ボケ(木瓜)は可愛らしい小さな花をたくさん咲かせる花木です。お庭に直接植えるのはもちろん、鉢植えでコンパクトに育てることもできます。ぜひご自宅にボケを植え、花の鑑賞を楽しみましょう。今回は、ボケの特徴や基本的な育て方、管理方法、増やし方など、さまざまな情報をご紹介します。
ボケの特徴や種類
ボケ(木瓜)は日本で昔から育てられてきた落葉低木です。中国原産ですが、平安時代には日本へ伝わってきたといわれています。
バラ科の植物で、3月中旬から5月上旬にかけて咲く花はウメに似ています。樹高は2mから3mほどで、お庭で育てやすいサイズ感も魅力のひとつ。盆栽として親しまれている品種もあります。枝にトゲが生えているため、お世話の際にはケガをしないように注意しましょう。
花の色は赤や白、ピンク、オレンジなどです。複数の色が混じった絞り咲きの品種も見られます。
ボケの花が咲き終わったら結実し、9月から10月の秋頃に実を収穫できます。果実は生薬の原料となるほか、果実酒やジャム、シロップ漬けなど、さまざまな方法で食べることができます。生食はできませんが、果実から漂う甘酸っぱい香りを堪能できるでしょう。
同じボケ属の仲間には、日本原産の種類や中国原産の種類があるといわれています。日本に自生しているのはクサボケ(草木瓜)という植物です。地面を這うように枝を伸ばしていきます。
ボケの育て方
ボケはお手入れの手間がかかりにくく、初心者にもおすすめの樹木です。こちらでは、基本的な育て方を解説します。
苗選び
一般的に、ボケは挿し木苗を購入して植えつけます。接ぎ木苗だと台木の性質が現れてしまうことがあるため、挿し木苗が選ばれるようです。
苗木を見て購入できる場合は、できるだけ元気の良いものを選びましょう。幹が太く、ぐらつきがないか、葉が枯れたり変色したりしていないかなどをチェックします。徒長してひょろひょろとしているものや、病害虫被害の跡が見られるものなどは避けたほうが良いでしょう。
土づくり
ボケは水はけと水もちの良さを兼ね備えた土を好みます。鉢植えの場合、小粒の赤玉土と鹿沼土(もしくは軽石)、腐葉土(もしくはピートモス)を5:3:2で混ぜたものなどを使います。市販されている園芸用土を購入するのもおすすめです。
地植えする場合、植えつけ前に土を掘り返して耕しておきます。腐葉土や川砂などを加えて混ぜておくと良いでしょう。
ボケの好む栽培環境
ボケは日当たりが良い場所を好みます。ずっと日陰になるような場所は避けることがおすすめです。鉢植えの場合は基本的に日なたで育て、真夏には半日陰へ移すと良いでしょう。
土質も選びませんが、極端に乾燥しやすい土壌は避けます。風通しの良さも重要なポイントです。
植えつけ
ボケの植えつけ適期は9月から11月にかけてです。植えつけの際は、根鉢の2倍の大きさの植え穴を掘ります。穴に苗木を置いたら、優しく土を入れていきましょう。
植えつけの際は、元肥として肥料効果が約2年間持続する緩効性肥料マグァンプK大粒 を土に混ぜ込みます。
植えつけが終わったら根の活着促進のため植物用活力液リキダスを1,000倍に希釈してたっぷりと与えます。根づくまでは、倒れないように仮の支柱を立てておくと安心です。
水やり
地植えの場合は降雨に任せ、基本的に水やりする必要はありません。ただし、植えつけから2カ月程度の間は、土が乾いたら水を与えましょう。真夏の高温期のように、乾燥した日が続いたときにも水やりします。
鉢植えの場合は、地植えよりも土が乾きやすいため注意が必要です。乾燥させすぎると蕾が落ちて花が少なくなったり、葉が枯れたりします。土が乾いたらその都度水やりしましょう。鉢の底から水が流れ出るようにたっぷりと注ぎます。ただし、落葉期には水やりを控えめにしましょう。
肥料
地植えの場合、1月から2月にかけて寒肥を与えます。寒肥とは、文字通り寒い時期に与える肥料のことです。木が休眠している間に施肥をしておくことで、春からの生長に向けてエネルギーを与えることができます。肥料には多彩な種類がありますが、緩効性肥料を使うことがおすすめです。
