紫の花を咲かせる植物は?育てやすい種類を春夏秋冬に分けて紹介
季節を問わず、紫色の花をつける植物は多数存在します。神秘的な雰囲気や高貴な印象などを演出したいときにも、紫の花はぴったりです。お庭やベランダなどの彩りに、ぜひ紫の花を加えてみてはいかがでしょうか。今回は、ガーデニング初心者にもおすすめの育てやすい紫の花や、それぞれの特徴、栽培のポイントなどをご紹介します。これから園芸を始めたい方、何を植えるか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
春に紫の花を咲かせる植物
春に盛りを迎える植物のなかには、紫色の花をつけるものがたくさんあります。こちらでは、春に紫の花を咲かせる、栽培しやすい植物をご紹介します。
ヒヤシンス
ヒヤシンス(ヒアシンス)は3月~4月に香りの良い花を咲かせます。球根をつくる多年草で、紫色のほかにもピンク色や白色、青色、赤色、黄色など、多彩なカラーの花をつけます。草丈は20cmほどで、花壇でもプランターでも育てやすいサイズ感です。水栽培(水耕栽培)にて室内で育てるのも人気です。耐寒性が強いため、屋外で育てやすい点も魅力。日当たりと水はけの良い場所を用意して植えつけましょう。植えっぱなしでも問題ありませんが、夏越し前に掘り上げておくと病害虫被害を避けやすくなるため安心です。
ルピナス
マメ科のルピナスは北アメリカ原産で、4月下旬から6月にかけてフジに似た花を咲かせます。「ハウチワマメ(葉団扇豆)」や「ノボリフジ(昇り藤)」などの和名で呼ばれることもあります。草丈の高い品種は1mを越し、花穂が60cm以上になることも。対して、草丈20cm程度の矮性品種もあります。基本的には多年草ですが、耐暑性が弱いため、栽培するエリアによっては一年草扱いとされます。過湿にも弱いため、水はけの良い用土へ植えましょう。ただ、カラカラに乾いてしまわないよう、土の表面が乾燥したら水をたくさん与えることが大切です。
フジ
日本原産で、風雅な姿で人々を魅了してきたフジの花。開花時期の4月下旬から5月になると、各地の名所が賑わいを見せます。紫色のほか、白色やピンク色の花をつける品種もあります。つるの長さは10m以上になることもありますが、鉢植えで育てることも可能です。耐暑性・耐寒性のどちらも普通で、日当たりの良い場所を好みます。土が乾燥しきってしまうと花つきが悪くなるため、水切れしないように管理しましょう。
アヤメ
アヤメの開花時期は5月頃です。草丈は20cmから50cmで、すらりと伸びた茎と葉が特徴。ハナショウブやカキツバタによく似ていますが、性質の異なる別の植物です。水はけの良い環境を好むため、排水性の高い用土を使って植えつけましょう。日陰に置くと生育が悪くなることがあるため、日の当たる場所を選ぶことがポイントです。鉢植えにする場合は、土の中が込みやすいため、毎年植え替えてあげましょう。地植えの場合は3年に1回の頻度で植え替え、株分けを行います。
シラー
シラーは南アフリカや熱帯アフリカ、ユーラシア大陸などが原産の多年草です。多くの種類があり、それぞれ異なる性質を持ちます。開花時期は3月から6月にかけてです。草丈は5cm程度の小さなものもあれば、80cmほどになるものも。一つひとつの花は小さいものの、一株にたくさんつきます。花の時期が終わり、気温が高くなると地上部が枯れ、球根のみの状態で夏越しします。乾燥しやすいため、掘り上げずに土に埋めたままにするのが一般的です。
スミレ
草丈10cmほどで、素朴で可憐な花を咲かせるスミレ。春の散歩の途中、道端に咲いている姿を見かけることも多いのではないでしょうか。スミレは耐暑性と耐寒性に優れた多年草で、4月から5月にかけて咲きます。濃い紫色の花が基本ですが、白色や赤紫色、筋の入ったものなど、さまざまな花色を持つことが特徴です。日当たりの良い場所を好みますが、夏の直射日光で焼けてしまう場合は半日陰へ移動させましょう。根が旺盛に伸びるため、鉢植えの場合は深さのあるものを用意します。根詰まりしないよう、毎年植え替えましょう。
夏に紫の花を咲かせる植物
