葉っぱをロゼッタ状に連ね見た目が美しい「エケベリア」は、多肉植物の中でもとても人気が高い植物です。見た目の美しさから繊細なイメージを抱き、育てるのが大変だと考えている方も多いようですが、エケベリアは比較的育てやすい多肉植物です。
今回はエケベリアの基本的な育て方について詳しくご紹介いたします。
動画でわかりやく育て方をご紹介【PlantiaQ&A】
☘90:エケベリアの育て方|どんな場所で育てたらよいの?水やりや肥料、増やし方もご紹介
エケベリアとは
エケベリアは、ベンケイソウ科・エケベリア属に分類される多肉植物です。中央アメリカやメキシコが主な原産国で、乾燥した暖かい地域を好みます。
エケベリアの種類は200以上もあるとされ、地面に茂るタイプや茎を伸ばすタイプ、5センチ程度の小型なものから、40センチ以上にもなる大型種のエケベリアまで、さまざまな見た目や大きさのものがあります。
種類が豊富なエケベリアですが、楕円やヘラ型の葉をバラのように生やす見た目は共通しています。美しい葉の形から、フラワーアレンジメントや寄せ植えなどにも使われることが多いです。
エケベリアは春と秋に育つため春秋型と言われ、春から初夏もしくは冬の終わりから春に花を咲かせるものもあります。気温が下がると葉が赤く紅葉するのもエケベリアの特徴です。
エケベリアの日当たり
エケベリアは暖かい地域が原産国の植物であり、日当たりの良い場所で育てるのが基本です。日当たりの良い場所であればどこでも育てることができ、風通しの良い場所を好みます。
暑さには比較的強いエケベリアですが、8月の真夏の時期は直射日光が当たってしまうと株が弱ってしまうため、半日陰になるところに置くといいでしょう。直射日光が原因で葉が痛む可能性があるため、レースのカーテン越しに日を当てるなどの工夫が必要です。
夏以外は日の当たるところに置いて、育てましょう。室内、屋外のどちらでも日のよく当たる場所で育てると、エケベリアは元気に生長します。屋外でエケベリアを育てる場合は、雨に注意が必要です。エケベリアが長雨にはあたらないようにし、雨が降ったら屋内に取り込むなど、濡れないところに移動させる工夫が必要です。
エケベリアの耐寒温度は5℃までです。比較的耐寒性にも優れていますが、5℃以下になったときは室内に入れてあげましょう。夜は窓辺に置かずに温度管理をしましょう。気温が0℃を切ってしまうときは、水やりをやめて温度がなるべく下がらないように注意が必要です。
エケベリアの土づくり
エケベリア栽培に必要な土の条件は、保肥性と保水性、水はけの良さです。
園芸店やホームセンターなどでも売られている一般的な多肉植物用の土を選ぶと良いでしょう。
自分で土をブレンドする場合は、赤玉土(小粒)4割に対し、鹿沼土(小粒)を2割、日向土(小粒の軽石)2割、市販の粒状培養土を1.5割、くん炭0.5割といった割合で配合した土を作るといいでしょう。
どちらの用土にも植えつけの際には、元肥として緩効性肥料マグァンプK中粒 を少量、土に混ぜ込むとよいでしょう。
エケベリアの植えつけと植え替え
エケベリアの植えつけと植え替えはいつ行うのがいいのでしょうか。ここからは植えつけと植え替えについて紹介します。
エケベリアの植えつけ
エケベリアの植えつけは、春、または秋に行います。根を傷める確率が高い梅雨の時期や冬を避けましょう。特に、生育期に入る前の春にエケベリアの植えつけをするのが最適で、暖かい日に行う方がいいでしょう。
植えつけをする際は、まず土を入れた鉢の中心に植え穴を開け、エケベリアの株を植えつけます。根が小さいため、土をしっかりかぶせて安定させる必要があります。植えつけ後は1週間から10日が経過してから水やりを行います。根が落ち着いていないときに過剰に水を与えてしまうと根腐れの原因となってしまうためです。
エケベリアの植え替え
エケベリアの植え替えも、植えつけと同じ時期に行うのが最適です。エケベリアは根が早く生長するため、土の中で根詰まりになる可能性があります。根詰まりを防ぐためにも2年~3年に1度の頻度で植え替えを行うようにしましょう。
鉢の底から根が飛び出ている、土に水が染みこんで行かない、といった症状が現れたら植え替えの合図です。
