【水耕栽培】豆苗の育て方 2回収穫するための管理のコツや種からの栽培方法
手頃な価格で購入しやすい豆苗は、家庭の味方ともいえる野菜です。再生栽培を行うことで、もう一度収穫して食べられるのも大きな魅力となります。
ただ、気をつけていなければカビが生えたり腐ったりしてしまうことがあるため、育て方のポイントを確かめておくことがおすすめです。
また、豆苗は種を購入して育てることもできます。お好きな方は、ぜひ栽培に挑戦してみましょう。
今回は、豆苗の基礎知識や再生栽培の方法、種から育てる方法、土に植えて育てる方法などをご紹介します。
豆苗の基礎知識
豆苗はマメ科の野菜で、豆から発芽した新芽を食べます。まずは、豆苗の基礎知識についてご紹介します。
スプラウトとは
豆苗はエンドウマメのスプラウトです。スプラウトとは、いわゆる「発芽野菜」のことです。発芽した直後の新芽を食べることが特徴で、さまざまな種類があります。
マメ科のスプラウトでとくに有名なのが、もやしではないでしょうか。大豆や緑豆、ブラックマッペなどの豆を発芽させ、暗室で栽培したスプラウトがもやしとして食べられています。
ほかにもスプラウトとして有名なのが、ダイコンの新芽であるカイワレ大根や、ブロッコリーの新芽であるブロッコリースプラウトなどです。
また、レッドキャベツやマスタード、ソバなど、さまざまな植物のスプラウトが流通しています。
豆苗の再生栽培
豆苗は栽培が手軽で、すぐに始められることも魅力です。とくに再生栽培であれば、日々の料理で残った豆と根を使って、気軽に栽培をスタートできるでしょう。
再生栽培とは、野菜や果物などの欠片を育て、再び収穫する方法のことです。「リボベジ」や「リボーンベジタブル」と呼ばれることもあります。
料理の際に余った野菜の芯や切れ端などを活用できることが大きな特徴です。
また、再生栽培ができるのは豆苗だけではありません。たとえば、ニンジンやダイコンなどのヘタを水につけておき、伸びてきた葉を収穫して料理に活用する方法があります。
ほかにも水菜やコマツナ、ネギなど、幅広い野菜を再生栽培で育てられます。捨てるはずだった部分を有効活用するために、ぜひお好きな野菜の再生栽培にチャレンジしてみましょう。
【豆苗の育て方】再生栽培の方法
豆苗栽培にはいくつかの方法がありますが、もっとも広く親しまれているのは再生栽培ではないでしょうか。
水の管理や置き場所などに注意して育てていけば、すぐに収穫を楽しむことができます。
こちらでは、食材の残りから育てられる、豆苗の再生栽培の方法を解説します。
必要なもの
豆苗の再生栽培で必要なものは、水をためられる容器や肥料などです。容器はご家庭にあるタッパーやトレーなどで問題ありません。
豆苗の根が少しつかる程度の深さがあると良いでしょう。ペットボトルをカットして簡易的な容器を自作することもできます。
100円均一ショップで専用容器を売っていることもあるため、何度も豆苗栽培をしたいときは購入してみるのもおすすめです。
豆苗の入っていたパッケージを再利用して、容器として使えることもあります。
また、豆苗を元気に育てるためには肥料を与えることもポイントです。
豆苗の再生栽培では土を使わずに水のみで育てるため、水栽培(水耕栽培)に向いた肥料を活用すると良いでしょう。
栽培の流れ
食材として豆苗を購入したら、上部の新芽部分をカットして料理に使います。残った豆と根を水につけ、日に当てて水を取り替えながら管理します。
順調にいけば、1週間~10日程度で収穫できるでしょう。
また、豆苗の再生栽培では2回ほど収穫することができます。1回目の収穫が終わった後も、再び水につけて日当たりの良い場所に置いておきましょう。
もう一度新芽が伸びてきて、1週間~10日ほどで2回目の収穫を楽しめるはずです。
