【バラ栽培】8月のバラの管理方法|暑さに負けない快適な環境作りのポイント
8月は気温が上昇し、日差しも強くなります。
人間にとっても過ごしにくい時期ですが、それはバラにも同じこと。
8月前後のバラの管理では、暑さに負けない快適な環境を作ってあげることが大切です。
今回は、8月にしたいバラのお手入れ方法や、バラ管理のポイントについてご紹介します。
8月前後のバラに出やすいトラブルは?
8月は高温や乾燥などに見舞われやすい時期です。
健全な状態のバラの葉は、8月前後になるときれいな深緑色になります。
ただし、
- 葉が茶色や黄色に変色している、もしくはグラデーション状になっている
- 下葉が黄色くなっている
といった状態になっている場合、夏の暑さや乾燥によるダメージを疑ってみましょう。たとえば、高温によって葉が黄色く変色し、夏バテ状態になってしまうことがあります。根にダメージが生じた場合は下葉が枯れてくることがあるため、よく観察して早期発見を目指しましょう。
また、上記のような症状が出た場合は、涼しい環境を用意することで回復させられるケースがあります。土の温度が上がらないように対策してみましょう。
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【8月のバラ栽培】土の温度を下げるための工夫を
8月は一年でもっとも暑い時期で、日差しもとても強くなります。
直射日光や高温により、鉢の内部の土の温度も上昇しやすくなってしまいます。土の温度が上がると根が傷み、株の生育が衰えやすくなってしまうため注意が必要です。
8月のバラ栽培では、土の温度を下げる工夫をしてみましょう。
鉢植えの場合、鉢を日陰に移動させて日差しの当たり具合を調節します。ベランダなどで育てている場合は、鉢の下がコンクリートになることもあるでしょう。熱が伝わりやすいため、鉢の下にレンガなどを敷いておくことがおすすめです。
庭植えで移動させられない場合は、バラの周りにほかの草花やハーブなどの鉢を置いて遮光するのも効果的です。
株全体に強い直射日光が当たる場合、葉焼け対策を兼ねて遮光することもひとつの方法です。葉焼けしたところは変色し、枯れる原因にもなってしまいます。遮光ネットや不織布などを使い、日よけをつくってみましょう。
また、水やりをする際に、株にだけでなく鉢にも水をかけると温度が下がります。
庭植えの場合は、周囲の地面に打ち水をすると良いでしょう。
このほか、鉢植えの場合は二重鉢にするのも効果的です。バラを植えている鉢を、ひとまわり大きな鉢の中に入れてみましょう。
二重鉢にすることで株を植えている鉢に直接日光が当たらず、鉢と鉢の間に空気の層ができるため、急激な温度上昇を防ぐことができます。
【8月のバラ栽培】涼しい時間に水やりを
8月は土が乾燥しやすい時期です。
鉢植えのバラの場合、土の表面が乾いていたら、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水やりをしましょう。とくに乾燥しやすい時期は、朝夕2回の水やりが必要になるかもしれません。
地植えの場合は降雨に任せますが、雨が降らない日には朝夕どちらか一回は水やりしましょう。
なお、気温の高い日中に水やりをすると土の中の温度が上がり、根や株を傷める原因になってしまうことがあります。水やりは朝もしくは夕方の涼しい時間帯に行いましょう。
水やりの際に、植物用活力液『リキダス』を200倍に希釈して与えることもおすすめです。根に活力を与えられるため、バラを元気に育てることができるでしょう。
または、カリ成分を多く含む液体肥料『微紛ハイポネックス』を1週間に1回与えることもおすすめです。カリ成分(カリウム)は細胞を強くし植物全体を丈夫にする作用があります。さらに、
『微紛ハイポネックス』は効き目がすばやく現れることも特徴です。暑さ・寒さ・病害虫への抵抗性が高まり、乾燥や日光不足に強い植物に育てられます。
【8月のバラ栽培】秋にも開花するバラは剪定作業を
秋にも花を咲かせる四季咲き性品種などは、8月前後に剪定作業をしておくことがおすすめです。この時期に剪定を済ませておくと、秋になったら一斉に美しい花を咲かせることができます。
バラの夏剪定の時期
剪定は基本的に8月下旬に行います。ただ、日本全国で夏の気温が上昇傾向にある昨今は、8月が過ぎても気温が高い日が続くことがあります。そのため、より暑さの落ち着いた9月上旬に行うことも多いようです。
バラの夏剪定の方法
剪定の際は、弱っている枝を切り戻し、花の咲きそうな枝に栄養が十分に行き渡るようにします。よく切れる剪定ばさみを使ってカットしましょう。