初夏や梅雨、夏などの蒸し暑い時期でも、美しい花の鑑賞を楽しめます。こちらでは、暑さに負けずに紫の花を咲かせる植物をご紹介します。
トケイソウ
熱帯地域原産のトケイソウ。花の名前は、時計の文字盤のような見た目に由来します。開花時期は5月から10月ですが、品種によって異なります。果実の収穫を楽しめる種類として「パッションフルーツ」も有名です。つるを伸ばすタイプが基本で、グリーンカーテンとして利用されることもあります。多年草ですが寒さに弱い品種があるため、環境によっては冬越しが難しい場合も。地植えにする場合は耐寒性の強い種類を選び、防寒対策に気をつけましょう。
キキョウ
日本をはじめ、東アジア地域を原産とするキキョウの花。古くから栽培されてきた植物のひとつです。かつては日本各地に自生していましたが、現在は絶滅危惧種となっており、自然の姿を見かける機会はほとんどありません。開花時期は6月から10月の間となります。水はけと日当たりの良い場所を選んで植えつけましょう。日陰に植えるとうまく育たないことがあるため注意が必要です。地植えにする場合は、排水性を高めるために土を盛ってから植えると良いでしょう。根詰まりしやすいため、鉢植えにする場合は毎年植え替えることが大切です。
ハナショウブ
ハナショウブはアヤメ科アヤメ属の多年草です。花の色が豊富で、紫色のほか、青色やピンク色、白色、黄色などの種類があります。花びらの付け根が黄色くなっていることが特徴のひとつです。開花時期は6月から7月にかけて。水辺に植えられていることが多いものの、常に水に浸しておくことは避けましょう。ほかの花と同様、花壇やプランターなどへ植えて問題ありません。乾燥しすぎると開花しないことがあるため、しっかりと水やりすることが重要です。
ハギ
秋の七草に数えられるハギ(萩)は、7月から9月にかけて開花する花木です。樹高は1.5mから2mほどで、小さい赤紫色の花をたくさんつけます。品種によっては白い花やピンク色の花を咲かせるものもあります。やせ地でも育つほど丈夫な点も魅力。排水性の高い用土を使い、日当たりの良い場所へ植えましょう。地植えの場合はほとんど水やりしなくても問題ありませんが、乾燥しやすい時期には水を与えます。
アジサイ
庭木として人気が高く、世界中で育てられているアジサイ。開花時期は6月から9月にかけてです。樹高2mほどの落葉低木ですが、鉢植えとしても栽培できます。土の酸度によって色が変化することが特徴で、色味が赤系から青系に変わることも。耐陰性が強いため日陰に植えても大丈夫ですが、ある程度は日に当てたほうが花つきが良くなります。ただし、開花中に強い日光を浴びると花が色あせやすくなるため気をつけましょう。半日陰の場所を選ぶことがおすすめです。
トレニア
トレニアはアジアやアフリカが原産の草花です。一年草の園芸品種がよく見られますが、多年草の品種もあります。開花時期は4月~11月ですが、主に初夏から秋に元気良く花を咲かせます。草丈は20cmから30cmほどです。日当たりを好みますが、夏場は直射日光に当てないように管理しましょう。多年草タイプは冬越し可能ですが、寒さに弱いため屋内に取り込むことがおすすめです。霜が降りてくる前にお部屋へ移動しましょう。
バーベナ
「ビジョザクラ(美女桜)」の別名を持つバーベナは、熱帯から亜熱帯が原産の草花です。開花時期は5月中旬から11月にかけて。本来は多年草ですが、日本の冬を越せず一年草扱いとなる品種も多く見られます。草丈は20cm程度のものもあれば、150cmほどに生長する高性種もあります。紫色のほか、ピンク色や赤色、白色などの花が咲くものも。過湿を嫌うため、排水性の高い土壌で育てましょう。地植えの場合は、ほとんど水やりせずに管理します。鉢植えは土の表面が乾いたタイミングで水をあげましょう。
秋に紫の花を咲かせる植物
行楽の季節となる秋。出かけた先で、紫色の花を見かけることもあるのではないでしょうか。こちらでは、秋に紫の花をつける植物をご紹介します。
アメジストセージ