鉢植えの場合は、開花が終わった後の4月から5月にお礼肥を与え、9月にもう一度追肥します。こちらも緩効性肥料を使うのが便利です。
追肥にはバラまくだけで肥料効果が約2~3カ月間持続するプランティア花と野菜と果実の肥料がおすすめです。
ボケのお手入れ方法
ボケを長く育てていくためには、適切なお手入れ方法を実践することが大切です。こちらでは、ボケを管理するときに知っておきたい病害虫対策や剪定のコツなどをご紹介します。
病害虫対策
ボケの栽培で気をつけたい害虫のひとつがアブラムシです。アブラムシはとても小さな虫で、春から秋によく見られます。気がつくと大量に発生していることもあるため注意が必要です。
アブラムシは植物の汁を吸って弱らせるだけではなく、ウイルス病を媒介することもあります。見つけたらすぐに駆除することが大切です。直接こすり落としても良いですが、専用の薬剤を使うと手軽です。予防効果を兼ね備えた薬剤もあるため、ぜひ活用しましょう。
虫を予防するマグァンプDは肥料やり+害虫の予防・退治が同時にできるのでおすすめです。
剪定
ボケの枝を自然に伸びるまま放置しておくと、どんどん混雑してくることがあります。風通しや日当たりが悪くなるため、剪定して形を整える作業が必要です。
剪定適期は4月から5月と、10月から12月の、年に2回です。春の剪定は花後に実施します。伸びすぎた部分や絡まった部分などをカットしていきましょう。基本的に、開花後に伸びてきた枝は、根元から芽を2~3個残して切り詰めます。花がらは摘み取っておきますが、実を楽しみたい場合はそのままにしておくと良いでしょう。
秋冬の剪定は葉が落ちてから行うことで、花芽や蕾を確認しやすくなります。枯れた枝や余分な枝などを切り、春の開花に備えましょう。蕾がついている枝は、蕾を残したまま10cmほどまで切り詰めます。蕾のない枝は1cm程度までカットしてかまいません。
植え替え
鉢植えのボケは2年から3年に1回の頻度で植え替えましょう。植え替えずに育てていると、根が伸びすぎて根詰まりしてしまうことがあります。土の保水性や保肥性などがなくなってきてしまうこともあるため、定期的な植え替えがおすすめです。
適期は植えつけ同様、9月から11月にかけてです。根鉢よりも一回り大きな鉢と、新しい用土を準備しておきましょう。植え替える際は、根を掘り出したら優しくほぐし、3分の1程度カットします。植え替えを終えたら日陰に移動させて管理しましょう。植え替え直後は木がダメージを受けやすくなっているためです。
植え替えの際も元肥としてマグァンプK大粒 を土に混ぜ込みます。
ボケの増やし方
ボケの栽培に慣れてきたら、株を増やしてみることもおすすめです。最後に、ボケの増やし方をご紹介します。
種の採取
野生種のボケの場合は、種を採ってまくことで増やせます。実が熟すまで待ってから収穫し、中に入っている種を取り出しましょう。果肉をしっかりと洗い落としてから土にまくことが大切です。土が乾燥しすぎないよう、水やりしながら管理していきましょう。順調にいけば春頃に発芽し、そのまま育てていくことができます。
挿し木
ボケは挿し木でも増やすことができます。適期は9月から10月にかけてです。挿し穂は、その年に伸びた新しい枝を使うことがおすすめです。
枝の先端から10cmほどの場所で切り取ったら、水につけておきます。1~2時間ほど経ったら挿し木用土に先端を挿しましょう。その後、しばらくは日陰で育てます。水切れしないように気をつけて管理することが大切です。
発根したら地上に出ている部分も生長し始めます。大きくなってきたら、サイズに見合った鉢に移し替えながら育てていきましょう。
おわりに
低木のボケは管理しやすく、庭木や生け垣としてはもちろん、鉢植えや盆栽などとしても栽培できます。可愛らしい花をたくさん咲かせる姿は、見ている人の心を和ませてくれるはず。季節に合わせたお手入れをして、長く育てていきましょう。