その後も栽培を続けることはできますが、1・2回目ほどの量は収穫できないでしょう。
豆が腐ったりカビが生えたりすることもあるため、そういった場合はすぐに処分することが大切です。
豆苗のカット位置
豆苗を再生栽培するときは、根と豆の部分を残すように茎をカットします。
このとき、脇芽を残すことが重要です。脇芽を残さずに切ってしまうと生育が遅れ、収穫までに時間がかかってしまうことがあります。
豆苗の茎の部分をよく見ると、下のほうに小さな脇芽が複数ついていることがわかるはずです。下から2番目の脇芽の上に包丁を入れて切りましょう
豆苗の置き場所
豆苗は室内で育てることがおすすめです。元気に育つためには日光が必要ですが、屋外では日差しが強すぎて茎や葉がかたくなってしまうことがあります。
害虫もつきやすくなるため、屋内で管理したほうが良いでしょう。
豆苗におすすめの置き場所は、キッチンの窓辺などの明るいところです。暗い場所では生育が悪くなり、茎が軟弱になってしまうことがあります。
ただし、直射日光が当たり続ける場所よりは、レースカーテンやすりガラス越しの光が当たる場所が適しているでしょう。
また、冬の窓辺は外の気温の影響を受け、かなり寒くなってしまうことがあります。
豆苗の生育が停滞し、枯れてしまうこともあるため気をつけましょう。冬場は室内の暖かいところへ置くことが大切です。
水の管理方法
豆苗の再生栽培を行うときは、容器に水を入れすぎないように注意が必要です。豆が水浸しになる状態が続くと腐ってしまうことがあります。根がつかる程度の量に調整しましょう。
容器の水はこまめに取り替えることも重要です。水の交換頻度が少ないと濁りやすくなり、腐敗やカビなどの原因になることがあります。
蒸発して減った分を足すのではなく、いったん容器の水を捨て、新しいものをそそぎましょう。なるべく1日に1回、夏場は1日に2回交換することがおすすめです。
また、容器が汚れていた場合はすぐに洗います。ぬめりもきれいに擦って落とし、清潔な状態を保ちましょう。
肥料の与え方
豆苗に肥料を与えることで、収穫できるまでの期間を短くしたり、収穫量を増やしたりできることがあります。
水を取り替える際に、すばやく効く速効性肥料『微粉ハイポネックス』を1000倍にうすめて使用します。
ただし、肥料を与えることで容器内の水に藻が発生する場合があります。藻をそのままにしておくと見た目が悪くなるうえ、生育にも影響が出てしまうことがあります。
こまめに水を取り替えて発生を防ぎましょう。藻を見つけたらすぐに容器をきれいに洗うことも大切です。
また、藻は光が当たると発生しやすくなります。透明な容器を使っている場合は、不透明な容器を使っているときと比べて藻が生じやすくなるでしょう。
気になる場合は容器を変えるか、アルミホイルなどを巻いて遮光することがおすすめです。
収穫方法
栽培を始めてから1週間から10日ほどで収穫できるようになります。根元のところから茎を切って収穫しましょう。
1回目の収穫では、2回目を見越して、下の脇芽を残してカットすることがポイントです。一部だけカットして使っても良いですが、採り遅れると味が落ちてしまいます。
一度にまとめて収穫して食べてしまったほうが良いでしょう。
また、直射日光に当てすぎてしまった場合などは、茎や葉がかたくなってしまうことがあります。
そういった場合、生で食べるよりも加熱して食べることがおすすめです。炒め物や汁物などの具材として楽しみましょう。
保存方法
豆苗の収穫後はすぐに料理に使うことがおすすめです。余ってしまった場合は冷蔵庫に保存しましょう。
水で洗ってからラップで包むかポリ袋へ入れ、密閉して保存します。タッパーに水を入れ、豆苗を浸して保存することでも乾燥を防げます。