アメジストセージとは、シソ科の宿根サルビアの一種である「サルビア・レウカンサ」のことです。秋咲き品種のなかでもよく育てられており、観賞用ハーブとしても人気を集めています。花びらに見える赤紫色の部分は咢で、ベルベットのような質感が大きな特徴です。9月~11月になると、咢の先から白やピンク、紫色が出てきます。開花期間中は、咢の紫色と花の色との美しい調和を楽しむことができます。花が終わると地上部は枯れて休眠に入るため、株元からカットしてしまいましょう。
リンドウ
日本原産の山野草であるリンドウ(竜胆)は、9月下旬から10月にかけて青紫色の花を咲かせます。草丈は30cmから50cmです。管理しやすいよう、鉢植えにすることがおすすめです。年に1回は植え替えて、土を新しくしましょう。梅雨から夏の間は日差しを避け、秋から春は日なたへ置いておきます。冬は凍結を避けるため、軒下などへ移しましょう。乾燥に弱いため、水切れしないように管理することも重要です。
ホトトギス
ホトトギスは日本原産の多年草です。開花時期は8月から9月で、花びらには斑点が見られます。水はけの良い土を用意して植えつけましょう。鉢植えの場合は年に1回、地植えの場合は3年に1回の頻度で植え替えます。空気の乾燥を嫌うため、夏の時期は打ち水や霧吹きなどで湿度を保ちましょう。品種によっては倒れやすいため、支柱を立ててあげます。株分けや挿し木(挿し芽)、種の採取で増やすことも可能です。
冬に紫の花を咲かせる植物
植物にとって厳しい季節となる冬ですが、寒さに負けずに花を咲かせる品種は多く見られます。最後に、冬に紫の花をつける植物をご紹介します。
クロッカス
クロッカスは2月から4月にかけて花を咲かせます。草丈は5cmから10cmと低いものの、色鮮やかな花は存在感抜群です。黄色や白色の花をつける品種もよく見られます。水はけの良い土へ植えつけますが、生育期間中はカラカラに乾いてしまわないように気をつけましょう。元気に花を咲かせるため、しっかりと日に当てることも大切です。花後は球根だけの状態になって休眠期に入ります。掘り上げて保管しておき、秋になったら再び植えつけましょう。
パンジー、ビオラ
パンジーやビオラは、ヨーロッパ原産の多年草です。現在は多くの交雑によって園芸新種がつくられており、両者を見分けるのは難しいといわれています。開花時期は10月下旬から5月と、長く花を楽しめます。紫色だけではなく、白やピンク、赤、黄、オレンジ、青、黒、茶など、多彩なカラーを持つことが大きな魅力です。開花期間中は続々と花をつけるため、こまめに花がら摘みをすることが大切です。咲き終わったものは、花茎ごとカットしましょう。
オステオスペルマム
オステオスペルマムは熱帯アフリカやアラビア原産のキク科の花です。日本では多年草タイプがよく見られますが、一年草や二年草タイプも存在します。1月~5月、9月~11月に開花期間を迎え、紫や白、ピンク、黄、オレンジなどの花をつけます。草丈は20cmから80cmです。鉢植えの場合は2年に1回は植え替えを行います。基本的には日当たりの良い場所を好みますが、春から秋のはじめにかけては半日陰程度の場所がおすすめです。できるだけ雨が当たらない場所を選びましょう。
ヤグルマギク
ヤグルマギクという名前は、矢車に似ている花の形から名づけられました。開花時期は12月から7月の間で、よく見られるのは寒咲き品種です。よく似た名前の「ヤグルマソウ」は違う植物のため、混同しないように気をつけましょう。こぼれ種でも増えるほど強く、やせ地でも旺盛に育ちます。ただ、日陰や湿り気の多い土は苦手です。植え替えを嫌うため、植えつけ場所はよく考慮してから栽培を始めましょう。
おわりに
紫とひとくちにいっても、濃い紫や薄紫、赤紫、青紫など、さまざまな色合いが存在します。色味はもちろん、花の大きさや形などによっても、印象は大きく変わるものです。こちらでご紹介したもの以外にも、チューリップやクレマチス、ライラック、アネモネ、バラ、ラベンダーなど、紫色の花をつける植物はたくさんあります。ぜひお好きな雰囲気のものを探して、紫の花の栽培を楽しみましょう。
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