基本的に外芽(外側を向いてついている芽)の上で切ることがおすすめです。外側に向かって伸びる芽を残すことで、枝が混みあわずに樹形が整いやすくなります。
バラの夏剪定の注意点
基本的に、夏にバラの強剪定をすることは避けましょう。強剪定は冬の休眠期に行うことがおすすめです。
株が弱っていたら剪定せずに様子を見ることも大切です。葉の少ないバラや夏バテしているバラ、植えつけからそれほど経っていないバラなどは、無理に枝を切らないようにしましょう。
また、夏剪定をすることで株の花が一斉に咲き揃うのがメリットのひとつです。ただ、一株に少しずつ花を咲かせたい場合は、夏剪定をしない選択肢もあります。
夏剪定を行わなくても秋バラの開花を楽しむことはできます。育てているバラの状態やお好みに合わせて、剪定するかどうかを決めましょう。
【8月のバラ栽培】真夏の追肥について
夏剪定の前には追肥をしておくことがおすすめです。
この段階で肥料を与えておくことで、暑さで消耗しがちな体力を補うことができ、秋の花つきが良くなります。
ただし、暑さで株が弱りやすくなっているため、施肥は控えめを心がけましょう。株の状態によっては肥料を与えずに様子を見ることが大切です。
肥料は『ブリリアントガーデン バラのまくだけ肥料』がおすすめです。
『ブリリアントガーデン バラのまくだけ肥料』は肥料効果が3~4カ月持続する緩効性肥料です。頻繁に施肥する必要がなく、追肥作業の負担を軽減することもできます。
【8月のバラ栽培】摘蕾やシュートピンチを忘れずに
暑い時期にもバラの蕾がつき、花が咲くことがあります。咲いた花をそのままにしておくと株が消耗してしまうため、花後には摘み取っておくことが大切です。株の状態によっては、秋の開花に向けてのエネルギーを残しておくために蕾の段階で摘んでおくと良いでしょう。
また、木立ち性バラのベーサルシュートが延びてきたら、蕾ができる前に先端をピンチしておくことがおすすめです。5枚葉を残して摘み取りましょう。ピンチした部分から新しい芽が伸びてきます。
【8月のバラ栽培】高温多湿の時期は引き続き病害虫対策を
高温多湿の夏場は、病害虫被害が生じやすい時期でもあります。アブラムシ黒星病などの対策を続けていきましょう。
アブラムシは春から秋まで発生しやすい虫で、植物を吸汁して弱らせたり、病気を媒介したりすることがあります。黒星病はバラによく見られる病気ですが、最初は症状が現れないため発見が遅れることが多くなります。いずれの病害虫も、予防と見つけ次第すぐに対処することが重要です。害虫は駆除し、病害のあった部分は取り除いておきましょう。
また、病害虫の種類によっては専用の薬剤で防除できることがあります。必要に応じて活用し、大切なバラを守りましょう。
アブラムシの予防と退治には、まくだけで、追肥も同時にできる『虫を予防するマグァンプD』がおすすめです。
また、黒星病には、予防と治療の効果を発揮する『ブリリアントガーデン フローラガードAL』がおすすめです。
【8月のバラ栽培】必要に応じて台芽かきを
バラを育てていると、伸びてきたシュートになぜか別の色・形の花や葉がついてしまうことがあります。なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。
バラの苗には挿し木苗や接ぎ木苗などの種類があります。接ぎ木苗の場合、野ばらを台木として接ぎ木したものが多く見られます。通常であれば、穂木となった品種の花しか咲くことはありませんが、まれに台木である野ばらの芽が出て花を咲かせることがあるのです。
台木から出た芽は台芽と呼ばれ、放置しているとぐんぐん育っていきます。放っておくと穂木となった品種が負けてしまい、野ばらの花しか咲かなくなることも。台芽を見つけたら台芽かきをしておきましょう。
台芽は接ぎ木口よりも下の位置から伸びてきます。葉の形や色などにも違いがあるため見分けやすいでしょう。発見したら、すぐに付け根からカットすることがおすすめです。
おわりに
8月のバラ栽培のポイントについてご紹介しました。真夏のバラ栽培では、暑さ対策が不可欠となります。土の温度が上がらないように工夫しましょう。また、秋へ向けての剪定や追肥、病害虫対策なども重要です。秋の開花シーズンへ備え、季節に合わせたお手入れを行いましょう。
京阪園芸 小山内健さんのバラを楽しむための管理ポイント
公開: 2018年8月1日
更新: 2023年7月29日
この記事で紹介された植物について
バラ
学名:Rosa /科名:バラ科 /別名: /原産地:アジア、ヨーロッパ、中近東、北アメリカ、アフリカの一部 /分類:落葉(ツル性)低木 /耐寒性:中~強/耐暑性:中~強
気品あふれるその華やかな姿から、花の女王とも呼ばれるバラ。