ただし、どの方法で保存した場合も、なるべく早めに食べきりましょう。
また、豆苗は冷凍保存することもできます。カットした豆苗をよく洗ってから密閉できる保存袋へ入れ、冷凍庫で保存しましょう。
【豆苗の育て方】種から栽培する方法
豆苗は再生栽培だけではなく、種から育てることもできます。豆苗がお好きな方は、ぜひ種からの栽培にも挑戦してみることがおすすめです。
こちらでは、スプラウト栽培用の種を購入し、種から育てる方法を解説します。
必要なもの
豆苗を種から育てるときは、スプラウト栽培用として販売されている種を購入しましょう。
栽培に使う容器は、再生栽培と同じもので問題ありません。育てる種の数に応じた大きさの容器を準備しましょう。
また、豆苗を発芽させるときは光を当てずに管理する必要があります。光を遮るため、厚みのある紙箱や新聞紙、アルミホイルなども用意しておくと良いでしょう。
種まきの方法
豆苗の種を入手したら水を張った容器に入れ、一晩吸水させます。常温の室内に置いておきましょう。
吸水が終わったらいったん水を捨て、種同士が重ならないように並べます。種の下部分が少しつかる程度に水を入れましょう。
しばらくは光の当たらない暗い場所で管理します。上から箱をかぶせたり、アルミホイルで覆ったりして遮光しましょう。
豆苗の発芽適温は15℃~20℃程度といわれています。発芽適温であれば3日~4日ほどで発芽するでしょう。
また、発芽するまでは種が乾燥しないように管理します。こまめに様子をチェックして、霧吹きで水をかけて種を湿らせると良いでしょう。
水の管理方法
豆苗栽培では水を頻繁に取り替えることが大切です。放置していると、豆が腐ってしまうことがあります。
発芽後は1日に1回は水を交換しましょう。気温が高くなる時期は1日2回の水替えがおすすめです。水を替える際に1000倍にうすめた『微粉ハイポネックス』を使用します。
生育がよくなり収穫量を増やすこともできます。また、根が動き出したら水の減りもはやくなるため、水切れしないように注意しましょう。
水の量は種の3分の1程度がつかるくらいにとどめます。種が完全に水につかってしまうと、腐りやすくなるため気をつけましょう。
理想的な栽培環境
種まきから発芽までは暗い場所に置いておきます。発芽して茎が伸びてきたら明るい場所へ移しましょう。日光が強すぎると茎や葉がかたくなってしまうため注意が必要です。
収穫方法
発芽後、1週間から10日ほどですぐに収穫できるようになります。下の脇芽を残してカットし、茎や葉を味わいましょう。
合計3回ほど収穫できます。収穫が一通り終わるまでは、水替えしながら明るい場所に置いて育てていきましょう。
【豆苗の育て方】土で育てる方法
「豆苗の種を土に植えたらどうなるのだろう……」と考えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。食べ終わった豆苗の種は、土にまいて育てることもできます。
ただ、栽培時にはいくつか注意したいポイントもあるため、事前に確かめておきましょう。最後に、豆苗を土で育てる方法をご紹介します。
豆苗を土に植える注意点
豆苗の種を土にまいて育てることは可能です。ただし、スプラウトとしてではなく、エンドウマメとして育て、莢や豆を収穫して食べることになります。
豆苗として食べたい場合は室内で水栽培したほうが良いでしょう。
また、豆苗用の種は土に植えてもうまく育つとは限りません。途中で枯れてしまうこともある点に留意が必要です。
おわりに
豆苗は手軽に栽培できる野菜のひとつです。キッチンのちょっとしたスペースで育てられるのも魅力となります。
また、豆苗の種を購入すれば、種から育てることもできます。どの方法でも育てやすいため、お好きな方はぜひご家庭で豆苗栽培を始めてみましょう。