那須ヒロガーデン店長 高木大輔のバラ栽培は面白い！ 3月のバラの管理方法① ～春を待つバラ大苗たち～

皆さんこんにちは！今月からこのコーナーで1年間、バラ栽培について書かせて頂きます。

すでにバラ栽培を始めている方には、日々のお手入れのアドバイスになるようなお話を、今春からバラ栽培を始めてみようかな！という方には、バラ選び～１年を通した基本の管理のお話を、バラを販売している立場からお伝えしていければと思っております。

私の勤める那須ヒロガーデンでは、毎月その時期その時期のバラ栽培についてバラ講習会を開催しているのですが、今回はその講習会の紙面版のつもりでバラ栽培について私なりのやり方をご紹介できたらと思っています。

もうすぐ春ですね。４月になれば、バラ新苗という規格（接ぎ木して4～8ヶ月程度畑で育てた苗）が流通する時期です。5月になれば、バラの開花鉢（鉢バラといったりします）も流通します。バラユーザーにとっては待ちに待ったバラ開花シーズンの到来ですね！

那須ヒロガーデン店長　高木大輔のバラ栽培は面白い！ 自己紹介

11月から販売しているバラ大苗の3月の様子

その前の１１～３月は、バラ大苗（接ぎ木して約１年間畑で育てた苗）という規格が流通している時期です。

１１月にバラ大苗の販売がスタートして、３月頃までバラ大苗は、畑から掘り上げた苗（裸苗とも呼ばれる、枝だけで葉も芽もない状態）を仮植えした状態で販売されています。１１月に並び始めたら…、園芸店で見かけてしまったら…つい買ってしまうのがバラ愛好家の心理ですよね(笑)。（最新品種はすぐに売り切れてしまいますので、見かけたらすぐ購入するのも大切です。）おそらく３月ともなると『すでに売れ残り苗しか残っていないのでは？』と思うでしょう。

以前でしたら、１１～１２月に大手園芸店やホームセンターに一斉にバラ大苗が並んでいたので、バラ大苗は冬に買うもの！と思っていらっしゃる方も多いと思いますし、昨冬すでにバラ大苗を購入された方も多いと思います。

でもちょっと待って！

実は、バラ大苗は最初の冬の寒さにとても弱く、冬越しで苦労される方、枯らしてしまう方がわりと多いのが現状です。

春になって、冬に購入したバラ大苗が枯れてしまったというお問い合わせは実は非常に多いのです。（いずれ機会があれば、冬に買ったバラ大苗の冬越しポイントもお話ししたいと思います。）

バラ大苗の状態としても、１１～２月は葉も新芽もなく、根は仮植えされていて見ることができないので枝だけで健康状態を判断しなければいけないので選ぶのが難しい…良さそうな苗を選んでも寒さで枯れてしまうかもしれない…という状況です。

一部の枝だけ枯れている苗　右から1番目と3番目が枯れている

一部の枝だけ枯れている苗　上写真の枯れ枝を切った後

枯れてしまった大苗

3月になっても新芽が出ず、枝の色も悪い

しかし一方で、暖かくなる３月は健康的な新芽が吹いてくる時期です。

通常は健康的な新芽が出てきますが、掘り上げや冬の寒さで根や枝が傷んでしまった大苗は、上の写真のように、新芽が出てきません。

新芽が吹き始めるということは、白根（新しい根）も動き始めているということで生育状況の良し悪しに差が出てくるので、苗選びの判断材料になりますね。

健康的な新芽の吹く大苗　こんな新芽が出ていると良い状態です。

また、これから暖かくなる時期ですから、お持ち帰りしてから寒さで枯れてしまうということもまずありません。

バラ大苗は３月こそ寒さによる枯れのリスクが少なくなり、安心してご購入頂ける時期であるとわかっていただけるかと思います。

そこで弊店を含め最近のバラ専門店の多くは、バラ大苗を自社で養生しながら３月以降も販売する予定で、芽吹き～開花鉢の状態まで育てながら販売しています。

お客様から見ると冬越しは専門店にお任せして、３月４月に芽吹きの始まったバラ大苗を安心してお求めになれるというわけです。

３月以降も販売する予定のお店では、専用培養土で丁寧に鉢上げし、追肥や薬剤散布をしながら管理しているので、株の状態は良好です。

3月以降の大苗はというと、生長にしたがって開花までの期待が高まり、開花鉢や鉢バラといった名称で販売され、お客様のご購入も本格化しますので、在庫はじょじょに減っていき、選べるバラの選択肢は減っていきます。

大きくなるにしたがって値上げをすることもあるでしょう。結果的に、ある程度品種が揃っていて好みの品種を選びながら、安心して買うことのできる3月は実は狙い目！となるのです。

ぜひ、お近くに在庫を豊富に揃えて管理の良いバラを並べているお店があれば足を運んでみてくださいね！

さらに、5～6月にはしっかり育って開花しますので、初心者の方がお花や樹形を見ながら購入することが可能です。

その場合、大苗の時期より少し値段は高くなりますが、購入するには一番安心して購入できる状態なので5～6月のバラ選びももちろんおすすめですよ！

5月の大苗（開花鉢や鉢バラとも言われる）販売状況

5月の大苗（開花鉢や鉢バラとも言われる）販売状況

5月の大苗（開花鉢や鉢バラとも言われる）販売状況

ところで余談ですが…！店舗によっては、３月はバラ大苗を売り切りたい時期…というところもあります。

値下げ大苗を狙って小売店巡りをするというのもおもしろいかもしれません(笑)その場合、長く店頭に置いてあって傷んでしまった苗の回復にはそれなりに手間も時間がかかるので、『リキダス』や『バラのストレスブロック』を活用して養生管理をしながら回復させると良いでしょう。

実はこれがなかなかやりごたえがあって楽しい作業で、徐々に回復していくバラを育てるのもバラ栽培の醍醐味なのですが、

そのへんはまたの機会にお話ししたいと思います。

次回は、つるバラの長尺苗についてお話させていただきます。