植え替えるときは、初めにエケベリアの優しく株を掴み、鉢から引き抜きます。根についた土を軽く払い落としたら、日陰で2、3日根を乾かします。新しい鉢に植える前に、傷んで古くなった根を清潔なハサミでカットしましょう。土を入れた鉢に植え穴を掘り、エケベリアの株を植えます。根に土をかぶせ、株を固定します。このとき、土が乾きすぎていて安定しなければ、少しだけ水をあげて固定します。
植え替えるときは、エケベリアより一回り大きいサイズの鉢に植え替えます。二回り以上も大きい鉢植えに植えると、鉢の中の水が蒸発し切れずに根腐れを起こしやすくなってしまうため、一回り大きな鉢を選ぶようにしましょう。
室内でエケベリアを育てる場合は、いつ植え替えても大丈夫です。植え替えが終わったら暖かい場所に置いてください。
エケベリアの水やり
エケベリアの水やり方法は、季節によって異なります。エケベリアを枯らさずに元気に育てるためにも、水やりのタイミングや量に気をつけましょう。
季節ごとに適した水の量や頻度の水やりを行わなければ、エケベリアが枯れる原因となってしまいます。また、どの季節であっても、生え際に水を注ぐようにしてください。葉に水がかかると萎れてしまう可能性があるためです。
生育期である春・秋の水やり
生育期は日の当たる場所にエケベリアを置いて、土が乾いたら鉢底から水が出るくらいたっぷりの水を与えます。
休眠期である夏の水やり
夏は休眠期のため、水をあげる必要がありません。特に梅雨明けから夏にかけてと冬は水をあまり与えないようにします。エケベリアは高温多湿を好まないため、いつものように水を与えると蒸れて株が傷んだり、根腐れを起こしやすくしたりするため注意が必要です。
エケベリアが完全に乾燥してしまわないよう注意して、葉の様子を見て、しわが寄っていたら水を与えます。水を与えるのであれば、夕方など涼しくなってから葉水をする、土が半日くらいで乾くくらいの水を与えるといいでしょう。
休眠期である冬の水やり
冬も水を与えなくていいです。水を与えないことで、耐寒性を高めることができます。葉の様子を見ながら、たまに水を与える程度でいいでしょう。土が乾いていても休眠期にはあたる冬は水をほしがらないため、夏と違って頻繁に水やりをしなくても問題ありません。
エケベリアの肥料
肥料|春~秋の生育期に追肥を
多肉植物は熱帯や乾燥地帯が原産のため、肥料が必要ないと思われている方も多いかもしれませんが、植物を健全に生育するためには栄養=肥料や活力剤が必要です。適切に栄養を与えることで、葉色を良くし、徒長を防ぎ、健全に株が生長します。草姿を保って育てたい場合は、活力剤がおすすめです。
通常の管理には土に置くだけの植物用活力錠剤『ガーデンエッセンス』がおすすめです。
また、葉色が悪い、株全体に元気がない時は、速効性の液体肥料『キュート サボテン・多肉植物用』を与えてると良いでしょう。
休眠期は、肥料は控えましょう。
エケベリアの増やし方
エケベリアを増やしたいときどうしたらいいのでしょうか。エケベリアの増やし方は3種類あります。落ちた葉から苗を育てる「葉挿し」、茎をカットして土に挿して苗を作る「挿し木」、株を自身で切り分けて増やす「株分け」です。
エケベリアの葉挿しの方法
葉から苗を育てる葉挿しは、多肉植物ならではの方法です。準備するものも少なく手軽に始められるため、エケベリアを増やしたいのであれば、まず葉挿しに挑戦してみてください。
葉挿しに必要な道具
- 底が浅いトレイなどのような容器
- バーミキュライト
葉挿しの手順
- エケベリアの落ちた葉があれば、その葉を使います。なければ葉をやさしく付け根から剥がします。葉が途中で切れたものは根が生えないため気を付ける必要があります。
- 用意した容器にバーミキュライトを敷き詰めます。
- 付け根が軽く触れるようにエケベリアの葉をバーミキュライトの上に置きます。
- 水は与えずに直射日光が当たらない場所に置いておきます。
- 10日~30日くらい待ち、根と新しい芽が生えてきたら、根をバーミキュライトに完全に埋めてたっぷりと水を与えます。
- 2、3ヶ月程経ち苗が十分に育ったら、鉢へ植え替えて葉挿しの完了です。
エケベリアの挿し木の方法
挿し木はエケベリアだけでなく、いろいろな植物で行われている増やし方です。特に茎が伸びるタイプのエケベリアを増やすときに向いている方法です。
