【ツツジの育て方】日本の春を彩るツツジ。お庭で美しい花を咲かせるコツは?
街路樹や庭木、公園の垣根などでよく見かけるツツジ(つつじ)。
日本を代表する春の花木のひとつで、赤やピンク・白など美しい花を咲かせます。
ツツジは日本の気候に合うため、庭木として育てやすいことも魅力のひとつです。花木を始めて育てる方にもおすすめできます。ぜひご自宅へツツジを植えてみましょう。
今回は、ツツジの特徴や育て方のポイント・注意点、剪定のコツ、挿し木での増やし方などをご紹介します。
ツツジってどんな植物?
ツツジは、日本や中国などのアジア東部を原産とする低木です。
樹高は50cmから2m程度で、お庭の垣根や街路樹としてさまざまな場所に用いられています。
開花時期は4月中旬から5月中旬にかけてで、赤・白・ピンク・オレンジ・紫色などの鮮やかな色彩の花を咲かせます。
なお、ツツジには常緑性の品種と落葉性の品種がありますが、日本でよく見かけるのは常緑性のツツジです。
日本の気候に合っているため育てやすいことが特徴で、お手入れの手間がかかりにくいこともツツジの魅力です。適切にお手入れすることでさらにきれいな花を咲かせてくれるでしょう。
【ツツジの育て方】基本の栽培のポイント
園芸用として出回っているツツジの多くは、日本に自生している野生種を元に改良された品種のため、育て方はさほど難しくありません。
耐暑性・耐寒性ともに強く、夏越しも冬越しも可能です。
基本的には手間のかかりにくいツツジですが、美しく花を咲かせるためにはいくつか注意したいポイントがあります。
以下を参考に、ぜひおうちでツツジを育ててみてくださいね。こちらでは、ツツジの基本的な育て方を解説します。
土づくり
ツツジは排水性と保水性を兼ね備えた酸性の土壌を好みます。地植えする場合、植えつけ予定地に腐葉土や酸度未調整のピートモスなどを混ぜて耕しておくと良いでしょう。
鉢植えにする場合は小粒の赤玉土:小粒の鹿沼土:酸度未調整のピートモス:バーミキュライト=4:3:2:1の配合で土づくりをすることがおすすめです。
植えつけ
ツツジを種まきから育てると花を咲かせる状態になるまで時間がかかります。
そのため、ガーデニングでは苗を購入して植えつけをするのが一般的です。
気温が15℃以上になる3月〜4月か、真夏の暑さが過ぎた9月〜10月になったら苗を購入し、2回り以上大きな鉢または庭に植えましょう。春に植えつける場合、開花期は避けて作業します。
地植えの場合は根鉢よりも倍以上大きな植え穴を掘ります。根の間にもしっかりと土を入れ込んで植えましょう。終わったら水をたっぷりと与えます。
鉢植えの場合も同様に根の隙間に土を入れるように植えていきます。水をたくさんあげたら、1週間程度は日陰で管理すると良いでしょう。
根がなじんできたら徐々に日当たりの良い場所へ移していきます。
また、ツツジは土の浅いところに根を張ります。植えつけの際は深く植えすぎないように気をつけましょう。
とくに、地植えする場合は高植えにすることがおすすめです。周囲の地面よりも少し高くなるように土を盛って植えつけましょう。
栽培場所
ツツジは日当たりが悪いと茎だけがヒョロヒョロと伸び、花芽がつきにくくなることがあります。できるだけ日当たりの良い場所で栽培しましょう。
強い日差しで葉焼けする可能性があるため、鉢植えの場合は夏になったら半日陰へ移動させることがおすすめです。その他の季節は日なたで管理して問題ありません。
また、ツツジは耐寒性がある植物ですので、冬も含め一年を通じて屋外で育てられます。
ただし、寒風が直接当たるのは良くありません。鉢植えの場合は軒下などに移動させたほうがいいでしょう。
水やりについて
ツツジの根は細く、地表浅くに張るため、土壌の乾燥に弱い植物です。地植えでも鉢植えでも、水切れには気をつけて管理しましょう。
地植えの場合、植えつけ直後から根を張るまで、約1年は水やりを行います。
土の表面が乾いたら水をあげましょう。その後は降雨に任せ、乾燥した日が連続したときに水やりすれば問題ありません。
鉢植えの場合は地植えよりも土が乾きやすいことに留意が必要です。土の表面が乾いていたらたっぷりと水やりしましょう。
また、季節ごとに適切な水やりの頻度も異なります。
春は新葉が出て蕾が膨らみ、花が咲く時期です。たくさんの水を必要とするため、1日1回~2回の水やりをすることもあります。
水やりの際は蕾や花に水がかからないよう気をつけましょう。
夏は土が乾燥しやすいため、1日2回の水やりを行うケースもあります。朝と夕方の過ごしやすい時間帯に与えましょう。
秋になり涼しくなってきたら、少しずつ水やりの頻度も減ってきます。残暑が厳しい時期は1日に1回~2回ですが、冬が近くなると2日に1回で十分になるでしょう。
冬は3日~4日に1回を目安に水やりを続けていきます。土が乾いていたら、なるべく晴れた暖かい日の午前中に水をあげましょう。
夕方以降の水やりは気温が下がって凍結の心配があるため、避けたほうが無難です。
肥料について
次々と花を咲かせるツツジは、肥料をたくさん必要とします。
肥料が不足していても枯れてしまうことはありませんが、花つきは悪くなります。きれいな花の観賞を楽しむために、適切に肥料を与えましょう。
植えつけの際は、肥料期間が約2年間持続する緩効性肥料『マグァンプK大粒』 を元肥として土に混ぜ込みます。
