。実がなった年は強めの切り戻し剪定を行うと、隔年結果の回避が期待できます。

デコポン(不知火)にはトゲがある

デコポン(不知火)はトゲがあるため、剪定や摘果、収穫などの際には注意が必要です。作業するときは、ガーデニンググローブと長袖を着用しておきましょう。

デコポン(不知火)の冬越し

霜が降りそうなときは、霜よけしてあげましょう。霜が木に当たると枯れる原因となります。

寒冷紗などを購入するか、風を通す素材でできた着古しのTシャツなどを使い霜よけとしてもよいでしょう。全体が隠れるように木の上から覆います。

とくに植えつけたばかりの幼木は、冬を越す力が備わっていないため毎年対策が必要です。

冬場は、デコポン(不知火)の休眠期に入るため生育はストップします。1~2月の寒い時期は、寒さのために葉が黄色くなり葉が落ちることもあります。

葉が落ちても株自体が健康であれば、春ごろには枝先に芽をつけるためようすを観察しましょう。葉が少ない場合は、水やりの量も控えめにします。

デコポン(不知火)は楽しみの多い果樹

デコポン(不知火)は育て方のポイントを守れば、難しい管理は必要ありません。

柑橘系のなかでも酸味が少なく甘みの強さがあり、むきやすさや食べやすさもそろったデコポン(不知火)をぜひ家庭で栽培してみてはいかがでしょう。

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