挿し木に必要な道具
- 2~3号の小さめの鉢植え
- 鉢底石
- 鉢底ネット
- バーミキュライト
- ハサミ
- 割り箸のような棒
挿し木の手順
- 茎をハサミで芽を増やしたいところでカットします。
- 茎の切り口を日陰に置き、1週間くらいかけて乾かします。
- 茎の下、土に挿す部分に生えている葉をカットします。
- 鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷き、バーミキュライトを鉢の8割くらいまで敷き詰めます。
- 指で土に穴を開けて、穴に茎を挿します。
- 根と芽が生えてくるまで、直射日光の当たらない場所で水を与えずに育てます。
- 2、3週間程経って、根と新しい芽が生えてきたら水やりをしたらいつも通りの方法で育てます。
エケベリアの株分けの方法
株分けは植物を人の手で人工的に切り離します。少し乱暴な方法に見えますが、葉挿しや挿し木と違って、根と芽がでるのを待たずにそのまますぐに苗として育てることができます。エケベリアの植え替え時に株分けを行えるため、植え替えの予定があるのであれば株分けを行うと効率的に増やすことができます。
株分けに必要な道具
- 鉢植え
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- バーミキュライト
- ハサミ
株分けの手順
- 株分けを行う1週間くらい前から水やりを調節して土を乾燥させます。
- 土が乾燥したら、鉢植えからエケベリアの株を引き抜きます。
- 根に付いている土を優しく落とします。
- 根をばらして子株に分けます。子株についている根を切らないように注意してください。
- 傷んでいる根は清潔なハサミで切り落とします。
- 新しい鉢の中に鉢底ネットと鉢底石を敷き、鉢の8割くらいまでバーミキュライトを入れます。
- ばらした子株の根を広げるように植えます。
- 根が落ち着くまでは水やりはしないでください。直射日光が当たらない場所で管理し、株分けから根が落ち着く4、5日後から水を与え始めます。
エケベリアの病害虫
エケベリアを育てる上でよくあるトラブルは「病気」と「害虫」です。ここからは病気や害虫の種類とその対策方法についてご紹介します。
エケベリアがなりやすい病気とその対策
エケベリアがなりやすい病気は「黒斑病」と「根腐病」です。黒斑病は葉に黒い点がたくさんできる病気です。
・黒斑病
黒斑病で植物が枯れることはありませんが、見た目が美しいエケベリアのような多肉植物は、黒斑病で見た目が損なわれてしまいます。黒斑病湿度が高い状況下でなりやすいため、対策としては過度に水をあげすぎない、水はけの良い土を使う、エケベリアを含むほかの多肉植物を植えるときに密集させない、湿度が下がるようにするなどの対策が必要です。
・根腐病
根腐病は、根が腐る病気です。黒斑病とは違って、最悪の場合エケベリア自体が枯れてしまうため注意が必要です。根腐病は水の与えすぎやカビの繁殖が原因として考えられます。根腐病の対策には、水を与えすぎない、水はけの良い土を使用することの2つが挙げられます。
エケベリアにつきやすい害虫とその対策
多肉植物であるエケベリアは、虫がつきにくい性質があります。それでも元気がないときは、虫がついているか、根腐れを起こしている可能性が高いです。エケベリアにつきやすい虫は、「ハダニ」「アブラムシ」「カイガラムシ」です。
エケベリアに害虫が付くと、葉から栄養分を吸い取ったり、甘い液体を出して他の害虫やアリなどを呼び寄せたりと、さまざまな問題を引き起こします。対策としては害虫に気がついたらすぐ取り除くことです。すぐに取り除かなければ、葉だけでなくエケベリアの株が全体的に弱って最後には枯れてしまいます。こまめに葉や全体を確認し、虫がいないか確かめましょう。
害虫が大量繁殖してしまうと取り除くのが難しくなり、専用の薬剤などが必要になります。
まとめ
日当たり・水やりや植え替えのタイミングや注意点など栽培の基本を押さえれば、初心者でもエケベリアを育てるのは難しくありません。見た目が美しいエケベリアを育てて、お部屋を美しく彩りませんか?ぜひこの機会にエケベリア栽培に挑戦してみてくださいね。