鉢植え・庭植えともに、花が咲き終わった後の5月から6月、生育が旺盛な9月下旬、休眠期にあたる2月前後に緩効性肥料『プロミック いろいろな植物用』を与えてください。
病害虫対策について
ツツジにはアブラムシが発生することがあります。アブラムシは新芽や葉などに付着して汁を吸い、植物を弱らせてしまいます。
ウイルス病を媒介することもあるため、早期に発見して駆除することが重要です。ただ、アブラムシはすぐに大量に増えてしまうため、ひとつずつ駆除していても追いつかないことがあります。
防除できる薬剤も活用しながらアブラムシ対策を行いましょう。
また、ツツジはうどんこ病にかかってしまうこともあります。うどんこ病は糸状菌というカビの一種が原因とされている病気です。
湿気が少なく温暖な環境で発生するケースが多く見られます。うどんこ病になると葉などが白い粉をまぶしたような状態になります。
そのままにしておくと患部が広がって枯れる原因にもなるため、早めに対処しましょう。感染したところを見つけたらその部分は摘み取って処分します。防除可能な薬剤を使って対策すると良いでしょう。
植えかえについて
鉢植えの場合、2年に1回程度は植えかえることがおすすめです。ずっと植えかえずに育てていくと、根詰まりしてしまうことがあります。
生育が停滞して花が咲かなくなる原因にもなるため、定期的に植えかえましょう。
植えかえ適期は植えつけと同じく春か秋です。新しい用土を準備して入れ替えましょう。
【ツツジの育て方】剪定方法や注意点
ツツジは自然なままの樹形を楽しむこともできますが、刈り込みに強いため、好きな形へ仕立てることも可能です。
また、病害虫を防ぎ、花つきを良くするためにも定期的な剪定を行いましょう。ここでは、ツツジの剪定時期や方法などをご紹介します。
ツツジの剪定時期
ツツジの剪定は花が咲き終わってからすぐ行うことがおすすめです。なるべく6月上旬までに済ませましょう。ツツジの花芽は、花が終わった後の夏につくられます。
6月中旬あたりから徐々に翌年の花芽が育ってくるため、この時期に剪定すると間違って花芽を摘み取ってしまう可能性があります。
せっかくつくられた花芽まで切ってしまわないよう、早めの剪定を心がけましょう。
ツツジの剪定の注意点
ツツジには常緑性の品種と落葉性の品種があります。ガーデニングで育てられることが多いのは常緑性のツツジです。
これらのツツジは芽吹きが良く、刈り込みにも強いことが特徴です。反対に、落葉性の品種は刈り込み剪定を避けたほうが良いでしょう。毎年の剪定は不要な枝を間引く程度にとどめます。
ツツジの剪定に必要な道具
剪定の際は、切れ味の良い園芸用のハサミを使うことが大切です。切れ味の悪いハサミを使ってしまうと、枝の切り口がつぶれてしまいます。
庭木の枝もカットできる剪定バサミを準備しておきましょう。
刈り込み剪定を行う場合は、刈り込みバサミがあると便利です。一気に多くの枝を刈り込むことができます。
また、手を保護するための手袋もしっかりと着用しましょう。さらに、地面にブルーシートなどを敷いておくと、落ちた枝や葉をスムーズに片づけることができます。
ツツジの剪定方法
ツツジの樹形を整えるためには、刈り込み剪定を行います。枝先から3cm程度の位置を目安にハサミを入れましょう。
カットした枝からは複数の芽が伸びて、こんもりとした形へ育てることができます。下のほうから上へ向かって刈り込んでいくことで、全体のバランスを取りやすくなるでしょう。
樹形を整えたら透かし剪定を行い、株の風通しを良くします。重なり合った枝や内側に向かって伸びている枝など、不要な枝を切っていきましょう。
【ツツジの育て方】挿し木で増やす方法
ツツジ栽培をもっと楽しみたい場合は、挿し木をして株を増やしてみることもひとつの方法です。最後に、ツツジを挿し木で増やす方法を解説します。
ツツジの挿し木の適期
ツツジの挿し木の時期は6月~7月です。挿し木の際は土が乾かないように管理することが大切ですが、梅雨頃に行うことで湿度を保ちやすくなることがメリットです。
ツツジの挿し木の方法
ツツジの挿し木では、花後に伸びた枝を挿し穂として使います。6月~7月であれば、新しく伸びてきた枝も充実し、硬くなっているはずです。
先端から10cmほどの長さに切って挿し穂にしましょう。
指し穂についている葉は、上部の2枚~3枚を残して取り除きます。多くの葉が残っていると、蒸散で水が不足しやすくなるためです。
挿し穂を1時間ほど吸水させたら、挿し木用土へ挿しましょう。
用土は挿し木専用土や、小粒の鹿沼土などを利用します。肥料は入れないように気をつけましょう。
挿し木をした後は、発根するまで土を乾かさないように日陰で管理します。湿度を保ちたいときはビニールをかぶせておきます。
順調にいけば秋頃には発根しているため、鉢へ植えかえて育てていきましょう。
おわりに
春の桜が終わる頃に開花するツツジ。育てやすい花木のひとつであり、園芸初心者にもおすすめできます。
管理の手間はかかりにくいですが、季節に合わせた水やりや施肥、剪定などのお手入れを行うことで、さらに美しい花を咲かせてくれるはずです。
ぜひご自宅に植えて、春の開花を楽しみにお手入れしていきましょう。
公開: 2018年10月19日
更新: 2024年1月19 日